困難な産業用アプリケーション向けのセンサソリューション

著者 キャロリン・マタス氏

Electronic Products の提供


産業制御環境は、現代のセンサ向けの最も初期の環境の一部でした。 安全性や効率を監視するシステムへの要件が増加する中で、困難な環境で確実に動作するように設計されたセンサは、熱、流量、そして振動などの重要事項を記録するために使用されました。 また、それらにより、作業者は、危険な状況から安全な距離を保つことができました。

現在、産業用アプリケーション向けのセンサには、温度、圧力、化学、近接、力、負荷およびレベルなどの非常に広範なセンサタイプがあります。 技術の実現およびサポートには、MEMS、ナノテクノロジ、およびワイヤレス通信が含まれます。

ワイヤレスセンサは、監視制御およびデータ収集などのシステムで採用されており、これらのデバイスが産業用アプリケーションのニーズに効果的に対処できることを証明しています。 これらのワイヤレスセンサのほとんどが、位置、近接、画像、およびセキュリティアプリケーション向けに使用されています。 それらが成功するための主要な要因は、低消費電力です。遠くない将来のワイヤレスセンサネットワークは、電気コンセントから取り外されている未接続の産業用製品向けにエネルギーを採取します(TechZoneの記事「環境発電ワイヤレスセンサ」を参照)。

今日、ビジョンからM2M通信に至るまで、産業環境におけるセンサは真価を発揮しています。 工場現場がさらなるオートメーションに急速に移行する中で、センサはそれを実現する重要な要素です。センサは、「Industry 4.0」と呼ばれる産業能力拡大の中核を成しています。この「Industry 4.0」は、第4次産業革命を指し、新しい方法の自己最適化、自己構成、自己診断、認知、そしてますます複雑化するタスクにおける作業者のインテリジェントなサポートの導入を含みます。

目標は、インテリジェントな工場(スマートファクトリ)であり、これは、適応性、リソースの効率性、そして人間工学的向上によって特徴づけられ、ロボティクス、自動化システムおよびいわゆる「モノのインターネット」(IoT)によってサポートされています。

使用されるセンサのタイプやその特性を決定するのは、時にはアプリケーションであり、そして別の時には過酷なまたは好ましくない動作環境であることが分かるでしょう。 Texas InstrumentsLDC1000(図1)は、世界初のインダクタンス/デジタルコンバータで、低電力の小型フットプリントソリューションにおける誘導センシングの利点を提供しています。 この製品は、SON-16のパッケージで入手可能で、いくつかの動作モードを提供します。 SPIインターフェースは、MCUへの接続を容易にします。

TIのLDC1000
 
図1:TIのLDC1000は、超低コストのシステムソリューションを実現します。

誘導センシングは非接触の磁石なしの短距離技術で、埃、泥、石油、および湿気からの非導電性干渉の存在下で、導電性対象の高分解能センシングが可能です。 このセンサは、巻線ワイヤ、PCB上のコイル、フレキシブル基板上の導電性インクで印刷されたコイル、またはシンプルなスプリングの可能性があります。 これは、リモートセンサの配置をサポートするため、極端で過酷な環境に好適です。

誘導センサは、高周波数振動磁界を生成し、使用します。 このセンシングフィールドに入る金属ターゲットは、ターゲット内で渦電流を引き起こし、これにより、発振器の信号振幅が低減されます。 次に、検出回路は、振幅での特定の変化を認識し、信号を生成して、この信号がソリッドステートセンサ出力を「オン」または「オフ」にします。

誘導センシング技術により、リニア/角度位置、変位、モーション、圧縮、振動、金属構成、およびその他多くのアプリケーションの精密な測定が可能になります。 それにより、16ビットの共振インピーダンスおよび24ビットのインダクタンス値を備えた位置センシングアプリケーションでのサブミクロンの分解能が実現します。 誘導センシングは、金属または導電性ターゲットの位置、モーション、または構成の測定や、スプリングの圧縮、伸長、またはねじれの検出に使用することができます。

産業用センサのもう1つの例として、Silicon LabsSi7013シングルチップ相対湿度および温度センサがあります。この製品は、サーモスタット、調湿器、および他の類似デバイスでの産業用HVAC向けに使用されます。 このセンサは、湿度およびセンシング素子、A/Dコンバータ、信号処理、較正、そしてI²Cインターフェースを統合するモノリシックCMOS ICです。

湿度および温度センサは工場で較正され、その較正データがオンチップ不揮発性メモリに保存されます。 センサは、再較正またはソフトウェア変更が不要で、完全に交換可能です。

電源管理を備えた補助センサ入力は、外部サーミスタネットワークまたは他の電圧出力センサに直接接続することができます。 Si7013は、3 x 3mm DFNパッケージで入手でき、リフローはんだが可能です。

他の特長には、次のようなものがあります。
  • 高精度の相対湿度センサ
  • 温度センサ
  • 補助の第2ゾーンのセンサ入力(Si7013)
  • 動作RH範囲:0~100%
  • 最大動作温度範囲:-40°C~125°C
  • 幅広い動作電圧範囲:1.9~3.6V
  • 低消費電力
  • I²Cホストインターフェース
  • 内蔵のオンチップのヒータ
  • 3 x 3mm DFNパッケージ
  • 優れた長期安定性
  • 工場出荷時較正済み
  • リフロー中、および動作中の寿命保護
  • AEC-Q100車載用認証済み
振動は、産業環境で綿密に監視される必要がある一般的な原因です。 Analog Devicesが提供する、FFT解析およびストレージ付きのADIS16228デジタル3軸方向振動センサ(図2)は、完全な振動センシングシステムで、3軸加速度センシングを、高度な時間領域および周波数領域の信号処理と組み合わせています。

20.48kSPSのサンプリングレートと5kHzに及ぶフラットな周波数バンドは、多くのマシンの健全状態を予測するアプリケーションに適切な周波数応答を提供します。kS/s アルミコアは、MEMS加速度センサとの優れた機械的結合を提供します。

内部のクロックは、すべての動作期間においてデータサンプリングと信号処理システムをドライブするため、外部クロック源が不要になります。 データ取り込み機能には3種のモードがあり、これらのモードは多くの異なるアプリケーションの必要性を満たすいくつかのオプションを提供します。 さらに、リアルタイムモードでは、1軸上の連続したデータの流れに直接アクセスすることができます。

Analog Devicesの振動センサ
Analog DevicesのADIS16228ブロック図
図2:Analog Devicesの振動センサ(上部の図)およびADIS16228のブロック図(下部の図)。

SPIおよびデータバッファ構造は、データ出力への便利なアクセスを提供します。 ADIS16228はまた、デジタル温度センサとデジタル電源測定を提供します。 このデバイスは、振動解析、状態監視、マシンの健全性、計測器、診断、および安全性シャットオフセンシングなどの産業用アプリケーションで使用されます。 15 x 24 x 15mmのモジュールで入手できるこの製品は、シンプルなユーザーインターフェースと取り付けを実現する、フランジとM2サイズのネジ用穴とフレキシブルコネクタを備えています。 ADIS16228は、±180°の全方向範囲にわたるピッチ角とロール角両方の高精度測定を提供する、同サプライヤのADIS16210デジタル傾斜計システムとフットプリントおよびピン互換です。 ADIS16228は、-40°C~+125°Cの拡張動作温度範囲を持っています。

Analog DevicesのADIS16000およびADIS16229(組み込みRFレシーバ付き)は、広範な産業用機器アプリケーション向けのシンプルなワイヤレス振動センシングネットワーク作成を実現します。 ADIS16000はネットワークを管理するゲートウェイ機能を提供する一方で、ADIS16229はリモートセンシング機能を提供します。

高度な電子制御システムが急増した結果、センサの精度、信頼性、応答時間、堅牢性、通信能力、および効率性は向上し、そのサイズは小型化されています。 これにより、新たなセンサアプリケーションのための研究開発が促進され、機会が拡大しています。 今後、産業施設は、複雑性、安全性、および動作の管理を向上させるためにより多くのインテリジェンスで装備されるでしょう。 これらのアプリケーション向けのセンサシステムは、非常に小型で、消費電力はわずかであり、その費用は、スマートエレクトロニクスをセンシング素子と緊密に統合しなかった以前のセンサのほんのわずかである可能性があります。 さらに、これらのデバイスは多くの場合、シングルチップに収められ、ワイヤレスで動作します。

この記事では、産業環境によく適した近年のセンサのいくつかを取り上げました。 この記事で扱っている部品の詳細については、このページにあるリンクを使用して、DigiKeyウェブサイトの製品情報ページにアクセスしてください。

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著者について

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キャロリン・マタス氏

キャロリン・マタス氏は、20年以上にわたってEDN、EE TimesのDesignlines、Light Reading、LightwaveやElectronic Productsなどの雑誌の編集や執筆に携わっています。彼女はさまざまな企業にカスタムコンテンツやマーケティングのサービスも提供しています。

出版者について

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雑誌『Electronic Products』とElectronicProducts.comは、電子機器およびシステム設計の責任を持つ技術者や技術管理者に関連情報を提供しています。