車載用電子機器を保護するTE Connectivityの回路保護デバイス
2015-08-12

図1:車載用インフォテイメントシステムの例
現代の自動車における電子的コンテンツは、スマートフォンのドッキング、USBポートや衛星ラジオなどの車内エンターテイメント(「インフォテイメント」)システムおよび機能の需要により、過去数年で飛躍的に増加しました。 また、最新の自動車は、マッピング機能を搭載したGPSナビゲーションシステム、車内および車外LED照明やその他洗練された機能を誇ることが期待されています。
安全性機能に対する政府の要求もまた、車載用電子機器の急増に拍車をかけています。 例を挙げると、後方カメラの新車への搭載は2018年に義務付けられる予定です。 その間にも、運転中のハンズフリー通話を要求する州法により、車載用携帯電話インターフェースが標準装備となるでしょう。
消費者にエンターテイメントと安心感を与える目的で設計された車載用電子機器が増加したことで、電子的な故障の可能性が高くなり、皮肉なことに、保証修理や安全性の問題、さらには顧客の不満といった逆効果を招くおそれがあります。
TE Connectivity(TE)の事業部門であるTE Circuit Protectionは、PolySwitch®、PolyZen、ESD保護デバイスを車載用アプリケーション向けに提供しています。 従来のヒューズよりも大幅に優れたこれらのデバイスは、車載用電子機器の信頼性、性能、安全性を向上します。
USBアプリケーション
現在、USB 3.0ポートは広く車載されています。 過電流と過電圧からの保護に加えて、ハイスピードUSBプロトコル(およびHDMIとその他の高速インターフェース)を使用する高感度電子機器にはESD(静電放電)による損傷からの保護が必要です。 TE Circuit Protectionは、このような状況で役立つ2種類の回路保護デバイスを提供しています。
PolySwitch PPTC(ポリマ正温度係数)デバイスは、USBアプリケーションのリセッタブル保護に使用できます。 USB電源のVBUSポートにPPTCデバイスを取り付けると、短絡の発生時に電流が抑えられます。 また、突発的な短絡ダウンストリームが引き起こす過電流による損傷を防止し、UL60950への準拠を促します。 これらのデバイスには、AGRF、AHRF、AHEF、AHS、ASMD、nanoASMDC、microASMD、miniASMDC、BDといった部品が含まれます。 USB 3.0アプリケーションでの過電圧保護のため、PolyZenデバイスはハイブリッドアプローチを採用しており、 熱接合されたツェナーダイオードとPPTCデバイスを統合しています。 PolyZenデバイスをUSBポート内で使用すると、上流レギュレータの障害によって発生した高電圧が通過してUSBポートに接続された部品に損傷を与えることを防止できます。
12 VDCシステム
座席の裏側にあるビデオモニタや電動アンテナ、その他のアクセサリに供給される電源には、短絡保護が必要です。装置の取り付け中に車両のグランドへの短絡が発生することは非常によくあります。また、ドッキングポートの出力にも短絡保護が必要です。
これまでの12 VDCシステムでは、ヒューズによって入力と出力が保護されていました。 PolySwitch PPTCは、不注意による短絡やその他の異常負荷によってドライバ出力が損傷しないように保護することで、ヒューズに代わる費用効果の高いリセッタブルな選択肢を提供します。
ビデオ出力
自動車のインフォテイメントやその他のシステムでも、ビデオ出力のESD保護が必要です。 HDMIなどの高周波出力には、静電容量の少ないESD保護が必要です。 HDIシステムの設計時に、信号の完全性を損なうことなく3.4GHzで動作するTEのポリマESD(PESD)保護デバイスを使用すると、設計上の問題を最小限に抑えられます。 これらのデバイスは、ESD保護の仕組みを将来的に完全に設計し直す必要性を解消することで、システムの余裕を増やし、次世代の設計を促進します。 TEのPESD保護デバイスには、PESD0402、PESD0603、PESD1206Qといった部品が含まれています。
RF出力
Bluetoothテクノロジ、GPS、衛星無線アンテナなどのRF出力にもESD保護が必要になる場合があります。
アンテナおよび計器の無線(RF)インターフェイス経由で引き起こされるESDとその他の電圧サージから無防備な通信インターフェースを保護することは、非常に重要な設計課題です。
PolyZenデバイスはBluetoothモジュールへの電源入力を保護するために役立ちます(図2)。 また、PESDデバイスを使用すると、ESDサージによる損傷からアンテナを保護できます。 PESDデバイスは、高速データ送信ラインと無線周波数データラインに必要な低静電容量を実現しています。 小型のSMDパッケージで提供されるPESDデバイスは、非常に多数のESDストライクを吸収する能力を備えています。

図2:BluetoothモジュールによるPolyZenおよびPESDデバイスを利用した短絡保護
LED照明
内装および外装用LEDは、ますます多くの自動車設計で使用されています。 LEDは効率が良く長持ちするものの、熱やESD、短絡異常に対して脆弱であり、製品の故障や潜在的な安全性の問題を引き起こす可能性があります。 このため、自動車メーカーはLED照明システムに対して回路保護を使用しています。
LEDに供給される電気エネルギーの大半は、光ではなく熱に変換されます。 適切に対処しないと、この熱はLEDの寿命を縮め、生成される光を変質させることになります。 PolySwitch PPTCデバイスをLEDと直列に接続すると、過電流保護を提供できます。
また、このリセッタブルデバイスをメタルコア回路基板またはLEDヒートシンクに熱接合すると、過温度保護を提供できます。 不注意による短絡でLEDドライバの出力が損なわれたり、無効になったりした場合は問題が発生する可能性があります。 ドライバ回路で入力保護が必要ない場合、PolySwitch PPTCデバイスはドライバ出力の保護に使用できます。
また、LEDに保護が内蔵されていない場合はESD保護が必要になります。 この場合、PESD保護デバイスをLEDと並列接続すると、潜在的な損傷からの保護に役立ちます。
多くのLEDドライバは、不適切なDC電圧レベルと極性によって容易に破壊されます。 PolyZenデバイスをLEDドライバの入力に接続すると、不注意によって過電圧や逆極性にさらされたドライバを損傷から保護できます。
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