DINレールマウントDC無停電電源装置はDC電源機器を保護

著者 Jessica Shapiro

DigiKeyの北米担当編集者の提供

無停電電源装置(UPS)は、多くの産業用アプリケーションに不可欠です。1次電源の中断がデータの損失、高感度機器の損傷、安全性の低下、人命の危険につながる可能性がある場合は、UPSがシステムの一部として導入されます。このような重要なシステムは、外部電源喪失が発生すると自動的に負荷をバッテリ電源に接続し、別の電源が接続されるまで電力を供給したり、機器を安全にシャットダウンできるようにします。

UPSシステムは、電気通信、病院、データセンターなど、幅広いアプリケーションで使用されています。直流(DC)負荷用に設計されたUPSは、輸送、発電、工場やビルのオートメーション、半導体製造、セキュリティなどの機器を保護します。

UPSは、外部電源とバックアップバッテリの単純な切り替えだけでなく、バッテリの健全性や入出力電圧も管理する必要があります。既存または計画中の機器にUPSを追加するエンジニアは、UPSのインターフェースと安全動作要件を考慮するだけでなく、負荷とバッテリのニーズに合った製品を選択する必要があります。

UPSの動作原理を理解する

交流(AC)電源入力用に設計された機器では、バックアップバッテリのDC電源をインバータ回路で負荷に適したAC出力に変換するAC UPSを使用します(図1)。通常の動作では、外部から供給されたAC電源がバッテリとインバータをバイパスして負荷に直接電力を供給します。停電時には、バッテリからのエネルギーがインバータを通り、バッテリがなくなるか、電力が回復するか、別の電源が接続されるまで、必要な電圧で負荷に電力を供給します。

AC UPSには整流器も含まれており、この整流器はAC電源が利用可能な間に使用されます。整流器は、供給されるACの一部を、バッテリを充電するために安定化された電圧でDCに変換します。

図:AC UPSは必要になるまでバッテリをバイパス図1:AC UPSは必要になるまでバッテリをバイパスし、インバータでバッテリからのDCを、負荷が必要とするACに変換します。AC電源が利用可能な間は整流器がバッテリを充電します。(画像提供:TDK-Lambda)

一方、DC負荷は、DC-UPSを介してバックアップバッテリに直接接続することができます。DC-UPSには主に2つの機能があります。外部電源が利用可能な場合は、内部双方向DC/DCコンバータとして動作します。これにより、整流されたDC電圧からバッテリを充電し、DC負荷に適した電圧に変換することができます(図2)。外部電源の遮断時には、DC/DCコンバータとして機能し、バッテリから負荷に安定化された電圧を供給します。

画像:DC-UPSでは、バッテリが負荷に直接電力を供給図2:DC-UPSでは、バッテリが負荷に直接電力を供給します。電力が回復すると、整流された外部AC電圧が負荷に電力を供給し、バッテリを充電します。(画像提供:TDK-Lambda)

TDK-LambdaDUSH960 DC-UPS(図3)は、12V~60VのDC入力電圧で動作します。12~48VDCのユーザープログラム電圧で最大20A、960Wを出力します。プログラマブルDC/DCコンバータであるDUSH960は、10V~60V(公称12V~48V)の入出力範囲でバッテリなしで使用できます。

バックアップバッテリはインバータを必要とせずに負荷に直接電力を供給できるため、DC-UPSシステムは非常に効率的です。バッテリからのエネルギーの96%から98%を確実に供給できます。

画像:TDK-Lambda DUSH960 DC-UPSモデル図3:DUSH960 DC-UPSモデルは、バックアップバッテリからのDC電圧をDC負荷が必要な電圧に変換します。電力回復時にはバッテリの再充電も管理します。(画像提供:TDK-Lambda)

DC-UPSバッテリオプション

DUSH960シリーズなどのDC-UPSはDC/DCコンバータであるため、さまざまなエネルギー貯蔵技術に対応します。鉛蓄電池、リチウムイオン(Li+)電池、ニッケル水素(NiMH)電池、スーパーキャパシタはすべて、最大20A、1,000Ahの蓄電容量を持つこれらのDC-UPSで動作します。

各タイプのバッテリやスーパーキャパシタは、電源のサイズや構造によって電源電圧の範囲が異なります。また、バッテリの電圧は、バッテリの放電、温度変化、充放電の回数によって変化します。

DUSH960のDC/DCコンバータ機能は、このような変動の懸念を解消し、バックアップ電源が10V、58V、あるいはその間の電圧を供給する場合でも、プログラムされたDC電圧が確実に負荷に供給されるようにします。 

安全対策と安全定格

DUSH960シリーズのDC/DCコンバータ機能とともに、このユニットにはバッテリと負荷の両方を保護するセンシング機能と回路が搭載されています。DC-UPSは、バッテリや他の高感度電子機器を損傷する可能性のある逆バッテリ接続から、バッテリや電子機器を保護します。そのセンサはバッテリの健全性も監視し、過放電や過電流を検知・防止します。

電力が回復し、システムがバッテリを再充電する際、ファームウェアは接続されているバッテリのタイプに適した充電プロファイルを提供します。このユニットはまた、周囲温度を監視し、それに応じて充電電圧を最適化し、周囲温度が高い場合は電圧を下げ、周囲温度が低い場合は電圧を上げます。

DUSH960ユニットは、-40°Cから+40°Cの広い温度範囲で公称動作が可能です。-50°C~+70°Cの間では動作が許容されますが、許容アンペア数は温度が上昇するにつれて15Aから12W/°Cずつ直線的にディレーティングされなければなりません。

このユニットは、IEC/EN/UL/CSA 61010-1、IEC/EN/UL/CSA 61010-2-201、IEC/EN/UL/CSA 62368-1(第3版)を含む複数の安全規格に適合しています。また、低電圧指令およびRoHS指令に対応したCEマークとUKCAマークを取得しています。

DC-UPSの設置とインターフェース

DUSH960ユニットは国際的な安全規格に適合しているだけでなく、標準的な設置ができるように設計されています。DUSH960ユニットはDINレールモジュールであるため、取り付けは迅速かつ容易です。幅55mm、高さ115mm、奥行き110mm(2.13インチx 4.53インチx 5.17インチ)のコンパクトなDUSH960ユニットは、DUSH960-1248-1Mが470g、DUSH960-1248-0Mが500gの重量です。どちらのユニットもTS35/7.5およびTS35/15のDINレールに対応しています。

オンボードセンサとプログラマビリティを最大限に活用できるよう、DUSH960には複数のインターフェースオプションが用意されています。DUSH960-1248-0Mモデルのフロントパネル(図4)には、1.5インチのカラーLCDスクリーンと4つのコントロールキーが配置されており、手動での監視とプログラミングが可能です。

画像:TDK-Lambda DUSH960-1248-0MのカラーLCDスクリーン図4:DUSH960-1248-0MはカラーLCDスクリーンと4つのコントロールキーをフロントパネルに装備しています。パネルにはModbus/RTUやバッテリ温度センサなどの接続ポイントもあります。(画像提供:TDK-Lambda)

DUSH960-1284-1MのフロントパネルにはインジケータLEDが搭載され、アクセスしにくいアプリケーション向けにコストを最適化したモデルです。これらのLEDは、エラー、警告、アラームを通知するだけでなく、DC-UPSの動作モード(バッテリをフロートさせた通常の主電源動作、バッテリを充電した通常の主電源動作、バックアップモード)を示します。

その他の通信およびセンシング接続には、絶縁されたリモートオン/オフ信号と、2つのノーマリオープン(NO)ドライ接点リレー接点が含まれています。これらの接点は、必要なときに信号を提供しますが、開いているときは電力を消費しません。オプションのバッテリ温度センサ用入力がユニットに含まれており、センサは別途入手できます。

DUSH960-1248-0Mはバッテリからの5Aの補助出力も備えています。この出力からの電圧は安定化されておらず、バッテリ放電電圧と等しいですが、ポートには過電流保護機能が備わっています。

DUSH960の全モデルは産業用オートメーションシステムにも接続できます。ミニUSB-Bポートは、RS485経由でModbus/RTU制御ソフトウェアとの接続を容易にします。この接続と付属のPowerCMCソフトウェアにより、ユーザーはユニット性能の監視、入出力電圧やその他パラメータのテンプレート設定、複数ユニット間の標準化、アラームログの管理が可能となります。

まとめ

UPSは、安全なシャットダウンを可能にし、重要なデータを保存し、ユーザーと公共の安全を確保し、経済的損失を避けるために重要なバックアップ電源を提供します。TDK-LambdaのDUSH960 DC-UPS製品は、標準化されたDINレールマウント、保護されたDC/DC変換、複数のインターフェースオプションを備え、幅広い入出力電圧範囲で高効率かつカスタマイズ可能なバックアップソリューションを提供します。また、最も一般的な電解および静電エネルギー貯蔵技術に対応しています。

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著者について

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Jessica Shapiro

Jessica Shapiro uses her engineering and writing backgrounds to make complex technical topics accessible to engineering and lay audiences. While completing her bachelor's degree in Materials Engineering at Drexel University, Jessica balanced engineering co-ops with her work as a reporter and editor on The Triangle, Drexel's independent student newspaper. After graduation, Jessica developed and tested composite materials for The Boeing Company before becoming an associate editor of Machine Design magazine, covering Mechanical, Fastening and Joining, and Safety. Since 2014, she's created custom media focusing on products and technology for design engineers. Jessica enjoys learning about new-to-her technical topics and molding engaging and educational narratives for engineering audiences.

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