シングルペアEthernetアプリケーションの設計に不可欠なコンポーネント

グローバルな産業用IoT(IIoT)市場では、メーカーやソリューションプロバイダが自動化、リアルタイムの監視、データ収集の強化を追求し、より多くの機械やセンサをインターネットに接続しようと取り組むことで、毎年2桁の成長率で成長し、2029年までには596億ドル市場に達すると予測されています。シングルペアEthernet(SPE)技術は、センサ、アクチュエータ、カメラ、ディスプレイ、コントローラ、ゲートウェイ、スイッチなどのアプリケーションの需要を開拓する新たな機会を製品設計者にもたらします。

10Mb/秒SPEのIEEE 802.3cg標準を開発したタスクフォースは、産業用ネットワーキングのエッジにおける「Ethernetギャップ」への対応に重点を置いていました。非Ethernetフィールドバスは、経済的かつ設置が簡単で、ノイズの影響を受けにくく、ネットワーク上での電力伝送が容易であるなどの理由から、オートメーションネットワーク接続の主流となっています。

4ペアのツイスト導線を使用する従来のEthernetとは異なり、SPEは、10Base-T1Lを使用する産業用アプリケーション向けには、1ペアを使用して1,000メートルもの距離にわたって10Mbpsでデータを伝送します。SPEをシングルペアPower over Ethernet(SPoE)と組み合わせることで、IIoTデバイスへの電力供給とデータ伝送を同時に行うことができます。

SPEとSPoEは、共通の物理層(PHY)、標準化されたネットワークインターフェースカード(NIC)、Ethernet上で相互作用し通信するデバイスを開発するベンダーの柔軟性向上といったメリットを産業オートメーションにもたらします。データと電力の両方を長距離伝送できるため、機器との通信が容易になり、センサやその他の機器のバッテリの必要性も軽減されます。

SPEは、ソリューション設計者やお客様に、ケーブルの軽量化とコスト削減、既存のEthernetインフラとの互換性、業界標準技術の拡張における柔軟性の向上などの利点を提供します。SPEアプリケーションの設計における課題としては、電磁干渉、信号の完全性、電力供給、熱管理の問題の克服などが挙げられます。

SPEアプリケーションに必要なコンポーネント

10Base-T1L SPEアプリケーションの設計には、コモンモードチョーク(CMC)、差動モードインダクタ(DMI)、絶縁カップリングインダクタなど、電源とデータの完全性、絶縁、ノイズフィルタリングを確保するために組み合わせる複数のコンポーネントが必要です。TDKは電力送電の有無にかかわらず、産業用SPEを実装するために必要なすべてのインダクタを提供する最初のサプライヤです。

10Base-T1Lを制御要素とセンシング要素または動作要素間のデータ転送のみに使用することを計画している場合、設計者はノイズを除去するCMCのみを利用できます。TDKのRCM70CGI-471(図1)は、ライン上に結合された非対称干渉を抑制する一方で、データ信号が影響を受けることはありません。この製品は温度範囲-40~+125°Cで動作し、定格電圧は80VDCです。

図1:TDKの干渉抑制用RCM70CGIコモンモードチョーク。(画像提供:TDK)

パワーオーバーデータライン(PoDL)アプリケーションの場合、設計者は、インピーダンスを低減し、電力伝送の完全性を確保するために、TDKのPID75-650M(図2)などの差動モードインダクタも取り込む必要があります。こちらの定格インダクタンス値は2 x 65μHで、DC抵抗は低く、最大+150°Cの温度で動作します。

図2:TDKのPID75-650M差動モードインダクタは、インピーダンスを低減し、電力伝送の完全性を確保します。(画像提供:TDK)

安全性が重要でガルバニック絶縁が必要な実装の場合、設計者はデバイス間で不要な電流が流れるのを防ぐために、CMCとDMIを絶縁結合インダクタで補完する必要があります。TDKのICI70CGI-222(図3)は、定格インダクタンスが2.2mH、浮遊容量が20pF未満、耐電圧は最大2250VDCです。

図3:ICI70CGI絶縁インダクタ。(画像提供:TDK)

まとめ

TDKの産業用SPEインダクタは、ファクトリオートメーション、ビルディングオートメーション、輸送、エネルギー、ヘルスケアなどのアプリケーション向けのSPEデバイスの開発を可能にします。IEEE 802.3cg、IEEE 802.3bu、IEEE 802.3bwなどの通信プロトコルをサポートすることにより、SPEアプリケーションは、より高い柔軟性、ケーブル配線コストの削減、軽量化を実現し、Ethernetインフラを拡張することができます。

著者について

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Pete Bartolikはフリーライターで、20年以上にわたってITとOTの問題や製品について研究し、執筆してきました。それ以前は、IT管理専門誌『Computerworld』のニュース編集者、エンドユーザー向け月刊コンピュータ誌の編集長、日刊紙の記者を務めていました。

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