車載用環境のRFの集約:アーキテクチャの選択とアンテナのソリューション
Electronic Products の提供
2014-09-11
ゲートウェイやハブを使用してインターネットサービスプロバイダ(ISP)へ接続することの利点はよく知られています。 たとえばコーヒーショップで腰掛けながらWi-Fi接続を使用している場合、デバイスの消費電力は少なく、使用する時間も少なくなり、ISPで使用するデータスループットも低くなり、そして一般に料金はデータスループットに基づいて課金されます。 さらに、携帯電話のような通話範囲は必要ないため、ユーザーがさらされるRFレベルもより低いレベルの信号になります。
今後、階層的な集約ゲートウェイとハブを使用するエンティティは、公共の場所、建物、レストラン、オフィスなどだけではなくなるでしよう。 自動車にも搭載されるようになります。 近い将来、ほとんどの自動車は4G、さらには5Gのコネクティビティを直接提供し、パーソナルエリアネットワークのサーバーとして機能し、利用者は自動車に乗ればネットワークへ接続されるようになると考えられます。 この記事では、車載用コネクティビティに使用できるアーキテクチャの選択とアンテナのオプションについて解説します。 ここで参照しているすべての部品、データシート、チュートリアル、ツールは、DigiKeyのウェブサイトに掲載されています。
移動するターゲット
車載用ハブやアグリゲータで使用されるトランシーバには、ECC付きの堅牢なプロトコルが強く求められます。 パフォーマンスに影響するのは距離、見通し、環境条件だけではなく、移動によっても受信のエラーやヒットが発生しやすくなります。 移動により、マルチパスの反射による各種の信号強度と歪みがエラーを引き起こす可能性があり、実際に引き起こします。
従来の思考法では、ハードウェアの量とコストを可能な限り少なくし、システムが実際に使用でき信頼性が高くなるよう、必要に応じて冗長性、分割、および追加コストを投じるということになります。 音声のような低データレートでも、パフォーマンス低下によりエラー訂正されないヒットが悪化します。 携帯の音声信号が途切れ、データが確実に配信されないことは、誰もが経験しています。
音声は多少のエラーがあっても許容されますが、データはそうはいきません。 エラー訂正、ack/nack(データを受信したという確認がack、データを受信していないという応答がnackです)、および再送信は、スループットを劇的に低下させます。 データリンクが複数のノード(車内の個人)へサービスを提供する場合、パフォーマンスの低下は誰の目にも明らかになり、集約による利益はなくなります。
トップダウン
シングルバンドおよびマルチバンド用のアンテナは既に利用可能ですが、セルラー側ではハブのプライマリ通信リンクとしてシングルバンドの、最適に配置された、セルラー専用のアンテナを使用するのが最適な方法と考えられます。 共有バンドおよびプロトコルのアンテナも可能ですが、微調整により最適化されたシングルバンドのアンテナをアグリゲータ用に戦略的に配置すると、混在プロトコルやバンドのアンテナよりも優れたパフォーマンスを実現できます。
また、少し考えただけでは、TPMS(タイヤ圧力監視システム)のデータ、近接検出データ、ラジオデータ、キーなしでロックを解除するためのデータなどを取得するためには屋根にアンテナを設置するのが最適のようにも思えます(図1)。 しかし、これらのシステムには、複数の低コストで領域が小さいアンテナを戦略的に配置するのが最良の方法です。

図1: 屋根に設置するプライマリセルラーリンクアンテナは、TPMSや近接検出システムなどの他のRF機能と機能を共有すべきではありません。 これらのタイプのトランスミッタやレシーバを密接した場所で使用すると、特に交通量の多い場所で、RF電力を削減し、信頼性を向上できます。
たとえば、屋根に取り付けた単一の受信アンテナは、近接警告データを車体のすべてのコーナーおよび表面から取得できますが、それぞれの送信機に大きな電力が必要です。 それぞれのコーナーと表面に低電力の、その場所に最適化されたトランシーバを設置する方が優れたソリューションです。特に、限られた空間と帯域幅で、複数の衝突回避およびタイヤ圧力管理システムがすべて使用されるようなトラフィックでは有効です。
それぞれの搭乗者向けに設置
アーキテクチャに関するもう1つの選択は、ユーザー側トランシーバをどこに配置するかということです。 Wi-Fiゲートウェイポイントを、セルラーアンテナが存在する車外に設置するのは無意味です。 Wi-Fi(およびBluetooth、ZigBee、ANT、その他)のアクセスポイントは車内に置き、可能な限り低電力にする必要があります。 特に狭い場所では、搭乗者がさらされるRFエネルギー量を最小限に抑えることが必要です。 ここでも、シングルポイントかマルチポイントかの決定を行うことになります。
車内および車体の上にある単一のルータアンテナは、低電力で車内の全員に対応できます(図2A)。 さらに、サーバ側はマルチバンド、ダイプレクサ、スイッチ、サーキュレータを使用して、シングルハブのアンテナ経由でマルチプロトコルのサービスを同時に提供できます。

図2A: 車体の上に設置された単一のマルチバンドおよびマルチプロトコルアンテナは、単一のコンセントレータノードを経由して、車内のすべての搭乗者にWi-Fi、ZigBee、Bluetooth、サービスを提供できます。
この場合、ゲートウェイには、ユーザーが接続されている車載用PAN内のサーバ-RFデバイスを使用できます。 この通信ハブは、車載用ネットワークへ配線でき、このネットワークには車載用ナビゲーションシステム、Bluetoothトランシーバ、Wi-Fiトランシーバ、キーフォブトランシーバ、近接検出RFトランシーバ、引き上げゲート検出近接RFトランシーバ、TPMSレシーバも搭載できます。
別の方法として、レイヤ2のマルチポートスイッチ付きポートを各ユーザーの近くに配置すると、さらに消費電力を削減できます(図2B)。 たとえば、低電力ノードのポートを座席の背後、搭乗者の前に配置すると、その搭乗者のみに対して信頼性の高いコネクティビティが提供され、消費電力が低くなり、搭乗者がさらされるRFレベルも低くなります。 さらに、デバイス対応のトレイテーブルにワイヤレス充電ステーションを実装することもできます。

図2B: それぞれの搭乗者の場所にレイヤ2スイッチ付きポートを設置すると、より優れたパフォーマンスが得られ、搭乗者がさらされるRFレベルも低くなります。 ユーザーにより多くの利点を提供するため、充電ステーションと直接接続ポートも追加できます。
堅牢な設計
屋上に設置されるセルラー側は、頑丈で堅牢な必要があります。 夏の暑い時期の直射日光にも、冬の寒い風にも耐えられることが要求されます。 このアンテナのアセンブリは、これらの環境すべてにさらされることになります。 したがって、単純な構造が最適です。 LAN、フィルタ、微調整要素などは可能な限り車外ではなく車内に設置し、環境への露出を減らすようにします。このため何かの方法でフィードスルーが必要となります。
すぐに入手可能な小型のSMT形式のモノリシックセラミックアンテナを使用して、独自の堅牢なアンテナアセンブリを作成できます。例として、2G/3G/4Gサービス用のTaoglas PA.710.Aが挙げられます。 この製品は698~960Mhzと1717~2690MHzに対応する広帯域幅で、14の国際的なセルラー規格とサービスを含んでいます。
さらに、これらの部品は5Wまでの電力を扱え、50Ω直線偏波の全方向性SMTマウントアンテナで、最大70%の効率と3.5dBiのピークゲイン特性を備えています。
TaoglasのMA.208 GPSおよび2G/3G/4Gアンテナは全方向性で、電圧定在波比(VSWR)がすべての周波数にわたって3未満を維持し、セラミックコンポーネントで、またはパワーパッチ形式のMA208.A.AB.001のような、完全にカプセル封止された、屋根へ取り付けるよう設計された粘着式の形式で利用できます(図3)。

図3: 自分でアンテナを作成しない場合、セルラー専用と、セルラーおよびGPS対応の堅牢化され実績のあるアンテナが、既に製造され車の屋根への取り付け用途に認定済みで、すぐに入手可能です。
MA208.A.AB.001の筺体は耐候性なだけでなく、セルラーに加えてGPSバンドの感度も組み込まれていることに注意してください。 特殊なケースとして、セルラー専用の屋根に設置するアンテナに、GPSも搭載される場合があります。 この場合、ジオロケーション専用に受信専用リンクが実装されます。 セルラーアルゴリズムを使用するロケーション対応テクノロジは次第に進化してきましたが、セルラーのデータリンクの信頼性が十分ではないため、受信できなくなる場合があります。 このような場合、独立したGPSサービスにより継続使用が可能になります。
Molex製の1052630002接着取り付け式3.1dBiゲインアンテナも、同様に屋根へ取り付けるカプセル封止された耐候性の、実績のあるソリューションです。 このフラットパッチ形式の6バンドアンテナは、同様にセルラーとGPSのバンドをカバーし、総平均効率は最大80%で、824~960MHzおよび1.71~2.69GHzに対応します。
1052630002には150mmのケーブルが付属しています。 100mmの1052630001と200mmの1052630003ケーブルオプションもMolexから利用できます。これらは、ピークゲインや反射など一部の特性が異なります。 メイン回路基板へ簡単に接続するため、各種のマイクロ同軸ケーブルとUFLコネクタも入手可能です。 これらのスタンドアロン、6バンドセルラーの強化アンテナは、剥離紙を剥がして貼りつけることができます。
セルラーアンテナの別のオプションとして、TE Connectivity製の1513169-1があります。これは調整不要で特性評価済みの回路基板アンテナです(図4)。 これらの部品は、既存のプリント回路基板アセンブリに挿入でき、10Wまでを扱うことができ、50Ωのアンバランスな給電点に適合するネットワークを必要としません。 これらの全方向性のタブ実装式アンテナは、米国セルラー用の824~894MHzのシングルサイドバンド周波数のみをサポートしていますが、ピークゲインが2.1dBiで、VSWR 2.5未満を維持します。

図4: これらの特性評価済みで高効率の全方向性PCBアンテナは、タブ実装技法を使用しているため、PCBや筺体に挿入できます。
同社の標準RFアンテナ製品に関するプロダクトトレーニングモジュールは、DigiKeyのウェブサイトで入手できます。
さらに、Arduino A000044 GSM開発ボードをテストおよび開発プラットフォームとして使用できます。 リファレンス設計回路図¹と遮蔽設計ファイルは、Arduinoすべてを参照するために便利なアイテムです。²
まとめ
人里離れた美しい景色の田舎道をドライブするとき、信頼性の高いセルラーリンクがないと、音声とデータ両方のサービスが消失する可能性があります。 適切に分割されたRFシステムは、信頼性の高いデータフローを最適化し、音声、情報、位置、オーディオ/ビデオのデータを複数のユーザーへ同時に提供しながら、同時にクラウドへのリアルタイムコネクティビティを自動車へ提供できます。 この記事で示したように、屋根に設置するセルラーアンテナの選択は、設計の成否を大きく左右します。
この記事で扱っている部品の詳細については、このページにあるリンクを使用して、DigiKeyウェブサイトの製品ページにアクセスしてください。
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