丸型コネクタ&ケーブルの紹介

著者 Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

丸型コネクタは、電力や信号、データを伝送するための複数のピンやコンタクトを収容するさまざまなサイズの円筒形の電気デバイスであり、一連の厳しい環境に耐えられるように設計されています。また、丸型コネクタは、丸型相互接続とも呼ばれ、その丸型構造により、耐久性が向上し、振動や衝撃による損傷、外部信号や干渉、環境汚染物質の侵入、極端な圧力や温度に対する耐性が強化されています。

このような過酷な環境下でも高い性能を発揮するので、丸型コネクタ&ケーブルは、産業やファクトリオートメーション、医療、安全保障・防衛システム、航空宇宙など、幅広い分野で使用されています。丸型コネクタには、標準的な丸型コネクタから、DIN、メトリック、ハーメチック、プッシュプル、キー付き、混合信号、およびマイクロまたはナノバージョンまで、幅広い製品が揃っています。また、電源、信号、データを1つのデバイスで伝送できるハイブリッド型のオプションも用意されています。そこで、本稿では、主に標準的な丸型コネクタ&ケーブルについて、その基本構造、呼称やコード、選定基準などを紹介します。

丸型コネクタの構造

丸型コネクタは、円筒形であることから、他のどのコネクタ形状よりも高い強度対重量比を持っています。この強度は前述のように強化されているため、衝撃損傷、外乱、およびデカップリングに対する耐性が向上するとともに、頻繁な嵌合サイクルを伴う用途でも耐久性を発揮します。

内部コンタクトの数やレイアウトは、適合する相手デバイスに正しく位置合わせ・挿入できるように、コネクタやアプリケーションの種類によって異なっています。丸型コネクタのシェルは、振動やその他の要因で不要なデカップリングを引き起こす可能性がある場合に、より確実なネジ接続を可能にするために、ネジ山が使用されていることが多くなっています。その他の接続方式としては、バヨネットロック、プッシュプルロック、スナップロックなどがあります。

各丸型コネクタを構成する領域は、大まかに言って4つあります(図1、図2)。

画像:丸型コネクタメスの基本構造図1:丸型コネクタメスの基本構造(画像提供:Same Sky

  1. コンタクト:電気接続を行うために使用されるコネクタに収容されている、内部のピンとソケット。嵌合ペアは、オスコンタクトとメスソケットで構成されます。
  2. 絶縁体:この部品は、コンタクトを封入することで、他のコンタクトやコネクタシェルから絶縁します。また、コンタクト同士の間隔を適切に開け、各コンタクトを正しい位置に保ちます。
  3. シェル:コネクタの外装カバーとして、コンタクトや絶縁体を保護するとともに、コネクタの2つの半分ずつをペアリングするための位置合わせおよび接続機構となっています。
  4. アクセサリ:このカテゴリとしては、ピン、キー、リング、クランプ、ガスケットが含まれるほか、コネクタの部品をガイド、固定、位置決め、およびシールするために使用する追加部品も含まれます。

画像:丸型コネクタオスの基本構造図2:丸型コネクタオスの基本構造(画像提供:Same Sky)

代表的な丸型コネクタの呼称とコード

おそらく最もよく知られている丸型コネクタのタイプは、産業用ネットワークアプリケーションでセンサとアクチュエータを接続するのに使用されるMスタイル規格でしょう。「M」は、カップリングナットと相手側レセプタクルのメトリックネジのサイズを表しており、M5(直径5mm)、M8(8mm)、M12(12mm)のコネクタタイプが一般的です。M12丸型コネクタ&ケーブルは、自動車業界のグローバルスタンダードであるため、間違いなく最もよく見かけるタイプです。

Mスタイルコネクタ全体は、さらに、適切に嵌合するためのコンタクト本体の嵌合および形状を定義しているいくつかのカテゴリに分類されます。これらの呼称とコードは以下のように定義されています(図3)。

  • A – センサ、DC電源、1GビットEthernet(コンピュータシステムを接続してネットワークを形成するための規格)のためのコネクタです。
  • B – フィールドバス(分散制御のための産業用コンピュータネットワーク)およびProfibus(フィールドセンサと制御システム間の通信を提供するデジタルネットワーク規格)のためのコネクタです。
  • C – 締まり具合を強化するために二重のキー溝を持つコネクタであり、センサやアクチュエータのAC電源に使用されます。
  • D – 100MビットEthernetおよびProfinet(コントローラとデバイス間のデータ交換用プロトコル)システムのためのコネクタです。
  • 18X – 10GビットEthernet高速アプリケーションおよびPoE(Power over Ethernet)のためのコネクタです。
  • S – AC電源用コネクタ(Cのコードが付く部品の交換品)です。
  • T – DC電源用コネクタ(Aのコードが付く部品の交換品)です。

画像:Mスタイルコネクタの各種インターフェースオプションの一覧図3:Mスタイルコネクタの各種インターフェースオプションの一覧(画像提供:Same Sky)

丸型コネクタの選定基準

設計に使用する丸型コネクタ&ケーブルを選定する際に考慮すべき仕様やポイントは、数え切れないほどあります。以下に、考慮すべきパラメータをほぼ網羅した一覧(含む:プラスチック(丸型プラスチックコネクタ:CPC)か金属製(丸型メタルシェルコネクタ:CMC)か)を示します。

  • オス/メス:オス側には、メス側ソケットに差し込むコンタクトピンが組み込まれています(図4、図5)。ほとんどのプラグとレセプタクルは、そのブランドまたはメーカー内の製品と相互接続するように設計されています。異なるメーカー同士のコネクタは通常、相互接続できないため、コネクタは一般に嵌合ペアとして調達することになります。

画像:丸型コネクタオス・メスペアの嵌合図4:丸型コネクタオス・メスペアの嵌合(画像提供:Same Sky)

  • コンタクトの数:信号、データ、または電力を伝送するために必要な、コネクタ内の導電ピンの数です。この数字としては、1から数百までを指定できます。
  • 終端:これは、ワイヤまたはケーブルをコネクタの導電性コンタクトに嵌合させる方法です。そのような方法としては、はんだ、ワイヤラップ、ラグ、圧着などがあります。
  • コンタクトサイズ:個々のコンタクトの直径、または各コンタクトと嵌合するワイヤのゲージです。
  • 電圧&電流定格:そのコネクタが伝送できるように設計されている、最大の電圧(単位:ボルト(V))、または最大の電流(単位:アンペア(A))です。
  • 挿入頻度:コネクタの接続と取り外しの頻度です。挿入頻度は、嵌合サイクルとも呼ばれ、この頻度が高い場合は、より堅牢なコネクタやケーブル保護アクセサリが必要となることがあります。
  • 実装スタイル:代表的な実装方法としては、ケーブル実装、パネル実装、面実装があります。
  • カップリングまたはロッキングスタイル:コネクタを確実に嵌合する方式として、バヨネット、ラッチ、プッシュプル、ネジ式、クイックディスコネクトなどがあります。
  • バックシェルタイプ:ケーブルを確実に支持するために丸型コネクタのケーブル側にネジ込むバックシェルのタイプとしては、ストレート、直角、ブレイドテール、スプリング、ストレインリリーフ、シール、圧着があります。
  • 使用される材料:コネクタ本体に使用される代表的な材料としては、設計の要件と予算に応じて、ステンレス鋼、アルミ、プラスチック、複合材、または真鍮があります。
  • 侵入保護(Ingress Protection): IP定格は、コネクタ本体に侵入する固体や液体に対する保護を扱うIEC 60529規格で定義されています。米国ではANSI 60529が、欧州ではEN 60529がIPを扱っています。
  • プラグとソケット:標準的な命名規則がないため、メーカーによっては別の用語を使用することもありますが、通常、ソケットとジャックはパネル実装の丸型コネクタに関連付けられ、プラグは丸型コネクタのケーブルアセンブリに関連付けられます。

画像:ジャックとプラグのオス/メス図5:ジャックとプラグのオス/メス(画像提供:Same Sky)

まとめ

設計に含めるコネクタは、環境汚染にさらされたり、浸漬されたりするコネクタでしょうか。あるいは、EMIやRFI信号からの保護が必要なコネクタでしょうか。また、過度の振動や頻繁な衝撃が加わるコネクタでしょうか。これらの質問への回答に応じて必要な品質、機能、アクセサリを決定することができますが、どのように決定した場合も、丸型コネクタは、過酷なアプリケーション条件に対処できる信頼性と耐久性のある相互接続ソリューションであることが証明されています。Same Skyでは、このような設計上の課題に正面から取り組むことができる多様な丸型コネクタ丸型ケーブルアセンブリを提供しております。

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著者について

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Jeff Smootは、Same Skyでアプリケーションエンジニアリングおよびモーションコントロール担当副社長を務めています。

Same SkyのJeff Smootによって提供された記事です。