モジュラーコネクタの理解と指定
2021-10-05
モジュラーコネクタはRJコネクタとも呼ばれ、1960年代にAT&Tによって開発されて以来、電気通信やデータ通信の用途で広く普及しています。米連邦通信委員会(FCC)は、1970年代にこの相互接続ソリューションの標準化を進め、現在のレジスタードジャック(RJ)と呼ばれる登録システムへと発展させました。このRJシステムでは、配線のパターンや信号の仕様、コネクタ自体の物理的な構造が標準化されています。この「RJ」に2つの数字が続いたものが、現在もユーザーが目にする、コネクタのパッケージや用途の違いを示す名称です。
基本的な構造
モジュラーコネクタ(RJコネクタ)は、絶縁チャンネルで分離されたプレス加工の金属製コンタクトを、モールドハウジングに収めているもので、一般消費者や企業の電話システムにおいて、より「モジュール式」でコスト効率の良い接続システムを実現するために開発されました。プラグのコンタクトは、絶縁チャンネルによって所定の位置にガイドされ、ジャック内のプレス加工された同様の金属製コンタクトと嵌合します。その際、プラグのプラスチックハウジングはケーブルを固定して、ストレインリリーフを実現します。また、プラグとジャック両方のモールド成形された機能部により、さらなるストレインリリーフを実現しています。プラグにはモールド成形されたスプリングがあり、これがジャックにモールド成形されたノッチに引っかかって保持されます。このスプリングを押し下げることで、ジャックからプラグが抜けます。
図1:プラスチック製のハウジングを備えたモジュラープラグは、ケーブルを固定し、RJジャックと嵌合します。(画像提供:CUI Devices)
モジュラーコネクタには、2個、4個、6個、8個、または10個のコンタクト用のポジションがありますが、これらは常に埋まっているわけではありません。たとえば、RJ11電話用コネクタは通常4つまたは6つ、Ethernet(RJ45)コネクタは8つの接続部があります。6P2Cコネクタは6極2芯、電話機の受話器コードに使われる4P4Cコネクタは4極4芯というように、コネクタの配線は標準的なネーミングで定義されています。ほとんどのコンタクトは信号用に使用されますが、RJコネクタのコンタクトは低電圧のACまたはDC電源を供給するために使用できます。
モジュラーコネクタには、さまざまな利点があります。製品メーカーにとって、その利点は以下のようなものです。
- 低コスト
- 高い可用性
- 無はんだのアセンブリ
- 簡単なカスタマイズ
- 面実装可能なジャック
- 堅牢な産業用途向けモデル
モジュラーコネクタは、以下のような利点があるため、現場での取り付けやメンテナンス作業にも適しています。
- 古い接続部の簡単なアップグレードまたは交換
- 簡単なツーリングで現場でのアセンブリが可能
- 現場でケーブルアセンブリのカスタマイズが可能
- コネクタと配線の複数のオプション
- 現場作業担当者のトレーニングが簡単
どの場合も、コネクタの嵌合/解除の動作がシンプルであるため、ユーザーが容易に問題を解決できるようになり、修理依頼が減少します。
一般的なタイプ
用途に応じて、さまざまなタイプのモジュラーコネクタがあります。ここでは、代表的なタイプとその仕様を紹介します。
- RJ10 - 電話機のハンドセット用のシンプルな4P4C角型コネクタ
- RJ11 - モデムと電話回線を接続するための6P2Cまたは6P4Cの角型コネクタ
- RJ12 - RJ11と同じサイズの6P6Cコネクタ
- DEC MMP/MMJ - Digital Equipment Corporationの装置で使用されているRJ11/12コネクタの小型版
- RJ13 - RJ12と同様に6P4Cで、回路はラインの後ろにある
- RJ14 - 6P4C(2台の電話またはモデムを接続するための2回線付き)
- RJ21 - 最大50個のコンタクトを持つモジュラーコネクタで、大規模な電話システムで最大25個の回路を接続するのに使用
- RJ22 - 形はRJ11に似た4P4Cコネクタで、一般的に携帯電話の接続に使用
- RJ25 - RJ11と同様の6P6Cコネクタで、3台のデバイスを接続可能
- RJ45 - 8P8Cまたは8P10Cのコネクタで、Ethernet LANに使用。詳細は、CUI Devicesのブログ記事「RJ45コネクタの究極のガイド」を参照
- RJ48 - RJ45と同様の8P8Cコネクタで、T1データライン用のシールドケーブルへの接続用
図2:一般的なモジュラーコネクタのタイプの一例です。(画像提供:CUI Devices)
コネクタの主な仕様と特長
モジュラーコネクタでは、以下のような追加機能を指定することができます。
- シールド:電磁干渉(EMI)や無線周波数干渉(RFI)から長いケーブルを保護するためのものです。シールド付きのRJ45およびRJ48コネクタは、ケーブルのシールド編組の接地接続をコネクタが取り付けられたパネルにも継続し、広く利用されています。
- キーイング:認証されたRJ45コネクタは、コネクタにタブを使用することで、コネクタが間違った方法でソケットに挿入されるのを防ぎます。この機能は一般的に、通常の8P8Cコネクタにはありません。カラーコーディングすることで、特定のネットワーク接続ポイントにどのケーブルを使用するかを示すことができます。
- 実装オプション :パネルマウント、基板実装、スルーホール、PCBへの面実装などが一般的に用意されています。モジュラージャックには、垂直方向と水平方向があります。
- ディスプレイおよびインジケータ:カラーのステータスLEDなどの機能です。
- 高信頼性の派生品:EMI/RFIシールド、特殊キーイング、保護ブーツ、より多くの挿抜サイクルを可能にする堅牢なパーツなどが含まれます。
- マグネティクス内蔵:xBASE-TネットワークのEMIシールドと接続信頼性を向上させます。ジャックの中にある巻線状の部品で、過渡からの保護、絶縁の提供、シグナルバランス、インピーダンスマッチングを行います。
図3:EMIシールドと接続信頼性を実現するマグネティクス内蔵のモジュラーコネクタ。(画像提供:CUI Devices)
追加パラメータ
また、アプリケーションに適したモジュラーコネクタを選択するには、以下のパラメータを考慮する必要があります。
- ピンアウト - コネクタ内の各コンタクトの割り当て
- 電流定格 - デバイスが許容できる最大電流
- 電圧定格 - デバイスが許容できる最大動作電圧
- コンタクトサイズ - コネクタが収容できる最大直径のワイヤを定義
- コンタクト数 - 常に偶数
まとめ
モジュラーコネクタが規格化されたのは40年以上も前のことですが、広く普及していること、入手しやすいこと、使いやすいことなどから、今でも人気があります。多くの場合、電話システムやデータネットワーク、低速のシリアル接続などに使用されますが、PoE(Power over Ethernet)の開発やその全体的な柔軟性により、その使用範囲はさらに広がっています。産業用制御機器、モーションコントロール、スマート照明、開発ボードなどのアプリケーションは、モジュラーコネクタを採用した設計のほんの一例です。
RJシリーズのモジュラーコネクタはどこにでもあるものですが、すべてが同じではありません。サプライヤと協力して上記の要素を検討することで、エンジニアはアプリケーションに適したRJプラグとジャックを指定することができます。CUI Devicesのモジュラーコネクタ製品は、RJ10、RJ11、RJ12、RJ13、RJ45の各ジャックタイプに、さまざまなポジション、コンタクト、および取り付けオプションを提供しています。
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