PCB回路でレバー式端子台を選ぶ理由

著者 Poornima Apte氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

電子回路の構成単位であるプリント回路基板は、多くの部品から構成されています。 端子台は、電気回路や電子回路で2本のワイヤまたはワイヤと基板を接続する部品の1つです。 端子台の選択基準は、電気的、機械的、その他のさまざまな要素によって決まります。

端子台の使用を促進するコンピューティングエコシステム

従来型の製造ラインで操業していた企業も含め、多くの企業がデータ主導型になるにつれ、この変化に対応するために産業用IoT(IIoT)が成長しています。 世界のIoTデバイスの数は、2030年までに400億台に達すると予想されています。

IoTの成長に加え、以下のようなトレンドにより、さまざまな電気・電子部品の需要が増加しています。

  • インダストリ4.0および5.0:IIoTとロボットは、高度な製造の基盤です。 どちらも、機械データを読み取り、処理のための情報を中継する多数のセンサと電子機器を必要とします。 産業オートメーションの成長は、電子回路と、それに対応する端子台の需要を後押ししています。
  • IIoTの運用では、データをクラウドに送って処理を行ってきましたが、リアルタイムで瞬時に意思決定を行う必要性が出てきたことで、状況は変化しています。 エッジでのAIの利用により、高性能コンピューティングの需要が高まり、その結果、高度で複雑な回路が必要とされています。
  • 脱炭素化と経済の電化:脱炭素化に向けた取り組みが強化されるにつれ、電気自動車やハイブリッド車、電力網など、さまざまな用途でより多くの電気回路が使用されるようになります。

電気および電子回路の成長というより広範な背景を踏まえると、端子台の需要も増加すると考えられます。 端子台の世界市場は、2027年までに52億ドルに達し、年平均成長率(CAGR)5.7%で成長すると予測されています。

端子台の接続機構

端子台はさまざまなカテゴリに分類されますが、その際の特徴的な要素の1つが接続に使用される機構です。 ネジ式端子台は、ネジでワイヤを固定します。 プッシュボタン式機構では、ボタンを押し下げ、ワイヤを挿入し、ボタンを離すとワイヤが固定されます。

プッシュイン式端子台では、ユーザーは単にワイヤを押し込むだけで、スプリングクランプがワイヤを固定します。 これが、WAGOの特許取得済みPush-In CAGE CLAMP®接続技術を使用した2601シリーズ レバー付きPCB端子台の仕組みです。接続するには、ユーザーはワイヤを所定の位置に押し込みます。 ワイヤを外すには、ユーザーがレバーを上に跳ね上げてクランプの圧力を緩めます(図1)。 レバー式端子台は、跳ね上げと跳ね下げという簡単な操作で、簡単に素早く使用できます。

画像:端子台のレバー図1:端子台のレバーは、ワイヤをクランプして固定するシンプルな機構により、素早く簡単な接続を実現します。(画像提供:WAGO)

レバー式接続の利点

レバー操作型端子台は、他のロック機構と比較して、以下のような多くの利点があります。

  • 工具不要:ワイヤを締め付けるのにドライバーを使用する必要がないため、組み立てが迅速かつ効率的に行えます。 現場での設置やラボでのプロトタイプ作成など、頻繁な配線変更が必要な用途では、レバー式端子台が特に有効です。
  • ワイヤへの負担が少ない:ワイヤがネジ止めされないため、摩耗や損傷が少なく、機器の寿命が長くなります。 ワイヤの接続や再接続が容易になり、回路への負担が軽減されるため、寿命が延びます。
  • 適切な力加減:端子台接続用のネジ込み式機構では、締め付け過ぎのリスクがあります。 締め付け過ぎによる圧力増加は、ワイヤの損傷を早め、電気および電子部品の寿命を縮める可能性があります。 レバーリリース付きのプッシュイン端子台を使用すれば、ワイヤを固定するために必要な力加減を推測する必要がなくなります。
  • より強力で安定した接続:ネジ込み式の機構では接続が緩むリスクがあり、信号の不具合やデータの損失につながる可能性があります。 プッシュイン式クランプ技術を採用した端子台を使用すれば、技術者の熟練度に左右されない安定した接続を実現できます。 安定性と完全な接触による接続により、これらの端子台は、産業用製造や航空宇宙などの高振動環境で特に有用です。
  • 柔軟性と互換性:IoTセンサをより大きな電気回路に統合すると、ワイヤの不均一な組み合わせが生じる可能性があります。これらのワイヤすべてに、データと信号を中継するための接続が必要です。 レバーリリース付きのプッシュイン端子台を使用すると、単線、より線、細より線など、さまざまな種類のワイヤに対応できます。
  • 使いやすさ:端子台ワイヤ用のレバーリリースを備えているため、接続のロック状態やロック解除状態を簡単に把握できます。 視覚的および触覚的な手がかりにより、より簡単に使用でき、複雑な回路をセットアップする際のエラー発生の可能性を低減します。

また、各ブロックユニットのモジュラー構造により、点検やメンテナンスも容易です。 モジュラー設計により、ワイヤの交換も迅速に行うことができます。 技術者は、変更を行う際にボード全体を交換する必要はなく、作業が必要な特定のセクションに焦点を当て、モジュールを選択的に交換することができます。

正しい端子台の選択

回路がより複雑化し、需要が高まる中で、ワイヤを接続する適切な端子台を見つけるには、極端な環境条件下でも機能し、より小型のフォームファクタに収まるユニットに焦点を当てる必要があるでしょう。

端子台を選択する前に考慮すべき基準には、回路が耐えなければならない電流と電圧が含まれます。 設計者は通常、製品を選択する前に、数値に若干の余裕(必要定格の150%)を持たせます。 端子台が収容できる回路数は極数によって決まります。 端子台の電圧/電流許容値、沿面距離などによって端子台のピッチが決定され、これは1つの極の中心と次の極の中心との間の距離です(図2)。 最後に、設計者は端子台のハウジングがワイヤを収容できることを確認する必要があります。ワイヤのサイズは通常、米国ワイヤゲージ規格(AWG)で指定されます。

画像:端子台のピッチ図2:回路設計者が選択基準の1つとする端子台のピッチとは、1つの極の中心と次の極の中心との間の距離です。(画像提供:WAGO)

端子台を選ぶ際には、電気的性能を機械的パラメータやその他の基準と併せて考慮する必要があります。 たとえば、WAGOのレバー付き2601シリーズ PCB端子台はコンパクトで工具不要であり、26AWGから14AWGのワイヤを素早く簡単に終端できます。 WAGOの特許取得済みPush-In CAGE CLAMP®接続技術により、単線やフェルール付き可とうより線を端子台に挿入するだけで接続できます。

PCBに垂直または水平に接続でき、ピン間隔がわずか3.5mmであるため、2601シリーズは基板スペースを最小限に抑えます。 2601シリーズは、WAGOの操作型PCB端子台のラインアップの中でも、性能クラスを問わず、現場でのデバイス接続に最適です。工具不要の配線は直感的で、世界中で使用でき、レバー技術により、接触点は常に安全に保たれます。このシリーズは、電源、制御ボード、デバイス製造/デバイス接続、インターフェースモジュール、センサ、スマートホームなどの用途に適しています。

まとめ

端子台は、複雑な電気および電子回路の完全性と性能を確立するために不可欠です。 設計エンジニアが端子台を選択する際には、用途、電圧および電流の許容値、機械的接続機構など、さまざまな要素を考慮する必要があります。 レバーリリース付きのプッシュイン端子台は、迅速かつ一貫性のある信頼性の高い接続を実現するため、特に作業が容易です。

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著者について

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Poornima Apte氏

Poornima Apte氏はエンジニアからテクノロジーライターに転身しました。専門は、エンジニアリング、AI、IoT、オートメーション、ロボティクス、5G、サイバーセキュリティなど、技術的なトピック全般です。Poornima氏は、インド経済の好景気を受けてインドに移住するインド系アメリカ人に関する独自の報道で、南アジアジャーナリスト協会から賞を受賞しました。

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