積層電池にバッテリ管理ICを使用する理由と方法

著者 Bill Schweber氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

再充電式バッテリは、電気自動車(EV)やハイブリッド電気車(HEV)、電動工具、芝刈り機、無停電電源などのアプリケーションにおいて、より高い電圧やより多くの電力を提供するためにますます使用されています。あらゆる種類の化学物質は、効果的で信頼性の高い安全な動作を保証するために、慎重なモニタリングと管理が必要であることはよく知られています。しかし、これらのデバイスの電力需要を満たすために必要な数十個以上のセルを直列接続したスタックには、特にバッテリあたりのセル数が増加するにつれて、設計者がより注意を払う必要があります。

単一のセルや数個のセルからなる小型バッテリパックのモニタリングと測定は、比較的小さな課題であり、マルチセル直列ストリングのセルに対して同じことを行うよりもはるかに簡単です。積層マルチセル実装の設計者は、高いコモンモード電圧、危険な電圧の存在、1つのセルが故障した際の影響、多数のセルにわたる多重化、セルのミスマッチおよびバランシング、バッテリスタックの温度差などがある中で測定を実施するといった問題を考慮する必要があります。これらには、パラメトリック計測および制御を行うための高度なバッテリ管理IC(BMIC)やバッテリ管理システム(BMS)と、それらを正しく使用するための工学的ノウハウが必要となります。

この記事では、一般的なバッテリ管理、特にマルチセルバッテリの基礎と課題について説明します。さらに、Analog DevicesRenesas Electronics CorpTexas Instrumentsが提供する、直列接続されたセルストリングの管理に特化したBMICを紹介し、その適用方法を示します。

バッテリ直列ストリングがもたらす独自の課題

一般的なバッテリモニタリングでは、バッテリに出入りする電流の測定(燃料の計量)、端子電圧のモニタリング、バッテリ容量の評価、セル温度のモニタリングおよび、エネルギー蓄積を最適化したり、バッテリの寿命期間中の充放電サイクル数を最大化したりするための充放電サイクル管理などが行われます。広く使用されているBMICやBMSは、これらの機能を電圧が1桁の1~2個のセルで構成される小型バッテリパック向けに提供しています。BMICやBMSはデータ収集のフロントエンドとして機能し、そのデータはセル管理コントローラ(CMC)に報告されます。より複雑なシステムでは、CMCはバッテリ管理コントローラ(BMC)と呼ばれるより高次の機能に接続されます。

この記事の目的において、「セル」は個々のエネルギー蓄積ユニット、「バッテリ」は複数のセルを直列/並列に組み合わせた電源パック全体を指します。個々のセルが発生させるのはわずか数ボルトですが、数十個以上のセルで構成されたバッテリパックは数十ボルトを発生させ、バッテリパックを組み合わせると電圧はさらに高くなります。

効果的な管理のために測定すべき重要なセルパラメータは、端子電圧、充放電電流、および温度です。最新のバッテリパックに必要な測定性能はかなり高く、各セルを数ミリボルト(mV)および数ミリアンペア(mA)、約1℃の範囲で測定する必要があります。このように綿密なセルモニタリングを行う理由は、以下の通りです。

  • バッテリパックの残存容量(ランタイム)と全体的な寿命を正確に予測するために、バッテリパックの充電状態(SOC)と健全性状態(SOH)を判断すること。
  • 内部の違いや異なる場所、温度、経年変化などにかかわらず、充電されたセルの電圧を互いに均等にする「セルバランシング」の実施に必要なデータを提供すること。セルバランシングを行わないと、少なくともバッテリパックの性能が低下し、最悪の場合はセルが故障してしまいます。バランシングにはパッシブな手法とアクティブな手法があります。後者の方が多少良い結果が得られますが、よりコストが高く複雑になります。
  • バッテリに損傷を与えてユーザー(自動車やその乗員など)の安全性に対する懸念につながる多くの状況を防ぐことができます。これには、以下のような望ましくないシナリオが含まれます。
    • 熱暴走の原因となる過電圧や、過電流での充電。
    • 不足電圧:1回の過放電では致命的な故障になりませんが、アノードの導体が溶解し始める可能性があります。その後、過放電サイクルを繰り返すと、再充電セルにリチウムメッキが発生し、やはり熱暴走の可能性があります。
    • 過温度はセルの電解質材料に影響を与え、SOCを低下させます。また、固体電解質界面(SEI)の形成を増加させ、抵抗率の増加や不均一、電力損失をもたらします。
    • リチウムが析出して容量が低下するため、過小温度も問題となります。
    • 過電流が流れると、内部インピーダンスが不均一になって内部が加熱され、最終的には熱暴走を起こします。これにより、バッテリ内のSEI層が増加し、抵抗率が上昇します。

たとえば、テストベンチなどの穏やかな環境では、個々のセルの電圧を正確に測定することはかなり簡単ですが、難しい問題もあります。設計者は、フローティング(非接地)またはバッテリ駆動のデジタル電圧計(DVM)を、対象となるセルに接続するだけです(図1)。

フローティングされたデジタル電圧計の画像図1:直列ストリングの任意の単一セルにかかる電圧を測定するには、フローティングされたデジタル電圧計が必要なだけで、概念はシンプルです。(画像提供:Bill Schweber)

しかし、EVやHEVのように電気的にも環境的にも過酷な状況下で、自信を持って安全にそれを行うことは、多くの理由ではるかに困難です。これは、6720個のLi+セルを8つの制御モジュールで管理している代表的なEV電源パックの例からも明らかです(図2)。

直列および並列接続されたセルがモジュール状に配列されている実際のバッテリパックの図図2:実際のバッテリパックは、直列および並列接続されたセルがモジュール状に配列され、大量のエネルギーが蓄えられています。これらは、セル電圧の測定作業が非常に複雑になる要因となっています。(画像提供:Analog Devices)

各セルの容量は3.54Ahであるため、公称の総エネルギー蓄積量は100kWh(3.54Ah×4.2V×6720セル)になります。直列接続された96列には、それぞれ70個のセルが並列に配置されており、バッテリ電圧は403.2V(96列×4.2V)、容量は248Ah(100kWh/403.2Vまたは3.54Ah×70列)です。

問題の中には、次のようなものがあります。

  • 測定システムに過負荷をかけたり、読み取りの有効性に影響を与えたりする高いコモンモード電圧(CMV)の存在により、1桁の低い電圧を測定して数ミリボルト単位で意味のある精度を得る際に、必要な分解能と精度を提供するのは困難です。このCMVは、システムコモン(「グランド」とも呼ばれますが、それは誤用です)に関連して、直列接続されたすべてのセル(測定中のセルまで)の電圧の合計です。なお、EVでは最大96個または128個のバッテリセルを直列に並べることがあり、CMVは数百ボルトにもなります。
  • CMVが高いため、電気的整合性とユーザー/システムの安全性の両面から、セルをシステムの他の部分からガルバニック絶縁する必要がありますが、どちらも完全なCMVにさらされる可能性はありません。
  • 電気的なノイズやサージは、ミリボルトレンジの読み取りを容易に損ないます。
  • セルやバッテリパックの状態を正確に把握するためには、複数のセルを数ミリ秒の間にほぼ同時に測定する必要があります。そうしないと、セルの各測定の間に時間のずれが生じ、誤解を招くような結論や結果となることがあります。
  • セルの数が多いということは、セルと他のデータ収集サブシステムとの間に何らかの多重化配列が必要であることを意味します。さもないと、相互接続配線の規模、重量、コストが法外なものになってしまいます。

最後に、安全性、冗長性、エラー報告に関して、重要かつ必須の考慮事項を満たす必要があります。その基準は業界ごとに異なります。産業用や電動工具の基準は自動車とは大きく異なり、後者の基準が最も厳しいものとなっています。バッテリ管理に関連するようなミッションクリティカルな車載用システムでは、機能の喪失が危険な状況につながらないようにする必要があります。システム内で異常が発生した場合、「安全」状態に必要なのは、電子機器の電源を切り、ダッシュボードのランプや他のインジケータでドライバーに警告することです。

しかし、システムによっては、誤動作や機能喪失が危険な事象につながる可能性があり、単純に電源を切ることができないものもあるため、安全目標には「安全関連の可用性」要求を定義することが含まれる場合があります。このような場合、危険な事象を回避するために、システムのある種の故障に対する許容性が必要になることがあります。

このような安全関連の可用性には、定義された故障条件があるにもかかわらず、基本的な機能や定義された「出口」パスを一定期間提供することが必要となります。安全システムはその期間中、故障を許容しなければなりません。この耐故障性により、許容できるレベルの安全性を保ちながら、システムをより長く機能させることができます。ISO 26262「自動車用機能安全規格」の主要セクションでは、システム開発者向けに安全関連の可用性要求に関するガイダンスが提供されています。

ソリューションを提供するために強化されたIC

ベンダーは、高いCMVと厳しい電気的環境にもかかわらず、直列ストリングの単一セルを正確に読み取るという問題を解決するためにBMS ICを開発しました。これらのICは、基本的な読み取りを行うだけでなく、多重化、絶縁、タイミングスキューなどの技術的問題にも対応します。これらは関連する安全規格を満たしており、必要に応じて、最高かつ最も厳しいレベルである車載用アプリケーション向けのASIL-D認定を受けています。

自動車安全水準(ASIL)は、ISO 26262 – 自動車用機能安全規格で定義されたリスク分類スキームです。これは、IEC 61508で採用されている安全度水準(SIL)を自動車産業向けに調整したものです。

これらのBMSデバイスの「大まかな」機能は類似していますが、アーキテクチャ、処理可能なセル数、スキャン速度、分解能、独自の機能、相互接続の方法などは、ある程度異なります。

絶縁型CANアーキテクチャは、スター構成に基づいています。また、絶縁型CANアーキテクチャの通信線が断線しても影響を受けるICは1つのみであり、残りのバッテリパックは安全に保たれるという堅牢性を持っています。しかし、CANアーキテクチャではICごとにマイクロプロセッサとCANが必要になるため、この方法はコストが高くなるとともに、通信速度も比較的遅くなります。

デイジーチェーンアーキテクチャは、汎用非同期レシーバ/トランスミッタ(UART)をベースにしたデイジーチェーンで、CANの複雑さなしに信頼性の高い高速通信を実現できるため、一般的にコスト効率が高くなります。容量性絶縁が主流ですが、トランスベースの絶縁に対応する場合もあります。しかし、デイジーチェーンアーキテクチャの断線は通信の妨げになるため、このようなデイジーチェーンシステムの中には、断線時にも一部の動作をサポートする「回避策」を用意しているものもあります。

代表的なBMS ICは、以下の通りです。

• Analog DevicesのMAX17843 BMS:MAX17843は、豊富な安全機能を備えたプログラム可能な12チャンネルバッテリ監視データ収集インターフェースです(図3)。これは、車載用システムのバッテリ、HEVバッテリパック、EVなど、最大48Vの2次金属電池の長い直列ストリングをスタックするシステムに向けて最適化されています。

Analog DevicesのMAX17843 12チャンネルバッテリ監視データ収集インターフェースの図(クリックして拡大)図3:MAX17843 12チャンネルバッテリ監視データ収集インターフェースは、複数の安全機能を内蔵しており、車載用のアプリケーションや要件に適しています。(画像提供:Analog Devices)

MAX17843は、高速差動UARTバスを内蔵しており、堅牢なデイジーチェーンによるシリアル通信が可能で、1つのデイジーチェーンに接続された最大32個のICをサポートします(図4)。UARTは容量性絶縁を採用しているため、部品表(BOM)コストの削減だけでなく、FIT(時間あたりの故障回数)率の向上にも貢献します。

容量性ガルバニック絶縁を採用しているAnalog Devicesの12チャンネルMAX17843の図(クリックして拡大)図4:12チャンネルのMAX17843は、デイジーチェーンUART構成で容量性ガルバニック絶縁を採用し、1つのチェーンで最大32個のデバイスをサポートします。(画像提供:Analog Devices)

アナログフロントエンドは、12チャンネルの電圧測定データ収集システムと高電圧スイッチバンク入力を組み合わせています。すべての測定は、各セル間で差動的に行われます。フルスケールの測定範囲は0~5.0Vで、使用可能範囲は0.2~4.8Vです。セル電圧のデジタル化には、高速の逐次比較(SAR)A/Dコンバータ(ADC)を使用し、オーバーサンプリングによって14ビットの分解能を実現しています。12個のセルすべてを、142マイクロ秒(μs)未満で測定することができます。

MAX17843は、セル測定値の収集と誤差の補正のために2スキャン方式を採用しており、動作温度範囲で優れた精度を実現します。セルの差動測定の精度は、+25℃、3.6Vで±2mVと規定されています。Analog Devicesでは、このICを使用したデザインインを容易にするために、セットアップ、構成、評価用にPCベースのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を備えたMAX17843EVKIT#評価キットを提供しています。

RenesasのISL78714ANZ-TISL78714 LiイオンBMS ICは、直列接続された最大14個のセルを監視し、正確なセル電圧と温度のモニタリング、セルバランシング、および広範なシステム診断を提供します。一般的な構成では、マスターのISL78714がシリアルペリフェラルインターフェース(SPI)ポートを介してホストマイクロコントローラと通信し、さらに最大29個のISL78714デバイスが独自の堅牢な2線式デイジーチェーンで接続されます(図5)。この通信システムは柔軟性が高く、最大1メガビット/秒(Mbits/s)でコンデンサ絶縁、トランス絶縁、またはその両方を組み合わせて使用することができます。

RenesasのISL78714がSPIポートを使用して複数のデバイスを接続している図(クリックして拡大)図5:ISL78714はSPIポートを使用して、容量性またはトランスベースの絶縁を選択できる2線式デイジーチェーンで複数のデバイスを接続します。(画像出典:Renesas Electronics Corp.)

初期の電圧測定精度は、20~85℃、1.65~4.28Vの範囲で±2mV(14ビットの分解能)です。基板アセンブリ後のデバイス精度は、±5.0V(バスバーではしばしば負の電圧範囲が必要になります)のセル入力範囲で±2.5mVという厳密なものとなります。

このBMSには、マニュアルバランスモード、タイムバランスモード、オートバランスモードという、3つのセルバランスモードが搭載されています。オートバランスモードでは、ホストが指定した量の電荷がすべてのセルから取り除かれた後にバランシングを終了します。すべての主要機能に対する統合型システム診断には、通信が途絶えた場合のウォッチドッグシャットダウン装置が含まれます。

Texas InstrumentsのBQ76PL455APFCR(および BQ79616PAPRQ1): bq76PL455Aは、高信頼性、高電圧の産業用アプリケーション向けに設計された、16セルの統合型バッテリ監視・保護デバイスです。統合型の高速差動コンデンサ絶縁インターフェースは、最大16個のbq76PL455Aデバイスをサポートし、1つの高速UARTインターフェースを介して、ツイストペアケーブルを備えたデイジーチェーンによって最大1Mbits/sでホストと通信します(図6)。

Texas Instrumentsのbq76PL455A 16セルバッテリ管理ICの図(クリックして拡大)図6:bq76PL455A 16セルバッテリ管理ICは、産業用アプリケーションを対象としており、容量性絶縁を使用して、最大1Mbits/sで通信するツイストペアケーブルを備えた最大16個のデバイスをデイジーチェーン配列で接続します。(画像提供:Texas Instruments)

14ビットADCは内部リファレンスを使用し、すべてのセル出力を2.4ミリ秒(ms)で変換します。bq76PL455Aは、過電圧、不足電圧、過温度、通信障害など、さまざまな障害状態を監視および検出します。外付けのn-FETによる受動セルバランシングに加え、外付けのスイッチマトリクスゲートドライバによるアクティブバランシングにも対応します。

このBMSは、最大16セル未満のストリングスを容易に処理することができます。その際の唯一の制限は、入力を昇順に使用する必要があることで、未使用の入力はすべて、最も使用されているVSENSE_入力の入力と一緒に接続されます。たとえば、13セルの設計では、入力VSENSE14、VSENSE15、VSENSE16は使用されません(図7)。

Texas Instrumentsのbq76PL455Aの図図7:bq76PL455Aは、16セル未満で使用可能です。その場合、使用しないセルの入力は、チェーンの中で最も高いものを使用する必要があります。(画像提供:Texas Instruments)

また、Texas Instrumentsのbq79616PAPRQ1のように、リング構成や双方向通信に対応したICもあります。これにより、システムはバッテリパックの健全性や安全性の状態を継続的に監視することができます(図8)。

双方向リングトポロジに対応しているTexas Instrumentsのbq79616PAPRQ1の図(クリックして拡大)図8:bq79616PAPRQ1は、断線やノードの故障時にリンク接続経路を追加するための双方向リングトポロジに対応しています。(画像提供:Texas Instruments)

この構成で、2つのバッテリ監視ASICの間に障害、オープン、またはショートが発生した場合、制御プロセッサはメッセージングの方向を前後に切り替えることで、すべてのバッテリ監視ASICとの通信を継続することができます。このように、通常の通信に障害が発生しても、リング通信機能の耐障害性を利用してシステムの可用性を維持することができ、バッテリモジュールからの電圧や温度の情報を失うこともありません。bq79616PAPRQ1で実験したいと考える設計者に向けて、Texas InstrumentsはBQ79616EVM評価ボードを提供しています。

Analog Devices, Inc.のLTC6813-1LTC6813-1は車載用認定のマルチセルバッテリスタックモニタで、プログラム可能なノイズフィルタを備えた16ビットデルタシグマADCにより、直列接続された最大18個のバッテリセルを合計2.2 mV未満の測定誤差で測定します(図9)。これは、他のいくつかのICが直接サポートするセル数よりも多いことに注意してください。18個のセルすべてを290μs未満で測定でき、低いデータ収集レートを選択して高いノイズ削減を可能にします。

最も多いセル数(18個)をサポートするAnalog DevicesのLTC6813-1の図図9:LTC6813-1は、最も多いセル数(18個)をサポートし、16ビットADCを使用して2.2mVの精度と高速セルスキャンを実現します。(画像提供:Analog Devices, Inc.)

複数のLTC6813-1を直列に接続することで、長い高電圧バッテリストリングのセルモニタリングを同時に行うことができます。LTC6813-1は、標準的な4線式のSPIと2線式の絶縁インターフェース(isoSPI)という2種類のシリアルポートをサポートしています。非絶縁型の4線式ポートは、短距離のリンクや一部の非車載用アプリケーションに適しています(図10)。

標準的な4線式SPI相互接続をサポートするAnalog DevicesのLTC6813-1の図図10:LTC6813-1は、短距離リンクや一部の非車載用アプリケーション向けに、標準的な4線式SPI相互接続をサポートしています。(画像提供:Analog Devices, Inc.)

1Mbit/sの絶縁型シリアル通信ポートは、単一のツイストペアを使用し、最大100mの距離に対応します。このインターフェースは、ケーブルが高いRFフィールドにさらされた場合でも、低いパケットエラーレートを実現するように設計されているため、電磁妨害(EMI)の影響を受けにくく、エミッションも低く抑えられています。このデイジーチェーンの双方向性により、通信経路の断線などの障害が発生しても、通信の完全性が確保されます。

2線式構成のモードでは、外部トランスを介して絶縁され、標準的なSPI信号が差動パルスにエンコードされます。送信パルスの強さとレシーバの閾値レベルは、2つの外付け抵抗器(RB1とRB2)で設定します(図11)。各抵抗器の値は、消費電力とノイズイミュニティのトレードオフを考慮して、設計者が選択します。

Analog DevicesのLTC6813-1が提供する1Mbit/sの2線式トランス絶縁型シリアル通信ポートの図(クリックして拡大)図11:LTC6813-1はさらに、単一のツイストペアを介した1Mbit/sの2線式トランス絶縁型シリアル通信ポートを最大100mの距離で提供し、低いEMI感受性とエミッションの両方を備えています。(画像提供:Analog Devices, Inc.)

LTC6813-1は、モニタリング対象のバッテリスタックから直接電源を供給することも、別個の絶縁型電源から供給することもできます。また、各セルの受動バランシングや、パルス幅変調(PWM)を使用した個別のデューティサイクル制御も備えています。

まとめ

単一セルや数個のセルしかない小型バッテリパックの電圧、電流、温度を正確に測定することは、比較的小さな技術的課題です。しかし、セル数の多さ、CMVの高さ、電気的ノイズ、規制要件などの問題があるため、直列ストリングの個々のセルでこれらの同じパラメータを正確に測定(さらにはセル間の時間のずれを無視して、過酷な自動車および産業環境で正確に測定)することは困難です。

これまで述べたように、設計者はこれらのアプリケーションのために特別設計されたICを利用することができます。それらのICは、ガルバニック絶縁、高精度、高速スキャン時間など、問題解決に必要な機能を備えています。それにより、正確で実用的な結果が得られ、重要で高レベルなバッテリ管理の決定が可能になります。

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著者について

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Bill Schweber氏

エレクトロニクスエンジニアであるBill Schweber氏はこれまで電子通信システムに関する3冊の書籍を執筆しており、また、発表した技術記事、コラム、製品機能説明の数は数百におよびます。これまで、EE Timesでは複数のトピック固有のサイトを統括するテクニカルウェブサイトマネージャとして、またEDNではエグゼクティブエディターおよびアナログエディターの業務を経験してきました。

Analog Devices, Inc.(アナログおよびミックスドシグナルICの大手ベンダー)ではマーケティングコミュニケーション(広報)を担当し、その職務を通じて、企業の製品、ストーリー、メッセージをメディアに発信する役割と、自らもそれらを受け取るという技術PR業務の両面を経験することになりました。

広報の業務に携わる以前は、高い評価を得ている同社の技術ジャーナルの編集委員を務め、また、製品マーケティングおよびアプリケーションエンジニアチームの一員でした。それ以前は、Instron Corp.において材料試験装置の制御に関するハンズオンのアナログおよび電源回路設計およびシステム統合に従事していました。

同氏はMSEE(マサチューセッツ大学)およびBSEE(コロンビア大学)を取得した登録高級技術者であり、アマチュア無線の上級クラスライセンスを持っています。同氏はまた、MOSFETの基礎、ADC選定およびLED駆動などのさまざまな技術トピックのオンラインコースを主宰しており、またそれらについての書籍を計画および執筆しています。

出版者について

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