Googleデータセンターでのアークフラッシュは、保護の必要性を明確化

データセンター、産業施設、ウィンド/ソーラーファームなどの大規模な再生可能エネルギー施設でのアークフラッシュは、危険な事象である可能性があります。米国アイオワ州カウンシルブラフスにあるGoogleのデータセンターで、最近アークフラッシュが発生しました。このアークフラッシュにより、3人が負傷しました1。アークフラッシュは電気爆発を起こし、最大19,000°Cの熱を発生させます。ちなみに、これは太陽の表面よりも暑い温度です。

アークフラッシュは以前から深刻な懸念事項でした。2020年1月にNEC(National Electric Code)が更新され、アークフラッシュからの保護が盛り込まれたばかりです。定格1200アンペア(A)以上の回路ブレーカに対して、アークエネルギーの低減要件が追加されました。回路のヒューズがアークを消す(消弧する)のに必要な時間が0.07秒(s)より長い場合は、アークフラッシュ保護装置を使用する必要があります。これが、更新されたNEC要件の重要な要素です。ヒューズが適切な定格であっても、多くの場合、アークフラッシュ保護リレーなどの追加の保護が採用されます。これは、アークフラッシュにより重大な傷害を負う危険性があるためです。

これを念頭に置き、アークフラッシュの力学、米国労働省労働安全衛生局(OSHA)の要件、ボルトフォールトとアークフォールトの比較、IEEEアークフラッシュ危険性の計算を取り上げます。さらに、アークフラッシュ保護のシナリオとLittelfuseの関連保護リレーについてご紹介します。

OSHAでは、50ボルト以上で動作する装置について、アークフラッシュ保護の評価を行うことを義務付けています。この評価では、安全の境界(禁止、制限、アクセス制限)を決定し、どのような個人保護具(PPE)を着用しなければならないかを特定します。アークフラッシュの可能性と安全対策を評価する場合、ボルトフォールトとアークフォールトを区別する必要があります。

ボルト vs. アークフォールト電流

定格電圧1,000ボルト未満のシステムでは、ボルトフォールトはインピーダンスがゼロのフォールトと定義されます。アークフォールト電流は、アークのインピーダンスに関連して定義されます。これらのシステムの保護装置は、より高く、深刻なボルトフォールト電流に対してトリップするように設定されなければなりません。

保護装置のアーク消弧時間も重要です。アーク消弧時間の短縮、安全性、システム運用はトレードオフの関係にあります。トリップを速くすることで、作業者の安全性を高めることができます。しかし、システムに複数の保護装置が含まれている場合、トリップが速くなると、装置の協調動作が妨げられ、設備全体への悪影響が大きくなる可能性があります。マイクロプロセッサ(MPU)ベースのアークフォールトリレーは、本質的に反応時間が速く、回路ブレーカをトリップしてアークフラッシュ保護を高速化するために使用することができます。同時に、これらのリレーは、装置の協調動作をサポートして、設備の中断を最小限に抑えることが可能です(図1)。

図1:フォールト状態への反応時間を短縮するために、アークフォールト保護リレーを使用して回路ブレーカ(CB)をトリップすることができます。(画像提供:Littelfuse)

IEEEアークフラッシュ危険性の計算

IEEE 1584-2018に基づくアークフラッシュの危険性計算は、OSHAの規制を満たすために産業環境で一般的に使用されています。IEEE 1584は、アーク電流と入射エネルギーレベルを予測し、それによって必要なPPEを特定し、安全な作業距離を定義することができます。次のようなパラメータを基に、経験的に導き出されたモデルを使用しています。

  • 208~15,000ボルト交流(VAC)、3相、周波数50~60ヘルツ(Hz)
  • 700〜106,000アンペアのボルトフォールト電流
  • 一般的な機器のエンクロージャサイズと、接地または非接地の導体構成
  • 導体間のギャップと、全3相のフォールト

スイッチギヤの保護

LittelfuseのPGR-8800シリーズは、設備設計者がスイッチギヤを保護するために使用することができます。PGR-8800-00(図2)はMPUを搭載したリレーです。PGA-LS10見通し線ポイントセンサでスイッチギヤキャビネットをモニタし、アークフラッシュ保護とフォールトか所の特定を行うことができます。また、バックバスバーは、光ファイバセンサPGA-LS20またはPGA-LS30でモニタすることができます。PGR-8800-00は、アークフラッシュの光を1ミリ秒(ms)未満で感知します。また、周囲の明るさに応じてトリップ閾値を調整することができるため、不要なトリップを最小限に抑えることが可能です。

図2:PGR-8800-00は、さまざまなセンサを使用して、1ms未満でアークフラッシュの発生を特定することができます。(画像提供:Littelfuse Inc.)

発電機を保護する

LittelfuseのAF0100アークフラッシュリレーは、発電機の保護に使用することができます。光学式センサPGA-LS20 / PGA-LS30、ポイントセンサPGA-LS10と組み合わせて使用するように設計されています。発電機の電源を切り、ブレーカをトリップして、フォールト状態の機器をパワーラインから切り離すことができます。高振動でスペースに制約のある環境でも動作するように設計されています。

複数ゾーンの保護

複数のAF0500リレーを組み合わせることで、複数のゾーンをカバーすることができ、拡張性は無限に広がります。さらに、AF0500リレーは、低コストのAF0100リレーと接続することができます。これにより、複数ゾーンのアークフラッシュ保護システムにおいてコストと性能のトレードオフを最適化することが可能です(図3)。

図3:AF0500リレーは単独、他のAF0500リレーとの組み合わせ、AF0100リレーとの組み合わせで、複数ゾーンのシステムにおいて性能を最適化することができます。(画像提供:Littelfuse)

まとめ

NECとOSHAは、アークフラッシュの発生に関連する危険性を認識し、産業環境において遵守すべき要件を定めています。IEEE 1584は、アークおよびボルトフラッシュ電流レベルの可能性を評価し、必要な保護を決定するために一般的に使用されています。このように、アークフラッシュ保護リレーは、さまざまなアプリケーションシナリオで強化された保護を提供するために使用することができます。

リファレンス:

1:Googleデータセンターでの事故は、アークフラッシュの危険性を明確化

著者について

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ジェフ氏は、パワーエレクトロニクス、電子部品、その他の技術トピックについて30年以上にわたり執筆活動を続けています。彼は当初、EETimes誌のシニアエディターとしてパワーエレクトロニクスについて執筆を始めました。その後、パワーエレクトロニクスの設計雑誌であるPowertechniquesを立ち上げ、その後、世界的なパワーエレクトロニクスの研究グループ兼出版社であるDarnell Groupを設立しました。Darnell Groupは、数々の活動のひとつとしてPowerPulse.netを立ち上げましたが、これはパワーエレクトロニクスを専門とするグローバルなエンジニアリングコミュニティで、毎日のニュースを提供しました。また彼は、教育出版社Prentice HallのReston部門から発行されたスイッチモード電源の教科書『Power Supplies』の著者でもあります。

ジェフはまた、後にComputer Products社に買収された高ワット数のスイッチング電源のメーカーであるJeta Power Systems社を共同創設しました。ジェフは発明家でもあり、熱環境発電と光学メタマテリアルの分野で17の米国特許を取得しています。このように彼は、パワーエレクトロニクスの世界的トレンドに関する業界の情報源であり、あちこちで頻繁に講演を行っています。彼は、定量的研究と数学でカリフォルニア大学から修士号を取得しています。

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