IoTの医療およびヘルスケアアプリケーションにおけるセンサの役割

著者 キャロリン・マタス氏

Electronic Products の提供


モノのインターネット(IoT)について考える時、通常は接続されたホームやコミュニティが思い浮かびます。 しかし、医療アプリケーションは世の中で急速に注目を集めています。 診断やモニタリングから、医療提供方法に至るまで、IoTは、近年、本来は概念的なものにすぎなかった機能を提供するために、通信とセンサ出力を結び付けています。 IoTは、正確にかつ猛烈な速さでデータストリームを収集し分析することが可能なように、情報を収集し相互およびクラウドと情報を共有するデバイスを実現します。

特に、第二次世界大戦後の25年間で生まれた人口の多いベビーブーム世代(約7800万人の米国人)は、退職年齢に達し、多くの人々は新しい医療ニーズを有しています。 この世代はまさに、かつてVCRのようなシンプルなものをプログラムしようと奮闘していた世代です。 幸いなことに、センサベースのIoTの医療における進歩は、その大部分がプログラミングタスクの必要性を回避し、驚くほど効果的でユーザーの介入なくバックグラウンドで動作するモバイル小型デバイスの形態でもたらされるでしょう。 これらのデバイスは、装着され、組み込まれ、またはクラウドベースでワイヤレス通信を行うでしょう。

最終的に、医療IoTデバイスのグローバルシステムは、センサ、アクチュエータ、マイクロコントローラ、モバイル通信デバイスなどを使用する数十億個のデバイスおよびアプリケーションから構成されるでしょう。 結果として、個々のニーズに基づくヘルスケアは、より効果的に提供されるだけでなく、規模の経済により、コスト低減の見込みがあります。

その機能方法

センサおよび相互接続技術での進歩によって実現したヘルスケアには、現在、予防治療、診断を促進し、治療結果の測定をも行うための患者データの動的な収集が含まれる可能性があります。 オートメーションやリアルタイムの側面により、エラーが低減され、質や効率が向上します。 今日、ワイヤレスセンサベースのシステムは、今までアクセスできなかった医療データを収集し、治療を患者に直接提供します。

IoT関連のヘルスケアは、クラウド内でサーバに接続するセキュアサービスレイヤ(SSL)を通してバイタルデータをキャプチャし、共有するために、相互に直接接続するデバイスのネットワークとして、IoTに基づいています。 これは、センサデータがさらに分析され、クラウドに送信された後に介護者に送信されるセンサ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、およびゲートウェイを組み合わせます。

リモートモニタリングは、適切なヘルスケアへのアクセスを持つ世界中のより多くの患者数につながります。 データはセンサを介してキャプチャされ、複雑なアルゴリズムはデータを分析して、医療専門家は情報にワイヤレスでアクセスし、診断および治療勧告を行うことができます。 患者はまた、わずかな変化が検出され、薬物中毒が回避されるように、24時間体制でモニタされることが可能です。

高齢化が進む中で、独立して居住する高齢者は、転倒を検出してそれを緊急応答者に自動的に伝えるために、モニタリングデバイスを使用することができます。 戦略的に配置されたセンサは、日常活動をモニタし、携帯電話を介して介護提供者または家族に異常を伝えることができます。 アプリケーション処理およびワイヤレスコネクティビティは、バイタルボディパラメータをモニタし、健康を管理するために、モバイルパーソナルヘルスゲートウェイに組み込まれることができます。

IoTのヘルスケアにとって主な課題となるのが規格です。

多くの複雑なデバイスをまとめるのは、いくつかのレベルで困難です。 特に、1つのレベルは規格に関わっています。 IoTは今後、通信プロトコルのさらに多くの標準化に依存するでしょう。

介護提供者とデータを共有するモニタリングデバイス間のワイヤレス通信向けにガイドラインを作成する作業が進められています。 設計者は、次の取り組みを含む規格活動を認識しておく必要があります。
  • ヘルスケアおよびテクノロジ企業の連合であるContinua Health Allianceは、相互運用可能なパーソナルヘルスソリューション向けのガイドラインを確立するために設立されました。 これは、IoTの使用のためにContinua認証済みのデバイスが他のContinua認証済みのデバイスとともに動作することが保証されるように、相互運用性のための一連の仕様をすでに備えています。
  • LAN用のIEEE規格は、Wi-Fi(IEEE 802.11)およびZigBee(IEEE 802.15.4)ネットワークを定義しています。 PAN規格には、ボディエリアネットワーク(BAN)に関連するBluetoothおよびBLE、IEEE 802.15.4j、IEEE 802.15.6が含まれます。
  • 関連するセルラーネットワーク規格には、GSM/UMTSおよびCDMAが含まれます。
  • 米食品医薬品局(FDA)は、医療デバイスの相互運用性およびセキュリティをサポートする合計25の規格を認定し、認証しています。
センサの数例

医療アプリケーションとインターネットの結合には、多くのタイプのセンサが関わっています。 ここでは、ほんの数例をご紹介します。

All SensorsDLVRシリーズ ミニデジタル出力センサ(図1a)は、パッケージの応力感受性を低減することで全体の長期安定性を向上させる、同社のCoBeam2技術に基づいています。

All Sensorsが提供するDLVRシリーズ ミニデジタル出力センサの画像

図1a:DLVRシリーズはパッケージの応力を低減し、単一ダイデバイスと比べて位置感度を大幅に向上します。

DLVRは、センシング素子、14ビットA/Dコンバータ、DSP、およびI²CまたはSPIインターフェースのどちらかをサポートするI/Oブロックを含む信号経路を備えたデジタルセンサです(図1b)。 また、このセンサには、構成された動作モードをサポートするために、内部温度リファレンスおよび関連制御論理が含まれています。 このセンシング素子は、電力を節約するためにサンプルされない間パワーダウンされます。 1つのADCがあるため、ADCのフロントエンドには、ADC用に信号源を選択するマルチプレクサもあります。

All Sensorsが提供するDLVRの重要な機能の画像

図1b:All Sensorsが提供するDLVRの重要な機能。

電源電圧オプションにより、広範なシステムへのセンサの統合が容易になるため、シリアル通信チャンネルへの直接接続が可能になります。 電池駆動のシステムでは、センサは、読み取り間に非常に低い電力モードに入ることができ、電源での負荷を最小化します。 これらの較正され、かつ補償されたセンサは、広い温度範囲にわたって高精度で安定した出力を提供します。 空気、乾性ガスなどの非腐食性、非イオン性の作業流体とともに使用され、また、湿気/過酷な媒体保護向けにオプションで保護コーティングが入手可能です。 医療分野で、これは医療用呼吸、環境制御、およびポータブル/ハンドヘルド機器で使用されます。

医療アプリケーションにおいて、温度は多くの場合、主要な考慮事項です。 Silicon LabsSi701x/2xシングルチップ相対湿度および温度センサ(図2)は、工場出荷時に完全に較正された湿度および温度センサエレメントを、A/Dコンバータ、信号処理、およびI²Cホストインターフェースと組み合わせています。

Silicon LabsのSi701x/2x湿度および温度センサの画像

図2:Si701x/2xセンサは、低ドリフト、低消費電力、および低ヒステリシスを備え、高精度および長期の安定性を提供します。

医療アプリケーションでの呼吸療法用に使用されるこのシリーズは、高精度の相対湿度センサ、温度センサ、補助の第2ゾーンセンサ入力、広い動作電圧範囲、I²Cホストインターフェース、および3mm x 3mm DFNパッケージを特長としています。 これは、長期の安定性と工場での較正を提供します。

IoTに関わる医療セグメントは、病院またはリモート環境でのヘルスケアだけではありません。 フィットネス、ヘルスエレクトロニクス、そしてスマートウォッチも、モニタリング、医療専門家へのフィードバック、そして場合によってはリンクの提供において役割を果たしています。 フィットネス「ウェアラブル」モニタでの有益な部品として、Silicon Labsが提供するI²Cインターフェースを備えたSi1132 UVインデックスおよび周囲光センサICがあります。

この統合型UVインデックスセンサは、I²Cインターフェースを通して読み取り可能なデジタルUVインデックスレジスタ、部品間のバリエーションに対処するための工場較正、統合型周囲光センサ、および100ミリルクスの分解能を特長としており、暗いガラス下での動作が可能です。 アプリケーションには、フィットネス、ヘルスエレクトロニクス、およびスマートウォッチが含まれます。

このセンサICには、A/Dコンバータ、統合型高感度可視光線および赤外線フォトダイオード、そしてデジタル信号プロセッサが含まれています。 Si1132は、広いダイナミックレンジや、直射日光を含むさまざまな光源下で優れた性能を提供します。 Si1132デバイスは、10ピン2 x 2mm QFNパッケージで提供され、–40~+85°Cの温度範囲にわたって1.71~3.6Vで動作することができます。

転倒事象などを特定するために患者や高齢者をモニタすることは重要なため、傾斜計はこのアプリケーションの中核にあるセンサです。 例として、Analog Devicesが提供するプログラム可能360°傾斜計のADIS16203があります(図3)。
 
Analog Devicesが提供するADIS16203 360°傾斜計の図

図3:転倒を検出する必要がありますか? Analog Devicesが提供するADIS16203などの傾斜計は極めて重要です。

チルト検出、モーション、位置測定、モニタリング、およびアラームデバイスにおけるアプリケーションで使用されるこの部品は、単一小型パッケージの傾斜角測定システムです。 この製品は、Analog DevicesのiSensor技術を特長としています。 標準のiSensor統合により、電源とシリアルポートインターフェースのみを使用したシステム挿入が可能です。 同社のiMEMSセンサ技術を、組み込み信号処理と組み合わせることで、工場出荷時に較正されたセンサ~デジタル傾斜角データが提供されます。このデータは、シリアルペリフェラルインターフェース(SPI)を使ってアクセスできるフォーマットになっています。 較正されたデジタルセンサデータへの容易なアクセスは、プログラムでのリスクや開発コストを削減する、システムですぐに使えるデバイスを提供します。

センサは、物理、化学、および生体信号を検出し、それらの信号が測定および記録される方法を提供するデバイスです。 ヘルスケアおよびフィットネスの「モノのインターネット」デバイスにおいて、センサは、ユーザーおよび/または患者の温度、圧力、化学、および生体レベルをモニタすることができます。 こうして、センサ技術は、病院、外来患者施設、ホーム、および外来通院プログラムの役割を変更するでしょう。 この記事では、IoTの医療およびヘルスケアアプリケーションによく適した複数のセンサを取り上げました。 これらの部品の詳細については、このページにあるリンクを使用して、DigiKeyウェブサイトの製品ページにアクセスしてください。

免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。

著者について

Image of Carolyn Mathas

キャロリン・マタス氏

キャロリン・マタス氏は、20年以上にわたってEDN、EE TimesのDesignlines、Light Reading、LightwaveやElectronic Productsなどの雑誌の編集や執筆に携わっています。彼女はさまざまな企業にカスタムコンテンツやマーケティングのサービスも提供しています。

出版者について

Electronic Products

雑誌『Electronic Products』とElectronicProducts.comは、電子機器およびシステム設計の責任を持つ技術者や技術管理者に関連情報を提供しています。