レドームの構造の基礎

著者 Marion Henneberger, Content Manager, InnoSenT

ご注意:レドームの開発と構築は非常に複雑です。記載されているデータは近似値にすぎません。この情報は本トピックへの1つの洞察を提供するだけで、必要なテストや評価に取って代わるものではありません。

レーダセンサは、フロントエンド(RFE)(アンテナ構造を備えたマイクロ波部品)と信号処理用の部品で構成されています。レーダの実際の中心は、アンテナが電磁信号を送受信するフロントエンドです。収集された情報を解釈するために、フロントエンドはそれを信号処理に転送します(図1)。

InnoSenT iSYS-4004レーダシステムの基本部品の画像図1:レーダシステムの基本部品(iSYS-4004の場合)。(画像提供:InnoSenT

レーダアンテナおよび電子部品を保護するため、センサは通常、ケースに収納されています。これによりRFEは、損傷を与えたり性能を左右したりする外部の影響から保護されます。物質を透過する能力のおかげで、レーダはしばしば審美的理由でも好まれます。これは、製品設計者が非常に高く評価する特質です。

アンテナ構造用のそのような保護ケースといえば、レーダ技術者は「レドーム」に言及します。この言葉は、「レーダ」と「ドーム」を組み合わせたものです。iSYS-6003で使用されているようなドーム型のカバーは、航空機や船舶のレーダなど、設置位置が固定された大型レーダシステムで主に活用されています。

ただし、産業用または商用アプリケーションのセンサやシステムにも、機械的または化学的影響によりアンテナ機能を損なわないための保護が必要です。これらは、アンテナやレーダ波の特性に適合しています。

レドームの設計では、適切な材料を使用することも重要です。電磁波が物体または人に当たった場合、物質の特性がその拡散に影響します。レドームに適した材料を見つけるために、その材料にレーダ波が当たった際に起こる現象を考慮に入れることが重要です。

表1は、マイクロ波の吸収、反射、および透過力に関するさまざまな材料の評価概要を示しています。

材料 吸収 反射 波透過
金属 なし 直進する入射:完全、斜めの入射角:屈折および部分的反射が可能 事実上不可能、1mm未満のみ表面を透過(表皮効果)
(湿度に依存) 中~高
非常に高い 入射角に依存:部分的または完全な反射が可能 なし(吸収されるため)
発泡体(例:ポリスチレン、Roofmate) なし 優良
プラスチック 低~高(材質と厚さに依存) 低~高(材質、厚さ、および距離に依存) 低~高(材質、厚さ、および距離に依存)

表1:レーダ波に対するさまざまな材料の影響

レーダ波はレドームを透過できる必要があります。金属はセンサを遮断します。金属の反射特性は高いため、アンテナの前に配置するには適していません。電磁波による透過力が限られるため、木製パネル(通常は一定の残留湿度がある)も適していません。

ポリスチレンなどの発泡体は、カバー材料として使用するのに非常に適しています。発泡体は、非常に雑な構造のアンテナにも直接適用することができます。ただし、安定性が低く、化学物質に対して敏感であるため、多くの場合、発泡体は材料選択の基準を満たしません。

したがって、保護カバーまたはハウジングの製造では、プラスチックが最も一般的な選択肢となります。ただし、レドームの計画において、設計者はプラスチックの特性を考慮に入れる必要があります。材料が厚く、アンテナに近いほど、電磁波は透過しにくくなります。

黒色のプラスチックにはしばしばカーボンが含まれるため、測定ロスが発生する場合があります。排水されずに蓄積される水も、フロントエンドの情報取得を阻害する可能性があります。プラスチックレドームの後続処理(例:塗装)も、レーダアンテナによるデータ収集に悪影響を与えます。

レドームの寸法と配置

レドームの構築では、選択した材料だけでなく、レドームの正確な設置および形状も非常に重要です。その機能を制限しないようにするため、次の側面を考慮に入れる必要があります。

  • レドームの下側とアンテナ間の距離
  • レドームの材料の厚さ
  • レドームの形状(可能な限り均一に)

これらの要素は、構築されたレドームがレーダ波の大部分を反射するか吸収するかを決定付けます。

適切な距離

レドームからアンテナまでの距離を均一にすることは、極めて重要です。わずかな偏差(例:保護カバーの下側の小さなノッチ)であっても、電磁波の拡散を変えてしまう可能性があります。このため、傾斜したレドームも悪影響を受け、適切な反射が阻害される可能性があります。材料の丸い先端、突起、補強、および溝にも同じことが当てはまります(図2)。

アンテナの正しい配置と誤った配置の図図2:左の図は「誤った配置」を示しています。レドームの表面が平坦でなく、アンテナと平行に配置されていません。右の図は「正しい配置」を示しています。距離が均一で、レドームの配置と寸法も適正です。(画像提供:InnoSenT)

適正かつ均一な距離を判断するために、以下の点を適用します。

  • 波の拡散が波長のちょうど半分(またはその倍数)の間隔でレドームに当たる場合は、わずかしか乱されません。
  • これは、λ/2(またはその倍数)の距離で、アンテナ表面(波の中心)をカバーと平行に配置する必要があることを意味しています。
  • 中心周波数が24,125GHz(波長の半分は約6.2mm)の場合、最適な距離は約6.2mmです。

適切な材料の厚さ

ここでも、適切な距離を判断する場合と同じ原則が当てはまります。波の拡散の乱れを最小化するために、波は波長の半分の間隔でレドームに当たる必要があります。同様に、レドームの材料の厚さも、波長の半分の厚さで適切に選択する必要があります。

ただし、波がレドームの物質(材料の透過)によって変えられることも考慮に入れる必要があります。この適応は、使用される材料の導電性に対応しています(誘電関数ε)。これは、因数√(εr)により波長を短縮します。

たとえばプラスチックの場合、この比誘電率は3~4ですが、実際は大幅に変動します。概算を得るために、平均値の1.5を使用して計算を実行できます。次に、材料の厚さは、λ/2√(εr)という式を使用して計算できます。結果として、これらの初期値では、4mmと等しくなります。

レドーム材料の適切な厚さの計算の図図3:レドーム材料の適切な厚さの計算の例(画像提供:InnoSenT)

レドームを構築するには、使用する材料の組成と電磁波の拡散に関する広範な知識が必要です。提供された情報は、ガイドのみを目的とし、アンテナカバーを構築する際に絶対に考慮する必要のある側面を強調するためのものです。

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著者について

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Marion Henneberger, Content Manager, InnoSenT

Marion Henneberger is responsible for Content Management at InnoSenT, the German Radar Technology company. Her job is to write on InnoSenT's innovative product solutions as well as radar technology in general. This also includes providing content on the many different applications that can be solved with Radar. The information is obtained directly from the InnoSenT Radar experts and prepared for public use. Therefore she regularly collaborates and talks with the company’s technicians, leadership and product managers.

In her role she transforms the technical data from the engineering into comprehensible content with the target to make the technology and the benefits understandable for ordinary people like you and me (assuming you are not a radar engineer). She enjoys to work for a company which pushes technical development to its limits and to experience the creation of significant inventions.