医療用固定テープで生体センサをしっかり固定し、エラーを減らす

著者 Bill Giovino

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

モノのインターネット(IoT)が医療機器に広がるにつれ、人間の皮膚に装着する必要のある生体センサの数や種類が増えてきました。収集されたデータは、病状の監視や診断、プロスポーツ選手や市販の家庭用パーソナルエクササイズプログラムの研究やパフォーマンスの向上に利用されます。

センサの固定には、特別に製造された医療用固定テープが一般的に使用されていますが、これらのテープは「汎用」ではありません。そのため、快適性、通気性、透湿性、液体への耐性など、さまざまな要素を考慮しなければならず、テープの選択は複雑になります。また、用途によっては、テープを素早く簡単に剥がしたり、皮膚に再度貼り付けてセンサを再配置したりする必要がありますが、これは緊急時において重要なことです。求められるのは、状況に応じて使い分けられるような、差別化された各種の医療用テープです。

この記事では、人の皮膚への装着状況に応じて設計された3Mの医療用テープのシリーズを紹介します。この記事では、3Mの医療用テープ4種類の使用方法と、それらを医療用固定用途に適用する方法について説明します。また、医療用テープを1種類に統一することによる、購入の簡素化、記録の一貫性、使いやすさなどの利点も確認します。

医療用固定テープの用途

環境センサの入手可能性と豊富な品揃えが、産業用IoT(IIoT)だけでなく商用IoTの成長にも拍車をかけたように、生体センサの入手可能性と豊富な品揃えが、医療用IoTデバイスを含む新しい医療用センシングデバイスを後押ししています。心拍モニタを搭載したスマートウォッチのような民生用生体センシング製品は、手首に簡単に装着でき、民生用心臓モニタは胸に装着することで、より高い精度を実現します。このように精度が向上したのは、より精密なセンサを使用しただけでなく、心臓モニタを心臓の上にしっかりと配置したことによるものです。生体センサのデータ精度は、センサのタイプと肌への適切な配置の両方に直接関係します。

しかし、医療用の生体センシング用途では、単純なストラップでは対応できない場所に多くのセンサを取り付ける必要があります。さらに、信頼性の高い生体情報を読み取るためには、皮膚表面により強く、確実に接着させる必要があるかもしれません。したがって、センサを固定するために医療用固定テープを使用する必要があります。図1に示すように、ほとんどの医療用固定テープは、テープ本体である印刷・書き込み可能な支持体、テープを皮膚に貼り付けるための接着剤、そして接着剤を露出させるための引き剥がし可能なライナーで構成されています。

医療用固定テープは通常、支持体(上)と接着剤(中)で構成されていることを示す図図1:医療用固定テープは通常、支持体(上)と接着剤(中)で構成されています。ライナー(下)は接着剤を保護し、使用時には引き剥がします。(画像提供:3M Medical Materials)

医療用テープの構造上、支持体と接着剤の選択によってその使用特性が決定されます。医療用固定テープの状態はすべて同じではなく、テープを適切に選択して使用するには、さまざまな人間工学的要素を考慮する必要があります。それらの要素の組み合せにより、テープの支持体の構造や使用する接着剤が決まります。

医療用固定テープの人間工学面

考慮すべき重要な点の1つは、耐液性です。長期間使用する場合は、頻繁に患部を洗ったりシャワーを浴びたりすることで医療用固定テープが濡れてしまい、接着力が低下してセンサの測定値が不安定になることがあります。耐液性が要求される場合は、ポリエチレン製のテープ支持体にアクリル系の医療用接着剤を使用することが多くあります。この構造は液体に強いだけでなく、熱いシャワーや湿度の高い場所で水蒸気がテープに浸透するのを防ぐこともできます。

耐液性を補完する要件として、テープの標準的な水蒸気透過率(MVTR)があります。MVTRは通常、24時間の間に材料を通過する水分のグラム/平方メートル(g/m²)で示されます。テープが液体や水蒸気をまったく通さない(MVTR = 約0)必要のある場合もあれば、汗などの水分を通す必要がある場合もあります。後者の場合には、不織布テープを支持体にすることで、肌が呼吸でき、汗が蒸発します。

また、テープの位置を簡単に変えられるようにし、センサの位置をすばやく変えたり、同じ患者に何度も使用できるようにしたりする必要がある場合もあります。使用が1回限りのテープにはさまざまな接着剤が使用されますが、シリコーン系の医療用接着剤を使用することで、センサを簡単に取り外し、再びしっかりと貼り付けることができます。

特に長時間使用するテープでは、その快適性が常に重要となります。少なくとも適度なMVTRを持つ不織布テープが通常は最も快適ですが、ポリエチレンテープも構造や配置によってはある程度快適です。テープの快適性は、支持体の厚さやテープの使用時間にも関係します。長時間使用するテープには、患者に不快感を与えずに1週間まで快適に使用できることが必要であり、より薄い支持体を使用することで、柔軟性と快適性が向上します。

3Mの医療用固定テープ

このようなさまざまな用途に対応するため、3M Medical Materialsでは、さまざまな種類の医療用固定テープを製造しています。これらの固定用テープは、前述したさまざまな人間工学的要素を考慮しています。さらに、これらのテープは標準化が可能であり、単一のサプライヤが提供しているため、3Mは在庫管理を簡素化し、製品間で一貫したドキュメントを提供することで、購入を簡素化してエラーを減らすことができます。

3Mは長時間装着する用途に向けて、3M-4077長時間装着不織布テープを製造しています(図2)。3M 4077 4" X 10Yd(図1)は、4インチ x 10ヤードの人気サイズで、支持体には厚さ0.16mmの白色不織布ポリウレタンを使用しています。また、長時間使用しても快適性の高い、長持ちするアクリル接着剤を使用しています。MVTRは約185g/m²と規定されており、ある程度の耐液性があるため、推奨使用期間である最大14日の間、肌が呼吸できるようになっています。

3M 4077医療用固定テープの画像図2:3M 4077医療用固定テープは、最大14日間の長時間装着に推奨されます。直径8インチ未満で便利なロール状になっています。(画像提供:3M Medical Materials)

3M 4077医療用固定テープは、再配置ができず、1回限りの使用が推奨されているため、1回の使用で廃棄される長時間装着の生体センサに適しています。

ここで紹介した他のテープと同様に、3M 4077は使いやすいロール状になっています。ロールの直径は8インチ未満で、医務室や救急室に簡単に収納できます。

医療用固定テープの用途では、皮膚を呼吸させる必要があるため、高いMVTRが求められます。3Mはそのような用途に向けて、3M 1530 4" X 10YDを提供しています。これは、0.14mmの白いレーヨン不織布を支持体とし、サージカルグレードのアクリレート系医療用接着剤を使用した4インチ x 10ヤードのテープです。この構造により、MVTR率は4200g/m²と非常に高くなっています。貼り直しができず、液体への耐性もないため、ほとんどの民生用生体用途には適していません。高いMVTRと優れた快適性を備えたこのテープは、外科的用途や入院患者の長時間モニタリング向けの仕様となっています。手で簡単に引き裂くことができるため、事態が急速に進行する救急医療の現場で有利です。

3Mは、高い快適性と柔軟性が求められる用途に向けて、アクリル系医療用接着剤を使用したポリウレタンフィルム製のサージカルテープ3M 9836 4" X 10YDを提供しています。このテープは、標準サイズの4インチ x 10ヤードです。支持体はポリウレタンフィルムで、厚さ0.03mmとこのシリーズのテープの中では最も薄く、柔軟性と快適性に優れています。耐水性と約450g/m²という適度な透湿性があり、透湿性と耐水性のバランスが取れています。このテープは、薄く快適な支持体、柔軟性、適度な透湿性、耐水性を備えているため、センサと固定テープが多少のねじれに耐えなければならない、子供にセンサを取り付けるような場合に適しています。これは、センサの取り付けの快適性について、言葉で効果的にフィードバックを行えない患者では特に重要です。

センサモニタリングアプリケーションの中には、複数回使用するためにセンサが再配置可能でなければならないものや、医療器具を患者の皮膚に固定しなければならないものもあります。そのような用途には、3M 2477P 4" X 10YDのような両面テープが非常に有効です(図3)。テープのサイズは4インチ x 10ヤードで、支持体は0.04mmの非常に薄い熱可塑性エラストマ(TPE)製であり、両面に接着剤が付いています(C層)。TPEは半透明のため、センサや皮膚を見やすくし、適切な装着をサポートします。片面にはシリコンアクリレート系の医療用接着剤(B層)が塗布されており、生体センサを固定するために、皮膚上で優しく剥がして再配置することができるように設計されています。TPE支持体の裏面には、アクリル系の接着剤(D層)があります。この第2の接着剤により、小型の医療用生体センサデバイスにしっかりと取り付けることができます。

医療用両面テープ3M 2477P 4 x 10 YD の層を示す図図3:両面の3M 2477P 4 x 10 YD医療用固定テープの層は、一方の面にシリコンアクリレート接着剤(B層)を含み、他方の面にアクリル系接着剤(D層)を含んでいます。(画像提供:3M Medical Materials)

このユニークな医療用固定テープは、2つの目的で使用できます。まず、センサと医療用生体情報記録デバイスの両方を固定することができます。これにより、長い配線のない小型の生体情報記録システムが実現されます。生体センサデバイスとしては、CR2032バッテリで駆動する非常に軽量な組み込みコンピュータが考えられます。センサの測定値をフラッシュメモリに記録したり、BluetoothやWi-Fi経由でコンピュータやモバイルデバイスに送信したりすることができます。また、郵便切手サイズのシングルボードコンピュータ(SBC)をベースにした市販の生体センサデバイスの試作にも有効です。

2つ目は、このテープを単体の医療用テープとして使用できることです。シリコーン接着面は、再配置や再利用が可能な生体センサに使用できます。これにより、アスリート用の生体センサを、日常的に使用および再使用することができます。このテープは液体に対して中程度の耐性を持ち、MVTRは400g/m²であるため短期使用に適しています。

3M-2477Pの仕様では、アクリル系接着剤を肌に当てて使用することは推奨されていません。

まとめ

生体センサを固定する用途はすべて同じではないため、医療用固定テープには幅広い選択肢があります。人間工学的な状況も含めた医療用テープの使用条件により、支持体や接着剤に使用する素材が決まります。医療用テープのサプライヤを1社に統一することで、購入や在庫が簡素化され、エラーが減り、ドキュメントの一貫性が保たれます。

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著者について

Bill Giovino

Bill Giovino氏は、シラキュース大学のBSEEを持つエレクトロニクスエンジニアであり、設計エンジニアからフィールドアプリケーションエンジニア、そしてテクノロジマーケティングへの飛躍に成功した数少ない人の1人です。

Billは25年以上にわたり、STMicroelectronics、Intel、Maxim Integratedなどの多くの企業のために技術的および非技術的な聴衆の前で新技術の普及を楽しんできました。STMicroelectronicsでは、マイクロコントローラ業界での初期の成功を支えました。InfineonでBillは、同社初のマイクロコントローラ設計が米国の自動車業界で勝利するように周到に準備しました。Billは、CPU Technologiesのマーケティングコンサルタントとして、多くの企業が成果の低い製品を成功事例に変えるのを手助けしてきました。

Billは、最初のフルTCP/IPスタックをマイクロコントローラに搭載するなど、モノのインターネットの早期採用者でした。Billは「教育を通じての販売」というメッセージと、オンラインで製品を宣伝するための明確でよく書かれたコミュニケーションの重要性の高まりに専心しています。彼は人気のあるLinkedIn Semiconductorのセールスアンドマーケティンググループのモデレータであり、B2Eに対する知識が豊富です。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者