スマートホームに必要なものとは?プロトコルとアプリケーションのガイド

デバイスと通信プロトコルの調和によって構築されるスマートホーム

これは、IoTを実現する技術について説明した5部構成の記事の1つを要約したものです。記事の全文は、wevolver.comでご覧いただけます。

はじめに

技術の進歩により、「スマートホーム」の定義は、アプリケーションや機能の増加とともに進化し続けています。しかし、スマートホームは、住宅を自動化し、快適でストレスのない状態にするために連携する複数のシステムで構成されていることに変わりはありません。

最近では、モノのインターネット(IoT)がスマートホームシステムの変革を推進する重要な要素となってきました。IoTの登場により、身の回りにある要素や物をインターネットに接続できるようになることが期待されています。その結果、スマートホームを含む多くの部門/業界において、巨大でダイナミックな変革が生じました。IoTにより、これまで家の中だけでデータを相互に共有していた各スマートホームデバイスが、インターネット上でデータを共有できるようになったのです。これにより、スマートホームのユーザーは、どこからでもリアルタイムで家やインフラと通信できるようになっています。その結果、スマートホームソリューションは「よりスマート」になり、クラウドコンピューティングや機械学習/AI(人工知能)を活用した、データ処理、シナリオのリアルタイム評価、一般的な事前プログラム済みロジックを超えたスマートな決定など、いくつかの新しいアプリケーションへの道が生まれました。これらの可能性を実現したものとして、新しいスマートホームデバイス/ソリューションがいくつか登場しています。

スマートホームシステムとIoT対応への道のりを大きく左右するのは、通信プロトコルです。通信プロトコルは、インフラを提供し、ホームオートメーションでデバイスが通信するための条件を決定します。この記事では、スマートホームの最新トレンドを実現する通信プロトコルと規格についてご紹介します。

スマートホームの通信プロトコル

スマートホームアプリケーションは、複数のデバイス、センサ、アクチュエータなどが相互に通信する機能を中心に構築されています。アプリケーションには、エアコンと通信して家の中の温度を調節するサーモスタットから、誰もいない部屋の照明を消すモーションセンサまで、さまざまなものがあります。そのため、通信プロトコルは、スマートホームアプリケーションに不可欠な要素となっています。しかし、アプリケーションにはさまざまな特長、機能、動作モード、要件があるため、各メーカーは各アプリケーションに応じた通信プロトコルを採用しています。スマートホームの一般的な通信プロトコルには、次のようなものがあります。

  1. WiFi

  2. Zigbee

  3. Z-Wave

  4. BLE

  5. Matter

スマートホームソリューションの設計:

通信プロトコルとIoTスマートホームアプリケーションの関係を理解する

メーカーの意向(同じプロトコルの製品シリーズを作りたいなど)といった些細な要素が設計の決定プロセスに影響することもありますが、スマートホームシステムに使用する通信プロトコルの選択は、結局のところアプリケーションの要件によって決まります。使用するプロトコルを決定するアプリケーションの特長には、次のようなものがあります。

  1. データ量

  2. 電源

  3. 操作周期

  4. プラットフォームの互換性

  5. コスト

スマートホームハブおよびマルチプロトコルハブ/ゲートウェイによる統合

家の中に複数のアプリケーション用に複数のスマートホームデバイスがあると、すぐに管理しきれなくなります。アプリケーションごとに制御/インターフェースが異なると、ユーザーが疲弊するだけでなく、真のスマートホームや自律型ホームを実現するために各スマートホームアプリケーション間に必要とされる同期レベルを達成することができなくなります。

これを解決するために開発されたのが、スマートホームハブです。スマートホームハブ(ブリッジまたはゲートウェイ)は、ユーザーが所有する各スマートホームデバイスを統合し、単一のインターフェースから制御できるようにするためのハードウェアデバイスです。

ハブによって1つのインターフェースから複数のデバイス/アプリケーションにアクセスできるだけでなく、ユーザーがそれらのデバイス/アプリケーションの間の関係や相互作用を作り出すことができます。IPベースでないプロトコルに基づくデバイスの場合は、デバイスからインターネット(またはその逆方向)にデータを送信するために、ハブを使用することがあります。

しかし、ハブの存在により、複数のプロトコルを持つスマートホームシステムが抱える相互運用性の課題がさらに明確になりました。たとえば、ZigbeeベースのハブとZigbeeベースのスマートホームデバイスをいくつか入手した場合は、Zigbee以外のプロトコルに基づいた他のデバイス/アプリケーションのセットを使用することは「許されません」。ただし、そのプロトコルに基づいた別のハブを入手する場合や、それらのデバイス/アプリケーションをスタンドアロンで動作させる予定がない場合は除きます。

SamsungのSmartthingsハブやWinkハブ2のように、ユーザーがZigbee、Z-wave、WiFiといった複数のプロトコルに基づいてデバイスを相互接続できるマルチプロトコルハブ/ゲートウェイを使用すれば、この問題を回避することができます。しかし、それには追加のコストがかかり、ユーザーにさらなる負担を強いることになるため、スマートホームソリューションが採用されなくなります。

特に相互運用性の課題はスマートホームの採用に影響を与えるため、プロトコル/規格の統一が必要となります。そこで、Matterのようなプロトコル/規格の出番となるのです。

Matterが活躍する理由

2020年にGoogleとAccentureが実施した調査によると、スマートホーム採用の大きな障壁の1つは、各スマートホームソリューションの間における相互運用性の欠如です。アジア太平洋地域に焦点を当てたこのレポートによると、「消費者は、理解不足のためにデバイスを購入していないか、またはデバイスを十分に活用していません。多くの家では、デバイス同士がほとんど切り離されているため、シームレスな体験ができず、スマート機能が十分に活用されていません」。これは誰の目にも明らかな問題であり、スマートホームソリューションの各プロバイダ/メーカーは、共同によるアライアンスを築くことで、時間をかけて統一的な規格/プロトコルを作成しようとしてきました。その良い例が、Zigbeeアライアンスです。

このアライアンスは、かなりの進展が見られた一方で、基盤となるプロトコルの一部に根本的な課題があったため、実行可能性が低下し、本来持っていた可能性を実現できませんでした。

ここで登場するのがMatterです。これは、真にスマートで相互接続された住宅を実現するために必要なシンプルさ、セキュリティ、そして機能を念頭に設計された通信規格です。

Matterは、以前のアライアンスや規格がクリアできなかったすべての要件を満たしています。

スマートホーム業界の大手によってサポートおよび共同開発された類いまれなプロトコルであることに加え、そのオープンな特性とIPベースのアーキテクチャによって各デバイスに固有のアドレスが与えられるため、MatterはIoTベースのスマートホームシステムの将来にとって非常に重要となります。これら2つの要素により、ソリューション展開の複雑さを軽減できるほか、他のIPベースのプロトコルに対して行われてきた骨の折れる作業を活用できるのでセキュリティとプライバシーの問題にも対処できるわけです。

まとめ

スマートホームシステムはアプリケーションによって決まりますが、特にメタバースの登場に伴い技術が進歩し続ける中で、アプリケーションや機能は進化し、より複雑になっていきます。通信プロトコルも、このような変化の中で重要な役割を果たし続けるために進化する必要があります。真に統合されたスマートホーム体験へのニーズが高まり、インターネットに接続されるホームデバイスが増えれば、セキュリティ、プライバシー、電力効率などへの懸念が深まるでしょう。したがって、真に統合されたスマートホーム体験を実現するためには、セキュリティに関する幅広いノウハウを活用できるとともに、高度なプライバシー、より簡単な展開、相互運用性の向上を実現するプロトコルが必要となります。

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