お近くのメーカースペースに近日中に登場:DIY集積回路

近い将来、現在3Dプリンタを使用して部品を製作しているメーカースペースで、ご自分の集積回路の製作に没頭できるようになるかもしれません。ばかげた考えだと言う前に、最近『Wired Magazine』誌に掲載された22歳のSam Zeloof(サム・ゼルーフ)氏の偉業について考えてみましょう。サムは、主にeBayで購入した機器を使用して、実家のガレージで1,200個のトランジスタを搭載したチップを製作しました。彼は現在、ALU(算術論理演算装置)を構成するチップに取り組んでおり、最終的には本格的なマイクロプロセッサにまで発展させたいと考えています。

サムの作業場の写真を見てまず気づくのは、クリーンルームがないことと、彼がクリーンスーツを着ないで歩き回っていることです。彼は『Wired』誌に対し、「1960年代から70年代の特許や教科書を見れば、当時のチップが普通の作業台で製作できていたことがわかります」と述べています。X-Actoナイフとテープを使用して校正マスクを製作するための情報が十分にあったことが、彼が物作りを始めるきっかけとなりました。

サムによると、彼の作業場にある機材はすべて、テクノロジー企業によって廃棄され、オークションサイトに出品されていたものです。特に、彼はニュージャージー州に住んでいるため、シリコンバレーでごみ箱あさりをして機材を手に入れる機会はありませんでした。彼は、「90年代初頭には25万ドルもした壊れた走査型電子顕微鏡(SEM)を1,000ドルで購入して修理した」と話しています。

それほど格安なので、「単に運が良かったから、そのような機材を購入できただけではないか」と思うかもしれません。他のチップ製作希望者がこの22歳の若者の機材調達法を真似できないか確認するため、eBayで調べてみました。

SEMに関してはサムのようには行きませんでしたが、Bausch & Lomb(ボシュロム)製SEMの動作品とされるものが3,400ドルで見つかりました。また、彼が使用しているものに似た、ステンレス鋼の真空チャンバ/ティーも555ドルで販売されていました。真空チャンバを真空にするための高真空ターボ分子ポンプは、最安値でも250ドルでした。

フォトリソグラフィを行うためにサムが調達した機材は、驚くほど低価格です。彼はまず、高い紫外線出力を得るために、LED光源ではなく水銀灯を搭載したホームシアタ用DLPプロジェクタを使用しました。このプロジェクタは、通常Amazonで400ドル程度で販売されており、チップの形状画像を加工用のウェハーに投影するために使用します。プロジェクタからの画像は、300ドル程度の一般的な実験用顕微鏡を通過しますが、その顕微鏡の対物レンズを回転させることで、拡大されるのではなく縮小されます。画像を受信したウェハーは、CNCフライス盤での部品の位置決めに通常使用される300ドル台の電動X-Yステージによってあちらこちらに動かされます。100ドル程度の真空テーブルは、ウェハーを固定して露出します。

サムのリソグラフィ装置は手頃な価格ですが、すべての部品をうまく組み合わせるには、かなりの苦労があったことが伺えます。彼は、安全のため、また紫外線の出力強度を制限するために、DLPプロジェクタに当初取り付けられていた部品を引き抜きました。また、プロジェクタのプログラムを書き直して、プロジェクタにまだ安全対策が施されていると解釈させると同時にX-Yステージの動作と画像を同期させる必要もありました。DLPプロジェクタの光学系は通常、壁に対して画像を斜めに投影するように設定されているため、顕微鏡の対物レンズに正方形の画像を生成するには、プロジェクタの角度を適切に設定する必要がありました。

また、フォトリソグラフィのセットアップには、最初にいくらかのデバッグ作業が必要でした。ウェハー上に露出過度や露出不足の箇所ができ、プロジェクタの照明が不均一であることがわかったためです。そのためサムは、投影された光のパターンを(普通のウェブカメラで)記録し、それを基に校正マスクを製作して、プロジェクタの光をより均一な出力に補正する必要がありました。

ここで我々が考えたのは、サムのDIYチップ製作所をメーカースペースとして再現することです。そのための教訓を運動競技の分野から引き出せるかもしれません。年配の読者なら、1954年に初めて1マイルを4分以内で走るという偉業が達成される前、「情報通」の観測筋がそんなことは不可能だと主張していたのを思い出すでしょう。Roger Bannister(ロジャー・バニスター)によって4分の壁を破ることが可能であると実証されると、そのわずか46日後には2人目のランナーが、そしてその約1年後には3人目のランナーが4分の壁を破りました。4分以内という記録は注目されるようになったものの、終いには、1964年に高校生が初めて4分以内を記録したことで、報道価値がなくなりました。

1マイル4分以内のストーリーから得られる教訓は、「熟練工の考え方を変えるには、可能性を1度実証するだけでも良い場合がある」ということです。メーカースペースの愛好者たちは、サム・ゼルーフの偉業や彼がYouTube動画で公開している詳細に大いに注目することでしょう。そのため、メーカースペースでは、サムに感化された機材調達法が模倣されても不思議ではありません。

最後に、DIYチップ製作所の別の見方を紹介します。まず、わずか5万ドル程度で、新車同様の1969年型シボレーカマロを手に入れることができるわけですが、その車は99%の時間、ガレージに駐車されたままになるでしょう。ところが、この半分以下の費用で、ガレージを実用的なチップ製作所に変えることができるのです。その場所で、あなたはどんなスポーツカーよりもずっと多くの時間を費やすことになるでしょう。

著者について

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Lee Teschler氏は、ウェブサイト、オンラインリソース、刊行物のネットワークであるDesign Worldのエグゼクティブエディターです。Leland (Lee) Teschler氏は、Penton Mediaで37年間働いています。1977年に『Machine Design』の編集スタッフとしてキャリアを開始し、2006年に同誌のチーフエディターに就任しました。Penton Mediaの前は、連邦政府の通信エンジニアとして活躍していました。Teschler氏は、ミシガン大学で工学の学士号と電気工学の学士号を取得し、クリーブランド州立大学でMBAを取得しています。

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