信頼性の高い産業制御環境における環境発電の使用方法
DigiKeyのヨーロッパ担当編集者の提供
2015-06-03
この記事では、高信頼性が重要な産業用オートメーションにおいてノードの給電に環境発電源を使用する際の設計上の課題に目を向けます。 センサノードを適切な位置でかつ可能な限り最高の信頼性で配置できることを確保するために、温度および振動などのエネルギー源を電池システムおよびワイヤレスリンクと組み合わせる方法について考察します。
環境発電技術は、産業用システムの信頼性および可用性を高めるのに使用できます。 パワーまたは通信リンクにかかわらず必要とされる場所でセンサノードを見つけられることで、より高品質のデータを提供することができます。 これにより、問題が発生する前に問題を特定するカルマンアルゴリズムなどの手法のためのトレンドデータが提供され、障害が発生する前に運転中にもたらされる予防保守または代替機器が可能になります。
これらの環境発電技術は、シンプルな電池バックアップセンサノードの課題を克服します。 工場での数千ものノードで、電池を維持し充電するのは高額で時間がかかる作業となる可能性があります。 しかし、環境発電は、大きく異なる可能性がある信頼できないソースとしてみなされているため、多くの場合、このようなアプリケーション向けに考慮されません。 振動、熱またはソーラーなどの環境発電源を、充電式電池と組み合わせることで、両分野で最良のものをもたらすことができます。 スタンドアロンセンサノードは到達が難しい場所に容易に配置でき、充電式電池システムは数千サイクル持続できるため、ノードの寿命を大幅に延長します。
しかし、この組み合わせには、不規則な低電流源から信頼性の高い電力を提供できる新しいクラスの電源管理デバイスが必要です。 これらのデバイスは、ソースから電力を具体的に管理するために昇降圧アーキテクチャを使用します。
MidéのVolture V25Wなどのデバイスを使用した、振動からのエネルギー採取は、ファクトリオートメーションでの貴重な電力源です 。
図1:MidéのVolture V25W圧電振動エネルギー発生器。
これはハーメチックシールの圧電デバイスで、過酷な環境での使用向けに設計されています。 センサとして使用できますが、電源管理チップおよび薄膜電池と直接統合して、信頼性の高い電源を提供することも可能です。 具体的には、モータの振動を活用することで、産業用ネットワークにおけるセンサノードや、産業用オートメーション環境におけるワイヤレス高電圧空調センサに給電することを目的としています。 HVACの状態をモニタできることは、工場での温度が信頼性のために厳密に制御されていることを確保するために不可欠です。
センサは振動源に実装され、振動源の共振周波数に同調されます。 多くの場合、同調を容易に行うために優位周波数は120HzのACモータまたは60Hzの器具で明らかですが、ほとんどのアプリケーションには、振動源が共振周波数で動作することを確保するために何らかの形態の振動特性化が必要です。
次にV25Wを、MaximのMAX17710などの電源管理デバイスに接続することができます。 これは、環境発電源からマイクロパワーストレージセルを充電し保護するための完全なシステムです。 1µW~100mWの範囲の出力レベルを備えた、安定化が不十分なソースを管理します。 このデバイスはまた、最小0.75V(標準)のソースからセルを充電するためのブーストレギュレータ回路を内蔵しています。
内蔵のレギュレータは過充電からセルを保護し、ターゲットのアプリケーションに供給される出力電圧は、3.3V、2.3V、または1.8Vの選択可能な電圧を備えた低ドロップアウト(LDO)リニアレギュレータを使用して安定化されます。この出力レギュレータは、セルの損失を最小限にするため、選択可能な低電力または超低電力モードで動作します。 内蔵の電圧保護によって、セルの過放電を防止します。
図2:MAX17710は、具体的に環境発電源の電力に同調されます。
太陽電池は、工場の屋内においても可能性のある電力源です。 SpansionのMB39C831は高効率の同期整流ブーストDC/DCコンバータです。このコンバータは、単一または複数のセルを持つ太陽電池、または熱電発電機(TEG)から得るエネルギーをLiイオン電池に効率的に供給します。
これは、Liイオン電池を安全に充電するために最大電力点追従(MPPT)アルゴリズムおよび保護機能を使用して、太陽電池の最大電力点に続いてDC/DCコンバータ出力を制御します。
一般的に、太陽電池の電圧は負荷電流により異なるため、電力が最大になるオペレーティングポイントが重要です。 負荷のないリリースポイントと比べて、この最適なオペレーティングポイントを追従する制御アルゴリズムは、パワー変換に最大の効率を提供します。
図3:MB39C831は、最も効率の高いエネルギー変換のためにソースの最適な電力点を追従します。
低電圧設計を使用して、0.35Vからのスタートアップが可能です(図3)。 このデバイスは、シングルセルの太陽電池が入力として扱われるアプリケーションに適応し、41µAの静止電流でセンサノードに給電するために3.0V~5.0Vの出力を供給します。 このデバイスの主要な特長として、パルス周波数モード(PFM)変換とパルス幅モード(PWM)変換間を自動的に切り替えることで、低出力電力中にパワー変換の効率を最適化することが挙げられます。
この適応型アプローチはまた、熱エネルギーなどのその他の電力源に寄与します。 これは、熱の差から電力を生成するために工場で使用可能です。 LairdのWPG-1などのヒートエンジンは、最大1.5mWの使用可能な出力電力を提供し、広範な負荷抵抗を扱うことができます(図4)。 20°K未満の低い温度差で使用可能な出力電力を提供する超低電圧昇圧コンバータが組み込まれています。 この出力電力は、センサノードまたはさらに大きな機器に給電するために、3.3V、4.1Vまたは5.0Vの3つの電圧セットポイントに対応するように安定化できます。
このユニットは自己完結型の薄膜熱電電力発生器で、ワイヤレスセンサネットワーク向けに廃熱を採取し、使用可能なDC出力電力に変換します。 異なる熱の差または出力電圧向けに、代替の熱吸収および熱放散メカニズムに対応するためのカスタム設計サービスが利用できます。
図4:Lairdが提供するWPG-1ヒートエンジンの電流出力は、温度差により異なります。
環境発電源の信頼性をさらに高める1つの方法として、エネルギーが使用されるか、またはローカルバッテリに蓄えられる前に、エネルギーを収集するためにコンデンサバンクを使用することがあります。 Advanced Linear DevicesのEH300/EH301シリーズ EPAD環境発電モジュールは、低電力で断続的なデューティサイクルサンプルデータまたは条件ベースのモニタリングや、極めて長寿命の要件を持つアプリケーション向けに、従来の3.3Vおよび5.0V出力を提供するために多くのソースからエネルギーを受け入れることができます。 これらのモジュールは完全に自己給電型で、異なるソースインピーダンスで一定のまたは断続的かつ不規則な方法で電気エネルギーを生成する環境発電源から、0.0V~+/-500VACまたはDCの範囲の瞬時入力電圧、および200nA~400mAの入力電流を受け入れられるように常にアクティブモードにあります。
図5:Advanced Linear DevicesのEH300モジュールは、さまざまな環境発電源からの常時オンの電源管理を提供するために、コンデンサバンクを使用します。
各モジュールは、センサノード向けに最小(VL)および最大(VH)電源電圧に対応する+V_low DCおよび+V_high DCの2つの電源電圧閾値間で動作するように設定されます。
エネルギー源がエネルギーを電荷インパルスとしてモジュールの入力に注入し始めると、これらの電荷パケットが収集され、蓄積されて内部ストレージコンデンサバンクに貯蔵されます。 最も一般的な環境発電アプリケーション向けに、電気エネルギーの電荷パケットは、制御されていない、かつ予測できない入力電圧スパイクの形態で到達します。 多くの場合、これらは、扱うのが困難な可能性がある広範な電圧、電流およびタイミング波形をカバーします。 その1例として、EH300モジュールは、10µAの平均入力電流で4分以内で、そしてわずか1.0µAの平均入力電流で40分以内で1サイクルを完了することができます。
結論
環境発電は、電源ケーブルによって制限されることなく、センサネットワークに電力を提供するための有効な方法である可能性があります。 必要とされる場所にセンサを配置し、機器の振動または上部からの光によって給電することは、工場のシステムが確実に動作することを確保するために非常に有用なデータを取得する革新的な方法となる可能性があります。 充電式電池の追加は、メンテナンスおよび交換サイクルを大幅に拡張し、ワイヤレスセンサネットワークを介して機器を確実にモニタするための柔軟で有効な方法を提供します。

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