降圧コンバータ選定ガイド

電源システムを設計したことのある方なら、入出力電圧を変調することの難しさをご存じでしょう。リニア安定化の制約は、降圧レギュレータによって解決されてきました。あなたが降圧レギュレータ/降圧コンバータのトレンドに逆らうとしても、これらは設計プロセスに欠かせないコンポーネントになっています。これらのデバイスは、高い入力電圧を受け取って細分化し、出力パワートランジスタを迅速にオン/オフすることで、低い出力電圧に変換します。これにより、余計な発熱の問題を回避し、矩形波を生成することができます。最後に、LCフィルタを使って矩形波を平滑化し、フィルタの出力上でDC電圧に戻すことができます。

お客様のプロジェクトに最適なDC/DC降圧コンバータを選定するには、考えられる用途に関するより良い情報と、コンバータの機能に関する情報が鍵です。このブログは、特にDiodes IncorporatedDC/DC降圧コンバータに焦点を当てて、そのような情報を提供することを目的としています。

典型的なAP64352。(画像提供:Diodes Incorporated)

たとえば、AP64352 3.5A同期降圧コンバータについて考えてみましょう。このデバイスは、3.8V~40Vの広い入力電圧範囲を持ち、75mΩのハイサイドパワーMOSFETと45mΩのローサイドパワーMOSFETを完全に組み込むことで高効率を実現します。AP64352は、操作に必要な外付け部品数を最小限に抑えるピーク電流モード制御を利用しています。また、スイッチング周波数は100kHz~2.2MHzの間で調整可能であるため、設計者は用途に応じて最適な周波数を選択することができます。

AP64352は、電磁妨害(EMI)源とならないように、スイッチングノードリンギングを抑制するプロプライエタリゲートドライバ方式を採用することで、MOSFETのスイッチングの高周波放射EMIノイズを低減しています。EMIを低減するもう1つの手段として、±6%のスイッチング周波数ジッタを持つ周波数スペクトラム拡散(FSS)機能も使用しています。これによりEMIが低減する理由は、放射されたエネルギーが1つの周波数に長期間留まらないためです。

また、AP64352はプロプライエタリゲートドライバ方式なので、低ドロップアウト(LDO)モードで動作することもできます。これにより、ほぼ100%のデューティサイクルでの動作が可能となり、高効率で安定した性能が実現します。

AP64352は、不足電圧ロックアウト(UVLO)、出力過電圧保護(OVP)、サイクルごとのピーク電流制限、サーマルシャットダウンなどの保護回路も搭載しています。

AP64352の用途先には、分散型電源バス(5V、12V、24V)、電動工具、レーザープリンタ、白物家電、小型の家電製品、ホームオーディオ、ネットワークシステム、民生用電子機器、汎用ポイントオブロードなどが考えられます。

このデバイスには、AEC-Q100バージョンであるAP64352Qもあります。このバージョンは、車載用12V電源システム、インフォテインメント、計器クラスタ、ボディエレクトロニクスおよび照明、テレマティクス、先進運転支援システムでの使用に最適です。

Diodes Incorporatedでは他にも多くのDC/DC降圧レギュレータを提供しています。前述のAP64352のように3.8V~40V入力のデバイスの他に、3.8V~32V入力4.2V~18V入力2.3V~5.5V入力のデバイスがあります。それぞれの電圧範囲では、消費者用バージョンと車載用バージョンの両方が用意されています。

Diodesは、同等のレギュレータ回路よりも優れたソリューションを提供するDC/DCコンバータにより、お客様が必要とする製品をお届けします。DiodesとDigiKeyは、お客様の設計を完成させる鍵となる、費用対効果の高い、柔軟に設計できる高効率のソリューションを幅広く提供します。

著者について

Image of Rich Miron, DigiKey

DigiKeyのシニアテクニカルコンテンツ開発者であるRich Miron氏は、記事、ブログ、製品トレーニングモジュールの作成と編集に主に責任を持つ技術コンテンツグループに2007年から参加しています。DigiKeyに加わる前は、原子力潜水艦の計装制御システムをテストし、認定していました。Richはノースダコタ州立大学ファーゴ校の電気電子工学の学位を取得しています。

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