LTC4296-1/LTC9111 SPoE/PDコントローラ

ADIのLTC4296-1は、IEEE 802.3cg準拠の5ポート、シングルペアPower over Ethernet（SPoE）PSE（Power Sourcing Equipment、給電デバイス）コントローラです。SPoEは、標準化された電力とEthernetデータをシングルペアケーブルで伝送することで、システムの設計と設置を簡素化します。LTC4296-1は、24Vまたは54Vシステムでの802.3cg PD（Powered Device、受電デバイス）との相互運用性が確保されています。LTC4296-1は、ドレインとソース間のオン抵抗（R_DS(ON)）が低い外付けNチャンネルMOSFET（金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ）を使用して電力を供給することで、電圧降下を最小限に抑え、アプリケーションの堅牢性を確保します。

LTC4296-1は、10BASE-T1Lコントローラやスイッチに汎用性の高いSPoE/PSEソリューションを提供し、ADIN1100（PHY、物理層）、ADIN1110（MACPHY）、ADIN2111（2ポートスイッチ）などのADIの10BASE-T1Lトランシーバ製品ポートフォリオと容易に統合することができます。

LTC9111は、IEEE 802.3cgに準拠したSPoE PDコントローラです。動作範囲（2.3V～60V）が広く、極性補正に対応しているLTC9111は、ビルオートメーションやファクトリオートメーションで用いられる区分ベースのシステムに最適です。

SCCPベースの区分を採用しているため、有効なPDが接続されている場合にのみ、給電デバイス（PSE）によって通常動作電圧が印加されます。区分を行っている間、LTC9111はマイクロパワー動作を使用して2個の外付けNチャンネルMOSFETスイッチを駆動するので、リザーバコンデンサの要件を最小限に抑えることができます。区分と突入の実施中、1個の外付けNチャンネルMOSFETスイッチは、出力コンデンサ容量をコネクタから絶縁します。PDへの入力電圧が、設定されたクラスのオン電圧閾値を超え、強制された遅延時間が経過した後も継続している場合、電圧監視回路はこの外付けMOSFETをイネーブルにします。制御されているGATEピンの電圧が上昇した後、EN出力はアサートになります。入力電圧が設定されたクラスのオフ電圧閾値を下回ると、MOSFETは無効になります。LTC9111は、2個1組の外部ローサイドNチャンネルMOSFETを低スタートアップ電圧（1.6V）で駆動し、電力損失を低減して極性を補正します。

EVAL-SPoE-KIT-AZは、IEEE 802.3cgシングルペアPower over Ethernet（SPoE）評価用キットです。このキットには、IEEE 802.3cgクラス10～15 SPoE電源の評価用に、5ポートSPoE給電デバイス（PSE）コントローラ「LTC4296-1」と、SPoE受電デバイス（PD）「LTC9111」が搭載されています。10BASE-T1L PHYであるADIN1100は、システム内でのEthernetデータの伝送を可能にします。