堅牢性を大幅に向上させるエンコーダの機能とは?ソリッドステートエレクトロニクスの可能性

著者 Jeff Smootは、CUI Devicesでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

バトルボッツ用ロボットから火星探査機まで、大型の建設用車両から半導体製造装置まで、さらには多数の医療や軍事用途にまで、エンコーダは私たちの周囲のあらゆるところで使用されています。

つまり、動くものがあるところには必ずエンコーダがあるのです。エンコーダの重要性は使用されているすべての製品で同じというわけではありませんが、今日の複雑かつ高度なモーション制御システムには、エンコーダが必要不可欠です。

ロータリエンコーダは、産業、ロボティクス、航空宇宙、エネルギー、およびオートメーションアプリケーションのモーション制御フィードバックループに不可欠なコンポーネントです。エンコーダは粉塵、汚れ、油脂、気温の変動、大きな振動などにさられる過酷な状況の中で動作しなければなりません。

また、ブラシレスDC(BLDC)モータの使用が増えたことで、制御、精密さ、効率という利点を備えたロータリエンコーダの需要が飛躍的に増加しています。エンコーダの役割はシンプルで、モータシャフトの位置をシステムコントローラに通知することです。コントローラはこのデータを使用して正確にモータ巻線を転流し、速度、方向、加速度を決定することができます。これらのパラメータはモーション制御のループで目的のモータ性能を維持するために必要なものです。ロータリエンコーダを使用するアプリケーションで要求されているのは、長期にわたる信頼性、耐久性、最適化された性能です。これらはいずれも、精密なモーション制御を必要とするほとんどのアプリケーションで、インテリジェントなロータリエンコーダの重要性が高まっていることを示しています。

インテリジェントな機能を採用する新たなアプローチの登場により、これまで目立たなかったエンコーダを巡る状況が変わるような、新しい機能や機会が出現しています。

ロータリエンコーダは非常に重要であるにもかかわらず、上位コントローラにパルス信号を提供するだけの非知能型デバイスだと見なされることがよくあります。これまでは積極的に変化を受け入れてこなかったエンコーダのユーザーも、完全に実証された原理によって製造される容量性エンコーダなどの技術を以前より信頼するようになりました。この分野で数年にわたって実績を上げられたことも、ユーザーに安心感を与えています。

設計にマイクロコントローラとカスタムのASICが追加されて、汎用性が大幅に向上し、エンコーダの分解能、ゼロ位置、極数をすばやく構成できるようになりました。モーションセンシングに対するこのようなデジタルアプローチにより、ロータリ転流エンコーダを使用する設計者にさまざまな利点と新たな水準のインテリジェンスが提供できるようになりました。

エンコーダの技術:3種類の方式とその性能に適した環境

エンコーダの技術的手法の中で最もよく知られているのは、光学式、磁気式、容量式の3つの技術です。

光学式では、LEDを片面に、フォトトランジスタをもう一方の面に取り付けたスロット付きディスクを使用します。このディスクが回転し、光路をさえぎります。その結果生じるパルスがシャフトの方向と回転を示します。光学式エンコーダは低コストですが、汚れ、粉塵、油などの汚染によって信頼性が低下します。また、LEDの耐用期限もあります。

CUIの従来型の光学式エンコーダの仕組みを示した図図1:これはCUIの従来型の光学式エンコーダの仕組みです。(画像提供:CUI Devices

磁気エンコーダの構造は、光学式エンコーダの構造に似ていますが、光ビームではなく磁場が使用される点が異なります。スロット付きの光学式ホイールの代わりに、磁気抵抗性のセンサアレイ上で回転する磁気ディスクが取り付けられています。ホイールが回転するとこれらのセンサが反応し、この反応が信号を調整するフロントエンド回路に送られてシャフト位置が特定されます。磁気エンコーダは耐久性が高い一方で、精度はあまり高くありません。また、電気モータやドライブが原因の磁気干渉の影響を受けやすい傾向があります。

容量性エンコーダは光学式エンコーダおよび磁気エンコーダの設計の利点をすべて備えており、またこれらの設計の弱点もありません。容量性エンコーダはより堅牢で、環境、特に磁気干渉の影響を受けにくいという特性があります。容量性エンコーダにはラインパターンが2つあり、1つは固定要素に、もう1つは可動要素に接続されています。これらは両方で、トランスミッタとレシーバのペアとして構成される可変コンデンサを形成します(図2)。エンコーダは回転して内蔵のASICをトリガし、ラインの変化をカウントします。そして、補間を行い、標準の直交出力を使用してシャフトの方向を追跡します。さらに、他のエンコーダがBLDCモータを制御するために提供する転流出力を追跡します。

直交位相のバーの並びおよび出力波形を使用した容量性センシングの図図2:  これは、直交位相のバーの並びおよび出力波形を使用した容量性センシングです。(画像提供:CUI Devices)

エンコーダフィードバックのデジタル拡張

容量性エンコーダは堅牢な性能を実現します。また、光学式エンコーダや磁気エンコーダとは異なり、容量性エンコーダではそのデジタル出力により、21世紀にふさわしい設計を実現できるようになりました。デジタル出力は、製品の開発や設置に便利なことに加えて、メンテナンスも簡単になります。

このエンコーダの優れた点の1つが、分解能(パルス/回転のカウント)を調整する機能です。この機能により、分解能の高低を切り替えるために、エンコーダディスクを替える必要がなくなります。これにより、制御ループの最適化が実行されると、開発中の柔軟性が大幅に向上します。

このデジタル技術により、すばやく簡単に設置し、転流信号をBLDCモータの巻線に整合させるための、シンプルな「ワンタッチ」ゼロ技術も利用できるようになります。この場合、ユーザーは適切なモータ位相に励磁することによってシャフトを目的の位置にロックし、エンコーダをこの位置でゼロに設定できます。この作業には特殊なツールは必要ありません。また、この機能を実行するためにかかる時間は数分程度です。一方、光学式エンコーダや磁気エンコーダのゼロ技術では、転流信号をモータ巻線に機械的に整合させるため、複雑で面倒なプロセスが必要で、作業に20分程度かかる場合もあります。

また、CUIのAMTシリーズに組み込まれたインテリジェンスとAMT Viewpoint GUIは、より迅速なフィールド障害分析のためのオンボード診断や、「encoder good(エンコーダ良好)」テストシーケンスなどの予防措置を実行する機能を提供し、市場投入までの時間の短縮を実現します。

このような診断データは、デバッキング時に疑いのある対象のリストからエンコーダを削除する役割を果たすことで、設計時に開発者を支援します。

また、これらの診断は、エンドユーザーにエンコーダが故障する前に正常性に関する情報を提供することによって現場を支援し、メンテナンス目的のモータの動作分析(ミスアライメントやベアリングの摩耗といった問題の追跡など)とエンコーダの動作を切り離すことができます。組み込みの診断により、エンコーダを重要なモーション制御用途に利用する前に動作を検証し、潜在的な損傷を防ぎます。

あらゆる種類のエンコーダのためのスマート機能およびIoTのコネクティビティ

容量性技術をベースにしたAMTエンコーダシリーズの利点は、パフォーマンスや信頼性の向上という言葉では説明しきれません。これらのエンコーダには、インテリジェントな機能に加えて、一連のプログラム可能な設定機能と設置機能が用意されています。デジタル技術は、従来のエンコーダ技術では得られない利点を実現するための、インテリジェントなインターフェース能力を活用するための次のステップです。

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著者について

Jeff Smootは、CUI Devicesでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

CUI DevicesのJeff Smootによって提供された記事です。