コントラスト比の思い込みを再考する
コントラスト比は、民生用電子ディスプレイの画質を定義付ける重要な測定値の1つです。最も単純な定義では、コントラスト比は、ディスプレイが生成できる最大光量と最小光量の関係です(たとえば、最も白い白と最も濃厚な黒)。通常、コントラスト比は高い方が望ましく、黒と白の差が大きいディスプレイのほうがくっきり鮮明に見えます。しかし、この数値の読み方は、特に異なるディスプレイ技術間で比較する場合、注意する必要があります。現在のほとんどの標準的なコントラスト測定に用いられる環境は、実際に画面を表示する照明条件を常に反映しているわけではありません。各種の測定基準は、ホームシアタエクスペリエンス(完全な暗闇)のために作成されています。つまり、スクリーンといえば大型テレビの画面が真っ先に頭に浮かぶ時代に生まれたもので、ポケットやバックパックに入れて、どこにでも持って行くスクリーンのことは考えられていません。
コントラスト比の概要
コントラスト比には、通常、3種類の測定法と発表値があります。
- 静的コントラスト比 - 特定の輝度設定でディスプレイが同時に表示できる白と黒の領域の光強度の比率です。
- 動的コントラスト比 - これは、白の全画面と黒の全画面の光強度の間で測定された比率です。大きな違いはないように見えますが、暗いシーンでバックライトを暗くしたり、明るいシーンでバックライトを上げたりして、信じられないほど大きな数値を得ることができるため、多くのディスプレイ技術の間でこの数字が「駆け引き」に使われることがあります。通常、この数字は広告に載っています。
- ANSIコントラスト比 - この場合の測定は、黒と白の光度値が同時に測定され、平均化される市松模様のテスト画像で行われます。これは、上述の静的コントラスト比の標準化バージョンであり、通常はプロジェクタの比較に使用されます。
さて、この3者に共通しているのは何でしょう?これらの測定はすべて真っ暗な部屋で行われます。勘案すべき周囲照明はありません。したがって、ほとんどのテレビ以外のディスプレイの実際の設定は、これらのテストではまったく考慮されていません。それが現実からかけ離れている場合、どんな測定基準が良いでしょう?
周囲光を考慮に入れる
私がいるFLExでは、デバイスの使用方法に関する実際的な問題の解決に取り組んでいます。つまり、充電されたデバイスの電源をより長く保持するにはどすればよいか、そして、実際のあらゆる状況で見やすくするにはどうすればよいか、といった取り組みです。その中には、環境光を有効にすることが含まれています。コントラスト比を測定するときは、あらゆる種類の条件で行われることを確認し、印象的な数値を画策するために要約されないようにしています。
周囲光がまったくないので、理想的なテスト条件とは言えません。(画像提供:FLEx)
周囲光の下での現実的なテスト条件。(画像提供:FLEx)
コントラスト比:透過型LCDと反射型LCD
想定:
10インチ、4:3型タブレット
上部ARガラス反射2%
最小50Nit(cd/m²、カンデラ毎平方メートル)
透過型LCD:
透過率10%
170%ゲインBLU(バックライトユニット)、DBEF(デュアル輝度向上フィルム)
80%光学効率の光導体
反射型LCD:
周囲反射7%(CR 5:1)
直接反射18%(CR 40:1)
理想的な照明でのFLP(フロントライトパネル)
80%光学効率の光導体

この表は一般向きではないかもしれませんが、いくつかのことを明らかにしています。周囲光は、消費電力と読みやすさの点でコントラスト比に極めて大きな違いをもたらします。
そのため、デバイスに新しいディスプレイを追加する場合、RLCD(反射型LCD)が適切な選択になるかもしれません。すべてのデバイスが完璧な照明環境で使用されるわけではありません。ほとんどの場合、デバイスは柔軟性を考慮して設計する必要があります。
FLExは前進中
デバイスメーカーが肝に銘じるべきは、ディスプレイの品質指標のほとんどは、画面の感じ方がまったく異なるときのものであるということです。「洞窟男」ないし「地下部屋男」に超大型テレビを提供することを検討しているなら、それでもよいでしょう。しかし、それ以外のすべての場合、データは無意味であり、実際のユースケースに一致するデバイスの革新と創造からデバイスメーカーを遠ざけてしまいます。FLExでは、屋外で使用したり、長時間充電を続ける必要がある医療機器や産業機器の品質を劇的に向上させるために、画面のあらゆる使用方法について考え始めたばかりだと認識しています。洞窟から出て外を歩き回りたいアウトドア派のためのに、気象技術やGPS技術の助けを借りた数多くの民生アプリケーションがあります。そしてそこには、旅行に行く準備ができたタブレットもあります。私たちはあらゆる可能性に期待をふくらませており、これらすべての新しい発見の前にいることに絶えず誇りにしています。
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