RJ45コネクタ - 必須知識
2022-06-02
モジュラーコネクタは、1960年代にAT&Tがかさばる電話機用コネクタの代わりに導入して以来、世界中の通信・データサービスにおいて定番となっています。RJ(registered jack)コネクタは、当初は電話の接続を目的としていましたが、その後、数年間に発展し、データ通信にも使用されるようになりました。つまり、現在最も認知度の高いモジュラーコネクタと考えられるRJ45コネクタ(コンピュータネットワーク用途で使用され、Ethernetコネクタと公称される)につながったのです。広く普及しているRJ45コネクタですが、本稿では、その基本的な特長や機能、用途、規格など、RJ45コネクタのすべてを徹底的に解説することを目差します。
RJ45の基礎知識
RJ45コネクタに関する最も基本的な知識の一つは、それが、ケーブルと併用するモジュラー相互接続デバイスであり、さまざまな電子システムがデータ通信を行えるようにするものであるということです。8つのコンタクトと、信号または電源に使用する8つのワイヤ位置があるので、4つのツイストワイヤペアを使用することができます。8つの位置(P)と8つのコンタクト(C)という点では他の8P8Cコネクタと同様ですが、RJ45コネクタ自体には、さらに誤接続防止のために、対応するソケットに一方向でしか挿入できないようにするためのタブが設けられています。8P8Cコネクタの多くはRJ45と呼ばれていますが、これは必ずしも正確な表現ではありません。なぜなら、8P8CコネクタをRJ45ソケットに差し込むことはできますが、RJ45コネクタを8P8Cソケットに差し込むことはできないからです。
他のモジュラーコネクタと同様に、RJ45コネクタはさまざま利点を備えています。たとえば、低コスト、コネクタと配線のはんだなしアセンブリ、カスタムケーブルの迅速な製造、簡単な着脱、シンプルな工具によるフィールドでの簡単なアセンブリ、現場でケーブルをカスタマイズできることなどです。RJ45コネクタは、これらの基本的な利点の他に、以下のような追加機能も備えています。
- シールド – EMI/RFIの影響を打ち消す
- キーイング – 適切に挿入できるようにする
- さまざまなマウント機能 – パネル、ボード、面、スルーホールの各マウント方法に対応
- ディスプレイ/インジケータ – 接続状態を示す
- 磁気部品を内蔵 – シールド性向上と電流保護が可能
- 高信頼性 – ハードウェアと接続を保護
RJ45の用途と応用分野
RJ45コネクタは、あるインターネット対応デバイスと別のネットワークデバイスを接続するために、最もよく使用されています。たとえば、サーバ接続PC、ルータ、モデム、スマートTV、ゲーム機など、Ethernetプロトコルを利用するあらゆるデバイスが挙げられます。RJ45コネクタによるハードワイヤード接続により、データ速度や安定性の向上とセキュリティの強化が可能になります。このため、RJ45接続はプロユーザーとパーソナルユーザーのどちらにとっても魅力があります。
図1:RJ45コネクタはさまざまなネットワークデバイスに搭載されています(画像提供:Same Sky)。
また、RJ45製品ラインは、高速化や堅牢化などの機能追加により、相互接続システムとしてオフィスや家庭のネットワーク以外でも使用できるようになるとともに、EtherCATプロトコルの導入によって工場や工場以外の場所での使用も増えました。RJ45技術を使用する新しい応用分野には、以下があります。
- ファクトリオートメーション
- 産業用プロセス制御
- 産業用ロボティクス(加工・アセンブリ)
- テストおよび測定システム
- 品質管理システム
- ボイスオーバーインターネットプロトコル(VOIP)システムおよびデバイス
- モノのインターネット(IoT)ネットワークデバイス
RJ45コネクタ規格の概要
RJ45コネクタには、応用分野や使用目的に応じて、複数の適用規格があります。これらの適用規格を以下に概説します(このうち、いくつかの規格については、後でさらに詳しく説明します)。
- ANSI/TIA 1096-A – RJ45デバイスの基本的な機械的特性、物理的寸法、および接点に関する要件を網羅した規格
- T-568A / T-568B – 基本的な配線とピンアウトに関する規格
- IEEE 802.3at、802.3af、および802.3bt – エンドデバイスに電流を供給することができるRJ45コネクタ用の各種PoE(パワーオーバーEthernet)規格
- IEEE 1394 – RJ45で使用されるデータインターフェースバス構造
RJ45デバイスに使用されるケーブルやワイヤは他のさまざまな規格で規定されており、これらの規格もターゲットとする応用分野に大きく依存します。
EthernetとEtherCAT
RJ45とEthernetは、密接に関係し合う言葉です。Ethernet規格(IEEE 802.3)は、1980年代にIEEEが策定したものであり、Ethernetネットワーク(接続)を構成するためのルール、接続に必要な導線/導体の数、要求される性能、データ送信フレームワークを規定しています。Ethernet規格は使いやすさ、コスト、速度、幅広いネットワークプロトコルのサポートにより、世界中で最も広く普及したLAN技術ですが、ネットワーク構築で使用されている標準デバイスはRJ45コネクタです。
2003年に発表されたEtherCAT(制御オートメーション技術用Ethernet)は、リアルタイムのファクトリオートメーションやテスト・計測などに利用されている、柔軟性の高いネットワークプロトコルです。EtherCATは、IEC規格61158に規定されており、高速で非常に効率的に動作します。EtherCATネットワークは、2つのRJ45ポートを使用するだけであり、他の特別なハードウェアを必要としません。ネットワーク内において、前のノードに一方のRJ45が、次のノードに他方のRJ45が接続されるので、帯域を効率的に使用することができます。
Ethernetケーブルのカテゴリ
EthernetやEtherCATネットワークで使用されるケーブルには、Cat5、Cat6から現行のCat7、そして最新のCat8まで、さまざまなタイプが用意されています。各ケーブル規格の性能指標は大きく異なりますが、いずれも同じRJ45コネクタを使用したものです。つまり、規格に関係なく、すべてのケーブルは8本のワイヤと4本のツイストワイヤペアで構成されるので、RJ45の8P8Cの構成と一致しています。
Cat5ケーブルは、Cat5ケーブルの最大10倍の速度と、クロストークや干渉への耐性を持つCat5eケーブルのおかげで、現時点ではほとんど時代遅れとなっています。次に、Cat6では、Cat5eに比べ、帯域幅容量が向上するとともにシールドによりクロストークや干渉をさらに低減しています。また、Cat5/5eとの下位互換性も維持しています。Cat5は、ギガビットレベルの速度が必要なネットワーク設備によく使われます。より新しいCat6aは、厚いプラスチックケーシングを採用してクロストークをさらに低減するとともに、最大328フィートまでケーブルを延長することができます。Cat7とCat7aは、それぞれ帯域幅容量を段階的に増加させています。
|
表1:Ethernetケーブルの規格カテゴリ(画像提供:Same Sky)
PoE
RJ45コネクタは、データ信号を中継する機能に加え、Ethernetケーブルに含まれる未使用のツイストワイヤペアを利用して、接続デバイスに電力を供給する機能も備えています。このPoE技術は、IEEE規格802.3afとその発展形の条項の中で規定されています。つまり、電力供給能力をますます高めています。
|
表2:PoEの規格(画像提供:Same Sky)
DC電源の供給には、これらのワイヤペアを使用できるため、追加の電源配線を行わなくても済むようになります。PoEは、追加のケーブル、コンセント、設備が不要なため、コスト削減と柔軟性の高さから急速に普及が進んでいます。また、PoEは安全性、信頼性、拡張性に優れた設計になっています。
図2:Ethernet接続デバイスに電力を供給するPoEインジェクタ(画像提供:Same Sky)
T568A/T568B規格
T568AとT568Bは、RJ45のピンアウト規格であり、RJ45コネクタにおける8本のワイヤの配置を規定しています。これらの配線は色分けされているので、Ethernetネットワークが正しく機能するには、指定されたピン配列の位置に正しく挿入しなければなりません。T568Aが旧来の配線との下位互換性を提供するものであるのに対し、T568Bはより良好な信号絶縁とノイズ防止を可能にします。RJ45パススルーコネクタは、ワイヤをコネクタに通し、圧着時にトリミングすることで、アライメントを容易にします。
図3 T568AとT568Bのピン配列(画像提供:Same Sky)
図4:RJ45コネクタで示すT568Bの配線(画像提供:Same Sky)
どの規格が適切であるかは、個々の設計上のニーズや、ストレートスルーケーブルとクロスオーバーケーブルのどちらを使用するかによって決まります。ストレートスルー(パッチ)ケーブルは両端の配線規格が同じです。これに対し、クロスオーバーケーブルは、一端がT568A、他端がT568Bであり、同じタイプのデバイス同士を接続します。圧延ケーブルまたはロールオーバーケーブルは平たいケーブルであり、ネットワークスイッチのコンソールポートにデバイスを接続するものです。インターフェース(接続)の確立にのみ使用され、データの送信は行いません。
ループバックやT1という言葉もよく耳にされるかもしれません。ループバックとは、コンピュータをそれ自体と接続するためのもので、診断・トラブルシューティングや、サーバーとの接続に利用されます。T1ラインは、15~20年前に比べるとかなり少なくなりましたが、通信サービスプロバイダからエンドユーザーに直接つながる専用ラインであり、より高い速度を実現し、音音声とデータの両方を伝送することが可能です。
RJ45の最終設計上の注意点
RJ45コネクタは、Ethernetネットワークと接続するため、設計時にいくつかの技術的なポイントに注意する必要があります。基板レベルでは、EMIの低減と、電気信号の絶縁性/完全性の維持に注力します。回路設計の詳細に深入りしすぎずに、基板上のトレースの長さと位置に細心の注意を払うことが重要です。プリント基板におけるコネクタの物理的な配置についても注意してください。
磁気部品に関しては、10/100/1000 Base-TネットワークのEthernet仕様に含まれているため、磁気部品を設計に加える場合は注意する必要があります。磁気部品とはトランスのような巻線部品であり、EMIのシールド、故障や過渡現象からの保護、電気的絶縁や信号バランスを提供します。RJ45コネクタとは絶縁しながらも、できるだけ近くに取り付ける必要があります。
設計に磁気部品を追加するには、2つの方法があります。1番目の方法は、磁気部品が内蔵されたハウジングを持つRJ45コネクタを選定することです。RJ45磁気部品ジャックは、EMIシールドと接続の信頼性向上というメリットがあります。2番目の方法は、プリント基板において、PHY(Ethernet実装)チップと通常のRJ45ジャックの間に磁気モジュールを追加することです。磁気モジュールは、内蔵型コネクタに比べ、静電気放電(ESD)保護に優れていながら安価な傾向があります。どちらの方法もメリットとデメリットがあり、システム全体の設計に基づいて評価する必要があります。
まとめ
他のモジュラーコネクタと同様に、RJ45コネクタは、容易なデザインイン、迅速簡単な取り付け、製品の幅広さ、およびユーザーの手の届きやすさを実現しています。家庭やオフィスのネットワーク用途に世界中で受け入れられている他にも、工場現場や過酷な環境でもますます受け入れられつつあます。
Same Skyは、磁気部品内蔵、PoE、LEDインジケータなど、さまざまなオプションを備えた広範なRJ45コネクタを提供しています。
免責条項:このウェブサイト上で、さまざまな著者および/またはフォーラム参加者によって表明された意見、信念や視点は、DigiKeyの意見、信念および視点またはDigiKeyの公式な方針を必ずしも反映するものではありません。