ケルビン構造抵抗器の並列使用におけるレイアウト設計
図1:並列で使用した3つのケルビン構造4ピン抵抗器。(画像提供:Shenzhen Milliohm Electronic Co., Ltd)
3つのケルビン構造4ピン抵抗器を並列で使用する場合、配線の考慮事項として「均等な電流分配」「電圧検出への干渉なし」「ケルビン構造の特性維持」を優先させる必要があります。配線の原則と手順は以下の通りです。
1. コア原理:電流経路と電圧経路を分離し、対称性を維持する
- 電流経路(I+、I-):太く、対称的で、均等な電流経路が主電流を流します。これらの経路は、太いワイヤや銅を使って接続する必要があります。3つの抵抗器の電流経路の長さとインピーダンスは、寄生パラメータの差異による電流分布の不均一(抵抗器の過負荷)を避けるため、可能な限り一致させる必要があります。
- 電圧検出経路(V+、V-):細く、独立した、干渉のない電圧経路は、微弱な検出信号のみを伝送するため、別々の細いワイヤを使用して接続する必要があります。これらの経路は、抵抗器の電圧端子(V+、V-)から厳密に接続される必要があります。電流経路とワイヤを共有することは禁止されています(さもなければ追加抵抗が生じ、ケルビン構造の精度上の利点が損なわれます)。
図2に示すように、3つの抵抗器を並列に使用する場合、他の2つの抵抗器の電圧ピンは電気ネットワーク信号に設定せず、フローティングのまま固定用パッドに接続するだけなので、1つの抵抗器の電圧検出ピンを使用することができます。並列抵抗ネットワークのすべての抵抗器の電圧降下は同じであるため、並列接続された抵抗器の間には共通の電圧が存在し、この電圧は並列接続されたすべてのコンポーネントで同じです。
図2:裸合金抵抗器シリーズ – ケルビン並列レイアウト。(画像提供:Shenzhen Milliohm Electronic Co., Ltd)
2. 具体的な配線の手順と詳細
- 抵抗器レイアウト:対称的でコンパクトなレイアウトによる寄生パラメータの低減
3つのケルビン抵抗器を横に並べるか、コンパクトな三角形に等間隔で配置します。配線の長さの違いによる寄生インダクタンスや抵抗のばらつきを最小限に抑えるため、各抵抗器が電流シンクや電圧検出ポイントから物理的に同じ距離にあることを確認してください。抵抗器ピンは、集中配線を容易にするために、同じ方向に向ける(例:電流端子は外側、電圧端子は内側に向ける)必要があります。
- 電流経路(I+、I-)の配線:バスバーまたは銅パッチを使用し、可能な限り対称的な分岐にします。
バスバー/銅パッチエリア設計:
入力(I+):共通のI+バスバー(推奨銅厚は35μm以上、幅は総電流に基づいて計算、たとえば総電流100Aの場合は5mm以上)を作成します。3つの抵抗器のI+端子を、長さと幅が等しい分岐配線(分岐の長さの差は1mm以下、幅は均一)を介してこのバスバーに接続します。
出力(I-):同様に、共通のI-バスを設定します。3つの抵抗器のI-端子を、同じ長さと幅の分岐配線を介してこのバスに接続します。
電流の交差を避ける:電磁干渉を低減するため、電流経路を電圧検出経路から遠ざける必要があります(大電流は電圧信号に干渉する磁界を発生させる可能性があります)。
- 電圧検出経路(V+、V-)の配線:独立したリード線を検出チップに直接接続します。
独立したリード線:3つの抵抗器のうちの1つのV+端子を、別の細いワイヤ(例:電流が極めて低いため、幅0.2mm、銅厚18μmのワイヤ)で接続します。各抵抗器のV-端子についても同様です。
短く直線的であること:電圧検出ラインは、巻線を避け、寄生抵抗とノイズを低減するため、できるだけ短くします。
抵抗器のV+リード線を、I+バス(または他の抵抗器のI+端子)に接続しないでください。その抵抗器のV+端子に厳密に接続されていなければなりません。同様に、V-リード線はそのV-端子にのみ接続します。
まとめ
電子計測において3つのケルビン構造4ピン抵抗器を使用する際は、配線に関する慎重な考慮が必要です。このブログで説明されているガイダンスに従うことで、よくある間違いや誤った測定を避けることができます。
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