未来の空気質検出器を支えるテクノロジー
DigiKeyの提供
2026-02-11
屋内、屋外を問わず、健康と安全の確保には空気質の測定が欠かせません。測定の手法が手作業による調査から電子センサによる常時監視へと移行し、現在では衛星画像を活用した調査へと飛躍的に進化したことで、超微粒子の詳細なデータをリアルタイムで取得できるようになっています。
テクノロジーの進化によって詳細な監視と調査が可能になったことで、劣悪な空気質がもたらす深刻な健康リスクが明らかになり、世界保健機関(WHO)からは健康に関する注意喚起とガイドラインが、各国政府からは大気質の基準が次々と発表されています。
2021年には、WHOのガイドラインが改定され、大気質基準値の引き下げと、呼吸器に影響がある6種類の主要汚染物質に対する基準の厳格化を推奨する内容となりました。特に見過ごされがちなのが屋内の空気質で、多くの人が1日の大半を屋内で過ごすため、その危険性は無視できません。WHOのデータによると、世界で年間約380万人が屋内の劣悪な空気で発症した病気で亡くなっています。
テクノロジーの動き
今後の規制の動向に注目が集まる中、特に屋内環境で空気中の有害粒子を検出する高性能な新技術の開発競争が始まっています。これまで特殊な検出器が主流だった市場は、AIとリアルタイム監視機能を搭載した量産品の登場により、急速に拡大しています。
DigiKeyは世界をリードする電子部品およびオートメーション製品のグローバルディストリビュータとして、大気質改善製品の製造と販売を手がける多くの企業に部品を供給しています。DigiKeyでは小型の統合型センサから本格的な評価キットまで多様な製品を提供しており、革新的なソリューションやデバイスの設計や必要な部品の組み込みに従事するエンジニアを支えています。
図1:Aetosenseは低コストの部品と信頼できる仕入先だけでなく、成長に伴って生産規模を大幅に拡大する体制を模索していました。(画像提供:Aetosense)
そんなDigiKeyの顧客企業の一社、Aetosenseは英国ケンブリッジに拠点を置く大気質改善機器専門のスタートアップ企業です。競合製品よりもスマートで小型かつ低コストの市場初のミニナノ粒子検出器を開発しており、DigiKeyを重要なパートナーと見なしています。
AetosenseのCEOを務めるMolly Haugen氏は次のように語っています。「屋内の空気にひそむ健康リスクは、人々が認識している以上に深刻です。というのも、人々が呼吸する空気には汚染物質、ナノプラスチック、ウイルスが含まれており、その90%が現行の空気質センサでは測定できないからです。私たちが今検証しているのは、未来を見据えたソリューションなのです」
製品開発を支える技術
3Dプリントで一体成型されたAetosenseの検出器は、エアロゾルの流れを常時サンプリングしています。ファンによってエアロゾルが凝縮エリアに引き込まれると、熱力学と流体力学の原理に従ってナノ粒子が成長します。成長したナノ粒子をLEDライトの前を通過させ、その時に発生するライトの散乱をフォトダイオードで常時検出します。Aetosenseでは、散乱光の強度と空気中の粒子数の関係を把握しています。収集した粒子数データはビル管理システムに送られ、最新のリアルタイムデータとしてダッシュボードに表示されます。ビル管理者と保守担当者はこのダッシュボードを使って、建物内の空気フィルタとエネルギー消費量の状況を継続的に監視および把握することができます。
初期段階では有望な結果が得られています。Aetosenseの製品はデータセンターなどの低粒子濃度環境から火災発生時のような高濃度環境まで、幅広い用途に対応した信頼性の高いセンサを備えており、感度の向上を実現していることが示されました。
Aetosense製品の強みは、小型のサイズと特許技術(エアロゾルを取り込む方法と粒子を成長させるプロセス)にあります。Aetosenseでは、施設の保守運用システムの消耗製品として広く普及させることを目指しています。
パートナーと連携してソリューションを拡大
Aetosenseは開発の当初から小型で軽量なナノ粒子検出器を目標としてきました。というのも、従来のモデルはサイズと重量がネックとなり、特定の条件下やWHOの推奨する広域な監視用途では実用に耐えないとHaugen氏が考えていたからです。
ソリューションが継続的に改良される中、DigiKeyはAetosenseに熱電対、圧力センサ、流量センサ、ヒートマット、LEDライトなどを提供し続けています。
図2:ソリューションが継続的に改良される中、DigiKeyはAetosenseに熱電対、圧力センサ、流量センサ、ヒートマット、LEDライトなどを提供し続けています。(画像提供:Aetosense)
現在のプロトタイプは26個の部品で構成されており、10分で組み立てられます。Haugen氏率いる開発チームが当初から求めているのは既製の使い切り部品ではなく、低コストの部品と信頼できる仕入先、さらには初期段階で数千台規模に拡大できる生産能力です。
DigiKeyと連携することにより、Aetosenseは部品点数を大幅に削減し、競合よりもはるかに安い市場価格を実現することができました。
「私はシーフリバーフォールズで育ったので、そこを本拠地とするDigiKeyが信頼できる企業であり、部品の品質保証に優れていることを知っています。Aetosenseでは、すべての製品が問題なく動作するという前提で百台単位を量産する生産能力を求めています。それは私たちにとって譲れない点です」とHaugen氏は語っています。
今後に向けて
潤沢な資金と信頼できるパートナーの後ろ盾を得たAetosenseは、今後数年にわたってソリューションのスケールアップを続ける準備ができています。スタートアップ企業のAetosenseは、現在シンガポール、ドイツ、イギリスに顧客を持ち、将来的にはカリフォルニア、ニューヨーク、ボストンへの進出も見据えており、製品の需要が拡大しています。また、消防セクターや環境セクターなど、複数の市場セグメントからも関心を寄せられています。
図3:潤沢な資金と信頼できるパートナーの後ろ盾を得たAetosenseは、今後数年にわたってソリューションのスケールアップを続ける準備ができています。(画像提供:Aetosense)
大気質への懸念はパンデミックの際に高まり、現在もなお、多くの企業がオフィス勤務に戻る中で重要な課題であり続けています。ビルの管理者には、屋内の空気を一定の質に維持して利用者の安全と健康を守るための積極的な対応が求められています。
Aetosenseの超微粒子検出器をはじめとする先進技術は、オフィス勤務や公共スペースの活動再開における安心と安全の向上に貢献するだけでなく、設置エリアの空気が規制要件以上の質であることを証明するデータ分析ツールとしての重要な役割も果たすことになります。
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