熱管理システムにペルチェモジュールを統合する方法

著者 Bruce Rose, Same Sky

エンジニアは、ある種のアプリケーションでは、コンポーネントを一定の温度で冷却したり、動作温度を周囲より低くしなければならない場合があります。熱電モジュール(ペルチェモジュール)を利用することで、小型で軽量、そして電力効率のよい熱管理ソリューションを実現することができますが、最適化された熱電システムを実現するためには、デバイスを適切に統合し、電力を供給するための設計作業が必要です。

ペルチェモジュールの基礎

ペルチェモジュールは、ペルチェ効果を活用したモジュールです。ペルチェ効果とは、電気的に接合された異種の半導体に電流を流すとその2つの間に温度差が発生する現象のことで、この現象を見つけたフランス人科学者のジャン・ペルチェにちなんで名づけられました。現在のペルチェモジュールは一般に、2つのセラミック製の外部プレートと、P-N半導体ペレットで分離された内部の導電層で構成されたコンポーネントとして供給されます。これらのP-Nペレットは、電気的には直列に、熱的には並列に接続されるよう配置されています。

ペルチェモジュールにDC電圧を加えると、これらの正および負の素子は一方の表面から熱を吸収し、その熱をもう一方の側に放出します。これにより、熱が吸収された側の温度は低下し、熱が放出された側の温度は上昇します。

このペルチェ効果は、物体の過熱および冷却に利用できる点に注目してください。この記事では冷却アプリケーションを中心に取り上げますが、過熱アプリケーションを設計する際の考慮事項も冷却の場合と同じです。ただし、印可電圧の極性、電流の方向、およびモジュールを流れる熱の方向は逆になります。

ペルチェモジュールシステムを設計する

熱を熱源からヒートシンクに伝達するペルチェモジュールの図図1:このペルチェモジュールでは、熱が熱源からヒートシンクに伝達されています。(画像提供:Same Sky

図1に示すように、ICの表面などの熱源とヒートシンクとの間に給電したペルチェモジュールを配置すると、ICをアクティブに冷却することができます。ペルチェモジュールの低温側は、熱源と接しており、ヒートシンクは高温側に接しています。このモジュールは、熱を低温側から高温側に伝達しますが、熱を吸収しないことに注意してください。このシステムは、熱を一定の速度でヒートシンクへと取り込むように設計することも、印可する電力を制御することで、コンポーネントとの接触面の温度が一定になるように変更することもできます。必要に応じて、この温度を周囲より低く設定することもできます。

図2は、ICなどのコンポーネントを冷却するためのシステムの基本エレメントを示したものです。ペルチェモジュールはこの場合、冷却対象から熱を抽出します。一方、ヒートシンクはICの熱だけではなく、電流によってペルチェモジュールで発生した熱も放散する必要があります。このICでは、温度センサに接続された外部のフィードバックループがペルチェモジュールに印可される電力を制御して、対象となる物質の温度を安定した状態に維持します。

温度制御のためのフィードバックループを備えたペルチェモジュールシステムの図図2:温度制御のためのフィードバックループを備えたペルチェモジュールシステム。(画像提供:Same Sky)

ペルチェモジュールは、そのアプリケーションの熱要件に応じて選択します。熱要件には、モジュール全体で伝達される熱、モジュール全体における最高温度、高温側の最大温度などがあります。適切なモジュールを選択したら、電源要件を決定します。

ペルチェモジュールは、制御された電流源によって最適な給電が行われる電流駆動のデバイスですが、電圧源を使用できます。モジュールが最大限の冷却を継続的に実施することを目的としている場合は、定電圧を印可できます(図3)。この場合、指定された冷却要件のための負荷電流と入力電圧は、データシートの特性評価グラフから直接把握することができます。詳細については、Same Skyの記事「熱電冷却用の高度なペルチェモジュールの選択と使用」に記載されています。

電圧源によって電源が供給される、シンプルなペルチェシステムの図図3:電圧源によって電源が供給される、シンプルなペルチェシステム。(画像提供:Same Sky)

一方、熱負荷または周囲温度、あるいはその両方が変化してもモジュールでコンポーネントの温度を一定に保つ必要がある場合は、温度センサとフィードバックループが必要です。これについては図2を再度参照してください。

比較的低いループ帯域幅により、フィードバックの実行方法が柔軟になります。温度センサは熱電対、ソリッドステート、または赤外線センサにすることができ、電源に対してフィードバックされるデータは印可される電圧の調整に使用することができます。電源によって十分な範囲の調節を実現できない場合、電圧の調整は外部PWM回路を使用して行うことができます。PWM出力をフィルタリングして、リップルを約5%以下に維持することをお勧めします(図4)。これにより、モジュールが高い成績係数(COP)で稼働するようになり、近くのコンポーネントとの干渉を最小限にすることができます。

一定の温度を制御するためのペルチェシステムの図図4:一定の温度を制御するためのペルチェシステム。(画像提供:Same Sky)

冷却対象のコンポーネントから熱を除去することに加えて、ペルチェモジュールは電流フローが原因の熱も内部で生成します。この自己発熱は、モジュールが目標よりも低いCOPで稼働する原因になる可能性や、モジュールの熱伝導機能を上回るという問題の原因となる場合があります。

したがって、適切なモジュールおよびヒートシンクを選択したり、動作電圧や電流の要件を決定したりするには、システムの設計時に両方の熱源について考慮する必要があります。適切なコンポーネントを選択することにより、ペルチェモジュールシステムは、望ましい熱伝達や、冷却対象コンポーネントに対して目的の動作温度を実現するための優れたソリューションとなることができます。

まとめ

ペルチェモジュールは、電気的な温度制御のための極めて効果的な基盤となりえます。小型で軽量、そして高いCOPで動作する場合に効率的なこのモジュールは、電流源または電圧源を利用して制御することができます。デバイスの動作温度を周囲温度より低く維持することができる、効果的な熱管理ソリューションを構築するのに必要となるのは、このモジュールのほか、少数の標準コンポーネントのみです。これらのデバイスの使用法を理解することは、さまざまなプロジェクトに対応するための貴重なスキルになります。Same Skyのペルチェモジュールは豊富な動作性能やサイズが特長で、新たな熱管理システムを設計する設計者に多様な選択肢を提供します。

 

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著者について

Bruce Rose, Same Sky

この記事は、Same Skyの主任アプリケーションエンジニアであるブルース・ローズ氏によって執筆されました。