プロジェクトの立案でもPCボードの設計でも、持つべき定規はただ1つ

私は高校時代からエレクトロニクスのプロジェクトを立案し、PCBを設計してきました。そうした経験から、エンジニアとしてのキャリアを歩むこととなり、さらに多くのプロジェクトを立案し、さらに複雑なPCBを設計してきました。最近のエンジニアリングの仕事としては、コロラド州ボールダーに拠点を置くCadnetixという、PCBのCADの新規事業で仕事をしました。そこでの作業の中心は、完全にPCBの設計に特化したワークステーションとシステムを設計することでした。

この仕事にかかっている間中、電子設計以外の小さな課題が定期的に発生していました。こうした課題はどうやら蔓延しているようで、皆さんもご経験があるのではないかと思います。

たとえば、私はよく電線のゲージやボルトのサイズなどの一般的なもののサイズについて考えることがありました。大規模なホームセンターの登場により、ボルトのサイズについて助けてくれる、ハードウェアのセクションで棚にくくりつけられているツールを見つけることができますが、ボルトのサイズを測るために毎回車に乗り込むのはいささか不便です。

同様に、電線ストリッパを使うときにはいつも電線のゲージを推測する必要がありました。「これは10、12、それとも14ゲージの電線だろうか。」よく思案したものです。深刻な問題ではないのですが、よく起こる問題なのです。推測が外れて、線をむいているときに誤って電線をいくつか切ってしまったことが、けっこうな割合でありました。なんともいらいらさせられます。

最近、こうした深刻な問題に対する答えを、そして、PCBの設計にもう少し関係の近いいくつかの問題への答えを見つけるのを助けてくれる、本当に有用で価格も手頃なツールに出会いました。そのツールとは、Digi-Keyの12インチPCB定規(図1)です。これが、PCBの設計を支援するからPCB-Ruler-NDという名前なのか、それともPCB素材で作られているからなのかはわかりません。おそらく、名前は意図的に二重の意味でついているのでしょう。

図1:Digi-Keyの12インチPCB定規は、インチもミリメートルも越えて、電線のゲージ、パッドのサイズ、ねじの直径、その他多くの計測で役に立ちます。(画像提供:Steve Leibson)

どのような場合でも、このDigi-Keyの定規は、定規が果たすべき普通の役割を果たします。インチ法とメートル法での計測に対応しています。線を引くための便利な直線エッジも備えています。ただ、これはどんな定規でもできることです。Digi-Keyの定規は、上記のPCBと設計の問題に加えて、ずっと多くの問題に答えてくれます。

まず、このDigi-Keyの定規は、ほんとうに便利な穴をたくさん備えています。英国式(2~¼インチ)とメートル法(M2~M6)のボルトを測るための穴があります。英国式のボルトとメートル法のボルトとの違いがわからなくても、Digi-Keyの定規が対応するので問題ありません。この穴は、PCBのボルト穴を設計するときにも役に立ちます。

さまざまなセットの穴が、電線ゲージに関する問題に答えてくれます。電線ゲージの穴は10~30AWGの範囲であり、便利なことに、これらの電線の直径をメートル法でも示してくれます。

この定規は、PCB設計にまつわる一般的な問題にもそうではない問題にも答えてくれます。たとえば、この定規はまるでPCBそのものにそっくりに作られており、8ピンと4ピンのSOICとTSSOP、SOT-23パッケージ、DPak、その他いくつかを含む、よく使用されているSMTパッケージの占有面積が表面に刻まれています。この定規には、抵抗器、コンデンサ、ダイオードなどの多くの2リードのSMT部品の占有面積も刻まれています。英国式とメートル法の両方のサイズで幅のラベルが付いたPCBトレースによって、既存のPCBで使用されているトレースの幅を比較し推定することができます。

定規にシルクスクリーンで印刷された2つの便利なチャートによって、英国式(片面)とメートル法(反対の面)の両方で電流の搬送能力と、そのアンペアを通すことで想定される温度上昇の表が示されています。もちろん、この情報は本にも載っていますが、いつでも机の上に置いてあるツールに記されているというのははるかに便利です。

実は、この定規にはあまりにも多くの機能があるため、Digi-Keyは13ページのデータシート、使用法のマニュアル、改訂リストを発表しています。それほどの情報が12インチ(または30.5センチメートル)に詰め込まれているのです。

Digi-KeyのPCB定規には大量の情報が詰まっているため、記されている情報をすべて読み取るには少しばかり問題があるかもしれません(あなたのPCBについては言うまでもありません)。定規の印刷にはいささか小さいものがあるのです。それは多くのSMT部品も、定規と比較するであろうPCBパッドとトレースも同様です。

Digi-Keyにはこれについての解決策もあります。私は小さいものを見やすくしてくれるAven 26225のような、手頃な価格のヘッドバンド装着の拡大鏡を使用しています。私はヘッドバンド装着の拡大鏡を40年以上持っています。毎年、使わなければならない頻度が上がってきています。きっと部品が縮んでいるに違いありません。私の眼のせいでは断じてありません。

著者について

Image of Steve Leibson Steve Leibson氏は、HPとCadnetixでシステムエンジニアを務め、EDNとMicroprocessor Reportで編集長として活躍し、XilinxとCadenceなどの企業では技術ブロガーを担当しました。また、同氏は、「The Next Wave with Leonard Nimoy」の2つのエピソードで技術専門家を務めました。同氏は、33年間にわたって、高速でかつ信頼性の高い優れたシステムを設計技術者が開発することを支援しています。
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