ハンズオン:LEDテープライトの使い方 パート1 – 住宅用アンダーキャビネット照明を作ってみよう
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2018-05-16
編集者によるコメント:作って楽しく、使って満足、家族にも喜ばれるLED照明は、DIYの題材にぴったりです。この記事は、全2回のシリーズでお届けします。パート1は、アンダーキャビネット照明の作り方です。パート2は、色温度を合わせるために電子レンジの照明を交換する方法をお届けします。
LEDは、現在さまざまな用途で白熱灯や蛍光灯に取って代わりつつありますが、LEDアンダーキャビネット照明の選択肢は、極めて限られています。しかし、DIYをこよなく愛する者にとっては、LEDテープライトという、オリジナルの照明アプリケーションを手作りするのにうってつけのアイテムがあります。LEDテープライトとは、複数の表面実装型(SMT)LEDを長いテープ上にはんだ付けして売られているパーツのことで、小さく、軽量で、低消費電力なのです。
LEDテープライトには、その他にもメリットがあります。よく切れるハサミで簡単にカットできるし、粘着剤付きのため、ほとんどどんな場所にでも貼り付けられます。また、12V電源で動作するため、安全に作業できます。
この記事では、長さ5mのLEDテープライトを1つだけと、RF調光用リモコン、低電圧コネクタ、12Vスイッチング電源を使って、台所用のアンダーキャビネット照明を手作りするハンズオンプロジェクトについてまとめました。このコンパクトな照明システムを完成させると、(毎日の作業場を明るくするという)実用性と美しさを兼ね備えた、魅力的なカウンター照明ができあがります。
「あなた、お願いがあるんだけど…」――DIYプロジェクトのよくあるきっかけ
多くのDIYプロジェクトと同じように、今回のプロジェクトも、妻のリクエストをきっかけにして始まりました。前の家でDIYしたアンダーキャビネット照明と同じものが今の家にもほしいと言うのです。キッチンカウンターに、もう少し明るさが必要でした。前回のDIYは10年以上も前のことで、当時は、約2.5cm間隔でLEDが乗っている約30cmの密閉型LEDストリップを個別にいくつも用意する必要がありました。
先代のカスタムの照明コントローラは、低コストのマイクロコントローラをベースとしたパルス符号変調(PCM)モータ制御基板を使用したもので、業者に90ドル支払って専用のコードを書いてもらいました。必要な12V電源は、ラップトップ用のACアダプタで供給しました。また、配線ワイヤとコネクタは、必要な電流量の10倍の定格を持つというオーバースペックぶりでした。
10年という年月の間に、何と大きく変わったことでしょう。
第一、今では、多くのメーカからさまざまな形の既製品のLEDアンダーキャビネット照明が出ています。調べたところ、既製品は次の2つのカテゴリに分けられます。
- ホームセンターに売られているような安価なLEDアンダーキャビネット照明システム。搭載されているLEDの数が少なく、十分な明るさの均一な光を得ることができない。また、調光機能も貧弱。
- 照明専門店で売っているような、数百ドルする美しい照明器具。
エンジニアやテクノロジーDIY愛好家の視点で見れば、手頃な価格のアンダーキャビネット照明が市販されていないということは、DIYプロジェクトにぴったりの題材だということです。受けて立ってみようではありませんか。
まず、LEDを選ぼう
表面実装型(SMT)LEDの登場により、照明アプリケーションの可能性はぐんと広がりました。興味深い展開の1つは、LEDテープライトの登場です。その例の1つが、5mリール巻きで提供されるJKL ComponentsのZFS-155000-CW LEDフレックスリボン(図1)です。テープ幅は15mmで、テープには1200個のLEDライトが乗っています。
図1:このJKL Componentsの2列ZFS-155000-CW LEDフレックスリボンのような、SMT LEDテープライトを使用すると、カスタムのアンダーキャビネット照明を簡単にデザインできます。(画像出典:JKL Components)
ひとつながりのLEDテープに、2列のSMT LEDとSMT抵抗器があらかじめ取り付けられているため、シンプルな12V電源を用意するだけで点灯できます。このテープライトに限って言えば、LEDが2列あるため、1列LEDのテープライトの2倍の光量が得られます。LEDテープライトは、いくつものフレキシブルなLEDストリップをはんだでつなぎ合わせて、1本の長いテープ状にしています。非常に薄いため、コンパクトで目立たないアンダーキャビネット照明が実現できます。
この種のテープライトの優れた特長の1つは、ハサミで切るだけで簡単に長さを調整できることです。テープには25mmごとにカットマークが印字されています。長いLEDテープから、必要な長さのLEDストリップを切り出して使えるという自由さがあります。本記事で紹介するアンダーキャビネット照明プロジェクトでは、90cmに切って使用しました。1本のリールで、90cmのLEDストリップを5本切り出しても余りある長さがありました。5mのLEDテープライト全体の消費電流は4.3Aのため、90cmの各LEDストリップに必要な電流は約774mAになります。マージンを取って、1Aとしておきましょう。
LEDストリップというのは、実際のところ、フレキシブルなプリント回路基板(PC基板)です。各SMT LEDに電流を供給する12V電源トレースが全ストリップ上を通っています。テープを切断すると、両端に配線用の銅パッドが露出します。銅パッドは簡単にはんだ付けできますが、はんだ付けをする前に溶剤で洗浄するのを忘れないでください。
両端にパッドが付いているため、複数のストリップを1対の短いワイヤで簡単につなぐことができます。今回のプロジェクトでは、この機能が配線をシンプルにするのに役立ちました。
アルミニウム基板にはメリットがいっぱい
LEDストリップの裏側に付いている粘着剤を使えば、キャビネット下に直接取り付けることもできます。しかし、この方法には多くの弱点があります。
- キャビネット下に直接貼り付けてしまうと、LEDの故障によって光量が落ちた場合に、交換しづらくなる。
- 木材とプラスチックでできたキャビネットにLEDを直接貼り付けた場合、放熱性がまったくない。
- キャビネット間に隙間があいている箇所では、LEDストリップの支持材がなくなる。
アルミバーを各LEDストリップの基板として使うことで、3つの問題はすべて解決します。今回のプロジェクトでは、約91 x 3cm、約3mm厚のアルミバーを5枚用意して、LEDストリップの基板として使用しました。LEDストリップの裏側は粘着剤によってほとんど絶縁されているため、3Mの1205のような2.5cm幅の琥珀色のポリイミドテープを、絶縁層としてアルミの上に貼ることにしました。絶縁性をさらに高めてショートの可能性をなくすとともに、LEDの交換が必要になったときも、LEDストリップをアルミから剥がしやすくなります。
アルミバーの取り付けについても、少し頭を使う必要があります。最も簡単な方法は、アルミバー自体に取り付け穴をドリルで開けることです。しかし、たわまないようにするには、複数の穴を開ける必要があります。今回のプロジェクトでは、横から見ると薄いZ型でアルミを挟み込む、穴あきアルミ金具を使うことにしました。この種の金具は、画材店で高耐荷重のピクチャーハンガーとして売られているもので、今回のような用途にぴったりです。
電源と調光方法を選ぶ
LEDを選択したら、次は電源の選択です。LEDリール全体の消費電力は5A弱のため、TDK-LambdaのLS75-12 12V、75W電源のような小型のスイッチング電源で今回のプロジェクトの要件には十分過ぎるほどです。スイッチング電源で「高効率」と言えば、熱をあまり発生しないという意味です。今回、この電源は、電子レンジの上にあるキャビネット内に収納して取り付け、電子レンジと同じAC電源差し込み口を使うことになるため、この特性は重要です。
このスイッチング電源は、12Vの安定した電源を供給できますが、調光機能はありません。10年前のアンダーキャビネット照明プロジェクトでは、調光機能を付けるためにカスタム設計が必要でした。今では、そんな複雑な手順はいりません。既成品の12V LED照明用のリモコン調光器が手頃な値段で手に入るからです。
良い例として、JKL ComponentsのZCTR-08ワイヤレスLEDリモートコントローラ(図2)があります。この2点セットは、電源とLEDの間に入れる極小のインラインPWMコントローラと、オン/オフおよび調光ボタンの付いた小型の携帯型RFコントロールモジュールで構成されています。
図2:ZCTR-08は、12VのLED照明システムの調光専用に設計されたRFベースのLEDリモートコントローラです。(画像出典:JKL Components)
このコントローラは赤外線通信ではなくRFを使用しており、直線見通しを確保する必要がないため、電源に近いキャビネットの内部に設置できます。
配線はそれほど単純ではない
キッチンのレイアウトは多種多様です。アンダーキャビネット照明システムの配線プランは、実際のレイアウトに合わせて考える必要があります。今回のプロジェクトでは、5つの90cm LEDストリップのうち2つを中央の電子レンジの片側に配置し、残りの3つを反対側に配置することにしました。電源と調光モジュールは、電子レンジの上に取り付けることにします。
各ストリップの消費電流は1A弱なので、メイン電源分配ツリーの一方のレッグは2A近く、他方のレッグは3A近くの電流を流す必要があります。この電源分配プランにより、キッチンの両側に1つずつ配置する配電ボックスに給電するには少し太いケーブルが必要なことが分かりました。この太いケーブルは、キッチン両側の壁のキャビネット下にそれぞれ取り付けた配電ボックスに入ります。それぞれの配電ボックスから細いケーブルを出して、各LEDストリップに電力を届けます。
一方の側では、2つのLEDストリップを物理的にエンドツーエンドで取り付けます。先ほど述べた、LEDストリップに内蔵されている配線機能を使ってLEDストリップ間をつなぐことができるので、配電ボックスから余計なケーブルを伸ばす必要はありません。
配電ボックスには、Hammond Manufacturingの1590Bアルミダイキャストケースを2つ使用しました。このケースは、今回の用途にぴったりです。小さく、堅牢で、安価なうえ、工具で簡単に穴開けや加工が可能です。段付きドリルで開けた中くらいの大きさの穴から、電源につながる太いケーブルを入れ、ケースの端に開けた小さい方の穴から、LEDストリップに給電する2本の細いケーブルを出します(図3)。ケース内の端子板で、太い電源ケーブルを2本の細い配電ケーブルに接続します。
図3:Hammond Manufacturingのダイキャスト1590Bケースは、シンプルで使いやすい配電ボックスとして使えます。この図は、アルミケースをキッチンキャビネットの下側にボルト留めした様子を示しています。太い方のケーブルはワイヤレスLED調光モジュールにつながっており、2対の細いケーブルはJSTのコネクタを介して、2つのLEDストリップに電力を供給しています。(画像出典:Steve Leibson)
システム全体のブロック図は、12V電源の各LEDストリップへの電力分配を示しています(図4)。
図4:LED照明プロジェクトのシステムブロック図は、12V電源から各LEDストリップに至るシステム全体の配線図を示しています。電力は上から下へ流れ、一番左のLEDストリップからは、直列接続された2つ目のLEDストリップに電力が流れていることに注目してください。(画像出典:Steve Leibson)
電源と配電ボックスをつなぐ太いケーブルの長さは、約3mです。その間の電圧降下を防ぐため、12ゲージの赤/黒のスピーカーケーブルを使用しました。このアプリケーションではオーバースペックかもしれませんが、手元にあったものを使用しました。
配電ボックスからLEDストリップへの接続方法を選択するのは、もっと複雑でした。先ほど、90cm LEDストリップは、物理的に簡単に交換できるように設計しました。ということは、電気的にも、コネクタを使用して簡単に付け外しできるように設計しなければならないということになります。
2つの配電ボックスとLEDストリップの間に使用するほとんどのコネクタを通る電流は1A未満ですが、直列に接続した2つのLEDストリップでは、2A近い電流が1つのコネクタを通る必要があります。今回のプロジェクトでは、信頼できる安価なコネクタが必要でした。JSTのRCY Seriesは、3A電流定格であり、その要件を優に満たしています。今回のプロジェクトには、JSTのSYR-02T RCYコネクタリセプタクル、SYM-001T-P0.6オス型コンタクト、SYP-02T-1 RCYコネクタプラグ、SYF-001T-P0.6メス型コンタクトをベースとしたケーブルアセンブリを使用しました。上の図3に写っている、コンパクトな明るい赤色のコネクタがそうです。JSTのRCYコネクタは、多くの家庭用テクノロジーDIYにおける低電圧バッテリ電源接続によく使用されています。
Adafruitの2880ケーブルセットなどの適切な電流定格を持つ、信頼性が高く安価な配線済みのコネクタケーブルアセンブリも、多くの家庭用テクノロジDIYにおける低電圧バッテリ電源接続によく使用されています。これらのパーツも、今回のプロジェクトにぴったりだったでしょう。
光あれ!
穴開け、ボルト留め、配線など、すべての工程を行うには丸一日かかりました。しかし、ここまで述べたプランニングが功を奏し、予想外の問題に見舞われることはほとんどありませんでした。できあがった照明は全体的にコンパクトで、目立ちません。RFリモコンのオン/オフボタンを押すこと1回目で、5つのLEDストリップすべてがすぐに点灯しました。調光も計画通り、自由自在に行うことができました。
図5:完成した照明システムは、明るく、均一な光が得られ、金具や配線はほとんど見えません。(画像出典:Steve Leibson)
何より、妻はできあがった照明を見て、とても喜んでくれました。
結論
以上に述べたように、LEDテープライトは、明るい照明をコンパクトかつ簡単に実装する手法として、幅広い用途に使えます。特に、長細いエリアを照らす必要がある場合、最高のアイテムです。
この全2回シリーズのパート1で使用したLEDテープライトは、5mリールで販売されているものを、5つの90cmストリップに切って使用しました。パート2では、残ったLEDストリップを使用して、電子レンジの照明をアンダーキャビネットLEDの色温度に合わせる方法をご紹介します。

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