圧力センサの紹介
2023-03-28
圧力センサは、気体や液体の圧力(力)を監視または検出し、その情報を電気信号に変換することで、その力を監視または調整するために使用できる電子部品です。しかし、圧力センサの議論をさらに進めるには、いくつかの基本的な定義から始めるのがよいでしょう。圧力とは、ある表面の単位面積に気体や液体が及ぼす力の大きさです。圧力(P)、力(F)、面積(A)の関係は、P=F/Aという式で表せます。圧力の伝統的な単位はパスカルで、1平方メートルあたり1ニュートン(N)と定義されています。圧力は、流体の膨張を妨げるのに必要な力とも表現できます。
圧力センサには、本記事で後述するさまざまな技術があり、それぞれの技術によって特定の圧力センサの動作が最終的に決まります。現在販売されている多くの圧力センサは、幅広い流体や気体に対応しますが、粘度の高い流体や濃い流体(紙パルプ、アスファルト、原油など)には、専用の圧力センサが必要になる場合があります。それでも、ほぼすべてのシナリオに適した圧力センサのタイプがあります。
名称に関する混乱への対応
圧力センサ、圧力トランスデューサ、圧力トランスミッタは、基本的な機能において同等であるため、これらの用語はしばしば区別なく使用されます。しかし、これらの主な違いは、その出力信号にあります。
圧力センサは、圧力の力を感知して、その力の大きさに対応した出力信号を発生します。圧力トランスデューサは、検出された力を連続した電圧出力(V)に変換し、圧力トランスミッタは、検出された力を電流出力(mA)に変換します。
圧力センサは一般的に、圧力トランスデューサ、圧力トランスミッタ、圧力センダ、圧力インジケータ、ピエゾメータ、マノメータなど、さまざまな用語を用いて呼ばれます。呼び方に関係なく、これらのデバイスはさまざまな用途での圧力の監視と制御に使用され、流体や気体の流量、高度、水位など、他の変数の測定にも使用することができます。
圧力測定のタイプ
圧力測定と圧力センサの領域では、最適なシステム性能と測定精度を確保するために理解しなければならないさまざまな用語があります。圧力は通常、海抜ゼロ地点の大気圧などの基準値との関係で測定されるため、用途で使用される特定のタイプの圧力センサが、これらの要因に大きく影響する可能性があります。
重要な用語の1つがゲージ圧であり、これはその場所の周囲圧力や大気圧に対する相対的な圧力の測定値です。表示される圧力は、その場の大気圧より高いか低いかのどちらかです。
もう1つの重要な用語が絶対圧で、これはゼロ圧または真空という基準に対する圧力測定値です。絶対圧センサで得られる測定値は、測定する場所に関係なく同じ値になります。
差圧とは、システム内の異なる2点間の圧力差のことで、配管内の液体や気体の流量を計算する際によく使われます。
真空圧とは、周囲またはその場の大気圧と比較して、負の圧力範囲を測定したものです。
最後に、複合圧力には正圧と負圧(真空圧)の両方の測定値が含まれ、基本的にゲージ圧と真空圧を組み合わせたものです。
図1:各種圧力測定の関係を視覚化したもの。(画像提供:Same Sky)
一般的な圧力測定技術
圧力の検出、把握、測定の起源は、1500年代後半のガリレオ、1600年代半ばのトリチェリによる先駆的な取り組みまでさかのぼることができます。最初の圧力計であるブルドン管が発明されたのは1849年で、電気出力の圧力トランスデューサが初めて登場したのは1930年でした。半導体技術の進歩に伴い、この基本的な力を検出するためにさまざまな技術が使用されるようになりました。ここでは、主な圧力測定技術とその用途について簡単に説明します。
- 静電容量式:コンデンサのプレート間にあるダイヤフラムが圧力でたわむことによって生じる電気容量の変化を検出します。
- 誘導式:磁性体コアに連動したダイヤフラムの微小なたわみを検出します。このたわみがコアに直線運動を引き起こします。この運動によって誘導電流が変化し、電気信号に変換されます。
- 光学式:圧力の上昇によって徐々に遮断される光源と、光の変化に比例した信号を生成するセンサを利用します。光ファイバセンサは、圧力によって生じる光の進路や位相の変化を測定するために使用することもできます。
- 圧電式:水晶やセラミックなどの材料が、外部からの圧力によって加えられる圧縮量に比例して変化する電荷を発生させます。圧電抵抗技術は、材料が伸ばされたときの電気抵抗の変化を利用して圧力を測定する技術です。
- 電位差測定式:ブルドン管に接続された抵抗器(ポテンショメータ)とスライドアームを利用します。圧力が変化するとアームが動き、力のレベルに応じてポテンショメータで相対的な信号が生成されます。
- 共振式:振動するワイヤを備えたダイヤフラムに力が加わると、ワイヤの共振周波数が変化し、電気信号に変換されます。
- 歪ゲージ式:加えられた力(圧力)を、加えられた力に応じて変動する電気抵抗の変化に変換します。そして、この抵抗値を測定します。
圧力センサのタイプ
圧力センサを理解するためには、設計に使用できるさまざまなタイプを確認することも重要です。以下、基本的なタイプを順に紹介します。
- ダイヤフラムセンサ:圧力で変形する薄くて柔軟な円形の金属板を組み込んだセンサです。
- 密閉型センサ:海抜ゼロ地点の大気圧を基準圧力として使用します。
- ソリッドステートセンサ:可動部がなく、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチング素子で圧力を感知するセンサです。
- 歪ゲージ式センサ:外力による長さの変化で生じる抵抗を測定し、電気信号に変換します。
- 薄膜センサ:その名の通り、抵抗体を含む薄膜を利用したセンサで、圧力によって長さや厚みが変化することで、抵抗値が変化します。
- 真空センサ:大気圧以下の圧力を測定するように設計されています。一般的には、圧電技術を利用したり、特定の空間内の気体量を測定したりします。
- ベントセンサ:周囲の気圧との相対的な圧力を測定します。
図2:圧電ダイヤフラムを利用した圧力センサの例。(画像提供:Same Sky)
最終的な設計の考慮事項
以上の圧力センサの技術、測定方法、タイプを念頭に置き、特定の設計に対して圧力センサを指定する際に留意すべき最終的な選択基準をいくつか紹介します。最初の重要パラメータは動作圧力範囲であり、デバイスが機能する安全な圧力範囲をメーカーが指定した通りに特定します。動作温度範囲、センサが故障する前に許容できる最大圧力、出力タイプ(アナログ/デジタル)も重要な考慮事項です。出力レベル、精度とドリフト、分解能、電源電圧に加え、温度、湿度、圧力、液体への暴露、放射線、センサと受信デバイス間の物理的距離などの環境要因も考慮する必要があります。これらのパラメータをすべて考慮することで、必要な動作条件や性能要件を満たす、特定の用途に適した圧力センサを選択できます。
まとめ
電気技術者として、圧力を測定し、そのデータをプロセスの制御や監視に活用することが、製造業やヘルスケアなど多くの産業で非常に重要であると理解することが大切です。製品・サービスの品質や安全性を確保するためには、正確で信頼性の高い圧力センシングが必要です。技術の進歩により、圧力センサは、さまざまなタイプ、技術、サイズ、出力、精度で提供されるようになりました。特定の用途に適した圧力センサを選択するには、センサのタイプ、圧力範囲、温度範囲、最大圧力、出力タイプ、精度、分解能、電源電圧、環境要因などの動作パラメータを慎重に検討する必要があります。
幸いなことに、Same Skyは、これらの要件を満たす圧電ベースの圧力センサのラインアップを提供しています。同社のセンサは、さまざまな圧力タイプや動作範囲に対応しており、柔軟で正確な測定が可能です。
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