オーディオシステムにおける共振と共振周波数の重要性

著者 Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

共振オーディオシステムを扱う設計者にとって、重要な課題が2つあります。1つ目の課題は、スピーカやブザーの共振周波数と共振ゾーンを利用して、最大の出力音圧レベル(SPL)を出すことです。2つ目の課題は、オーディオデバイスのエンクロージャやマウントシステムで異音を発生させる共振を回避することです。共振は身近な概念ですが、この記事では、前述の課題、共振に影響を与える要因、周波数応答曲線の読み方など、オーディオ設計における共振の意味を確認します。

共振と共振周波数の基礎

共振の影響を理解するには、まず基本レベルで理解する必要があります。共振は、物体や電子回路が初期衝動からエネルギーを吸収し、振幅減少はあるものの、さらなる力が作用することなく、同じ周波数で振動し続けるときに発生します。この振動が発生する周波数は、システムの共振周波数として知られ、F0で表されます。

共振は、さまざまな場面で発生します。身近な例では、ギターがあります。ギターは振動だけで音を出します。奏者がアコースティックギターの弦を弾くと、弦が振動し、その音のエネルギーが中空の木製ボディに伝わり、共鳴して音が増幅されます。同様に、LCフィルタは、ちょうど良い周波数の信号で刺激を受けると、同調タンク回路として共振することができます。この効果は、基本的なラジオにおいて、タンク回路の静電容量やインダクタンスの値を調整して、その共振周波数を放送周波数と一致させることで、放送信号を捕捉するために使用されます。圧電結晶発振器の電気機械的共振を周波数基準として使用することができます。

オーディオ出力部品の概要

機械的共振は、異なる質量をつなぐ剛性や重量に影響されます。標準的なスピーカの場合、この質量がダイアフラム(またはコーン)であり、剛性はダイアフラムとフレームをつなぐサスペンションの柔軟性に依存します。スピーカはさまざまな方法で製造されるため、スピーカのタイプによって共振周波数が異なる場合があります。

また、スピーカの共振周波数が異なる他の要因としては、コーンの材質、サスペンションの厚さ、コーンの背面に取り付けられて重量に影響する電磁石のサイズなどがあります。一般的に、軽量で剛性の高い素材や柔軟なサスペンションを使用すると、共振周波数が高くなります。たとえば、高周波ツイーターは、剛性の高いマイラーコーンと柔軟性の高いサスペンションを使用して小型・軽量化されています。これらの要因を調整することで、標準的なスピーカの周波数範囲は20Hz~20,000Hzとなります。

標準的なスピーカの構造を示す図図1:標準的なスピーカの構造(画像提供:Same Sky)

別のタイプのオーディオ出力部品には、磁気トランスデューサブザーがあります。これは、スピーカとは異なる方法で、駆動機構と音響発生機構を分離したものです。磁気トランスデューサは、軽量化されたダイアフラムをフレームに強固に接合しているため、通常の周波数範囲は高いものの、範囲は狭くなります。一般的に2~3kHzの音を出すことができ、同じSPLを実現するために必要な電流がスピーカよりも少ないという利点があります。

標準的な磁気ブザーの構造を示す図図2:標準的な磁気ブザーの構造(画像提供:Same Sky)

最後に、圧電トランスデューサブザーがあります。これは、磁気ブザーと同じ量の電流を使用して、より高いSPLを実現する点で、さらに効率的です。圧電効果を利用して電界を変化させ、圧電セラミック素子をある方向に曲げたり、別の方向に曲げたりして、音波を出力します。この圧電材料は一般的に硬く、この種のブザーに使用される部品は小型で薄型です。圧電トランスデューサブザーは、磁気式のものと同様に、1~5kHzの高音を発生し、周波数範囲は狭くなっています。

標準的な圧電ブザーの構造を示す図図3:標準的な圧電ブザーの構造(画像提供:Same Sky)

共振設計の考慮事項

共振を利用したスピーカやブザーの設計は、望ましい共振周波数や共振周波数範囲、使用するスピーカやブザーの特性、およびそれらが搭載されるエンクロージャの形状や大きさなどを考慮する複雑な作業です。これらの要素は、お互いにかなり大きな影響を及ぼします。

たとえば、小型のスピーカを非常に大きなエンクロージャに取り付けた場合、スピーカは自由に動くことができるため、システム(スピーカ+エンクロージャ)の共振周波数は、自由大気で動作するスピーカに内在する共振と同じになる可能性があります。しかし、小型で密閉されたエンクロージャにスピーカを搭載すると、内部の空気が機械的なスプリングとして作用し、スピーカコーンと相互作用してシステムの共振周波数に影響を与えます。また、効率的な設計を実現するためには、非線形の電気駆動特性など、他の相互作用も考慮する必要があります。

このような複雑さを考えると、多くの場合、オーディオ設計を進める上で最善の方法は、いくつかの試作品を作り、それらの特性を測定してから、選択した音源で最適な出力が得られるように調整することです。この試作ベースのアプローチは、部品の特性が製造公差内で変化することや、エンクロージャの形状や剛性が製造上のばらつきに左右されることを設計者が理解し、それを補正するのにも役立ちます。多くの場合、選び抜かれた最高の部品を使用した手作りのスピーカは、大量生産の技術や標準的な部品では繰り返し実現することが難しい性能を発揮します。

また、特にスピーカのエンクロージャは、発生した音声エネルギーが減衰することなく展開できるよう、内部空間を十分に確保して設計する必要があります。エンクロージャのカバーや素材による3dBのわずかなSPL低下でも、音響出力を半減させます。Same Skyのブログ記事『マイクロスピーカーエンクロージャーの設計』では、この点についてさらに詳しく説明されています。

全体的には、オーディオ部品のフルスペクトルでの応答を見て、共振周波数ピークの両側に存在する周波数での性能を利用することが重要です。共振周波数は正確な数値ではなく、また必ずしも非常に狭い帯域でもないため、特にスピーカの場合、データシートに記載されているピーク値の両側に、設計者が利用できる有用な周波数応答があると考えられます。これは、特定の入力パワーに対して、出力SPLと周波数を最適化するというアイデアです。これを実現するには、デバイスの共振周波数と、その共振ゾーン内の周波数で駆動する必要があります。

たとえば、Same SkyのCSS-10246-108スピーカのデータシートには、共振周波数が200Hz ±40Hzと記載されていますが、その周波数応答グラフを見ると、約3.5kHzにも共振スパイクがあります。また、約200Hz~3.5kHzに共振ゾーンがあります。設計者はこれらの知見を活かし、アプリケーションに合わせてスピーカを選択することができます。

Same SkyのCSS-10246-108スピーカの周波数応答曲線を示すグラフ図4:CSS-10246-108スピーカの周波数応答曲線(画像提供:Same Sky)

別の例として、Same SkyのCMT-4023S-SMT-TR磁気トランスデューサブザーのデータシートには、共振周波数が4000Hzと記載されています。このことは、以下に示すブザーの周波数応答グラフで確認できます。また、共振の問題を簡素化するために、駆動回路を内蔵したオーディオインジケータとしてブザーを入手することも可能です。固定された定格周波数で動作するように設定されたこれらの内部駆動デバイスは、指定された周波数ウィンドウでSPLを最大化するように設計されているため、周波数応答グラフは必要ありません。

Same SkyのCMT-4023S-SMT-TR磁気トランスデューサブザーの周波数応答曲線を示すグラフ図5:CMT-4023S-SMT-TR磁気トランスデューサブザーの周波数応答曲線(画像提供:Same Sky)

まとめ

オーディオデバイスを設計してアプリケーションに組み込む場合、設計者は不要な振動を発生させずに最大のSPLを得るために、デバイスの共振周波数を考慮する必要があります。これは、ベンダーから提供されたデータ、特に共振周波数を設計の出発点とし、その値の周辺に存在する共振ゾーン全体で設計を最適化することを意味します。初期設計が完了したら、試作品を使用して、オーディオデバイスとエンクロージャや取り付け部との相互作用が、設計された性能と一致しているかどうかを確認する必要があります。Same Skyは、技術者が作業に適した部品を見つけられるように、周波数スペクトル全体にわたって幅広いオーディオソリューションを提供しています。

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Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

Same SkyのJeff Smootによって提供された記事です。