スマートエネルギーおよび自動化での負荷監視用のセンシング技術

著者 ヨーロッパ人編集者

Digi-Keyのヨーロッパ担当編集者 の提供

センシングにより、さらにスマートなエネルギーを実現

エネルギーの節約や課金を行うため、今日の世界ではエネルギー測定が大きな関心を集めています。 EUの大規模火力発電所規制のような取り組みにより、火力発電所が閉鎖されていく状況で、グリッドは再利用可能な電力源への依存を強めています。 これにより、需要の管理や、消費者の行動の変化を促すことの重要性が増しています。 世界中の政府は、供給を管理し、需要を削減して、気候変動に対応しながらグリッドの安定性を確保するのに必要な情報を電力会社や消費者に提供することを目的とした、スマートメータの導入に乗り出しています。

スマートメータへの置き換えには時間が必要ですが、家庭用のエネルギー表示機器(図1)は既に現場に配置されています。 これらの機器は、リアルタイムの消費量データをユーザーへ提示し、どこで節約が可能かを識別するために役立ちます。 電力とエネルギーを計算する場合は、家庭内の受信機および表示ユニットへワイヤレスでデータを転送できる、メータキャビネットに設置されたセンサユニットにより収集された正確な電流測定結果が利用されます。 電流センサは、既存のメータや、構内への商用電源ケーブルへの妨害を最小限にして、簡単に設置できる必要があります。内部回路への接続が必要なく、電源ケーブルへクランプで取り付けるだけで使用できるのが理想的です。

クランプ取付式のセンサと情報表示ユニットで構成される家庭向けエネルギー表示機器の画像

図1: クランプ取付式のセンサと情報表示ユニットで構成される家庭向けエネルギー表示機器により、スマートメータを完全にアップグレードすることなく、使用量データを提供できます

センシングによる機器の管理と保護

現在出現しつつあるスマートエネルギーのアプリケーションとはまったく別に、分離された現在のセンサは産業自動化において、機器のエネルギー効率の高い運用を確保したり、機器の障害を迅速に検出したり、安全インターロックを調整したりするなど、数多くの役割を果たしています。 検出する電流は、わずか数ミリアンペアから、数十アンペア、数百アンペアまで、広範囲にわたります。 情報をPLCへ送信することで、システムではアラートを設定したり、修正処置を取ったりすることができます(図2)。

電流に応じた機械制御の図

図2: 電流に応じた機械制御と外部回路

力率補正(PFC)は、エネルギー効率を改善し、ACラインの高調波汚染を回避するために、広く使用されています。 大型モータなど誘電性の高い負荷は、補正用コンデンサのバンクを入力に接続しない限り力率が低くなります。 必要な静電容量は、負荷状況が最も重く力率が最低になるときに、最も高くなります。 しかし、負荷が低い状況では静電容量を減らさないと、過剰補正が起きることがあります。 モータの入力電流を監視すると、適用されている負荷をシステムで検出できるようになります。 負荷が低いときは、電流によって動作するスイッチを使用してPFCコンデンサを切断し、過剰補正を防止できます。

自動化された工場の装置に障害が発生したときは、可能な限り迅速に障害を検出し、修正処置を取ることが不可欠です。 例として、工業炉の制御や、精密に制御された温度への過熱を必要とする医薬品の製造プロセスなどが挙げられます。 ヒータの要素に何らかの障害が発生した場合、生産性の損失を避けるため迅速な検出が必要ですが、温度監視では障害の検出に時間を要する可能性があります。 温度が大きく変化するまで対策が行われないと、品質の低下や貴重な原料の浪費を招く恐れがあります。 要素に障害が発生すると同時に起きる、突然の電流低下を検出すれば、障害を即座に発見して、バックアップヒータの電源をオンにするなどの対応を的確な時期に行えるようになります。

同様に、モータへの入力電流を感知することで、コンベヤベルトの詰まりなどの問題をただちに検出し、電流の測定結果をPLCへ送信して、安全を確保するためにモータの電源を迅速にオフにできます。

産業用機器における電流センシングのもう1つの用途は、安全インターロックの管理です。 これらは、機器の動作中にガードが開くことを防止し、オペレータを保護するように設計できます。 または、インターロックにより機器へのダメージを防止したり、各種のドライブとアクチュエータを正しい順序でのみ動作させることでプロセスを調整したりするためにも役立ちます。 消費電流はサブシステムの電源がオンかオフかを示す信頼性の高い指標を提供するため、電流により動作するスイッチはこれらのインターロックを調整するための方法として理想的です。

最後に、業界での一般的な安全性向上を目指す取り組みの中で、一般にメインブレーカへ設置されている保護回路に加え、接地障害保護が装置ごとに設置されつつあります。 接地障害センサは、機器に電源を供給するパワーラインの電流を監視し、接地回路の障害の徴候である小さなリーク電流を迅速かつ安全に検出できます。

電流センサの選択

電流により動作するスイッチ、障害検出器、メータ回路での使用に適切なセンサの重要な属性として、最高の安全性を実現するための電気的絶縁、監視対象の回路から取り出す電力が最小限であること、使いやすさ、低コストが挙げられます。 用途によっては、測定の範囲と帯域幅、および過酷な環境条件への耐性も重要な基準です。 ホールセンサ、電流トランス、ロゴスキーコイルセンサなどのデバイスは、これらの要件を満たすセンサの主要な3つです。

ホールセンサ

ホール効果電流センサは、電流を運んでいる導線の周囲に発生する磁場に反応し、導線に流れている電流に比例した出力電圧を発生します。 標準的なリニア電流センサは、ホール素子を含むICと、磁気フラックスをホール効果ICに凝縮するよう設計された磁気コアとを組み合わせたものです。 ICとコアはプラスチックのハウジングに搭載され、両方のコンポーネントの相対的な位置が正確に保証されるように設計されています。

Infineon製のTLI4970ホールセンサには、積分差動ホール素子が含まれており、コンセントレータは必要ありません。 コンセントレータが必要ないのでヒステリシス効果が排除され、差動感知の原理により、外部の磁場が電流測定に干渉することが防止されます。 TLI4970には、ホールセンサとともにアナログおよびデジタル信号のコンディショニング回路が搭載されており(図3)、同等のセンサと比べてわずか1/6の基板面積しか占有しません。 交流と直流の両方の電流を、±50Aまで測定できます。大電流を測定可能なのが、ホールセンサのよく知られている長所です。ただし、ロゴスキーコイルや電流トランスなど他のセンサの方が、測定範囲内での直線性は一般に優れています。

Infineon TLI4970ホールセンサの図

図3: TLI4970はヒステリシス効果を排除し、PCB面積を削減できます

電流トランス

電流トランスは、スイッチングモード電源などの装置の制御、回路保護、監視、および計測用途での精密な電流測定に長年使用されてきました。 これらの機器は交流の電流を測定でき、一次側と二次側の巻線が電気的に絶縁されています。

一次巻線の電流定格が実質的に測定範囲を規定し、巻数比が高いと測定分解能も高くなります。 電流トランスと用途に応じて、この比率は1:20から1:1000までの間です。 極端に比率が高いと、トランスの容量性および誘導性の効果が強調され、測定は不正確になります。 その一方、選択した巻数比が低すぎると、出力信号の歪みのため、やはり結果が不正確になります。

電流トランスの欠点の1つは、大電流の測定に適した機器は物理的に大きくなることです。 一方で、Murata製の5300シリーズのような小型の面実装電流トランスは、モータ制御、スイッチングモード電源、電子照明用バラストなどの機器で使用するために適切で、10A程度までの電流を、最大500kHzの帯域幅で測定できます。

標準的な電流トランスはトロイダルメタルコアを中心とした巻線で、電流を運ぶ導線はそこを経由する必要があります。 または、分離コアの設計では電流トランスを導線の周囲へクランプで取り付けできます。 これによって、たとえば家庭用データディスプレイなどにセンサを簡単に設置できるようになります。 CR Magnetics製のCR4100シリーズのTrue RMS AC電流トランスデューサは、正弦波または非正弦波の電流波形を正確に測定でき、トロイダルまたは分離コア構成のバージョンを注文できます。

ロゴスキーコイルセンサ

ロゴスキーコイルの原理を使用する電流センサは、ホールタイプのセンサや電流トランスと比較して多くの利点があるとされています。 このような利点として、飽和なしに大電流を測定できる能力、他の種類のセンサよりも帯域幅が広いこと、最高でマイクロ秒ごとに数千アンペアまでの急速に変化する電流を測定できる能力が挙げられます。 また、大きなDCオフセットを持つ、小さなAC電流も測定できます。

ロゴスキーコイル電流センサは、図4に示すように、電流を運ぶ導線の周囲に配置されます。 導線を通過する電流によりコイルに電圧が誘発され、この電圧は電流の変化率に比例します。 このため、この電圧を積分することで瞬間的な電流を計算できます。 この積分回路は外部的に実装することも、センサに組み込んで電流に比例する電圧を出力端子に生成することもできます。 コイルは電流を運ぶ回路と電気的に接続されていないため、電気的な絶縁は当然実現されています。

ロゴスキーコイルの図

図4: ロゴスキーコイルは、測定対象の電流を運ぶ導線の周囲に配置されます

ロゴスキーコイル電流センサは、数百ミリアンペアから数百キロアンペアまでの範囲の電流を測定するよう設計できます。 Pulse Electronicsは、PA320シリーズを含む多くのセンサを販売しています。ダイナミックレンジは0.1A~1000A、帯域幅は500kHzで、ANSI C12.20の精度クラス0.2およびIEC 62053-21クラス1仕様を満たす非常に高い精度を実現しています。 このため、スマートメータの精密な電流測定にセンサを使用できます。

結論

測定用途向けの高精度の電流測定から、高速度の電流監視を活用して産業機械を管理し、重要な障害を即座に検出する用途まで、ホール効果電流センサ、電流トランス、およびロゴスキーコイル電流センサにより、設計者は柔軟な選択肢を活用して、パフォーマンス、信頼性、コストなどの重要な目標を満たすソリューションを実現できます。

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