チップオンボードLEDモジュールの発展

著者 Steven Keeping(スティーブン・キーピング)

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最近まで、LEDの効率、寿命、堅牢性の利用を求めていた照明設計者は、いくつかの主要な課題に直面していました。

これらの中で最も困難な課題は、製品に必要な「ルーメン密度」(単位面積あたりの光出力)を達成するのにどれだけのディスクリートLEDが必要かどうかを解明し、ランプ内のスペースをあまり多く取らずにこのアレイの電力および熱要件を考慮に入れた回路基板を設計する必要性があったことです。 そして、技術者は、消費者の期待を満たすために、それらのLED群すべてが同じ色を生成することを確認する必要がありました。

今日、より簡単なソリューションが利用できます。 LEDメーカーは、チップオンボード(COB)LEDアレイという、高電力デバイス向けの新しいパッケージング形態を導入しました。 これらのユニットを供給する際、LEDメーカーは、「光エンジン」を搭載するために、個々のLEDを適合させ、適切な基板を設計するという作業を行いました。 さらに良いことに、COB LEDアレイにより、LEDメーカーは、「リモート蛍光体」などの効率強化技術を利用することができます。

この記事では、商業的に入手可能なCOB LEDアレイの最新例を考察し、このCOB LEDアレイ分野が近い将来にどのような発展を遂げるのかを検討します。

ディスクリートLEDアレイの弱点

LEDの性能は劇的に向上したものの、単一デバイスは依然として、主流の照明アプリケーション用に十分な出力を生成していません。 たとえば、1個の100W、120V白熱電球は、(約17ルーメン/Wの効率で)1,700ルーメンを生成します。 それと比較して、OSRAMのOSLON SSL 150などの人気のあるLEDは、136ルーメン(350mA、3.1V、125ルーメン/W)を生成します。 照明技術者は、電球とおよそ同じ出力を提供するのに、12個のこうしたOSRAMデバイスが必要でしょう。

これは、LEDが占める物理的スペース(一般的に、数平方センチメートル)により、問題となります。 さらに、LEDをアレイにグループ化することも、照光、光学、および製造の観点から課題をもたらします。

LEDアレイから光の質を最適化するのは困難です。 LEDメーカーは、およそ同じ色相関温度(CCT)および光度の「ビン」にLEDを分類しますが、消費者が違いに全く気づかないように個々のデバイスを厳密に適合させるのはコストと時間がかかります。

多数のLEDアレイにおける2番目の問題は、デバイスが異なる速度で経時変化することです。 器具において多数のLEDが多くの寿命を残している一方で、その他のLEDが薄暗くなるため、消費者がそのユニットを廃棄するという結果を招きます。 最終的に、多数のLEDアレイをアセンブリするのは困難で労働集約的であり、コストをさらに押し上げることになります。 (TechZoneの記事「LED Packaging and Efficacy Advances Boost Lumen Density」をご覧ください。)

アセンブリの排除

LEDアレイの設計と、設計後のLEDアレイのアセンブリの問題に対処するために、LEDメーカーは現在、COB LEDアレイの形態でモジュラーソリューションを提供しています。 このようなデバイスは、セラミックパッケージと、高レベルの統合の両方を実現します。

COB LEDアレイにより、照明メーカーが個々のLEDをプリント回路基板(PCB)に配置したり、照明メーカーに代わって誰かに個々のLEDを基板上に配置させたりする必要性がなくなります。 製造プロセスを容易化できる別の利点として、COBパッケージがマニュアルアセンブリに適していることがあります。 COBは、多くのエンジニアリングリソースを必要とせずに、エポキシで取り付けるか、ヒートシンクに機械的に実装することができます。 (TechZoneの記事「Consider Packaging for Performance Improvements, Cost Reduction」をご覧ください。)

Molexは、下記に記載するBridgeluxおよびCree製品向けの各種COB LEDアレイホルダ(図1)を提供しています。

MolexのCOB LEDアレイホルダ

図1:MolexのCOB LEDアレイホルダは、複数の主要LEDメーカーの製品に適合します。

COB LEDアレイの利点はアセンブリのみに限られません。いくつかの光学的な利点もあります。 デバイスは一般的に、蛍光体コーティングのディスク形態で「単一発光面」を使用します。 従来の白色LEDは、青色LEDを使用した後に、希土類元素セリウムを塗ったイットリウムアルミニウムガーネット(YAG)を構成する蛍光体を使用して、LEDが発する光をストークスシフトします。 LEDと蛍光体は、単一のパッケージに組み合わされます。

しかし、複数の研究者は、いわゆるリモート蛍光体デバイス(リモート蛍光体デバイスにおいて、蛍光体は青色LEDからいくらか距離を置いて実装されるディスクに含まれ、COB LEDアレイの場合、そのディスクは単一発光面)は、LEDの効率を向上させ、かつ寿命を延長させると主張しています。 (TechZoneの記事「Remote Phosphor Offers Alternative to White LEDs」をご覧ください。)

商用COB LEDアレイ

主要LEDメーカーは、商用COB LEDアレイのファミリを導入しました。 Creeは最近、同社がXLamp CXAソリューションと呼ぶCOB LED照明アレイを発売しました。 これは、従来のアレイに比べてスポットライトのシステム強度を2倍にする画期的な技術であると同社は主張しています。 同社は、リリースされた最初の製品ファミリであるCXA1520 LEDにより、照明メーカーは、39Wのセラミック金属ハライドデバイスと同じ光度を提供し、最大で50%少ない消費電力を実現する製品を作成できると述べています。

CXA1520 LEDアレイは、(85°Cでの)33Wで最大3,478ルーメンを提供します。 この製品は、2,700K~5,000KのCCTと、70、80、および95の演色評価数(CRI)オプションで入手できます。

CXAアレイは、指向性および無指向性照明アプリケーションや照明器具設計を実現する均一な発光面を特長としています(図2)。 この製品は、19mmの光源を備え、2および4ステップの色濃度で入手可能です。

CreeのCXAアレイ

図2:CreeのCXAアレイは、均一な発光面を特長としています。

それに引けを取ることなく、Seoul SemiconductorZCシリーズを提供しています。 同社は、ZCシリーズはCOBデバイスであり、LEDは面実装される必要がないため、照明メーカーはチップ接続プロセスを回避し、単価を削減することができると述べています。

Seoul Semiconductorは、「高度な反射アルミ基板」の使用により、輝度が向上し、LED寿命が延長すると主張しています。 ZCシリーズは6W、10W、および16Wで入手でき、同社は、これらの電力値を持つ製品はそれぞれ、40Wおよび60Wの白熱電球や100Wのダウンライトの適切な代替品になると述べています。

ZCシリーズは、2,700K~5,600KのCCTと、最小70または80のCRIで入手でき、(480mAの順方向電流で)2400ルーメンを生成できます。 Cree製品と同様に、Seoul SemiconductorのZCシリーズは、直径19mmのLEDアレイ用に均一な発光面を使用しています。

Bridgeluxは、この分野で競合すべく、ES長方形アレイシリーズ(図3)を提供しています。 同社は、これらの小型で高束密度の光源は、ディスクリートLEDベースのソリューションが引き起こすピクシレーションまたは複数の影の影響がなく、均一な照光を実現すると述べています。 最新世代のLuxeon COB LEDアレイは、700~3,000ルーメンと、90~130ルーメン/Wの標準効率を提供します。 これらの製品は、2,700K~5,700KのCCTと、70、80、または90のCRIで入手できます。

BridgeluxのES長方形アレイ

図3:BridgeluxのES長方形アレイシリーズは、19mmバージョンで入手可能です。

同社は、直径19mmの単一発光面を使用するこれらのデバイスは、システムの複雑さを低減し、小型化された、コスト効率の良いランプおよび照明器具設計を実現すると主張しています。 低減された熱抵抗により、より小さなヒートシンクの使用や、大きなヒートシンクが使用されている際の照明システムの信頼性向上が実現します。

COBの成長

ディスクリートLEDを搭載するために回路基板を設計した後、ユニットをアセンブリする必要があるディスクリートLEDの使用と比較して、COB LEDアレイのコスト節約の利点は照明器具メーカーにとって魅力的です。 このような利点は、COB LED分野の劇的な成長を牽引しています。

分析会社のResearch & Marketsによれば、COB LED市場は、2013年から2018年にわたって40.71%の年平均成長率(CAGR)で成長すると予測されています。 他の利点は別として、この市場成長に貢献する主要な要因は、下落しているLED価格であると同社は述べています。 増大する需要の多くは、主流の照明アプリケーションによって牽引されています。

このような予測での数字が幾分楽観的であるとしても、COB LEDアレイ分野はこの先数年間に著しい成長を遂げる可能性があります。 ごく近い将来に、より多くのLEDメーカーが製品を発売することにご期待ください。

 

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著者について

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Steven Keeping(スティーブン・キーピング)

スティーブン・キーピング氏はDigiKeyウェブサイトの執筆協力者です。同氏は、英国ボーンマス大学で応用物理学の高等二級技術検定合格証を、ブライトン大学で工学士(優等学位)を取得した後、Eurotherm社とBOC社でエレクトロニクスの製造技術者として7年間のキャリアを積みました。この20年間、同氏はテクノロジー関連のジャーナリスト、編集者、出版者として活躍してきました。2001年にシドニーに移住したのは、1年中ロードバイクやマウンテンバイクを楽しめるようにするためと、『Australian Electronics Engineering』誌の編集者として働くためです。2006年にフリーランスのジャーナリストとなりました。専門分野はRF、LED、電源管理などです。

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