トランジスタの基礎 :2N3904、2N3906、2N2222、および2N2907を使用するNPNとPNP

著者 John LeDuc(ジョン・ルダック)

Digi-Key Electronics の提供

驚くべきことに、使用可能な最初のトランジスタは70年前の1947年12月23日に発表されました。1おそらく、トランジスタはこれまでに発明された最も革新的なコンポーネントの1つです。トランジスタの登場によって、集積回路、マイクロプロセッサ、そしてコンピュータメモリの作成への道が拓かれました。

この記事では、次の分野について説明します。

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トランジスタとは何か

BJT(Bipolar Junction Transistor)の別名でも知られているトランジスタは、電流の流れを制御するために使用できる電流駆動型の半導体素子です。ベースリード内の少量の電流によって、コレクタとエミッタ間の大量の電流を制御します。発振器またはスイッチとして、微弱な信号を増幅させるために使用できます。

通常、トランジスタはN型とP型の半導体層がサンドイッチ構造になっているシリコン結晶で作られています。下記の図1を参照してください。

2N3904 TO-92の断面図のイメージとN型層とP型層の断片

図1:図1aは2N3904 TO-92の断面図で、Eのエミッタ、Bのベース、およびCのコレクタのリード線がシリコンにつながれていることを示しています。図1bは1958年5月の『Radio-Electronics Magazine』2から抜粋したもので、(当時はゲルマニウム素材と呼ばれていた)N型層とP型層の断片と配置を示しています。

トランジスタは密閉され、3本のリード線が付いたプラスチックまたは金属製の缶に入れられています(図2)。

一般的なパッケージタイプのサイズ比較と種類のイメージ

図2:一般的なパッケージタイプのサイズ比較と種類

トランジスタが機能する仕組み

例として、NPNトランジスタが機能する仕組みについて説明します。スイッチとしてのNPNトランジスタの機能を示す簡単な方法は、バルブによって制御されている管を流れる水について考えてみることです。水圧は「電圧」を表し、管を通って流れる水は「電流」を表しています(図3)。太い管はバルブが間にあるコレクタとエミッタの接合を表しています。図の中では、可動フラップのように灰色の楕円形で表されており、ベースを表す細い管からの電流によって作動します。バルブは、水圧がコレクタからエミッタへと流れるのを防いでいます。水が細い管(ベース)を通って流れるときにコレクタとエミッタの接合間のバルブを開き、水がエミッタ、そしてグラウンドへと流れることができるようにします(グラウンドは水または電圧/電流すべてのリターンを表します)。

トランジスタが機能する仕組みの図

図3:この図は、トランジスタが機能する仕組みを示しています。水が細い管(ベース)を通って流れるときにコレクタとエミッタの接合間のバルブを開き、水がエミッタを通ってグラウンドへと流れることができるようにします。

用途に適したトランジスタの選択

単に負荷時の回路またはスイッチをオンにする場合は、特定のことについて検討する必要があります。トランジスタスイッチを正電流または負電流でバイアスまたは通電するかを決定します(つまり、それぞれNPN型とPNP型)。NPNトランジスタは、ベースにバイアスをかけた正電流によって駆動され(またはオンになり)、コレクタからエミッタに流れる電流を制御します。PNPトランジスタは、ベースにバイアスをかけた負電流によって駆動され、エミッタからコレクタに流れる電流を制御します(PNPの極性はNPNと逆になることに注意してください)。詳細については、下の図4を参照してください。

各型のトランジスタの回路図記号の図

図4:各型のトランジスタの回路図記号

バイアス電圧を決定したら、次に必要な変数は、負荷を作動させるのに必要な電圧と電流の量です。これらは、トランジスタの最低電圧および定格電流になります。下の表1と表2は、いくつかの一般的なトランジスタと、それぞれの電圧や電流の制限を含む主要な仕様を示しています。

トランジスタ、NPNおよびPNP、リード線付きおよび面実装  トランジスタ、NPNおよびPNP、リード線付きおよび面実装

品番 コレクタとエミッタ間の最大電圧(Vce) コレクタの最大電流IC(mA) Ic、Vce印加時のDC電流ゲイン(hFE)(最小) 最大電力(mW) 複数の供給業者の2N/MMBTシリーズのリンク**
To-92リード線付き SOT-23面実装
2N3904 MMBT3904 NPN 40 200 100 at 10mA、1V 625/350* 3904
2N4401 MMBT4401 NPN 40 600 100 at 150mA、1V 625/350* 4401
2N5089 MMBT5089 NPN 25 50 400 at 100μA、5V 625/350* 5089
2N3906 MMBT3906 PNP 40 200 100 at 10mA、2V 625/350* 3906
2N4403 MMBT4403 PNP 40 600 100 at 150mA、1V 625/350* 4403
2N5087 MMBT5087 PNP 50 50 250 at 100μA、5V 625/350* 5087
*SOT-23パッケージの場合
**仕様は変わる可能性があります。データシートで詳細を確認してください

表1.一般的なリード線付き面実装NPNトランジスタとPNPトランジスタ

トランジスタ、NPNおよびPNP、金属缶パッケージトランジスタ、NPNおよびPNP、金属缶パッケージ

品番 コレクタとエミッタ間の最大電圧(Vce) コレクタの最大電流IC(mA) Ic、Vce印加時のDC電流ゲイン(hFE)(最小) 最大電力(mW) 複数の供給業者の2Nシリーズのリンク**
TO-18 TO-39
-- 2N2219A NPN 40 800 100 at 150mA、10V 800 2219A
2N2222A -- NPN 40 800 100 at 150mA、10V 500 2222
-- 2N2905A PNP 60 600 100 at 150mA、10V 600 2905
2N2907A -- PNP 60 600 100 at 150mA、10V 400 2907A
**仕様は変わる可能性があります。データシートで詳細を確認してください

表2.一般的な金属缶でパッケージされたNPNトランジスタとPNPトランジスタ

トランジスタ回路の例

下の図5は、ベースに通電するかトランジスタにバイアスをかけることでオンにし、スライドスイッチを介してベースに5Vを流すことで、コレクタとエミッタの接合をオンにする回路例を示しています。この例では、このケースにおける負荷であるLEDを点灯させます。ベースにバイアスをかけるときは、抵抗器を適切に使用して過電流の引き込みを回避する必要があります。私は実験用回路板でリード線付き部品を使用して回路例をテストしました。新製品の設計でトランジスタを使用して市場に乗り込むとなると、ほとんどのエンジニアは(TO-92パッケージよりもかなり小さいサイズの)面実装コンポーネントを使用するでしょう。このリンクでは、3904トランジスタのさまざまなパッケージサイズを示しています。

2N3904はNPNトランジスタであるため、コレクタとエミッタの接合をオンにして適切に電流を流すには、ベースに正のバイアス(適切な電圧レベルと抵抗)をかける必要があります。あまり多くの電流がLEDとトランジスタを通過しないように、負荷抵抗器(R1)を使用することも重要です。このトランジスタの詳細については、2N3904データシートを参照してください。

EG1218スライドスイッチを使用してLEDを点灯させる2N3904回路例の図

図5:ピンC(コレクタ)、E(エミッタ)、およびB(ベース)を示す、EG1218スライドスイッチを使用してLEDを点灯させる2N3904の回路例(イメージはScheme-itで描画)

図6はPNPトランジスタを使用した常夜灯回路の例です。この回路の詳細を確認するには、Digi-Keyのエンジニアリングに関するwikiサイトにアクセスして、PNPの常夜灯を検索してください。

PDV-P5003フォトセルを使用してLEDを点灯させる2N3906の常夜灯の回路例の図

図6:PDV-P5003フォトセルを使用してLEDを点灯させる2N3906の常夜灯の回路例(イメージはScheme-itで描画)

トランジスタの発明に関する簡潔な歴史

トランジスタの歴史はどのように始まったのでしょうか。本筋からはかなり逸れてしまいますが、まずは電話の発明について説明しましょう。初めて機能する電動プロトタイプを本当に発明したのは誰かということについて多くの人が異議を唱えるかもしれませんが、最初の特許は1876年3月7日にアレキサンダー・グラハム・ベル氏が取得し3、彼は後にAmerican Telephone and Telegraph社(別称AT&T)を設立しました。 1894年になるとすぐに1、ベル氏の特許の期限が切れました。AT&T社は1900年代初めまで電話市場を支配していましたが、他の企業が設立され、AT&T社から顧客を奪い取っていきました。こうした事情から、AT&T社は引き続き市場を支配し、拡大していく必要性を痛感しました。1909年、AT&T社の社長セオドア・ベイル氏1は、大陸を横断して(ニューヨークからカリフォルニア)通話を伝送したいと考えました。しかし、これを実行するには、長距離を移動する信号を強化する適切な増幅器または中継器が必要でした。これより前の1906年に、リー・ド・フォレスト氏はジョン・A・フレミング氏(トーマス・エジソン氏から仕事を受け継ぎ、電波を検出するために使用される「振動バルブ」と呼ばれる真空管装置を作成)によって考案されたアイデアを検討し、それを変更して三極管(増幅器として使用可能であった非効率的な3端子の真空管)を作成しました。1912年、フォレスト氏はWestern Electric Company(AT&T社の製造業者)のハロルド・アーノルド氏に招待され、彼の発明品を自慢げに見せました。フォレスト氏の三極管は低電圧で機能しましたが、アーノルド氏はそれをより高電圧で機能させて、音声を長距離伝送できる効果的な中継器を作成する必要がありました。アーノルド氏はより良い三極管を作成できると確信し、科学者を雇って装置が機能する仕組みやどのように改良できるかを解明しました。1913年10月に彼は成功しました。その後すぐに、電話線はいたるところに設置されました。最高の科学者を数年にわたって雇用するというAT&T社の投資によって、詳細な研究を行うことで競合他社に対する競争上の優位性がもたらされるということに気づき、1925年に「Bell Telephone Laboratories」を設立しました。

電話線を稼働させ続けるには、何千個もの真空管と継電器が必要でした。しかし、真空管は大量の電力を消費し、大規模で、過熱によって頻繁に故障しました。Bellの研究監督者であるマービン・ケリー氏は、第2次世界大戦においてレーダーを有効化するために使用された結晶整流器の技術開発について理解を深め、半導体(固体装置)が高額で信頼性に劣る真空管に取って代わる装置を作成するための解決策になる可能性があるという予感がしました。ケリー氏は優秀な物理学者の1人であるウィリアム・ショックレー氏を見つけ出すと、音声を有線で伝送するために使用されるコンポーネントの改良に関する彼のビジョンを説明しました。ケリー氏は、騒音の多いメカニカル継電器と電力を大量消費する真空管をいつの日か固体電子装置で置き換えられれば嬉しいという彼の思いを伝えました。この思いは実際にショックレー氏の頭から離れず、彼の主要な目標になりました。ケリー氏はこの目標を実現する方法を見つけることをショックレー氏に任せました。

ショックレー氏は優れた理論家でしたが、アイデアを構築することはあまり得意ではありませんでした。ショックレー氏は、電界効果を利用した電子移動のアイデアを証明し、半導体上のプレートに通電することで半導体の両側を接続しようと何度も試みました。しかし、その試みは失敗に終わりました。失望したショックレー氏は、Bell研究所で働く他の2人の物理学者ジョン・バーディーン氏(半導体の電子理論に長けている)とウォルター・ブラッテン氏(プロトタイプと研究所の設備の使用が得意)を頼りました。彼らはショックレー氏のチームの一員になりました。ショックレー氏は、彼らが独立して仕事をするデュアルチームを許可しました。何年にもわたって、電界効果を機能させようと多くの試みが行われましたが、実現することはありませんでした。彼らは計算を入念に見直しました。理論上は機能するはずでした。バーディーン氏とブラッテン氏はこれまでとはまったく違った概念で考え、薄くスライスしたシリコンとゲルマニウムを使用して実験を行い、電界効果を機能させようと試みました。1947年の秋、ブラッテン氏が半導体の表面に沈降する凝縮水に苦労しているときに、進展の兆候が見られました。完全に乾かすのではなく、シリコンの上部に水滴を置くことでその上のプレートが通電し、増幅効果があることに気づきました。水滴は表面障壁を克服するのに役立ち、電子流を作り出すことができました。しかし、その反応は鈍く、音声を適切に伝送するために必要な音声信号を滑らかに増幅させることができませんでした。

(奇跡の月として知られている)1947年12月、彼らは電界効果のギャップを取り除き、水を除去し、金接触を作成して半導体に触れることを考え付きました。その当時扱いやすかったゲルマニウムに切り替え、それをゲルマニウム上で自然に形成される薄い酸化膜で絶縁しました。数多くのテストが行われましたが、成功しませんでした。その後、12月中旬に、どうやら偶然にウォルター・ブラッテン氏はうっかり酸化皮膜を洗い流し、金をゲルマニウムに直接接触させてしまいました。しかし、これが大当たりだったのです。適切な増幅が確認され、トランジスタが機能していました。ショックレー氏の電界効果のアイデアで理論化されたように半導体の表面に電子を引き寄せるのではなく、ブラッテン氏とバーディーン氏は、金接触で半導体に触れることでホールを半導体に注入し、電力の流れを可能にするということを発見しました。1947年12月中旬頃、彼らはショックレー氏に知られることなく運用プロトタイプの作成を開始しました。ブラッテン氏は、装置をプラスチックの三角形の形状に組み立て、傾斜した端に沿って金箔を貼り付け、三角形のポイントにかみそり刃で薄く切り込みを入れました。これは極めて粗雑なプロトタイプでした。彼らはペーパークリップを使用してバネに作り替え、薄い銅板上にある薄いゲルマニウムの半導体に三角形を押し付けました。半導体には2本のリード線があり、それぞれが三角形の各端につながっていました。ゲルマニウムスライスの下の銅板は、言うなれば3番目のリード線としての役割を果たしていました(図7)。 これは最終的に点接触型トランジスタと呼ばれることになりました。

ブラッテン氏とバーディーン氏はショックレー氏を呼び、この朗報を知らせました。私の調査によると、ショックレー氏は複雑な心境でした。つまり、トランジスタが機能したことに対する喜びと、自分で直接作成することができなかったことに対する落胆を感じていました。ショックレー氏の上司へのデモンストレーションは、発見(1947年12月23日)の一週間後に行われました(公表されたのは1948年6月30日)。 その後、歴史に残すために当時の写真が撮られました(図8)。ショックレー氏は、壊れやすい点接触型トランジスタは製造が容易ではないと確信していたため、(自分自身で)それを改良しようと夢中になりました。ショックレー氏は彼なりのやり方で問題を解決しようと無我夢中で取り組み、半導体の材料を重ねることでトランジスタをより統合されたものにしようとする彼の見解をドキュメント化しました。接合トランジスタの特許出願のために、さらに多くの研究を行って理論を完成させました(1948年6月25日に出願)。 実用的なN-P-N接合トランジスタは1950年4月20日に実証されました(ゴードン・ティール氏とモーガン・スパークス氏の取り組みによって実現)。 こうしたすべてのことを取り巻く一つ一つが、皆さんが想像できるよりもはるかに深く浸透しています。4

1956年12月10日、トランジスタ効果の発明に対するノーベル賞がウィリアム・ショックレー氏、ジョン・バーディーン氏、およびウォルター・ブラッテン氏に送られました。

点接触型トランジスタのイメージ

図7:点接触型トランジスタ(Nokia Corporationの許可を得て再利用)

ジョン・バーディーン氏(左)、ウィリアム・ショックレー氏(中央)、ウォルター・ブラッテン氏(右)のイメージ

図8:ジョン・バーディーン氏(左)、ウィリアム・ショックレー氏(中央)、ウォルター・ブラッテン氏(右)(Nokia Corporationの許可を得て再利用)

リファレンス

  1. Michael Riordan氏およびLillian Hoddeson氏、1997年、『Crystal Fire: The Invention of the Transistor and the Birth of the Information Age』、New York, NY: W.W.Norton & Company, Inc
  2. Ryder, R.M氏、1958年、「Ten years of Transistors」、『Radio-Electronics Magazine』5月、35ページ
  3. Houghton Mifflin Harcourt Publishing Company、1991年、「ALEXANDER GRAHAM BELL」、2017年12月19日取得
  4. Riordan Michael氏、Lillian Hoddeson氏、およびConyers Herring氏、1999年、「The Invention of the Transistor」、『Modern Physics』、Vol 71、No. 2: Centenary

詳細については、次のサイトを参照してください。http://www.pbs.org/transistor/

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著者について

John LeDuc(ジョン・ルダック)

Digi-Key ElectronicsのデジタルビジネスプロジェクトマネージャであるJohn LeDuc(ジョン・ルダック)は、1984年に彼のキャリアを開始し、当初はDigi-Keyでお客様の技術的質問への回答や、製品のレビューとカタログへの製品追加を担当していました。彼は、National SemiconductorのINS8073 Tiny Basicデモボードのサポートを得意としていました。現在は、当社Webサイトを改善するための独自のアイデアを考えたり、収集することにより、当社のエンジニアリング関連のお客様のデジタル体験を向上させています。彼はエレクトロニクス技術の準学士号を持っています。余暇には電子機器をいじくり回したり、3Dプリンタでユニークな設計を作成する「真夜中のエンジニア」でもあります。

出版者について

Digi-Key Electronics

ミネソタ州シーフリバーフォールズに拠点を置くDigi-Key Electronicsは、試作および設計段階、量産段階のいずれにおいても、電子部品を卓越したサービスとともにグローバルに提供し、Digi-Keyでは、750社以上の一流メーカーから提供される600万点以上の製品を取り扱っている。