モジュラー式押ボタンシステムは柔軟な制御パネル設計を実現
子供の頃、父は彼が働いていた製薬工場によく私を連れて行ってくれました。私は今でも、あらゆる機械を動かし続けていた、ライトとボタンで埋め尽くされた制御パネルに驚嘆したことを覚えています。
数十年経った今でも、押ボタン式の制御パネルは至る所にあります。しかし今日の制御ステーションには、押ボタンをより高度に、かつ導入しやすくする革新技術が豊富に採用されています。
SiemensのSIRIUS ACT 3SU1シリーズはその好例であり、モジュール式のスナップインアーキテクチャを採用しています。このシリーズは、ほぼ工具不要の組み立てプロセスにより、設計者がボタン、セレクタスイッチ、インジケータライト、エンクロージャを容易に組み合わせられるようにしています。
この利便性は、厳しい環境にも対応できる堅牢な設計と組み合わされています。3SU1モジュールは、金属製と高品質プラスチック製の両方があり、IP69Kの保護等級とNEMA 4などの堅牢なNEMA定格を備えています。ATEXとSILの安全認証を取得した部品を含むグローバル認証により、危険区域でも緊急停止などの用途に対応可能です。
さらに、3SU1シリーズは、従来のハード配線に加えて、AS-Interface、IO-Link、PROFINETなどのネットワークにも対応しています。その他の利点として、これらのネットワークは、ハードウェアの設定、故障診断、データ管理を提供するSiemensのTIA(Totally Integrated Automation)ポータルとの統合を可能にします。
3SU1の基本構造
システムの仕組みを理解するために、前面に取り付けられた照光式押ボタンに必要な要素を考えてみましょう(図1)。システムの中核は、前面から押ボタンを受け入れる取り付け穴と、背面からコンタクト、LED、その他のアクセサリを受け入れるモジュールスロットを備えたホルダです。
図1:前面に取り付けられた照光式押ボタンの基本要素には、制御パネル(B)の前にあるボタン(A)、制御パネルの後ろで押ボタンを固定するためのホルダ(C)、コンタクトモジュール(D)、LEDモジュール(E)が含まれます。(画像提供:Siemens)
このモジュール式コンセプトは、より広範な3SU1シリーズにも適用されています。たとえば、システムには、1つの耐候性ユニットに最大6台の制御装置を収納できるエンクロージャ、カスタム識別用のラベリングシステム、重要な制御装置の誤作動を防ぐ保護カラーなどが含まれます。
照光式スタート押ボタンの例
広く使われている制御要素であるスタート押ボタンを見てみましょう。この制御に適した選択肢の1つが3SU10510AB400AA0です(図2)。この照光式押ボタンは金属製で、緑色のプラスチックボタンを囲む高光沢リングを備えています。
図2:3SU10510AB400AA0は、過酷な環境向けに設計された照光式スタート押ボタンです。(画像提供:Siemens)
このアクチュエータは優れた耐環境性能を備えています。IP69Kの保護等級を誇り、埃や噴流水、高圧高温洗浄にも耐えることができます。また、NEMA定格1、2、3、3R、4、4X、12、13にも適合しています。動作温度範囲は-25~70°C、機械的寿命は300万回動作で、この部品は明らかに要求の厳しい産業用アプリケーション向けに構築されています。
金属製ホルダによる押ボタンの取り付け
上記で選択したボタンは、3SU15500AA100AA0(図3)を含むさまざまなホルダと統合可能です。このモデルは金属製で、適切な向きを確保するねじれ防止設計を採用しています。ホルダの背面には3つのスロットがあり、このアプリケーションに必要なコンタクトおよびLEDモジュールを簡単に収納できます。
図3:3SU15500AA100AA0は、3つのモジュールスロットを備えた金属製ホルダで、ねじれ防止設計を採用しています。(画像提供:Siemens)
Siemensは、プラスチック製ホルダのほか、制御機能の複雑さに合わせて1~4個のスロットを備えたホルダも提供しています。モジュールは2段積みも可能で、コンパクトなフットプリントで高度な多機能制御ポイントを実現します。
スナップインモジュールによる高信頼性の制御と照明
3SU14001AA101BA0(図4)は、実際の電気的スイッチング機能を提供します。このノーマリオープン(NO)コンタクトモジュールは、最大10アンペア(A)、500ボルトAC(VAC)に対応します。その銀合金コンタクトは、1000万サイクルの電気的寿命にわたって信頼性の高いスイッチングを保証します。このコンタクトブロックをホルダに取り付けるのは、カチッとはめるだけの簡単な作業です。
図4:3SU14001AA101BA0はネジ端子を備えたNOコンタクトモジュールです。(画像提供:Siemens)
3SU14011BB401AA0(図5)は、照明を提供することで前述のスタートボタンを完成させます。この緑色LEDモジュールは、24ボルトAC(VAC)またはDC(VDC)で動作し、明るい環境でも視認性を高めるために最大1,400ミリカンデラ(mcd)を実現します。コンタクトモジュールと同様に、LEDモジュールもホルダにスナップインします。
図5:3SU14011BB401AA0モジュールは、緑色の1,400mcd LEDと24ボルト電源用ネジ端子を備えています。(画像提供:Siemens)
3SU1シリーズには、標準の押ボタン以外にも、非常停止用マッシュルームボタン、キー操作スイッチ、その他の特殊部品があります。同様に、コンタクト、照明、その他のアクセサリも幅広く取り揃えています。
まとめ
Siemensの3SU1シリーズは、産業オートメーションの基本要素である制御パネルに最新のイノベーションを導入しています。このシリーズのモジュール式スナップイン設計により仕様と設置が簡素化され、PROFINETやAS-Interfaceなどのネットワークへの対応により、これらの従来型制御装置を今日の産業オートメーションインフラに接続します。子供の頃に魅了された制御パネルは見た目は変わっていないかもしれませんが、その内部では明らかに進化を遂げているのです。
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