LEO衛星アプリケーション用宇宙グレードコネクタの選択
DigiKeyの北米担当編集者の提供
2024-12-10
衛星産業は、特に低周回軌道(LEO)衛星の分野で急速な成長を遂げています。しかし、LEOの過酷な環境は、設計者にとって大きな課題となっています。真空、原子状酸素、強烈な紫外線(UV)、極端な温度変化にさらされると、アウトガス、材料の劣化、コネクタの故障につながり、ミッションクリティカルなシステムを危険にさらす可能性があります。
ミッションを確実に成功させるためには、設計者は宇宙空間での運用の課題を理解し、LEOの条件を満たすために必要な高度な材料と技術を組み込んだコネクタを信頼できる供給元から選択しなければなりません。
この記事では、LEOアプリケーションにおける設計の課題を簡単に説明し、環境への影響を軽減するための戦略について解説します。そして、これらの課題を解決するのに役に立つCinch Connectivity Solutionsの最適なコネクタを紹介します。
LEOにおける環境問題とコネクタへの影響
LEO衛星の設計者は、特有の環境問題に直面します。深宇宙ほど過酷な環境ではありませんが、LEO衛星のコネクタやその他の部品は、アウトガスや、放射線、腐食、極端な温度、振動や衝撃に耐えなければなりません。
1.アウトガス
アウトガスとは、非金属材料が熱や真空にさらされたときに、そこからガスが放出されることを指します。LEO環境では重大な懸念事項となります。プラスチックは、その優れた絶縁特性からコネクタに広く使用されており、コネクタに使用される金属の中には、製造中に閉じ込められた微細な気泡を含むものがあります。コネクタが海抜0mで製造される場合、これらのガス気泡は材料の内外の圧力差によって生じる力を受けません。
しかし、真空の宇宙空間では圧力差が非常に大きくなり、閉じ込められていたガスが放出されます。このアウトガスは、コネクタの機械的強度に影響を与える小さな亀裂やひび割れにつながる可能性があります(図1)。
図1:アウトガスはコネクタの機械的強度に影響を与える小さな亀裂やひび割れにつながります。(画像提供:Cinch Connectivity Solutions)
アウトガスはまた、コーティング層を形成することによって、カメラなどのセンサにダメージを与える可能性があります。コネクタや部品間に短絡が発生し、ミッションが危険にさらされる可能性さえあります。
宇宙空間の真空がアウトガスの主な要因である一方で、その他の環境要因もアウトガスの可能性を高める可能性があります。たとえば、紫外線や原子状酸素への暴露によるポリマーの劣化は、閉じ込められたガスが抜けやすくなります。
2.放射線と原子状酸素への暴露
太陽の紫外線にさらされ続けると、コネクタに使用されているプラスチックが損傷する可能性があります。電離放射線はコネクタに電荷を蓄積させ、静電気放電を引き起こす可能性があります。LEOの環境に多く存在し、紫外線と酸素が反応して生成される原子状酸素は反応性が高く、コネクタの材料、特にポリマーや一部の金属を侵食する可能性があります。たとえば、コネクタで一般的なプラスチック絶縁材料であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、原子状酸素や紫外線にさらされると反応し、摩耗の原因になります。原子状酸素は特に銀と反応し、酸化を引き起こして、導電性や接触抵抗に影響を与えます。
3.極端な温度変化
LEO衛星は、太陽光下では+125°C、地球の影では-65°Cまでの温度変化を受け、いくつかの外部コンポーネントは-270°C~+200°Cの温度にさらされる可能性があります。これにより温度サイクルが発生し、コネクタの小さな欠陥にストレスがかかり、悪化する可能性があります。コネクタ材料と関連部品間の熱膨張係数(CTE)の違いにより、不均一な温度サイクルが生じ、不適合な組み合わせとなり、潜在的な故障につながる可能性があります。
4.振動と衝撃
打ち上げ時の激しい振動は、コネクタの完全性を損なう可能性があります。横から横への動き(横軸)や、前方から後方への動き(推力軸)は、コネクタ接触部分のずれや破損が生じる可能性があります。打ち上げ時にペイロードがロケットから分離する際に発生する衝撃は、コネクタを緩めたり、疲労箇所を生じさせる可能性があります。
LEO環境影響を緩和するための戦略
これらのリスクの多くを軽減するために、ハーメチックシールが推奨されます。ハーメチックシールは、内部の部品を真空から守り、内部のガスが漏れるのを防ぎます。また、空気、ガス、湿気がアセンブリに侵入するのを防ぎます。
設計の成功を確実にするために、次のような宇宙アプリケーションに関連するいくつかの規格があります。
- 真空環境における材料のASTM E595アウトガス試験法は、質量損失比(TML)と再凝縮物質量比(CVCM)をそれぞれ+125°Cと+25°Cで測定します。代表的な合格基準は、TML ≤ 1.00%、CVCM ≤ 0.10%です。
- NASA EEE-INST-002では、電気・電子・電気機械(EEE)部品の選定、スクリーニング、適格性確認、およびディレーティングについて、ミッションの必要性に基づいたEEE部品の信頼性レベルを定めています。
- NASA SSP 30426は、国際宇宙ステーション(ISS)の外部汚染管理要件を定めています。
- NASA SP-R-0022Aは、高分子材料の真空安定性要件を定義しています。
コネクタは、宇宙ミッションの厳しい要件を満たすために、これらの規格に従って選択する必要があります。
技術成熟度(TRL)は、1970年代にNASAによって開発されたもので、技術の成熟度を1(基本原理が観察され、報告されている)から9(飛行が実証されている)までの尺度で評価するための標準化された方法です。TRLは、いくつかの理由から、宇宙コンポーネントの選定において次のような重要な役割を果たしています。
- リスクの低減:TRLの高いコンポーネントは、関連する環境や実際の宇宙ミッションで実証されています。
- コスト管理:より高いTRLのコンポーネントを使用することで、開発およびテストの要件を減らすことができます。
- 進捗状況の追跡:TRLにより、コンセプトから飛行可能な状態までの技術開発を監視することができ、宇宙船開発中の計画と意思決定に役立ちます。
- 共通言語:TRLにより、異なる宇宙技術間の成熟度の議論が容易に行えます。
- 統合の容易さ:TRLの高いコンポーネントは、一般的に既存システムへの統合が容易であり、選択の意思決定に影響を与えます。
LEO用コネクタソリューション
LEOアプリケーションの設計要件に対応するため、Cinch Connectivity SolutionsはCinch宇宙ミッションソリューションのコネクタ製品ラインアップを提供しています。これらは、サイズと重量に厳しい制約があるキューブサットやナノサットのようなLEO衛星に関連する課題を満たすように設計されています。
スタッキングコネクタジャンパ
CinchのCIN::APSEスタッキングコネクタジャンパは、LEO衛星の基板対基板、フレックス対基板、コンポーネント対基板接続などの用途に、はんだレスの高密度カスタム相互接続を提供します。主な特長は次の通りです。
- 同一平面、直角基板対基板接続により、衛星の設計やレイアウトに柔軟性をもたらす
- RF、電力、信号、高速データを1ミリメートル(mm)パッケージで実現
- 飛行実証済みの信頼性を示すTRL 9のNASA承認
- 過酷な機械的衝撃、振動、熱条件下での実証済みの性能。
代表的な例は4631533093です(図2)。このフレキシブルプリント回路基板(プリント基板)は、リジッドプリント基板に実装されたスタッキングコネクタと結合するために圧縮されます。
図2:リジッドプリント基板を接続する4631533093フレキシブルスタッキングコネクタジャンパを示します。(画像提供:Cinch Connectivity Solutions)
4631533093は25本の導体を持ち、長さは3インチ、ピッチは0.025インチ、露出端は0.131インチです。
スペーススクリーン済みmicro-Dコネクタ
小型化された航空電子機器やデータ処理装置、コンパクトな衛星設計でより短い信号経路が必要とされる場合、Cinchはスペーススクリーン済みDura-Con micro-Dコネクタを提供します。特筆すべき特徴として、ツイストピンコンタクトと機械加工ソケットによる耐久性の高い7点接触、MIL-DTL-M83513準拠(micro-Dココネクタ専用)、ニッケルメッキ、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)絶縁ワイヤなどが挙げられます。DCCM25SCBRPN-X2S25ピンmicro-Dレセプタクルが良い例です(図3)。
図3:DCCM25SCBRPN-X2Sは25ピンのスペーススクリーン済みmicro-Dレセプタクルです。(画像提供:Cinch Connectivity Solutions)
このレセプタクルは2列で、ピッチは0.050インチ、列間隔は0.043インチです。 金接点仕上げで、最大3Aに対応し、LEOのアウトガス要件である≤1.0% TMLおよび≤0.1% CVCMを上回っています。
アッテネータ
Cinchの宇宙用認定部品(QPS)アッテネータは、宇宙用として特別に設計されています。ASTM E595およびMIL-DTL-3993のアウトガス規格に適合し、1、2、3、6、10、20デシベル(dB)の標準値が用意されています。0~20dBのカスタム値も可能です。代表的な例はSQA-0182-01-SMA-02です(図4)。この1dBアッテネータは、DC~18ギガヘルツ(GHz)性能、2W平均電力処理能力(500W、ピーク)、動作温度範囲-55°C~+125°Cを特長としています。
図4:SQA-0182-01-SMA-02は、宇宙ミッション用に特別に設計された1dBアッテネータです。(画像提供:Cinch Connectivity Solutions)
まとめ
LEO宇宙ミッションの設計者は、アウトガス、温度、紫外線や電離放射線、振動や衝撃などの課題に直面しても確実に機能するコネクタを必要としています。Cinch Connectivity Solutionsのような実績のあるサプライヤを信頼することで、宇宙ミッションのために最高水準で設計されたさまざまなソリューションの恩恵を受け、設計の成功を確実にすることができます。
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