よりスマートなセンサは、スペースと電力を節約
DigiKeyのヨーロッパ担当編集者の提供
2015-01-08
消費者は、今日のスマートフォンおよびタブレットの最も高度な機能にすぐに慣れます。 現代の生活は、コンテキストおよび位置の瞬時のセンシングにますます依存しており、産業用プロセスおよびヘルスケアなどの多様な分野で使用されるスマートデバイスに対するユーザーの需要はますます高まっています。 ハードウェアおよびソフトウェアのインテリジェントな設計は、システムサイズおよび消費電力の厳しい制約を満たしながら、必要とされる速度および精度を確保することに不可欠です。
センサの接続
モーショントラッキングおよび位置認識などの高度な能力は、民生用機器における新しい機能およびアプリケーションへの鍵を提供し、急成長するウェアラブル領域などの新しい市場機会実現に寄与します。 スマートな機能および自律的でコンテキストに敏感な動作をユーザーが求めている中で、高度なセンシングはまた、産業用オートメーション、医療用患者モニタリングおよびモノのインターネット(IoT)アプリケーションなどの機器への期待を高めています。
加速度センサ、ジャイロスコープおよび地磁気センサなどの小型MEMSセンサは、消費者価格でのポータブルデバイスにおけるモーショントラッキングおよび位置認識の主要な実現技術を表しています。
精度や性能の向上に対するエンドユーザーの需要は、個々のセンサタイプのそれぞれが制約を受けているため、これらのセンサを組み合わせて使用することで満たされます。 たとえば、加速度センサは基本的方向および傾斜検出を提供することができ、デバイスが動いていない場合はピッチおよびロールをトラッキングすることが可能です。 ジャイロスコープの追加で、デバイスが動いている間のピッチおよびロール、または高速回転などのより複雑なモーションを正確に測定することができます。 一方、地磁気センサは、磁北に対する動きをモニタリングすることで加速度センサの回転誤差を補正可能ですが、帯域幅に制限があり、外部電磁妨害を受けやすいです。
センサ融合は、ゲーミング向けのジェスチャコントロールまたはボディモーションキャプチャなどの目的または研究目的で、複雑なまたは急速な動きを正確にモニタリングするために、システムにおける複数のセンサ出力を組み合わせます。 アプリケーションに応じて、センサ融合を、メインプロセッサ、または外部センサハブ、またはセンサ自身で最良に実行することができます。 消費電力、サイズの制約、電池寿命および処理リソースなどの要因は、その決定に最も重要な影響を及ぼします。
センサハブとしてのマイクロコントローラ
センサ融合アルゴリズムは、センサハブとして動作するマイクロコントローラで実行可能です。Atmelは、KionixおよびMEMSICなどのセンサパートナーと連携して、SAM D20 ARM® Cortex®-M0+マイクロコントローラ、またはARM Cortex-M4コアを特長とするSAM G53などのマイクロコントローラ用のセンサ融合ソリューションを開発してきました。 これにより、Kionix KXCJ9またはMemsic MXC62320 MEMS加速度センサなどのセンサの統合が簡素化されます。 これらのマイクロコントローラは、センサハブとして動作している際の電力節約を実現するSleepWalkingおよびAtmelイベントシステムをサポートします。 SleepWalkingは、すべての機能およびクロックの停止を可能にするとともに、ペリフェラルは、システムの部分を非同期でウェイクアップさせる能力を保持します。 このイベントシステムにより、ペリフェラルは、プロセッサの介入なしでセンサ信号の受信などのイベントに応答でき、これは、マイクロコントローラのスリープモードを最大限に活用することに寄与します。
電力削減
消費電力への取り組みは、モーションセンシングシステムを開発する技術者にとってますます重要になっています。 特に、スマートウォッチまたはグラスなどのウェアラブルデバイスにおいて、今日普及しているモーションベースのアプリには、常時オンのセンシングが電池に求める追加の要件にもかかわらず、常時オンのセンシングが必要です。 モバイルオペレーティングシステムにおける最新の開発は、実例を提供します。 Googleは、電池に過度な消費を課すことなくリアルタイム位置およびコンテキスト意識のさらなる活用を実現するために、Androidバージョン4.4でセンサ処理機能を大幅に変更しました。 ステップ検出およびカウントなどの万歩計機能はバックグラウンドで実行する必要があり、センサ管理を向上し、誤ったトリガによるメインアプリケーションプロセッサのウェイクアップを防ぐために、APIが変更されました。
Androidバージョン4.4は、センサ処理の責任がセンサハブ、またはセンサ自身にいかにして移ることができるかを示しています。 加速度センサおよびジャイロスコープ出力のためのセンサ融合の計算は、メインアプリケーションプロセッサのスリープ中に割り込み間で起こる必要があります。 加えて、バッチ処理モードにより、センサハブは、融合結果をバッファし、大きなセンサイベントによってアプリケーションプロセッサがウェイクアップされた時のみにこれらを送信することができます。
STMicroelectronicsは、ARM Cortex-M0コアをベースにするSTM32F411マイクロコントローラで、このバッチ処理の概念を一歩先へ進めています。 このマイクロコントローラは、自身のBatch Acquisition Mode(BAM)を実装します。このBatch Acquisition Mode(BAM)は、自身のCPUコアのスリープ中にオンチップSRAMにセンサデータを直接格納することで、センサハブとして使用される時にエネルギーを節約します。 このコアは、省電力モードに戻る前、この格納されたデータを処理するために、少しの間ウェイクアップします。 Flash STOPモード、ゼロウェイト実行および電圧スケーリングなどのさらなるエネルギー節約機能により、このデバイスは、スマートフォンおよびタブレットに加えて、産業制御、医療モニタ、ビルオートメーション、およびウェアラブル技術での使用に魅力的な製品です。
基板スペース節約
6軸モジュールなどのセンサモジュールの中には、FreescaleのFXOS8700CQR1があります。この製品は、2つのモーションセンサ機能を統合する省スペースの便利なソリューションを提供するために、3軸加速度センサと3軸地磁気センサを組み合わせています。 FXOS8700CQR1は、屋内ナビゲーション、ユーザーインターフェース制御、または産業機器における衝撃および振動モニタリングなどのアプリケーションを支援するために、自由落下検出、パルス/タップ検出、方向検出および磁気センシングなどのプログラム可能イベント機能をサポートする組み込みデジタル信号処理を備えています。 図1は、このデバイスのメインブロックおよびDSP機能を示します。 FreescaleのMEMSセンサ製品ラインナップを補完する、Kinetisマイクロコントローラ用Sensor Fusion Libraryは、センサモジュールに接続されたマイクロコントローラで、コンピューティングデバイスの方向、加速度の直線化、および磁気干渉向けの高度な機能を提供します。

図1:FXOS8700CQR1に組み込まれたDSPは、磁気および加速度センサデータで基本的な処理を実行します。
図2に示すように、InvenSenseは、MPU-6500™ Motion Trackingデバイスにおいて、3軸ジャイロスコープおよび3軸加速度センサとともに、Digital Motion Processor(DMP)ユニットを実装しています。 このDMPは、短い待機時間でモーション処理アルゴリズムを実行することができ、プログラム可能割り込みを使用したジェスチャ認識、メインプロセッサからの介入なしで画面方向を計算できる低電力画面回転アルゴリズム、およびホストプロセッサのスリープ中にステップカウントを維持できる万歩計を含む多くの機能を提供します。

図2:MPU-6500は、センサハブからセンサ融合処理をオフロードできる、InvenSenseが提供するDMPの第一世代を統合します。
今後の方向
InvenSenseのMPU-6500に統合されたDMPは、センサハブが接続されていない状態でより広範なセンサ融合を実行できる新世代のセンサの到来を告げています。 センサモジュールにおけるセンサ融合処理の実行は、システムの消費電力や応答時間を低減し、アプリケーション設計を簡素化することができます。 また、部品表コストおよび基板スペースの節約が可能です。 InvenSenseとSTの両社は、Android 4.4の要件を満たす6軸慣性モジュールを発表しました。これらのモジュールは、アプリケーションプロセッサおよびセンサハブをオフロードする組み込みモーション処理を特長としています。
結論
広範なアプリケーションおよび市場にわたってコンテキストに敏感な機能に対する需要が高まっている中で、センサの接続に向けたアプローチは十分に精査されており、電力および部品点数の節約に寄与する新たなテクニックが出現しています。 最新のモバイルオペレーティングシステムは、付加的な消費電力を最小限に抑えて「常時オン」センシングがいかにして達成できるかを示しています。
免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。


