ロータリエンコーダは、産業用モノのインターネット(IIoT)に参加
2016-04-19
ベンジャミン・フランクリンは、「時は金なり」という格言を広めるのに大きく貢献したかもしれません。しかしこの格言は、機械設計、産業用オートメーション、あるいはロボティクスに従事している誰にも当てはまると言っても、言い過ぎではないと思います。マシンのダウンタイムは、困難を引き起こし、控えめに述べても、非常にコストがかかり難しい状況です。産業用モノのインターネット(IIoT)、およびセンサデータ、マシンツーマシン(M2M)通信やオートメーション技術を利用できることは、マシンがデータをキャプチャしデータ通信を行う方法を変革しています。アナログデバイスからデジタルデバイスへのこの移行は、新しく魅力的な診断性能を利用できる高度にインテリジェントなマシンを生み出し、以前利用可能でなかったデータへの重要な情報やアクセスを技術者に提供しています。この新しいデータで、設計者は、障害を自律的に予測してダウンタイムを低減するマシンの機能を高めることにおいて驚くべき進歩を実現しています。
図1:Same Skyが提供する一般的なマシンツーマシン通信システムの図。
ロータリエンコーダは、産業、ロボティクス、航空宇宙、エネルギー、およびオートメーションアプリケーションのモーション制御フィードバックループに不可欠なコンポーネントです。これらの取り付けにおいて、エンコーダは、埃、汚れ、グリース、変動する温度、激しい振動を含む過酷な状態下で多くの場合に動作しているにもかかわらず、長期の信頼性、耐久性、そして高性能を提供することが求められています。ロボティクスおよびオートメーション産業が近年急速に発展している中で、エンコーダの高速化、高精度化、効率化、インテリジェント化を求めるニーズが劇的に増加しています。残念ながら、市場で入手できる現在のエンコーダは、モーション制御の設計者にインテリジェンスを提供できません。Same Skyが提供するデジタルASICベースのAMTエンコーダは、市場投入までの時間を短縮し、現場でのマシンのダウンタイムを低減できる価値のある診断およびプログラミングツールを設計者に提供して、このギャップを埋めます。
図2:Same SkyのAMTエンコーダファミリは、デジタルASICベースの設計を採用する史上初の製品です。
診断機能をロータリエンコーダに組み込むことで、純粋なアナログソリューションで以前利用できなかった価値のあるシステムデータへのアクセスを設計者に提供します。このデータを使用して、エンコーダが適切に動作しているか、エンコーダに障害が発生しているか、エンコーダが動作できなくなっているか、またはエンコーダにミスアライメントが起こっているかをシステムが素早く判断することができます。次に、システムはこのデータを使用して、可能性のある問題を作業者に通知するか、またはモータをターンオンして大きな損害を引き起こす前に自身で情報に基づいた決定を行うことができます。さらに、設計者はこの機能を予防的な手段としても活用できます。たとえば、アプリケーションの実行前に「encoder good(エンコーダ良好)」のテストシーケンスを実行する、といった具合です。これらの機能は厳密にアナログエンコーダでは利用できません。利用することで、設計者はダウンタイムを最小限に抑えつつ、現場の装置で発生する可能性のある問題を予測することができます。
また、診断データは、産業用通信ネットワークを介して経時的にモニタでき、発生する前にモーション制御システム内での障害を予測するために分析し使用できる価値のある性能傾向を提供することができます。モータに直接実装されるエンコーダの重要な位置により、診断データは、個々のエンコーダ性能だけに限られるのではなく、シャフトのミスアライメント、ベアリング摩耗、または熱劣化などのモーション制御システム内の他の問題を示す役割を果たすことができます。このデータを入念に考察することで、制御された方法でマシンの予防的なメンテナンスを行うことができ、壊滅的な障害が発生する前に問題を修正することができます。これは、大きな損害を与えうるダウンタイムを制限し、マシンの寿命を向上し、システム全体のインテリジェンスを高めることができます。
また、予測的な利点に加えて、オンボード診断データは、現場での障害が発生した場合にトラブルシューティングのプロセスを加速化するのに使用することが可能です。この価値のあるエンコーダ診断機能にアクセスすることで、修理を行う技術者は、問題としてエンコーダを排除するか、可能性のある原因としてエンコーダまたはモータに注意を向けることで、障害の根本的原因にすぐに焦点を絞ることができます。これにより、システムからエンコーダやモータを不必要に取り除いて置き換えるといった、時間を要する高価な試行錯誤のプロセスを排除することができます。マシンのダウンタイムそのものが、生産性の損失により、非常にコストがかかる可能性があります。現場の技術者が行うマシンの修理コストが追加され、このコストは増加する一方です。エンコーダ診断を利用できることで、トラブルシューティングを加速化し、修理のプロセスは、結果として大幅なコスト節約を実現し、現場での障害の影響を最小限に抑えることが可能です。
また、エンコーダの診断データは、製品開発プロセス中に大幅な時間の節約を提供することができます。私自身技術者ですが、自らが手掛けたすべての設計が初回でうまく機能すると考えたいものです。残念ながら、通常はそのようにいきません。テストの最中に、私は必然的に設計での問題を見つけます。多くの場合、問題の原因はすぐに明白ではなく、可能性のある原因は無限にあるように思われます。もちろん、これにより、なぜデバイスが予期どおりに動作していないのかを判断するトラブルシューティングのプロセスが始まります。したがって、診断データは、このプロセスを加速化し、向上する必要がある可能性を持つ設計の領域をすぐに指し示して、数日または数週間に及ぶ可能性がある調査を排除することができます。これらの節約により、設計サイクルを短縮し、より堅牢な製品を生み出し、市場投入までの時間を短縮することが可能です。
Same Skyの画期的なAMT11インクリメンタルシリーズおよびAMT31整流シリーズは、これらの診断機能を内蔵する初のロータリエンコーダです。AMT Viewpoint™ソフトウェアまたはシンプルなシリアルコマンドを通して、Same Skyは、この価値のある診断データをマシン設計者に提供します。37mmの直径と10mm厚のプロファイルを備えたこれらの小型ユニットは、+5Vの単一電源で動作し、48~4096pprの広範なプログラム可能分解能、およびすべてのBLDC極ペア構成向けに整流信号を提供します。また、両方のシリーズには、アプリケーション要件に応じて、アキシャルおよびラジアル接続方向に加えて、利用可能なシングルエンドまたは差動出力オプションがあります。さらなる耐久性のために、この堅牢なAMTエンコーダは、-40°C~105°Cの動作温度範囲を誇ります。
図3:Same SkyのAMT Viewpoint GUIにより、ユーザーは、複数のエンコーダパラメータをプログラムし、診断データにアクセスすることが可能です。
ダウンタイムは完全に排除できないものの、今日のマシン設計で診断データを先進的に使用することで、マシンの障害が発生する割合を大幅に低減するとともに、マシンの障害が復旧する速度を向上させ、これらの発生に伴う困難がはるかに緩和されています。M2Mシステムにおけるアナログコンポーネントからデジタルコンポーネントへのエンコーダの移行により、新しい可能性を持つ新しい世界が到来しています。この重要な診断データから得られる洞察は、「知識は力なり」というもう1つの格言が正しいことを証明しています。
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