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近接センサ技術を選択する際の設計上の注意点

著者 Jeff Smootは、CUI Devicesでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

近接センサにはいくつかの代表的な技術がありますが、それぞれが全く異なる動作基準を持ち、検出、距離、近接性を判断する際に異なる強みを持っています。この記事では、エンジニアが設計要件に応じてどのシステムを選択すべきかを判断できるように、小型の固定組込みシステムに向いた4つの選択肢と、その基本的な動作原理を紹介します。

近接センサは、物体に触れることなく、その存在や距離を正確に検知する手段を提供します。センサは、電磁界、光、超音波のいずれかを発しますが、それが対象となる物体で反射したり、通過したりして、センサに戻ってきます。近接センサが従来のリミットスイッチに比べて優れている点は、機械部品がないため、耐久性が高く、長寿命であることです。

特定のアプリケーション向けの最適な近接センサ技術を検討する際には、コスト、距離範囲、サイズ、リフレッシュレート/遅延、材料の影響のすべてを考慮し、設計にとって何が最も重要であるかという文脈で考える必要があります。

超音波センサ

超音波近接センサは、その名の通り、「チャープ信号」と呼ばれる超音波パルスを発して物体の存在を検出します。また、物体までの距離を算出するためにも使用できます。送信機と受信機で構成されており、その機能はエコーロケーションの原理に基づいています(図1)。

超音波センサの動作図図1:超音波センサの動作原理。(画像提供:CUI Devices

チャープ信号が物体表面で反射して戻ってくるまでの時間の長さ(ToF、飛行時間)を測定することで、センサは対象物がどれくらい離れているかを判定できます。通常、送信機と受信機は近くにありますが、送信機と受信機が離れていてもエコロケーションを利用することは可能です。送信機能と受信機能を1つのパッケージにまとめたものがありますが、これは超音波トランシーバと呼ばれています。

超音波センサは、電磁波ではなく音を利用しているため、センサの読み取り値は対象物の色や透明度の影響を受けません。また、光を出さないという利点もあり、暗い場所はもちろん、明るい場所での使用にも適しています。音波は水の波紋のように時間や距離による広がりを生みますが、この検出領域または視野(FoV=Field of View)の広がりは、用途によっては長所とも短所とも言えます。しかし、精度とリフレッシュレートが高く、1秒間に数百回のチャープ信号を送信できる超音波近接センサは、費用対効果が高く、用途が広く、安全なソリューションを提供することができます。

超音波センサの根本的な欠点は、空気の温度変化によって音波の速度が変化し、測定精度が低下することです。しかし、これは送信機と受信機の間の距離全体の温度を測定し、それに応じて計算を調整することで相殺することができます。また、音を伝達する空気がない真空中では、超音波センサを使用できないなどの制限があります。また、柔らかい素材は、硬い素材の表面に比べて音の反射率が低く、精度に影響を与えます。最後に、超音波センサ技術はソナーと同様のコンセプトを持っていますが、水中では機能しません。

光電センサ

物体の有無を検出するには、光電センサが実用的な選択肢と言えます。通常は赤外線ベースで、ガレージのドアセンサや店舗の在室者カウントなどが代表的な用途ですが、その他の産業アプリケーションにも幅広く対応しています。

光電センサを実装する方法はいくつかあります(図2)。透過型では、対象物の片側にエミッタ、反対側に検出器を配置します。もしビームが切れたら、それは物体が存在していることを意味します。回帰反射型の実装は、エミッタと検出器が一緒に配置され、リフレクタが反対側に配置されます。同様に、拡散配置でもエミッタと検出部は同じ位置に配置されますが、代わりに放出された光は検出対象の物体で反射します。この設定では、距離を測定することはできません。

光電センサの図:透過型、回帰反射型、拡散反射型図2:光電センサ - 透過型、回帰反射型、拡散反射型。(画像提供:CUI Devices)

光電センサを透過型または回帰反射型に設定すると、低遅延で広い検出範囲を必要とするアプリケーションに適します。ただし、慎重に取り付けて位置合わせする必要があるため、混雑した環境でのシステムの設置は困難な場合があります。拡散型の実装は、小さな物体の検出に適しており、移動式検出器にすることもできます。

光電センサのセットアップは、産業界でよく見受けられる不浄な環境でも使用できます。また、可動部品がないため、他の製品に比べて寿命が長いのも特長です。レンズが保護され、清潔に保たれている限り、センサの性能は維持されます。ほとんどの物体を感知することができますが、透明で反射する表面や水に対しては問題があります。その他の制限としては、正確な距離計算や、光源によっては特定の色の物体(例えばIRを使用する場合は赤)を検出することなどがあります。

レーザー距離計

従来は高価なオプションであったレーザー距離計(LRF)は、最近では多くのアプリケーションでより現実的なソリューションとなっています。高出力センサは超音波センサと同じ原理で動作しますが、音波の代わりにレーザー光を使用します。

光子は非常に高速で移動するため、ToFを正確に計算することは困難です。ここでは、干渉計を使用するなどの技術により、精度を維持しながらコストを削減することができます(図3)。レーザー距離計センサのもう1つの利点は、電磁ビームを利用するため、通常、非常に長い距離(最大数千フィート)をカバーし、応答時間も最小限に抑えられることです。

干渉法によるレーザー距離計センサの実装図図3:干渉法によるレーザー距離計センサの実装。(画像提供:CUI Devices)

このタイプのセンサは、超低遅延で広い範囲機能を備えていますが、独自の制約が付きまといます。レーザーは電力を大量に消費するため、バッテリー駆動や携帯アプリケーションには適していません。また、眼の眼の健康面での安全性も考慮しなければなりません。ほかにFoVも比較的狭く、光電センサと同様に水やガラスとの相性が悪いという問題もあります。この種の技術は価格が下がっているにもかかわらず、最も高価な選択肢の1つでもあります。

誘導型センサ

誘導型センサは何年も前から存在していましたが、ますます主流になりつつあります。しかし、他の近接センサ技術とは異なり、検出に磁場を使用するため、金属製の物体にしか対応できません(図4)。典型的なアプリケーションは、金属探知機です。

誘導型センサの仕組みの図図4:誘導型センサの仕組み(画像提供:CUI Devices)

検出範囲は、センサの設定方法によって異なります。近距離アプリケーションなら、センサの隣にギアの歯があることを検知して、ギアの回転数をカウントすることが考えられます。長距離アプリケーションなら、誘導型センサを路面に埋め込んで車両の数を数えることが考えられるし、センサ動作の究極の距離の実証なら、宇宙プラズマの検出があります。近接センサとしては、電磁界の違いを検出する原理を利用しているため、非常に短距離のアプリケーションに使用される傾向があり、非常に高速なリフレッシュレートが得られます。また、鉄や鋼などの鉄系素材も性能が向上します。

誘導性センサは、広範囲にわたってコスト効率の高いソリューションを提供します。ただし、感知できる材料の制限や、様々な干渉源の影響を受けやすいという点を考慮する必要があります。

まとめ

近接センシングの実装上の課題をすべて考慮すると、超音波センサが総合的に優れた技術であることが多いと言えます(図5)。低コストで、物体の存在を検知し、その距離を正確に算出することができ、その上使い勝手が良いことが勝因です。

4つの近接センサ技術の比較表図5:4つの近接センサ技術の比較(画像出典:CUI Devices)

CUI Devicesの超音波センサの詳細については、CUI Devicesの超音波センサをご覧ください。

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著者について

Jeff Smootは、CUI Devicesでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

CUI DevicesのJeff Smootによって提供された記事です。