低電流測定の精度を引き出す - 精度が重要な理由
低消費電力のハードウェアソリューションを開発する際、正確な電流測定は、バッテリ寿命や全体的なパフォーマンスを最適化するために不可欠です。それを実際に確認するために、Qoitechの2つの装置、Otii Ace ProとOtii Arc Proの精度を、研究室で一般的に使用されている標準的な測定ツールと比較してみます。
Otii Ace Proの精度は±(0.05% + 25nA)、Otii Arc Proの精度は±(0.1% + 50nA)、標準的な測定器の精度は±(1% + 1µA)です。精度の違いが明らかになるのは、マイクロアンペア領域のスリープ電流を測定する場合です。
たとえば、1µAのスリープ電流を測定する必要があるとします。上記の3つの機器を使用すると、以下のようになります。
- Otii Ace Pro → 1µA ± 25.5nA(1µAの0.05%は0.5nA、それに25nAを加算) = 25.5nA
- Otii Arc Pro → 1µA ± 51nA(1µAの0.1%は1nA、それに50nAを加算) = 51nA
- 標準的な測定ツール → 1µA ± 1µA(1µAの1%は10nA、それに1µAを加算) = 1010nA
これらの結果から、1µAのスリープ電流を測定する場合、標準的な測定器はあまり役に立たないことがわかります。より深く理解するために、異なる低電流測定精度を持つ各測定器で電流を測定した場合に予想される絶対誤差を示す図1を参照してください。
図1:異なる定電流測定精度を持つOtii Ace Pro、Otii Arc Pro、従来の測定器で電流を測定した場合に予想される絶対誤差。(画像提供:Qoitech)
測定範囲全体を見渡しても、精度は異なります。測定される電流の範囲が狭い場合は精度が非常に高くても、それ以外の範囲では測定精度が非常に低くなる場合があります。市場に出回っている複数の測定器について、データシートに基づき、より広範囲の電流測定における実際の測定誤差を見てみましょう(図2)。
図2:市販されている各種測定器と測定ボードの電流測定範囲と精度。(画像提供:Qoitech)
どのように結論付けられるでしょうか。それは、場合によると言えるでしょう。測定器を選ぶ際には、データシートに記載されているすべての範囲の精度を確認し、その精度を理解することによって、短期的なニーズと長期的なニーズの両方を考慮することが極めて重要です。高精度の測定器が必要な場合は、卓越した性能(紫色の曲線)に対してより高い金額を支払う必要があるかもしれません。あるいは、低い性能を受け入れて、より手頃な価格のオプション(青色の曲線)を選ぶこともできます。用途にもよりますが、幅広い測定範囲にわたって妥当な精度が得られ、エネルギーの最適化を促進する機能を備えていれば十分です。
多くの測定器は、広い範囲の電流(nAからAまで)を測定するためにオートレンジ機能を使用します。しかし、範囲が切り替わる間に測定が不正確になったり、データが取得できなくなったりする可能性があります。そのため、スリープ電流が1桁台のµAで、動作電流が数百mAに達するような動的負荷を監視するのは困難です。Otii Ace/Arc Proは、切り替えを最小限に抑え、一度しか行わないことで、これらの問題を軽減します。これは、2つ目のシャントとA/Dコンバータによる並列の高範囲測定を使用しているためです。これにより、データを失うことなくシームレスな範囲切り替えを可能にし、継続的で正確な測定を保証します。
次に研究室用の電流測定器を購入する際には、以下のことを確認してください。
- 精度仕様を理解する:ゲイン誤差とオフセット誤差の両方を含め、測定器のデータシートに記載されている精度定格をよく確認します。これらによって、測定値の信頼性が決まります。
- 測定ニーズを把握する:測定が必要な電流範囲を明確にします。これにより、低消費電力のスリープ状態や大電流の動作など、特定の要件に対応した精度を提供する測定器を選択できます。
- 範囲切り替えを最小限に抑える:範囲を頻繁に切り替える機器は、中断や不正確なデータの原因となります。継続的で信頼性の高い測定を保証するために、範囲切り替えを低減または排除するツールを選択します。

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