USB Type-C™、USB PD、USB 3.1 Gen 2:速度と給電の新しい規格
2018-12-18
「より速く、より高く、より強く」はオリンピックの有名な三語モットーですが、現在のエレクトロニクス業界では「より速く、より小さく、より使いやすく」が、USB接続の新しい標準を求める合い言葉になっています。
最新のUSB Type-C(USB-C)ポートを搭載した新世代コンピュータ製品が店頭に並んでいるのを見たことがあるかもしれませんが、USB-Cは1つの有線接続でデータ、電源、オーディオまでも伝送できるユニークな機能を備えたコネクタ規格で、今後大幅に増加することが予想されています。市場アナリスト会社のABI Researchによると、USB Type-Cコネクタを搭載したスマートフォンの出荷数は2021年までに世界で8億3千万台に達すると予想されており、USB Type-Cはすでに大きな転機を迎えています。幅9mm、高さ3.5mmというサイズは、先代よりも確実に小さくなっており、機器メーカーにとってはさらに小型のデバイスの作成が可能になります。市場への登場もまた、ホームオートメーションやスマートセンサを搭載したIoTデバイスなどの新興製品群の要件を満たすのに完璧なタイミングで、より小型化され、かさばらない最新のコネクタパッケージとシームレスにマッチします。
使いやすさ
USB-Cアプリケーション用のケーブルは、どちらの端でも差し込むことができ、かつノートパソコンなどのデバイスに必要な電力を供給できるので、用途別に様々なケーブルを持ち歩く必要がありません。
このような汎用性の拡張に伴い、コネクタ内部の複雑さは増しています(図1)。まず第一に、導体の数が増えました。導体が4個または5個のUSB Type-AやType-Bコネクタと異なり、USB-Cは双方向の挿入を可能にする24コンタクトを備え、2つの信号ペアとともに4つの電源およびグランドペアをサポートしています。さらにその嵌合耐久定格は、以前のバージョンの挿抜サイクル1,500回に比べ、10,000回まで伸びています。

図1:USB Type-Cコネクタの仕様は以前の規格よりも厳密になっています(画像提供:Same Sky)
USB-Cの電源およびグランドのペアは最大20Vの定格電圧を持ち、また引き上げられた電流定格は5Aの総合定格を提供し、両者を組み合わせて単一のUSB-C接続で最大100Wの電力供給が可能です。さらに、各データピンペアは最大10Gbpsのデータ転送速度をサポートします。つまり、このコネクタは合計20Gbpsのデータ転送能力を備えています。
最新のUSB-IFデータと電源仕様
USB-IFの最新のデータおよび電源仕様では、USB-Cでの機能の大幅な向上が要求されています(特にUSB Power Delivery(USB PD)、USB 3.1 Gen 2、および最近規格が固まったUSB 3.2高速データ仕様のカテゴリで)。
- USB PDは、4つの電源とグランドのペアをすべて使用して、USB-Cの100W電力伝送能力をフルに活用します。
- USB 3.1 Gen 2は、1セットのデータレーンを使用して10Gbpsの転送速度を可能にします。
- 同様に、USB 3.2は2セットの10Gbpsデータレーンを制御して最大20Gbpsの転送を維持します。
概念的には、物理接続のみを定義するUSB-C規格と、給電仕様のUSB PDや高速データの仕様(USB 3.1 Gen 1(SuperSpeed)、USB 3.1 Gen 2(SuperSpeed+)、およびUSB 3.2)を分けて考えることが重要です。
たとえば、USB-CコネクタがUSB PD規格をサポートするように設計されていても、接続デバイスへの給電をネゴシエートしたり、管理するには、依然としてUSB PD互換のホストコントローラが必要です。さらに、ケーブルは規格をサポートするように構成する必要があります。
USB PDは、単に電力を増強するだけではありません。これは、双方向の電力供給を容易にし、ユーザーデバイスの充電や給電にはるかに大きな柔軟性をもたらします。これに加えて、USB PDは、データ接続ではなくVBUS接続を介して電力ネゴシエーションを実行できるので、電力とデータの同時フローを実現できます。表1に、USB伝送能力の世代別変遷を示します。
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表1:USB給電仕様
高速データの仕様に関しては、USB 3.1 Gen 2はデータと電力信号を定義しますが、物理的な接続については指定していません。従って、十分な電流、電圧、シグナルインテグリティの特性を備えていれば、従来のType-AまたはType-Bのコネクタとケーブルを使用して、最大10Gbpsでの通信が可能なUSB 3.1 Gen 2機器に接続する道を開いています。同様にUSB-Cコネクタは、シンプルなハードウェアアダプタを使用して、USB 2.0などの従来の接続規格を提供するのにも使用できます。
接続の作成にあたって
当然ながら、すべてのUSB-Cコネクタやケーブルアセンブリが同じように作られているわけではないので、優れた品質の製品がより高い性能を発揮し、長いケーブルでの通信でより高い信頼性を実証します。
将来製品のために選択されたUSB-Cコネクタと材料品質を考慮するだけでなく、設計者にとっては、Type-Cレセプタクルに2つの選択肢があることも見逃せません。図2を見てください。従来、標準的なSMTマウントレセプタクルは、PCB上に配置されていました。しかしこれでは、組み立て後の全高は、PCB厚+コネクタ高の合計という結果になります。これに代わり、ミッドマウントタイプのコネクタは、PCBに機械加工された凹部にはめ込むことができます。これにより、アセンブリ全体の高さを低くすることができますが、ミッドマウントタイプでは信号トレースをコネクタの下に配線することはできません。

図2:SMTおよびミッドマウントUSB-Cコネクタ(画像提供:Same Sky)
まとめ
USB Type-Cコネクタは、家電製品の世界で急速に普及しています。急増するこの需要に対応するため、電子部品メーカーのSame Skyは、SMTとミッドマウントの両タイプで、高品質のUSB Type-Cプラグとレセプタクルを幅広く提供しています。これらのコネクタは、設計者の現在および将来のニーズに応えながら、USB 3.1 Gen 2仕様で定義された通信速度をサポートするように設計されています。Same Skyはまた、複数のプラグとレセプタクルのオプションを備えた多様なUSBケーブルアセンブリ製品も提供しています。
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