パネルマウントエンコーダ - 基本を理解する

著者 Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

DigiKeyの北米担当編集者の提供

この記事では、パネルマウントロータリエンコーダの電気工学的な領域について掘り下げていきます。このデバイスは基本的に、回転変位をホストシステム向けの電気信号に変換するトランスデューサです。エンコーダのメカニズムでは、回転時にパルスを生成し、制御デバイスが方向、位置、カウント、速度などの重要な情報を識別できるようにします。

パネルマウントエンコーダは、さまざまな産業にとって不可欠です。防衛・航空宇宙、医療、消費財、試験・計測など、さまざまな業界で使用されています。パネルマウントエンコーダはその汎用性により、コックピットコントロール、スタジオミキサーやオーディオ機器、電子ラボおよび計測器のセットアップ、モータドライブなど、さまざまなアプリケーションで役割を果たします。そのため、パネルマウントエンコーダは精密な制御インターフェースを作るための主要な選択肢となっています。この記事では、パネルマウントロータリエンコーダの基本的な仕組みを探り、主な仕様と考慮すべき点を明らかにします。

パネルマウントエンコーダの基礎

パネルマウントエンコーダは、ロータリエンコーダに対し、単にパネルに物理的に固定されるということからその名前がつけられました。このデバイスは、ステレオのボリュームノブに代表されるように、主にヒューマンインターフェースの機能を果たします。その役割は、ユーザーがさまざまなシステムパラメータを操作できるようにすることであり、ユーザーとシステムプロセッサの間のコンジットとして機能します。

パネルマウントロータリエンコーダと、同様の回転/信号変換機能を持つもう一つのパネルマウントコンポーネントであるポテンショメータを比較すると、明確な利点があることがわかります。パネルマウントエンコーダは、より厳密な製造公差を実現し、精度と一貫性が高められています。さらに、そのデジタル出力は現代のデジタルデバイスとシームレスに整合するため、アナログ/デジタルコンバータが不要となり、コストや潜在的なエラーを削減できます。ただし、ポテンショメータに関心があるユーザーにも配慮し、Same Skyに関する記事『ポテンショメータの完全ガイド』では、類似していても異なるこれらのコンポーネントについて包括的に解説しています。

パネルマウントエンコーダの仕様と考慮事項

パネルマウントロータリエンコーダの仕様を掘り下げていくと、重要な仕様と考慮すべき点がいくつかあります。PPR(1回転あたりのパルス数)は、360度の回転ごとに生成される矩形波パルスの数を示すことでエンコーダの分解能を定量化する指標として注目されています(図1)。分解能は、CPR(1回転あたりのカウント数)でも示すことができます。PPRに4を掛けて計算され、1回転あたりの直角位相状態の変化数を表します。これらのメトリクスを包括的に理解するには、Same Skyの記事『インクリメント・エンコーダーのPPR、CPR、LPRのそれぞれの違いは何ですか?』が役立ちます。

ある同一点から次の同一点までの波形として測定されるパルスの図図1:パルスは、ある同一点から次の同一点までの波形として測定されます。(画像提供:Same Sky)

不可欠な機能である戻り止めは、シャフトの回転中に「カチッ」と音を立てて所定の位置に固定され、ユーザーのフィードバックに貢献します。戻り止めは、360度の回転あたりのクリック数で規定され、意図しない回転を防止する役割を担います。また、シャフトの特定の動作角度を触覚的に示します。

エンコーダの機能を高めるプッシュスイッチ機能により、ユーザー入力信号が追加されます。エンコーダシャフトを押し下げると、シンプルなSPSTスイッチが作動します。この機能は、エンコーダノブを回して操作する機能を選択するためによく使われます。

ロータリエンコーダは、2つのチャンネルが電気的に90度オフセットされた矩形波を利用して、方向を識別します。これらのチャンネル間の相対的な位相シフトにより、先行チャンネルの検出が可能となり、回転方向の信頼できるインジケータが提供されます(図2)。

先行信号の検出によって回転の監視が可能になることを示す図図2:先行信号を検出することで、時計回りまたは反時計回りの回転を監視できます。(画像提供:Same Sky)

多くのアプリケーションでは、分解能を高めるために、1サイクルがローからハイへの遷移を含み、その後両チャンネルでローに戻る直角位相状態の変化が選択されます。このアプローチにより、1回転あたりのカウント数が効果的に増加し、エンコーダの分解能と回転運動を追跡する精度が向上します。これは、各回転からより詳細な情報を抽出し、さまざまな用途でエンコーダの性能を最適化するための巧みな方式です。

位置 状態
A B
1 0 0
2 1 0
3 1 1
4 0 1
1 0 0
2 1 0
3 1 1
4 0 1
1 0 0
2 1 0
3 1 1
4 0 1

図3:直角位相の真理値表。(画像提供:Same Sky)

パネルマウントエンコーダをマイクロコントローラに接続するには、マイクロコントローラが電流を供給してV+への経路を提供し、エンコーダがグランドへの経路を提供する回路を作成する必要があります。この連携動作によって完全な回路が形成され、エンコーダとマイクロコントローラの間のシームレスな通信が可能になります。「オープンコレクタ」という用語は、「シンク」と同じ意味でも使用され、出力トランジスタのコレクタがユニットの外部にあることを示します。データ交換のための効果的な電気的経路を確立することが重要になります。

また、マイクロコントローラが以下のように異なる方法を使用してカウントすることを区別することも重要です。

  1. 1チャンネル上のパルス:1パルスにつき1カウントを割り当てるこの簡単な方法により、基本的なカウントで十分なアプリケーションのカウントプロセスを簡素化します。
  2. 2チャンネル上のパルス:2つのチャンネルを活用することで、効果的にカウントを2倍にして、エンコーダの動きをより詳細かつ正確に表現できます。
  3. 直角位相状態の変化: 直角位相状態の変化を選択すると、1サイクルあたり4カウントの利点を生かし、回転シフトのトラッキングにおいて、さらに高い分解能と精度が得られます。

機械式と光学式の比較

一般に、パネルマウントエンコーダは、機械式と光学式という2つの主要技術で動作します。

スイッチのアレイとして動作する機械式エンコーダは、その外縁に沿って接点が等間隔に配置されたコードホイールに依存しています。また、固定接点はエンコーダのシャーシに固定されます(図4)。コードホイールが回転すると、コードホイールの接点との接触を順次確立し、1つずつ遮断します。回路のこの周期的な係合と係合解除によって電圧パルスを生成し、これが回転運動を電気信号に変換する基本的なメカニズムとなります。

機械式エンコーダの内部構造の画像図4:機械式エンコーダの内部構造。(画像提供:Same Sky)

機械式エンコーダは、基本的に機械的なスイッチのアレイとして機能するため、使用可能な出力を確保するためにデバウンス回路とプログラミングが必要であることを強調しておきます。理想的なシナリオでは、スイッチは明確なオン/オフ状態を示しますが、現実の世界では複雑さが生じます。スイッチはこれらの状態間をホバーまたはバウンスすることがあり、信号の歪みが生じます。スイッチバウンスと呼ばれるこのバウンス現象は、余分なパルスとして誤って解釈され、システムに不正確さをもたらす可能性があります。

スイッチバウンスを軽減するために、デバウンス回路が効果を発揮します(図5)。この回路は出力を「スクエアアップ(不要な信号を除去)」するように設計されており、信号がバウンスやホバリング効果の干渉を受けることなく、意図されたオン/オフ状態を正確に表現できるようにします。信号の完全性に対するこのような配慮は、機械式エンコーダの信頼性と精度を高める上で非常に重要です。

デバウンス回路で機械式エンコーダの出力を 「スクエアアップ」することを示す図図5:デバウンス回路は、機械式エンコーダの出力を「スクエアアップ」するのに役立ちます。(画像提供:Same Sky)

一方、光エンコーダは、光源、光検出器、コードホイールという3つの基本コンポーネントで構成されます。それらの動作を以下に示します。

  1. 光源:このコンポーネントは光を発します。
  2. 光検出器:光源の反対側に配置され、放射された光を感知します。
  3. コードホイール:光源と検出器の間に配置され、等間隔にスリットが入っています。これらのスリットは、交互に光を通したり遮ったりします。

動作サイクルでは、光源がコードホイールのスリットを通過します。検出器は、スリットが光を通すか遮るかに基づく光強度の変化を記録します。内部回路は、光の検出または遮断に応じて出力を有効または無効にすることで応答します。このメカニズムにより、光エンコーダは位置情報を効果的に電気信号に変換できます。

光エンコーダの内部構造の画像図6:光エンコーダの内部構造。(画像提供:Same Sky)

この比較をまとめると、機械式エンコーダは費用対効果が高く、電圧範囲が広くて汎用性が高いと言えます。しかし、信頼性の高い信号を実現するためにデバウンス回路が必要で、ライフサイクルは短くなります。一方、光エンコーダは一般に価格は高くても、ライフサイクルが長くなります。デバウンス回路が不要で、よりクリーンな出力信号を生成します。さらに、精密用途では、光エンコーダはより高い分解能を実現します。

まとめ

パネルマウントエンコーダは、広範囲にわたる業界のさまざまなユーザーインターフェースアプリケーションに採用され続けるでしょう。最適なデバイスを選択するためには、利用可能なエンコーダ技術、重要な仕様、設計上の考慮事項を包括的に把握することが極めて重要になります。Same Skyは、機械式と光学式の両方のパネルマウントエンコーダを取り揃え、ほぼすべての設計要件に対応しています。パネルマウントエンコーダに加え、Same Skyの静電容量ベースのAMTロータリエンコーダは、他のエンコーダ技術にはない精度と耐久性を備えています。

DigiKey logo

免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。

著者について

Image of Jeff Smoot

Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

Same SkyのJeff Smootによって提供された記事です。

出版者について

DigiKeyの北米担当編集者