SWaP-C向け高信頼性コネクタの選択と適用ガイド
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2025-01-02
防衛および航空宇宙アプリケーション向けのシステム設計者は、サイズ、重量、電力、コスト(SWaP-C)の最適化に関してますます厳しくなる要件に直面しています。 設計がより複雑かつコンパクトになるにつれ、設計者はこれらの要件と高性能および信頼性のバランスを取らなければなりません。 従来のコネクタでは、これらの相反する要件を満たすのが難しいことが多いため、設計者はシステム設計および性能要件を満たす代替品を探す必要があります。
この記事では、SWaP-C向けに特別に設計された先進的なコネクタ技術が、防衛および航空宇宙アプリケーション特有のニーズにどのように対応できるかを探ります。 また、Harwinの高信頼性ソリューションを取り上げ、それらがさまざまな防衛および航空宇宙のシナリオでどのように適用され、信頼性の高いSWaP-C性能を実現しているかをご紹介します。
コネクタの小型化を推進する要因
マルチスペクトルイメージングにアップグレードされた潜水艦ペリスコープシステムから、拡大するセンサアレイを搭載した無人航空機(UAV)に至るまで、限られたスペースにおける高度な電子機器への要件は年々複雑化しています。 部品サイズを最小限に抑えることで、センサやその他の機能を追加し、システム能力と空力性能を向上させることができます。
コネクタは、従来から、かさばる部品の1つであり、小型化を成功させるためには不可欠な部品です。 コネクタの小型化には、極端な条件下でも耐久性を維持し、一貫した電気的性能を確保しながら、コンタクトピッチを縮小し、重量を低減することが求められます。
Harwinは、SWaP-Cの最適化を目的として特別に設計された包括的なコネクタファミリで、これらの課題に対応しています。 同社のアプローチは、次の3つの主要な設計原則に基づいています。
- 高い通電容量を維持しながら、ピッチサイズを最小1.25mmまで縮小
- マルチフィンガーベリリウム銅コンタクトを使用し、過酷な条件下でもシグナルインテグリティを確保
- 耐久性のために軽量金属を選択的に使用した高温熱可塑性プラスチックハウジングを採用
この設計哲学は、高密度信号コネクタから混合技術および高出力ソリューションまで、同社の高信頼性製品ファミリ全体にわたって適用されています。
コネクタの軽量化がモビリティと効率に与える影響
軽量化は、SWaP-Cの最適化において、特に航空およびモバイルアプリケーションでは極めて重要です。 部品を軽量化することで、飛行時間や操縦性を向上させるとともに、より多くの装備を搭載できるようになります。
最新の超小型コネクタは、戦略的な材料選択により、従来の産業用コネクタと比較して大幅な軽量化を実現できます。 たとえば、ガラス充填高温サーモプラスチックを主要ハウジングに使用することができます。 同時に、設計者は、電磁妨害(EMI)や無線周波数干渉(RFI)の保護や機械的耐久性のために金属が必要な場合にのみ、選択的に軽量アルミ合金を採用することができます。
従来の設計では金属部品に大きく依存していた大電流アプリケーションでも、これらの材料の組み合わせにより、コネクタの質量を最小限に抑えながら、堅牢な電気的および機械的性能を維持することができます。
信頼性を損なうことなくコネクタのコストを管理
SWaP-C設計では、コスト削減と高い信頼性のバランスを取ることは、ミッションクリティカルなシステムの設計者にとって継続的な課題となっています。 コネクタの場合、これは最小限のコストで長期的な耐久性を確保できる設計と材料を選択することを意味します。
コスト管理の重要な戦略は、初期の部品価格だけでなく、総所有コストに焦点を当てることです。 高信頼性コネクタは初期費用が高くなる場合もありますが、耐用年数が長く、メンテナンスの要件が少ないことから、長期的には大幅なコスト削減につながります。 これは、コネクタが高振動、温度変動、繰り返される嵌合サイクルなどの過酷な条件に耐えなければならない用途で特に有益です。
さらに、標準化されたモジュラーコネクタ設計は、統合や交換が容易であるため、生産コストやメンテナンスコストを削減することができます。 一般的な業界標準に適合するコネクタは、互換性と合理的な在庫管理を可能にし、製品ライフサイクル全体にわたる費用を削減します。
電力供給とサイズのバランス
コネクタは電源管理においても重要な役割を果たします。 課題は、コンパクトなフォームファクタを維持し、電力損失を最小限に抑えながら、大きな電力負荷に対応できるコネクタを開発することにあります。 高信頼性コネクタは、効率的な電力伝送をサポートし、発熱を最小限に抑え、電気アーク放電を防止する必要があります。同時に、最新のシステム設計におけるスペースと重量の制約を満たさなければなりません。
効率と信頼性を達成するには、低抵抗を実現する材料とコンタクト設計が必要です。 堅牢なコンタクトメッキ、高度な絶縁、最適化されたコンタクト形状を特長とするコネクタは、過酷な動作条件下でも安定した電力を供給することができます。
重要な考慮事項は、信号と電源の接続を1つのコンパクトなコネクタに統合することです。 信号ラインと電源ラインを統合することで、コネクタのフットプリント全体が縮小され、貴重なスペースが確保されますが、電源経路と信号経路の間の潜在的な干渉を管理するという課題も生じます。
アプリケーション例:ジェット戦闘機のコックピット
典型的な使用事例を検証することは、これらの設計原則が実際にはどのように機能するかを理解するのに役立ちます。 たとえば、ジェット戦闘機の照明制御ユニット(LCU)には、さまざまな飛行条件や任務にわたって照明を管理するための信頼性の高いコネクタが必要です。 これらのシステムは、コックピット、外部、暗視、非常用照明を制御し、高密度な環境内で可変の照明強度を提供できる部品を必要とします。 LCUの限られたスペースには、性能を損なうことなく効果的に統合できる薄型部品が必要です。
1.25mmピッチのHarwin Gecko SLコネクタは、Micro-Dコネクタよりも75%軽量で45%小型の軽量なソリューションを提供します。 これにより、LCUなどの高密度な環境に特に適しています。 Gecko SLファミリの主な特長は以下の通りです。
- 単独でコンタクトあたり2.8A、すべてのコンタクト同時で2.0A
- 高信頼性向けの4フィンガーベリリウム銅コンタクト設計
- ガラス充填サーモプラスチックUL94V-0(ハロゲンおよび赤燐フリー)
G125-MC10605M1-0150Lは、個々のワイヤリードで終端する6極プラグを特長としています(図1)。 その他にも幅広いアセンブリスタイルが利用可能であり、電気的導通、ケーブル保護、効果的なEMI/RFIシールドを強化する軽量アルミフードも用意されています。
図1:Gecko SLコネクタは、ジェット機のコックピットなどスペースが限られた環境に役立ちます。G125-MC10605M1-0150Lは、個々のワイヤリードで終端する6極プラグを特長としています。(画像提供:Harwin)
コンパクトなサイズに加え、Gecko SLコネクタは非常に頑丈です。 最大100gの衝撃に6ミリ秒(ms)耐え、20gの振動に6時間耐えるため、航空宇宙環境に最適です。 これらのコネクタは、メンテナンスの多いアプリケーションで一般的な要件である、1000回の嵌合サイクル定格を備え、信頼性を確保しています。
アプリケーション例:ミックスドシグナルUAVコネクタ
もう1つの例として、防衛環境で運用されるUAVには、過酷な条件下でも機能を維持する頑丈でコンパクトなコネクタが必要です。 これらの車両は大きな振動や衝撃を受けるため、車載システムのシグナルインテグリティは極めて重要です。
HarwinのDatamate Mix-Tekコネクタは、電源ラインと信号ラインを1つのコンパクトなパッケージに統合することで、これらの課題に対応しています。 このスペース効率に優れた設計は2mmピッチで、プリント回路基板上に部品を追加するための十分なスペースを確保し、最終的にUAVの機能と性能を向上させます。 これらのコネクタは、信号コンタクトで6ミリオーム(mΩ)、電源コンタクトで25mΩという低い接触抵抗値により、電力と信号の損失を最小限に抑えます。 500回の嵌合サイクル定格により、頻繁なメンテナンスと再接続を必要とするアプリケーションで耐久性を確保します。
たとえば、M80-5T10805M1-02-331-00-000は、各20Aを処理する2つの電源コンタクトと、各3A定格の8つの信号コンタクトを組み合わせたものです(図2)。 この構成は、ほとんどのUAVアプリケーションにおける重要なシステムの電力要件と、制御および通信に必要なデータ要件をサポートします。
図2:M80-5T10805M1-02-331-00-000コネクタは、UAVなどのスペースに制約のある用途向けに、2つの電源コンタクトと8つの信号コンタクトをピッチ2mmで1つのハウジングに組み合わせています。(画像提供:Harwin)
アプリケーション例:高出力UAVバッテリ
防衛に特化したUAVは、大きな電力を必要とすることが多く、数十~数百キロワットの電力を供給するバッテリシステムで動作します。 これらのバッテリをモータなどの重要部品に接続するコネクタは、電力損失を最小限に抑えながら、高電流を確実に処理する必要があります。
HarwinのKona高信頼性コネクタは、1コンタクトあたり60Aおよび3000Vを処理することで、これらの要件に対応します。 その8.50mmピッチは、防衛グレードの堅牢性を維持しながら、大きな電力負荷をサポートします。 接触抵抗は2mΩで、電力損失を最小限に抑えます。
その好例がKA1-MV10205M1(図3)です。このコネクタは、合計最大電流容量120Aの2つのオスコンタクトピンを備えています。このコネクタは、SWaP-C要件を満たしながら堅牢な電力供給を必要とするUAVのバッテリ接続に最適です。
図3:KA1-MV10205M1コネクタは、1コンタクトあたり60A、3000Vの定格で、高衝撃条件下でも安定性を実現する6フィンガーのコンタクト設計を採用しています。(画像提供:Harwin)
Konaコネクタは、金メッキを施したベリリウム銅コンタクトを使用し、高衝撃条件下でも安定した接続を実現する6フィンガーのコンタクト設計を採用しています。ピッチは8.5mmです。 アルミ合金製バックシェルとステンレススチール製スクリューロックにより、軽量で耐久性に優れた設計を実現しています。
まとめ
SWaP-C最適化の多様な要件をバランスよく満たすには、適切なコネクタの選択が極めて重要です。 Harwinの先進的なコネクタソリューションは、小型化、軽量設計、電力効率、耐久性の組み合わせが可能であることを実証しており、設計者は航空宇宙および防衛アプリケーションの複雑な要件を満たすことができます。
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