メカニカルリレー:基本概要
(画像提供:Panasonic)
当社のアプリケーションエンジニアリング部門が受ける最も一般的な電話相談は、リレーのデータシートの情報を読んだり、自分のアプリケーションに合うリレーを探そうとして困惑したお客様からの相談です。このブログでは、メカニカルリレーとその用語について取り上げます。また、ソリッドステートリレーについても今後のブログで取り上げます。
まず基本からご説明しましょう。メカニカルリレーは、コイル(電磁石)と接点で構成されます。回路に適切な電圧が印加され、電流が流れると、コイルが作動します。コイルが作動すると、コモン(COM)接点を動かす力が働き、ノーマリーオープン(NO)接点に接続します。下のビデオを見れば、これがどのように機能し、内部の部品がどのようになっているかを視覚的に理解できます。
リレーを使用する主な目的は、高電流負荷の遠隔的な切り替え、マイクロコントローラやセンサによる高電流負荷の制御、制御先回路からの低電圧制御回路の電気的絶縁などです。
リレーに関連して何度も苦労するのは、その用語です。以下に、代表的なリレー用語と、各用語がリレーのどの部分に関連しているかを整理してみました。
最初に取り上げる用語は、いずれもコイルや入力関連のものです。
コイル電圧(「公称コイル電圧」または「定格コイル電圧」):これはコイルが受け入れるように設計されている定格電圧です。
コイル電流(「公称コイル電流」):適切なコイル電圧が印加されたときにコイルに流れる電流の値です。
感動電圧(「ピックアップ電圧」または「プルイン電圧」):すべての接点が機能するためにコイルが必要とする最小電圧です。
復帰電圧(「ドロップアウト電圧」または「リリース電圧」):すべての接点がその非動作状態に戻ることを要求する最大電圧閾値です。
コイルタイプ(「コイル指定」):コイルにはラッチングと非ラッチングの2つのタイプあります。
- 非ラッチングは、電流が流れているときにのみ作動し、電流が遮断されるとリセット位置に戻ります。例:SPST-NO接点は電流が流れると閉じ、電流が遮断されると開きます。
- ラッチングは、電流が流れ始めるとセット位置に切り替わり、電流の遮断後も動作状態のままになります。リセット位置に戻す唯一の方法は、電流を逆に流すことです。
(画像提供:KEMET)
上の図では、最初に非ラッチングリレーが示され、図のようにコイルのセットまたはリセットはありません。2番目の図はシングルコイルラッチングリレーで、ピン1の正の極性とピン12の負の極性によりコイルをセットし、ピン1の負とピン12の正でコイルをリセットします。3番目の図はデュアルコイルラッチングリレーで、シングルコイルラッチングリレーと同様ですが、2つ目のコイルがリセット用である点が異なります。
最大印加電圧:これは、損傷や故障を起こさずにコイルに長時間印加できる最大電圧で、メーカーによって決定されます。メーカーによっては、一定期間内に電圧のスパイクを許容する値を設定します。
以下の用語は接点または出力に関連します。
接点形式:これはリレーのスイッチング部分の極(pole)と投(throw)を表します。この用語はスイッチでも同じです。極はスイッチの入力です。極数は、スイッチが制御できる回路数を決定します。投はスイッチの出力です。SPST(単極単投)は最も単純な接点形式で、1つは入力、もう1つは出力です。出力は、NO(ノーマリオープン)またはNC(ノーマリクローズ)が有効です。(例:SPST-NOリレーではコイルに電流が流れたときにのみ出力が作動し回路が完了します。電流が流れないと、作動するまでオープンのままです)。SPDT(単極双投)には1つの入力と2つの出力があります。DPST(双極単投)は2つのSPSTが1つになったものです。極と投には多くの組み合わせがあり、上記はそれらの概念を説明したものです。
(画像提供:Digi-Key Electronics)
スイッチング電圧:これは、最大スイッチング電圧(破損なく安全な接点切り替えが可能な最高電圧)または公称値(平均寿命に基づく推奨電圧)として表示されます。
接点電流定格:これは、接点によって安全に切り替え可能な最大電流です。高い電流定格を選択し、接点へのストレスを少なくすることが望まれます。
以下は電気または機械に関連する用語です。
リリース時間(「リセット時間」):コイルへの電力の遮断後に、接点が通常の状態に戻るまでにかかる時間。
接点バウンス:金属部分の衝突によって生じるスイッチング時の経過時間(ミリ秒)。
機械的寿命:これは通常の条件下で想定されるリレーの最小作動回数です。メーカーにより定義されます。
メカニカルリレーは基本的に非常に単純ですが、リレーについての知識がないと困惑の原因になりがちです。次のプロジェクトにリレーが必要になったとき、このブログが役立てば幸いです。
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