手術および医療用画像処理アプリケーションにおける超低遅延ストリーマ

リアルタイム通信とデータ転送は、医療、特に手術や医療用画像処理アプリケーションにおいて不可欠なものとなっています。内視鏡検査などの処置中に高解像度のライブ画像を取り込み、共有、分析する機能は、医療専門医が病気を診断し、手術を計画し、将来の専門医を訓練する方法を変えました。最近の技術革新により、超低遅延ストリーミングが可能になり、高品質、インタラクティブ、没入型のライブデータ交換が、比類のない即時性で可能になり、患者ケアに大きな進歩をもたらしています。

このような進歩に伴い、iWaveは、リアルタイム通信とデータ転送を最小限の遅延で統合する最先端のソリューション、超低遅延（ULL）ストリーマとレコーダを発表しました。ULLストリーマは、増大するデータフローへのニーズに対応するために設計され、非常に短い「Glass to Glass」遅延でのビデオストリーミングを可能にし、医療従事者は複雑な医療処置の間、シームレスな同期で監視、評価、共同作業を行うことができます。

（画像提供：iWave）

X線、コンピュータ断層撮影（CT）、陽電子放出断層撮影（PET）、磁気共鳴画像法（MRI）などの従来の画像診断法では、通常、ビデオストリーミング中に数百ミリ秒の遅延が発生します。この遅延時間は、瞬時の判断が要求される処置においては、致命的な障害となりえます。対照的に、iWaveのULLストリーマは、Wi-Fi 5のエンドツーエンドの遅延をわずか66ミリ秒に短縮し、インタラクティブアプリケーションに最適です。高精細（HD）ビデオをリアルタイムで伝送できるようになったため、現地と遠隔地の両方の専門医が監視し、即座に判断できるようになりました。可視化と分析のため、ULLストリーマは、拡張現実（AR）と仮想現実（VR）の機能を組み合わせた複合現実ヘッドセットであるApple Vision Proと統合し、ユーザーの完全没入型体験を提供し、複数の医療チーム間の連携を強化します。

ULLストリーマおよびレコーダの主な機能

• 超高解像度ビデオ：60Hzの4K UHDビデオをサポートし、同時に圧縮と展開を行うことで高画質を維持します。
• 多彩な入出力：12G-SDIとHDMI2.0の入出力を装備し、さまざまな映像機器と柔軟に連携可能
• 効率的なリアルタイムエンコーディング：12G-SDI/HDMI2.0入力からの映像は、ライブストリーミングまたはM.2 SSDまたはUSBストレージへの直接録画用にエンコードされ、リアルタイムの視聴と効率的な保存の両方を実現します。
• Wi-Fi 5ストリーミング機能：Wi-Fiネットワーク上で信頼性の高い低遅延ストリーミングを可能にし、有線接続への依存を減らし、可動性を向上
• 安全なデータ伝送：機密性の高い医療データを保護するためにAES暗号化を組み込み、ビデオストリーミングのための安全なパイプラインを提供します。
• ゼロレイテンシのパススルー：ゼロレイテンシのループモードをサポートし、ローカルデバイスでのストリーミングとリアルタイム表示の両方に適しています。

ULLストリーマは、HDMI受信（RX）と送信（TX）機能、Wi-Fi 5機能を備えた高性能FPGAを搭載しており、データの受信と送信を同時に行うのに最適です。ULLストリーマの中核には、H.264/H.265ビデオコーデックユニットを内蔵したZynq UltraScale+ MPSoCが採用されています。この機能により、ハードウェアによるビデオのエンコードおよびデコードが高速化され、高解像度ビデオストリーミングアプリケーションのパフォーマンスが最適化され、システムリソースへの影響を最小限に抑えられます。

医療環境における高度なビデオコーデックの統合

ULLストリーマの高度なコーデック統合は、画像デバイスから直接開始する、より効率的で効果的なビデオ処理パイプラインを可能にすることで、医療環境に大きなメリットをもたらします。内視鏡のような機器から生の動画が取り込まれると、FPGAのプログラマブルロジック内で処理され、そこで重要な画像の補正が行われます。ノイズ低減などの強化により、鮮明な高解像度の画像が確保され、色補正と画像安定化により、より正確で一貫性のある画像が提供されます。これらの最適化は不可欠であり、ライブストリームの鮮明度を向上させ、外科医や医療従事者が処置に不可欠な正確なリアルタイムの画像を閲覧できるようにします。統合されたH.264/H.265コーデックは、これらの高品質のビデオストリームを効率的に圧縮し、視覚的な忠実度を維持しながら帯域幅要件を低減し、複雑な医療ネットワーク全体でシームレスなデータ伝送を可能にします。

ULLストリーマは、非常に低いレイテンシでビデオ品質を維持するように最適化されており、ビデオが遅延なくリアルタイムで処理され、ディスプレイ、リモートシステム、またはストレージに伝送されます。この合理化されたワークフローは、医療現場での業務効率を改善するだけでなく、医療従事者が複数のソースからのライブビデオフィードを同時に表示、分析、対応することを可能にします。さらに、圧縮されたビデオは、遅延なく遠隔地の専門家やコンサルタントに送信できるため、重大な医療状況におけるシームレスな連携と意思決定を実現します。このリアルタイム機能と低遅延、高画質を組み合わせることで、正確さとタイミングが最重要となる最新の医療用画像処理や処置支援の厳しい要求に確実に応えることができるのです。

医療アプリケーションにおけるULLストリーマのワークフロー

ULLストリーマのエンコーディングプロセスは、12G-SDIまたはHDMI 2.0のソースから、最大4K解像度、60フレーム/秒（fps）の高品質ビデオを取り込むことから始まります。手術中は、ビデオフィードはより小さく効率的なデータパケットにエンコードされ、Wi-Fi 5経由でストリーミングされます。UDP、SRP、RTMP、RTSPなどのプロトコルがサポートされているため、さまざまなストリーミングプラットフォームとの互換性が確保されています。エンコードされたデータはデコーダで受信され、Apple Vision Proのような高速モニタやデバイスに表示されます。柔軟性を高めるために、ビデオはYouTubeやWowzaなどのウェブベースのプラットフォームにもストリーミングでき、特定のエンドユーザーのニーズに合わせてカスタマイズすることもできます。データの安全性を確保するため、ULLストリーマは12G-SDIまたはHDMI 2.0ソースから取り込んだビデオと音声データに対して暗号化と復号化を行い、医療ストリーミング中の患者の機密性を保護します。

医療分野におけるULLストリーマの使用例

1. 手術におけるリアルタイムデータ統合：ULLストリーマはシームレスなリアルタイムデータ統合を可能にし、外科医が重要な情報に即時にアクセスできるようにすることで、状況認識の向上させ、意思決定をサポートします。
2. 遠隔医療および遠隔手術：超低遅延ストリーミングにより、遠隔地の専門医が手術に参加することができ、現場と遠隔チーム間の同期通信を実現します。これは、複雑で専門性の高い処置において不可欠です。
3. 医療トレーニングおよびシミュレーション：学生や研修医に対する手術や医療シミュレーションをライブストリーミングは、没入感のあるインタラクティブな学習環境を提供し、即時にフィードバックを得ることができ、技術に対する理解を深めることができます。
4. ICUモニタリング：ULLストリーマは、集中治療室（ICU）からリモートモニタリングセンターにリアルタイムのビデオと必要なデータを伝送し、患者ケアに関する迅速な意思決定をサポートします。
5. ライブ診断：超音波や内視鏡映像などの診断画像をリアルタイムで伝送することで、結果を解釈し、即座に指導を行うことができる専門医と迅速に相談することができ、診断時間を短縮できます。
6. 緊急対応の調整：ULLストリーマは、緊急事態が発生した際に、緊急現場から対応チームや病院にライブビデオを配信し、迅速かつ的確な医療介入を促進できます。

Wi-Fi経由での超低遅延ストリーミングの展開が達成したことにより、ULLストリーマは、手術の結果を大幅に改善し、トレーニングを強化し、救命処置へのアクセスを世界的に拡大する可能性を提供します。

iWave：組み込みシステムの革新

数十年にわたる経験を持つiWaveのエンジニアリングチームは、最も厳しい機械、環境、および規制要件を満たすソリューションの設計に精通しており、性能、信頼性、および長期的な展開に合わせた認定済みで拡張可能な製品を提供しています。iWaveと提携することで、企業は柔軟でカスタマイズされたソリューション、最新のi.MXテクノロジーへの早期アクセス、次世代製品による市場での優位性を獲得することができます。

さらに詳しい情報やカスタム要件については、mktg@iwave-global.comまでお問い合わせください。