産業用電源コネクタのアプリケーション要件への適合

工場の生産ライン、建設現場、データセンターなど、あらゆる環境において、産業用機器に電源供給するためには、各設置環境の特定の要件を満たすように設計されたケーブルコネクタが必要です。これにより、安全で信頼性が高く、長寿命な接続が保証されます。特定の設置環境では、水や工業用化学物質に対する耐性、および塵や紫外線からの保護が必要となる場合があります。コネクタは、繰り返しの接続と取り外しのサイクルによる機械的応力に耐えられなければなりません。この際、接点が汚染にさらされる可能性があります。同時に、ユーザーと機器の安全を守らなければなりません。

設計者にとって、最大の課題は、各状況におけるこれらの要件の微妙な違いを理解し、信頼できるコネクタメーカーを見つけることです。これにより、これらの要件を確実に満たすことが可能になります。

この記事では、産業用アプリケーションにおいて設計者が直面する接続に関する課題の概要を説明します。次に、Amphenol Sine Systemsのピンとスリーブ式産業用プラグとソケットを紹介し、これらの製品が産業用機器の安全で信頼性の高い接続と取り外しを可能にする仕組みを説明します。

電源コネクタの環境

電源コネクタが使用される環境は、涼しく乾燥したデータセンターから、高温多湿の工場の現場、さらには湿気の多い食品加工工場まで、多岐にわたります。コネクタは、単相AC電圧、Y接続またはΔ接続の3相AC電圧、またはACとDCの電源を供給するために必要とされる場合があります。コネクタは、壁取り付け用電源ソケットからパネル取り付け機械用コネクタに電源を供給するためにも必要です（図1）。電源構成要件（たとえば相の反転やケーブルの延長など）を満たすため、インラインプラグとソケットのペアが必要になる場合もあります。

図1：産業環境におけるコネクタアプリケーション構成の範囲には、インライン、パネル、および壁取り付け用コネクタが含まれます。（画像提供：Amphenol Sine Systems）

電源コネクタには、3本から5本の導線（または極）が必要です。たとえば、単相AC電源とグランド用に3極コネクタが必要です。Δ接続の3相電源には、3相信号とグランド線を含む4芯ケーブルが必要です。Y接続の3相電源システムでは、各相用の導線、中性線、およびグランド線が必要であり、合計で5本の導線が必要です。導線とコネクタのサイズは、対応する定格電流によって異なります。

選択するコネクタタイプは、その用途によって異なります。電源入力には通常、壁取り付け用のコネクタが必要です。一方、電源供給を受ける機器は通常、パネル取り付け用のコネクタが必要です。もちろん、インラインコネクタは、固定端子間のケーブルを接続し、延長ケーブル、フェーズインバータ、その他の中間接続の挿入を可能にします。

誤接続の防止

設計者は、ほとんどのシステムが複数の機械が含まれることを考慮する必要があります。これにより、電源ケーブルの数が増加し、誤接続が発生する可能性が高くなります。国際規格（IEC 60309-2およびUL/CSAなど）は、供給する電源の種類に応じてコネクタの端子配置を規定しています（図2）。これにより、誤接続のリスクを最小限に抑えます。

図2：IEC 60309-2またはUL/CSAの「クロック」図は、コネクタ内のグランドピンの位置を示し、これによりコネクタの構成と電圧定格が規定されます。（画像提供：Amphenol Sine Systems）

コネクタ本体内のキー溝に対するグラウンドピンの位置が、コネクタの構成を決定します。グランドピンは、30°間隔で配置された12の可能な位置のいずれかに配置され、その配置は「クロック」図で要約されています。これらは、各コネクタの電圧定格に基づく色コードを使用して、3芯（2P+Eまたは2P-3W）、4芯（3P+Eまたは3P-4W）、または5芯（3P+N+Eまたは4P-5W）のケーブルコネクタとして識別します。したがって、導線およびコネクタの直径は、定格負荷電流に適合するように選択されています。

産業用電源コネクタの例

Amphenol Sine Systemsは、最大100Aおよび690Vのアプリケーション向けに設計されたプラグおよびソケット電源コネクタの幅広いラインナップを提供しています。

たとえば、Amphenol Sine Systemsの2CMA104446R1000インライン電源コネクタプラグは、3相Y接続アプリケーション向けに設計されており、5本の導線（各相用に1本、中性線用に1本、およびグランド用に1本）を備えています。この製品は、最大32アンペア（A）で200～415Vまでの電圧に対応しています。そのグランドピンは、コネクタのキー溝と同じ6時位置にあります。図の5ピンコネクタにおける6時位置の赤色で色分けされた外側のリングは、電圧範囲（この場合200V～415V）を示しています。

コネクタの構造

Amphenol Sine Systemsのコネクタは、現代的で堅牢な設計を採用しています（図3）。コネクタ本体は、熱可塑性ポリエステルであるポリブチレンテレフタレート（PBT）で作られています。PBTは、優れた電気絶縁性、高い強度、寸法安定性、および熱と化学物質に対する耐性が特徴です。耐摩耗性に優れ、水分吸収が極めて少なく、加工が容易です。

図3：5ピン、200V～415Vのプラグの主要な特徴を示します。コネクタ本体はPBTで作られています。（画像提供：Amphenol Sine Systems、Art Pini氏により変更）

赤いフードは、クロック図に示すように、コネクタの200V～415Vの定格電圧を示しています。グランドピンは他のピンよりも直径が大きく、このコネクタでは電圧仕様に基づき、下側（6時位置）に配置されています。また、他のものよりもやや長いため、最初に接触します。コンタクトピンは真鍮製で、対応するソケットと接続された際にセルフクリーニング機能を備えています。コンタクトは、時間経過しても正確な接触圧力を保つように調整されており、品質と性能を保証します。2本のステンレス鋼のネジで、各ピンにワイヤを固定しています。プラグのピン周囲の保護スリーブにより、埃や湿気から保護します。コネクタ内のコンタクトブロックには、アセンブリ時の誤りを最小限に抑えるため、相（L1、L2、またはL3）、中性（N）、ライン（L/+）、またはグランド（G）を示す明確な端子マークがエンボス加工されています。

ケーブルは、後部の外側クランプと、内部クランプの2つのクランプでコネクタ本体に固定されています。クランプの間に配置された防水グロメットがケーブルの挿入部を密封し、ケーブルを通じてコネクタ本体に液体が入るのを防ぎます。モデルによっては、コネクタはIP44（防滴）またはIP67（防塵および防水）の保護等級を有しています。

レセプタクルコネクタは同様の構造を採用しており、コンタクトにソケットを使用しています（図4）。

図4：インラインソケットコネクタのレセプタクルの断面図を示し、プラグと類似の構造を採用することで配線の完全性を保ちます。（画像提供：Amphenol Sine Systems）

コネクタのソケットタイプには、内部を塵や湿気から保護するために、同じ種類のシールとガスケットが使用されています。コンタクトは真鍮製で、配線を固定するための二重ロックネジを備えています。さらに、コネクタの接続口は、コネクタが接続されていない際に汚染を最小限に抑えるため、色分けされたプラスチックキャップで保護されています。

Amphenol Sine Systemsの2CMA166618R1000は、2CMA104446R1000プラグと同じ32Aの電流定格および200V～415Vの電圧定格を有する5極ソケットコネクタです。この電圧定格により、グランドピンは6時位置に配置され、赤いキャップが特徴です。このシリーズのすべてのコネクタは、IEC 60309-1、2、および4に準拠しており、ULおよびCSAの認証を取得しています。

機械やその他の装置における電源ケーブルの受電端は、通常、パネル取り付け用コネクタ（たとえば、Amphenol Sine Systemsの2CMA193146R1000（図5）の2極3線式ソケット）を介して接続されます。

図5：2CMA193146R1000は、2極3線式パネル取り付け用電源ソケットの例です。（画像提供：Amphenol Sine Systems）

このレセプタクルは、取り付けフランジを使用して装置の外側に固定するように設計されています。定格は、単相200V～250V、16Aです。クロック図を参照すると、3線式較正（内側のリング）では、6時位置に設定され、青いキャップが使用されます。パネル取り付け用コネクタは、ストレートタイプまたはアングルタイプが用意されています。

電源用のコネクタは通常、壁取り付け用です。2CMA178699R1000（図6）の壁取り付け用電源コネクタは、4極5線式のソケットです。

図6：2CMA178699R1000は、壁取り付け用産業用電源ソケットの例です。（画像提供：Amphenol Sine Systems）

この埋め込み式壁取り付け用コンセントは、380V～415Vおよび16Aに対応しています。クロック図の6時位置に表示され、コンタクトブロックの周囲に赤色で識別されています。保護等級はIP44で、防沫性があります。他のソケットコネクタと同様に、このコネクタには、コネクタが接続されていない際にソケットのコンタクトを保護するためのスプリング式カバーが備わっています。

まとめ

産業用機器には、各設置環境の特定の要件を満たすように設計された電源コネクタが必要であり、安全で信頼性が高く、長寿命な接続を実現します。Amphenol Sine Systemの産業用プラグとソケットは、さまざまな電圧、電流、および物理的構成に対応し、現代の製造施設、インフラストラクチャ、データセンター施設において見られる幅広い環境条件の要件を満たすように設計されています。