IoTへの電力供給:次世代の外部電源がエネルギー消費の最小化に役立つ方法

著者 CUI Engineering

数十億の「モノ」をインターネットにまさに接続しようとしている中で、節電は、自己駆動または電池駆動センサだけでなく、ゲートウェイなどの通常ACラインから電力を取るようなデバイスにとっても重要です。この記事では、外部AC/DC電源アダプタ用として来たるべきレベルVI仕様、およびこの新たな規格に適合し、IoTアプリケーションの全体的な消費電力の低減に役立てるのに必要とされる設計変更について検討します。

序文:センサの隠れた力

モノのインターネット(IoT)というフレーズで思い浮かぶのは、大気質や水質、交通量や工業プロセスから自宅や人体の健康における環境までモニタリングすることができる、小さなセンサで構成された広範なネットワークのイメージです。 センサは、一般的に、小さなコイン電池あるいは、ソーラーパネルやその他の小型環境発電サブシステムで耐用年数の期間、稼働可能な超低電力デバイスとして認識されます。 かくして、これらのデバイスは、デバイス自体のエネルギー需要の面から最小限度の環境影響を与える一方で、動作上の大きな利点をもたらすと考えることができます。

数年以内に、1兆もの接続されたセンサが、IoTの目、耳、指先の役割を果たすと推定されています。 しかしながら、これらのセンサは、直接インターネットに接続されることには、なりそうもありません。 Wi-FiあるいはEthernet接続は、非常に高価で多くの電力を必要とするため、小型の電池駆動あるいは自己駆動のIoTエンドポイントに統合することができません。

多くの産業用および家庭用センサネットワーキングアプリケーションにおいて、インターネットへの接続は通常、センサとインターネット間のブリッジを提供するハブあるいはIoTゲートウェイを通して行われます。 この場合、ゲートウェイがBluetooth Smartあるいは2線式接続などの規格を使い、非IPインターフェースをセンサに実装し、またインターネットに接続するためにEthernetポートまたはWi-Fiインターフェースをホストします。 ゲートウェイは、インターネット経由でセンサからクラウドサービスなどの集中管理にデータを伝送したり、またその逆を行うことができます。 センサデータの基本的な処理も通常は、結果がクラウドに渡される前にゲートウェイでローカルに実施されます。 図1は、IoTゲートウェイの基本的機能の概要を表しています。

必要とされるIoTゲートウェイの画像

図1:IoTゲートウェイは、低電力の非IPセンサをインターネットに接続するのに必要です。

予測では、今後4年から5年の間に、500億台ものIoTゲートウェイのようなデバイスがインターネットに接続される見込みです。 複数のセンサインターフェース、インターネット接続、組み込み処理を含む、多様なゲートウェイ機能を管理するために必要な電力は、デバイスが主電源に接続される必要があり、そうでなければ頻繁に充電される必要があることを意味します。 これらのデバイスが近い将来、インターネットに加えられることが見込まれる中で、オフライン電源あるいは充電に対してエネルギー需要が大幅に増加する可能性があります。

電源の効率規格

グリッドに接続される電気デバイスの数の大幅な増加は、何も新しいことではありません。 少なくとも今日の家電時代の初期から、この影響は科学者たちの主要な関心事となっています。 米国家電協会によると、一般的な世帯がテレビやおそらく洗濯機を所有していた1970年代から、米国では1世帯当たりの電気製品の平均台数が24台に増加しています。 この数字には、内部電源を内蔵できるか、またはアダプタまたは外部電源(EPS)で駆動できる、複数のテレビや、パソコン、タブレット、スマートフォン、プリンタ、ゲーム機、その他の電気器具が含まれています。 1990年代までに、10億を超えるEPSが米国単独で使用されていると考えられていました。

外部電源からの無負荷消費電力の画像

図2:1990年代初期、外部電源からの無負荷消費電力は、もし何の対策も取らなかった場合、20年以内に米国で消費される総エネルギーの30%を占めると調査で推定されました。

スイッチが切れていたり、非アクティブ状態であったりしても家電のコンセントを挿したままにする傾向があることをユーザーが把握している中で、家庭で浪費される「ファントム電力」あるいは「無負荷」電力についての懸念は高まり始めました。 カリフォルニア州にあるローレンスバークレー国立研究所(LBNL)のAlan Meier氏による1998年の調査によると、接続された機器がスタンバイモード中に、米国での住宅における総消費電力の約5%(約30億ドルに相当)が電源によって浪費されたと推定しています。 それに続き、もちろんエネルギー価格が上昇し、過度のエネルギー消費による環境被害への懸念が大きくなっています。

これらの問題に取り組むため、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC:California Energy Commission)は、2004年に世界で初めて、外部電源に対するエネルギー効率の法律を導入しました。 次第に米国全域、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリアなどの主要な世界市場がこれに追随していきました。 最終的に、これらのさまざまな法律は、外部電源に対する国際エネルギー効率表示協定で統一されました。 これは現在、数世代を経て進化を遂げており、それぞれが無負荷消費電力および最小平均動作効率にさらに厳しい制限を連続的に課しています。 今日、米国およびカナダで販売されているすべての外部電源は、この協定のレベルIV仕様を満たし、かつネームプレートにローマ数字でIVとラベル表示をする必要があります。 EUでは現在、より厳格なレベルV仕様を課しています。

2014年に米国エネルギー省(DoE)は、米国で2016年2月10日以降に製造され、かつ市場に出されたすべての外部電源は、より高いレベルVI効率仕様に適合する必要があると発表しました。 過去のパターンは、EUやその他の機関が早々にレベルVIにそれぞれの要件を引き上げることを示唆していますが、まだ最終的な規格は発表されていません。

IoTアプリケーションが飛躍的に成長する見込みを考えると、外部電源に対するレベルVI仕様は、パワーグリッドに間もなく接続される多くのIoTゲートウェイの影響に対して、環境への貴重な保護を提供する可能性があります。 世界中の相手先商標製造会社(OEM)が最新の規制に準拠し続けることが重要です。

電源設計の選択肢

内部電源は、国際効率表示協定の対象とはなりません。 したがって、EPSに優先して内部電源をデザインインすることで、準拠の必要性がなくなる可能性があります。 しかしながら、ENERGY STAR®定格システムあるいはエネルギー関連製品(ErP)の環境配慮設計指令2009/125/ECなどの他の規制が適用される場合があります。 さらに、社内でカスタム電源を構築するか、あるいはサードパーティのモジュールを統合することは、設計者の経験範囲外である可能性があります。 また、内部電源は重量が増え、製品がかさばるため、より大きなエンクロージャが必要となる可能性があります。

すぐに使えるEPSは、適用可能な規制に準拠することを示せる、素早くて手軽なソリューションを提供することができます。CUIは、今後予定されている規制に対処するために、2014年後半にレベルVI製品をEPS製品群に導入し始めました。 EPSメーカーは通常、最高の強制基準を満たすように製品ラインナップを調整しますが、これにより、複数の輸出市場向けが予定される製品で一般的な電源タイプを出荷することで、OEM顧客は動作効率を最大化し、サプライチェーンのエラーをなくすことができます。

レベルVI仕様

レベルVI協定は、それに先行する協定よりもかなり複雑です。 5つの分類に定義されています。 分類は以下の通りです。

  • 単一電圧外部AC/DC電源(基本電圧)
  • 単一電圧外部AC/AC電源(基本電圧)
  • 単一電圧外部AC/DC電源(低電圧)
  • 単一電圧外部AC/AC電源(低電圧)
  • 最大49Wのマルチ電圧外部電源

注:低電圧電源は、出力電圧が6V未満でかつ出力電流が550mA超のものです。 基本電圧は、低電圧電源ではない電源を指します。 加えて、レベルVIは、250Wを超える単一電圧電源をカバーする初の法律を導入しています。

スタンバイ電力向けのレベルV規格と比較して、レベルVIは、許容される最大電力を0.3W(最大49Wの標準電圧EPS用)から、定格1W~49Wの単一電圧AC/DC電源用のわずか0.1Wに低減しています。この新しい平均効率要件は、同様に厳格です。 図2は、同様のレベルIII、レベルVIおよびレベルV仕様と比較した、レベルVI基本電圧AC/DC電源の平均効率における上昇を表しています。

レベルVI仕様が課す平均効率閾値のグラフ

図3:レベルVI仕様は、レベルIIIからVまでのものよりも高い平均効率閾値を課しています。

設計でのレベルVIの適合

新しいより高い基準に適合するようにEPSを設計することは、困難な課題です。 CUIのレベルV電源と比較して、レベルVIユニットは、1次および2次側回路のほぼすべての面に対する変更を組み込んでいます。 これらには、強化された軽負荷動作モードをサポートする最新の制御ICのデザインインが含まれます。通常動作では、新しいコントローラは、レベルV製品で使用される同じ65kHzのスイッチング周波数で動作しますが、電力損失を低減して効率を向上するために、軽負荷および無負荷で22kHzに変更されます。 2次側帰還回路で再最適化されたコンデンサおよび抵抗器の値は、より低いスイッチング周波数でのリップルおよびノイズ増大の影響を軽減します。 また、制御ICは、静止電力を低減するために新技術を活用し、これは、無負荷消費電力でのより厳しい最大制限の適合にさらに寄与します。

低電圧/高電流レベルVI電源の2次側回路は、シンプルなダイオード整流から、MOSFETと追加の制御ICを使った同期整流に変更されています。 加えて、より大きな抵抗値や、ワイヤゲージを増やすなどのその他コンポーネントへの変更は、内部消費電力を低減するのに役立ちます。 さらに、オン状態抵抗を低減したより新しいMOSFETは、より大きな負荷で効率を上げるのに寄与します。

一方で、主電源回路は、既存のレベルVユニットとほぼ同じように配置されます。 120Wを下回る定格のユニットは、CUIの確立したフライバック設計を使用する一方で、120Wを超えるアダプタはLLC共振トポロジを使用します。 また、レベルVI電源の平均効率の向上は、標準の動作温度低減に役立ち、したがって信頼性を強化することは特筆に値します。 これは、多くの場合に現場で長時間にわたってメンテナンスがほとんどされずに、またはメンテナンスなしで機器が動作する必要があるIoTアプリケーションで、特に重要な利点となる可能性があります。

結論

IoTは、産業、環境、エコロジーそして生活の質に数々の広範な利点を約束します。 一方で、予想される莫大な数の配置により、ACラインから給電される必要がある多数の新しいネットワークハブおよびゲートウェイが導入される可能性があります。 米国で2016年2月から義務化される、最新のレベルVI表示協定を満たす新しい外部電源は、平均効率を高め、無負荷消費電力を低減することで、電力需要の上昇を相殺するのに寄与することができます。

Digi-KeyサイトのCUIのレベルVI製品ラインナップに関する詳細については、レベルVI電源のページをご覧ください。

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CUI Engineering

Article authored by CUI Engineering and DigiKey DSS.