都市のモビリティにおける速度の再定義と変革の促進

都市のインフラと交通の間によりスマートな通信を実現するために役立つ5G&6G

これは、IoTを実現する技術について説明した5部構成の記事の1つを要約したものです。記事の全文は、wevolver.comでご覧いただけます。

はじめに

IoTによってあらゆる分野が変革される予感がありますが、最も大きな恩恵がもたらされるのは「スマートシティ」です。スマートシティがスマートオブジェクトの接続および相互接続ネットワークとして急速に理解されるようになった中で、交通とモビリティは、スマートシティの目標である持続可能性、効率性、安全性を達成するための鍵となります。交通システムや関連システムに期待される進歩は、5Gおよび6Gが提供する高速かつ低レイテンシのデータ転送に依存します。

5G:コネクティビティ革命

モバイルファーストの世界を想定した4Gや前世代のモバイル規格とは異なり、5Gはモバイルを超えた世界のニーズに対応するために設計されており、デバイス、オブジェクト、機械、ミッションクリティカルなシステムなど、通信から恩恵を得られるほぼあらゆるものの接続を可能にする機能を備えています。

直交周波数分割多重方式(OFDM)に基づく5Gは、4G LTEと同様のモバイルネットワーク原理で動作しますが、新しい5G NRエアインターフェースを活用してOFDM変調をさらに強化し、高い柔軟性と拡張性を実現します。5Gではこの容量に加え、サブ6GHz帯やミリ波帯などの広帯域を利用することで、数Gbpsのスループット(LTEよりも約10~100倍高速)、低レイテンシ(約1ms)、アプリケーション分野の拡大などを実現します。

5Gの速度、堅牢性、大量のマシンタイプ通信(mMTC)を可能にする能力により、IoT、AI、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)といった変革技術の可能性と影響が高まります。

6G:5Gの後継(Beyond 5G)

6Gはまだ正式な規格ではなく、初期の研究段階にあります。しかし、その最終形態は現在の5Gサービスを凌駕し、速度、カバレッジ、ネットワーク最適化、および消費電力の改善によって次世代のIoTの要件を満たすものとなるでしょう。

速度については、6Gでは、非常に高くかつ多様な周波数と、高度な技術を備えた無線を活用することで、現在の5Gの理論値である20Gbpsの100倍程度のデータ速度を実現することが期待されています。カバレッジについては、6Gの展開に向けた衛星技術が現在検討されています。これが成功すれば、6Gが一般的に普及し、5Gに比べて展開の手間が少なくなり、世界中の最も人里離れた場所でも信頼性の高い接続が可能になります。デバイスの電力効率の向上がますます求められており、5Gでは消費電力が大きな制約となっているため、6Gが消費電力の削減を念頭に置いて設計されるのは当然のことです。

5G/6Gとモビリティ

これらの新しい通信規格におけるデータ速度の向上やレイテンシの減少といった特長は、以下のようなモビリティ分野で変革をもたらし、新たな可能性を引き出します。

1.車載コネクティビティに基づくソリューション

2.V2X

3.コネクテッド車両および自動運転車

都市交通インフラのスマート化を実現

5Gが提供するコネクティビティの向上とレイテンシの低下は、公共および民間の交通インフラに大きな影響を与えます。これらは都市部で顕著に見られるようになり、より優れた公共輸送ソリューションによってモビリティが効率化され、渋滞が緩和されて、大気質が改善されるでしょう。

動的な交通計画と交通渋滞の緩和

コネクテッド車両、バス停、センサが埋め込まれた道路、交通カメラなどは、V2VやV2Iの車車間/路車間通信を活用することで、都市のモビリティをより効率的にします。

このシステムによりさまざまな交通手段やインフラ間のコネクティビティがもたらされるため、5Gに接続されたバス停や地下鉄などから提供される準リアルタイムの位置情報やETAの更新情報に基づいてユーザーが交通手段を簡単に選択できるようになるので、ユーザーのモビリティ体験が向上します。また、システムは群衆情報に基づいて需要の多いルートに自動的に配車することで、ユーザーの待ち時間を短縮し、ほとんど空車の車両や過積載の車両の運行に伴う収益や車両通行の非効率性という問題を防止することができます。

5Gに接続された自動運転車は、使用されないときは都市部を離れるようにプログラムしたり、ヒューマンエラーがなくなったりすることで、交通を効率化できる可能性があります。また、自動運転車はライドシェアを増加させる可能性があるため、道路を走る車の数がさらに減り、最終的には交通渋滞の削減にもつながります。

これらの機能やアプリケーションすべてが連携することで、交通渋滞の防止/緩和を行い、全般的にはより効率的で信頼性の高い交通システムをユーザーに提供します。

安全性と透明性の向上

車載コネクティビティとV2X通信により、車内や路上でのセキュリティおよび安全性が向上します。車両が他のすべてのものと通信できるようになると、より多くのアラートが発されたり緊急ブレーキシステムが増設されたりするようになるため、ドライバーおよび、歩行者や自転車利用者といった他の道路利用者の安全性が向上します。車両が、道路や標識などに設置されたセンサや他の車両と通信し、情報を共有することで、速度を強制的に規制共有できるようになります。また、道路状況の悪化や事故などの緊急事態に関するアラートなど、走行に影響を与える道路状況データも共有されるため、必要に応じて車両が動的にルートを変更したり、他のドライバーを支援したりすることが可能になります。そして、緊急サービスへの自動リアルタイム報告などの機能により、対応スピードが早くなるため、事故による死亡者数が減少します。[1]

まとめ

5Gと6Gの開発と展開により、あらゆる規模の交通手段が新しく接続されるので、より安全・効率的・持続可能な交通手段が実現します。コネクテッド交通の可能性を実現するためには、設計技術者と政府機関の双方が、セキュリティ、プライバシー、政府規制など、イノベーション上の課題に取り組む必要があります。

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リファレンス

  1. Monserrat JF、Diehl A、Bellas Lamas C、Sultan S、『5G対応の交通システムの構想』。

  2. Grijpink F、Härlin T、Lung H、Ménard A、『5Gに関する誇大広告:電話会社によって微妙に異なる見解』。

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