インテリジェントエッジで費用対効果の高いマシンビジョン:インダストリ4.0用SICK sensingCam SEC100

著者 Aharon Etengoff

DigiKeyの北米担当編集者の提供

マシンビジョンは産業オートメーションの重要な実現手段です。これにより、ロボットシステムはプロセスの監視、品質検査、イベントの文書化を迅速かつ正確に行うことができます。SICKsensingCam SEC100シリーズは、目視検査と監視向けの費用対効果の高いソリューションです。IP65定格のコンパクトな2つのモデルで幅広いインダストリ4.0アプリケーションをサポートします。ベースモデル(1143217)は、高解像度のストリーミングとスナップショットキャプチャを提供します。SEC110のバリエーション(1144993)には、トリガ前後の映像を保存するイベント録画機能が追加されており、計画外の停止に対するリアルタイムの不具合解析や診断が容易になります。

この記事では、SEC100シリーズが性能、柔軟性、手頃な価格のバランスを取ることで、インテリジェントエッジにおけるマシンビジョンの導入をいかに簡素化・加速できるかについてご紹介します。2つのカメラモデルを比較し、統合とセットアップ機能を検証するとともに、産業オートメーションにおける実用的な使用例を取り上げます。さらに、工場や倉庫がビジョンシステムをいかに効率的かつコスト効率よく統合できるかについてもご紹介します。

インダストリ4.0のエッジコンピューティングにおけるマシンビジョンの役割

センサやカメラなどのデジタルシステムを物理的インフラと統合することは、インダストリ4.0の基盤となります。視覚データをリアルタイムでキャプチャし、解釈するマシンビジョンは、工場や倉庫など多くのスマート施設で重要な役割を果たしています。自動ガイダンスシステム、品質管理、不具合検出、プロセス監視をサポートします。

分散型エッジシステムへのシフトは、イメージング、解析、推論を自動操作に近づけます。データをソースまたはソースの近くで処理することで、データの移動を最小限に抑え、待ち時間を短縮し、集中型またはクラウドコンピューティングのリソースへの依存を減らすことができます。図1に示すように、SICK sensingCam SEC100などのコンパクトなデバイスは、エッジの機械、生産ライン、モバイルプラットフォームに直接ビジュアルインテリジェンスを組み込みます。また、スタンドアロンの監視ソリューションとしても使用できます。

画像:SICKのsensingCam SEC100産業用カメラ図1:SICK sensingCam SEC100産業用カメラは、コンパクトなIP65定格のハウジングに、高解像度の視覚監視用5MP CMOSセンサを搭載しています。(画像提供:SICK)

この効率的で費用対効果の高いアプローチにより、応答時間の短縮、堅牢な自動化、インダストリ4.0アプリケーションへのマシンビジョンの広範な導入が容易になります。

ストリーミングとイベント録画

SICK sensingCam SEC100シリーズには2つのモデルがあります。各モデルは、自動化チームが特定の検査・監視要件に対応する柔軟性を提供します。どちらのカメラも高解像度の5MP CMOSセンサを搭載しており、産業施設において詳細で信頼性の高いイメージングを実現します。

SICK sensingCam SEC100 1143217は、静止画キャプチャとRTSPまたはMJPEG経由のリアルタイムストリーミングをサポートし、H.264、H.265、Motion JPEGなどのビデオ圧縮オプションにより、帯域幅とストレージ効率を最適化します。自動化された生産システムにおいて、ライブモニタリング、プロセス文書化、死角観察に効果的なビジュアルカバレッジを提供します。ユーザーは、JPEGスナップショットをローカルに保存したり、FTP経由でアップロードしたりすることができ、本格的なビジョン解析の複雑さなしに信頼性の高い文書化を実現できます。

SEC110(1144993)は、イベント録画機能を追加することにより、この機能を拡張します。トリガイベントの前後40秒のビデオクリップを自動的に保存し、映像をMP4形式で保存することで、イベント後の解析用にタイムスタンプ付きの共有しやすい録画を提供します。この機能は、不具合、ジャム(詰まり)、またはプロセスの逸脱に関連する重要な運用状況をキャプチャし、作業者が断続的なエラーや予定外の生産停止を特定して解決するのに役立ちます。REST APIまたはデジタル入力を介して起動するイベントトリガは、PLC、センサ、その他の自動化インフラとの柔軟な統合を容易にします。

SICK sensingCam SEC100の両モデルは、インダストリ4.0の幅広いアプリケーション要件に対応するため、複数の解像度とフレームレートをサポートしています。フル解像度(2,880 x 1,616ピクセル/25fps)、フルHD(1,920 x 1,080/30fps)、720p(1,280 x 720/30fps)のビデオをキャプチャします。ユーザーは、必要に応じて帯域幅、ストレージ、画質を最適化するために、フレームレートを5~30fpsの間で調整できます。82° x 52°の広い視野と300mmから10,000mmの作動距離により、近距離と広範囲の両方の監視を柔軟にサポートします。

ライブストリーミング(両モデル)およびイベントベースのキャプチャ(SEC110のみ)をサポートするSEC100シリーズは、カメラの機能を、特定のインダストリ4.0要件に適合させます。たとえば、視覚的なトレーサビリティの維持、リアルタイムの観察、バッファリングされた録画を使った根本原因の診断などがあります。

シームレスな統合と迅速な導入

SICK sensingCamの両モデルは、IP65定格のコンパクトなハウジング(57.5mm x 49mm x 33.6mm、120g)により、外付けのエンクロージャや追加の保護ケースが不要なため、インダストリ4.0施設にシームレスに統合できます。フットプリントが小さいため、狭いエンクロージャ、ロボットアーム、生産ラインにも簡単に設置できます。図2に示すように、電源とEthernet用のM12丸型コネクタは、堅牢で振動に強い接続性を確保し、標準の取り付けブラケットは複数の設置オプションをサポートします。

画像:SICK sensingCam SEC100産業用カメラのM12コネクタ図2:SICK sensingCam SEC100産業用カメラには、電源とEthernet用のM12丸型コネクタが組み込まれています。(画像提供:SICK)

作業者は、内蔵ウェブサーバと標準ブラウザインターフェースを介してSEC100シリーズを設定し、ストリーミングプロトコル、スナップショットモード、ストレージ設定を直接制御することができます。SEC110はさらに、イベント録画用のトリガロジックを備えています。カメラはDHCPとスタティックIPアドレス指定の両方をサポートし(デフォルトのスタティックIPは192.168.136.100)、フラットまたはセグメント化された産業用ネットワークへのシームレスな統合を可能にします。各ユニットは100Mビット/秒のデータを100Base-TX Ethernetで転送します。REST APIは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、製造実行システム(MES)、その他のカスタマイズ可能な制御アーキテクチャとの相互運用性を容易にします。

SEC100シリーズは、12VDCから24VDCで動作し、標準の消費電力はわずか2Wで、全入力範囲にわたって効率を維持します。±10%の電圧許容差と推奨1Aヒューズ保護により、産業用電源の変動に対する信頼性を提供します。各カメラは6GBのオンボードメモリを搭載し、画像やビデオをローカルに保存できます。また、広角レンズと調整可能な露出設定により、さまざまな照明や環境条件下でも鮮明な画像を得ることができます。

実際の使用例:ロボティクスから不具合解析まで

マシンビジョンは、もはやハイエンドのインダストリ4.0検査システムに限定されるものではありません。多くの工場や倉庫では、SEC100シリーズなどのコンパクトなエッジカメラが、ロボット、コンベア、包装ラインに視覚的インテリジェンスを付加しています。これらのシステムは、最小限のハードウェアと設定作業で、プロセスの文書化、不具合検出、トレーサビリティをサポートします。

ロボットのピックアンドプレースシステムでは、SEC100が部品のミスアライメントや落下を監視します。システムが意図したとおりに機能していることを視覚的に確認したり、機械的な不具合をチームに知らせたりします。コンベアラインでは、バッチ検証やバーコードロギングのために、通過するアイテムのスナップショットをキャプチャします。自動組立ステーションでは、カメラが視覚データを録画し、トレーサビリティと品質管理をサポートします。これらの機能は、コンプライアンスのために画像ログが必要とされる可能性のある、電子機器製造や食品・飲料製造において特に重要です。

SEC110のイベント録画機能は、予測不可能な不具合の診断に役立ちます。ジャム(詰まり)が緊急停止を引き起こした場合、カメラはイベントの前後40秒に何が起こったかをキャプチャします。この録画ウィンドウは、不具合に至るまでの経緯と不具合発生後の状況把握に不可欠なコンテキストを提供します。これにより、チームはセンサのログや作業者の記憶に頼ることなく根本原因解析を行うことができます。これは、包装・ラベリング・選別などの高スループットアプリケーションにおいて極めて重要な機能となります。

図3に示すように、SEC100シリーズは頑丈なハウジングが特長で、倉庫の自動化ゾーン、物流センター、工場などの埃や水しぶきが発生しやすい環境でも確実に動作します。

画像:SICKのsensingCam SEC100産業用カメラ図3:SICKのsensingCam SEC100産業用カメラは、 厳しい産業環境向けに設計されています。(画像提供:SICK)

動作温度範囲は0°Cから+50°Cで、+10°Cから+40°Cの間で最適な画質が得られます。湿度耐性は最大90%で、過酷な産業環境でも安定した性能を発揮します。この耐熱性と耐湿性の組み合わせにより、高温の製造現場、屋外の荷物搬入口、製造中に温度変化の激しい施設でも信頼性の高い動作を実現します。

よりスマートな自動化を効率的かつコスト効率よく実現

多くのマシンビジョンシステムは、特殊なソフトウェア、カスタムインテグレーション、多額の設備投資を必要とします。これらの要因により、小規模またはリソース制約のある自動化チームには、マシンビジョンシステムが利用できないことが多々あります。SICK sensingCam SEC100シリーズは、インダストリ4.0マシンビジョンの民主化に貢献します。リアルタイムストリーミング(両モデル)、イベントベースの録画(SEC110)、オンボードストレージをコンパクトな構成済みフォームファクタで提供し、導入の簡素化と効率的な拡張を実現します。

図4に示すように、工場や倉庫チームは、システムアーキテクチャを見直したり、長い調達リードタイムを待つことなく、ビジョン機能を簡単に追加することができます。

画像:SICK sensingCam SEC100産業用カメラは迅速に設置可能図4.SICK sensingCam SEC100産業用カメラは、標準のブラケットとコネクタで迅速に設置でき、既存の自動化システムへの統合を効率化します。(画像提供:SICK)

このカメラには、オンボード設定ツールや統合ストリーミングプロトコルなど、目視検査や監視に必要なものがあらかじめ搭載されています。このプラグアンドプレイ対応により、システムの複雑さが軽減され、学習曲線が短縮されます。ほとんどのユーザーは、マシンビジョンの広範な専門知識がなくても、ストリーミングタスク(両モデル)またはイベント録画タスク(SEC110のみ)の設定と検証を行うことができ、プロトタイピング、テスト、導入の迅速化が可能です。

SEC100は、レトロフィットや段階的なアップグレードのために、最小限の配線やダウンタイムでレガシー機器にインテリジェンスを追加する実用的な方法を提供します。このアプローチは、既存のシステムの耐用年数を延ばすと同時に、資本経費とエンジニアリングの労力を削減します。

スケーラブルなエッジベースビジョンアーキテクチャのサポート

SEC100は、分散型の軽量ビジョンツールが機械やプロセスの近くに導入される、インダストリ4.0インテリジェントエッジオートメーションの幅広いトレンドをサポートします。標準通信プロトコル、REST API制御、産業用Ethernetの統合により、カメラは既存のシステムに組み込むことも、スタンドアロンの監視・診断ツールとして使用することもできます。

コストと統合の手間を最小限に抑えることで、SICKは中小規模の製造業者や、包装、食品・飲料、コスト重視の物流業務など、利益率に敏感な分野におけるマシンビジョンへのアクセスを拡大します。SEC100は優れたコストパフォーマンスを実現します。短期間での価値創出、トレーニング負担の軽減、そして汎用性の高いプラットフォームを提供し、特定分野の段階的アップグレードから広範なデジタルトランスフォーメーションまで、よりスマートなエッジオートメーションを可能にします。

まとめ

SICKのsensingCam SEC100シリーズは、コンパクトで堅牢であり、かつ導入が容易なため、自動化施設に費用対効果の高いマシンビジョンをもたらします。リアルタイムストリーミング、オプションのイベントベース録画(SEC110)、エッジインフラへのシームレスな統合により、SEC100は診断を加速し、トレーサビリティを効率化するとともに、幅広いインダストリ4.0アプリケーションでスケーラブルな自動化をサポートします。

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Aharon Etengoff

Aharon Etengoff is a technology writer with extensive experience in the semiconductor and telecom sectors. He develops white papers, technical articles, and high-level collateral for leading companies in both industries. His work has appeared in publications such as EE World Online, EV Engineering, and 5G Technology World. Aharon has written about HBM and GDDR memory, interface and security IP, AI-powered EDA tools, chiplets, 3DIC, and 5G wireless networks. Earlier in his career, he was the managing editor of TG Daily, where he led a team covering emerging tech trends.

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