RFoF – 光ファイバを用いてRF信号の伝送距離を数メートルからキロメートルへ拡大する

著者 Vincens Gjokaj, Ph.D – NuPhotonics

コネクテッド化が進む世界では、高速・大容量の信号伝送に対する需要が、従来の同軸ケーブルベースシステムの限界を押し広げつつあります。近年では、RFoF(Radio Frequency over Fiber)への関心がますます高まっています。RFoFは、光ファイバの低損失、高帯域幅の利点とRF通信の汎用性を融合させた技術です(図1)。光ファイバでRF信号を伝送することにより、RFoFシステムは、衛星地上局や遠隔アンテナ配置から3G-5Gインフラや防衛システムに至るまで、幅広いアプリケーションで干渉のない長距離信号伝送を可能にします。この記事では、RFoFシステム設計の基礎について説明します。

画像:RFoFの主な特長図1:RFoFの主な特長。(画像提供:NuPhotonics

長距離伝送における信号強度

同軸ケーブルは、ケーブルの構成によって性能が異なります。通常、誘電体付きSMAケーブルの(2GHzにおける)挿入損失は約0.25dB/mです。空気が充填されたケーブルはわずかに性能が向上しますが、コストは大幅に高くなります。 この高い損失が、50メートルを超える伝送距離にRFoFを使用する原動力となっています。RFoFでは多くの場合1310nmと1550nmの2つの波長を使用します。1310nmでは光信号の損失は約0.35dB/kmですが、1550nmではわずか0.25dB/kmです。ご覧の通り、これは同軸ケーブルと比較して大幅に低い値です。

DigiKeyとNuPhotonicsが部品調達を容易に

DigiKeyは、主要部品の容易な調達を実現するグローバルリーダーです。DigiKeyは、ホビイスト、学生、専門家、大企業に利用されています。RF & 光エレクトロニクスデバイス業界のリーダーとして、NuPhotonicsとDigiKeyが提携し、使いやすくアクセスしやすい部品を業界に供給することは理にかなっています(図2)。

画像:NuPhotonics 10G PINフォトダイオードピグテールFC/APC図2:NuPhotonics 10G PINフォトダイオードピグテールFC/APC。(画像提供:NuPhotonics)

市販のソリューションもいくつか存在しますが、経済的に合理的な選択肢とは言い難い場合が多くあります。この記事では、NuPhotonicsの部品を使用して低コストで専門的なソリューションを開発することを可能にする標準設計について説明します。ここで取り上げた製品およびソリューションは、DigiKeyから簡単にご注文いただけます。

RFoFトランスミッタ設計 – 10G DFBレーザー

RFoFシステム設計の最初の部分は、トランスミッタの開発です。RFoFアーキテクチャでは、データ搬送RF信号は、光ファイバリンクで伝送される前に光波信号に重畳されます。分布帰還型(DFB)レーザーは、RF信号によって直接変調することができるため、電気的なRF信号を光信号に変換するための理想的な部品となります。基本図を図3に示します。レーザーはアノード側にバイアスされているので、これはRF周波数の入力でもあります。システムの安全のため、回路にはDCブロッキングコンデンサ(C2)が組み込まれています。C2の値は、希望する低周波数カットオフポイントによって微調整されます。回路の抵抗器R1は、10Ω DFBレーザーを50Ωシステムにインピーダンス整合するために使用されます。R1の値が高いほど、リンクの整合性は良くなりますが、光リンクの挿入損失が増加するという悪影響があります。これにより、所望のインピーダンス整合と挿入損失のための正確なレベル制御が可能になります。回路の抵抗器R2は、レーザーへの電流を制限するための電流制限抵抗です。インダクタLは、レーザーのDCバイアスのための最小抵抗電流経路として機能する一方で、RF信号のための高インピーダンス経路として機能します。コンデンサC1は、バイアスTの電源ノイズをフィルタリングするためのオプションのフィルタリング容量です。

画像:バイアスTとインピーダンス整合を備えた10G DFBレーザー図3:バイアスTとインピーダンス整合を備えた10G DFBレーザー。(画像提供:NuPhotonics)

RFoFレシーバ設計 – 10G PINフォトダイオード

ファイバ内の光は、より使いやすい電気信号に変換される必要があります。このためにフォトダイオードが使われます。十分なエネルギーの光子がダイオードに当たると、電子と正孔のペアが生成されます。このメカニズムは内部光電効果としても知られています。これらの正孔はアノード(+)に、電子はカソード(-)に向かって移動します。この効果により光電流が発生します。この回路は広帯域動作を扱うため、フォトダイオードは逆バイアスで動作します。逆バイアスの場合、電流は入射光によってのみフォトダイオードに流れ、光電流が発生します。これには、フォトダイオードの直線性を高めるという利点もあります。逆バイアス応答時間は、空乏層のサイズを大きくすることで短縮されます。この幅の拡大は接合容量を減少させ、フォトダイオード内のキャリアのドリフト速度を増加させます。キャリアの通過時間が短縮され、応答時間が改善されます。

図4は、フォトダイオードを動作させるための基本回路です。フォトダイオード回路とレーザー回路には類似点が見られます。コンデンサCは、RFポートを保護するDCブロッキングコンデンサです。インダクタLは、グランドへの低インピーダンスのDC経路であり、DCブロッキングコンデンサCがグランドへの直接経路を許容しないため、電流がDCバイアスピンからグランドへ流れることを可能にします。部品R1とC1は、高周波インピーダンス整合を改善するために選択されています。

画像:バイアスTとインピーダンス整合を備えた10G PINフォトダイオード図4:バイアスTとインピーダンス整合を備えた10G PINフォトダイオード。(画像提供:NuPhotonics)

PCBレイアウト - RF設計上の考慮事項

RFアプリケーション向けのPCB設計は、信号のルーティングや部品配置だけにとどまりません。電磁気的挙動が重要な役割を果たし、わずかなレイアウトの選択が性能を左右する分野です。望ましい性能を得るためには、インピーダンス制御とグランドリターンパスに細心の注意を払い、共振が発生しないようにする必要があります。最初のステップは、PCB材料の選択です。この場合、εrが約3、tan-δが0.01未満の誘電体材料を使用することで、PCB誘電損失によるRF信号の減衰を確実に防ぐことができます。材料を選択したら、トレースを設計する必要があります。RFトレース設計には、いくつかのアプローチがあります。コプレーナ導波路(CPW)の使用が推奨されます。これにより、優れたアイソレーション、電磁界のより効果的な閉じ込め、そして共振を最小限に抑えるより短いグランドリターンパスが実現されます。図5では、図3と図4の回路の基本的な回路レイアウトを見ることができます。RF信号のリターンパスを最小限に抑えるため、多数のグランドビアを備えたCPWが採用されています。DigiKeyのDKRedは、回路のテストを開始するクイックターンPCBに最適なオプションです。

画像:10G DFBレーザーボードと10G PINフォトダイオードボード図5:10G DFBレーザーボードと10G PINフォトダイオードボード。(画像提供:NuPhotonics)

PCBアセンブリ

TO-56レーザーとフォトダイオードは、PCBに直接はんだ付けすることができます。このため、NuPhotonicsのデバイスは標準的なPCBに簡単に組み込むことができ、ホビイストや業界の専門家にとって望ましい選択肢となります。図6は、図5のPCBを組み立てたものです。

画像:組み立てられたフォトダイオード & レーザーPCB図6:組み立てられたフォトダイオード & レーザーPCB。(画像提供:NuPhotonics)

RF結果 – RFoFリンク

デバイスをPCBに実装し、SMAコネクタで容易に接続できるようにすることで、デバイスの性能を測定することが可能です。RFテストはベクトルネットワークアナライザで行いました。実施されるテストは、特にSパラメータのS11およびS21に注目します。S11は、DFBレーザーがどれだけ整合しているかを示します。1550nmは10Ωの直列デバイスなので、デバイスの広帯域整合が難しくなります。S21は、リンクで見られる損失または減衰の量です。0dB未満のS21はリンクで信号が損失していることを意味し、0dBを超える場合はリンクが入力RF信号にゲインを加えていることを意味します。図7AはリンクのS21を示し、システム全体が3GHzまでフラットな応答を持ち、3dBの帯域幅が6GHz以上であることがわかります。図7Bと7Cは、それぞれフォトダイオードとレーザーのS11整合を示しています。全体のリンクゲインは、6GHzの周波数帯域全体で-2dBです。この結果は、この方法が光ファイバケーブルを使って電気信号を長距離伝送するための簡単なアプローチであることを示しています。NuPhotonicsの製品は、ホビイストや業界の専門家がシステムに簡単に組み込むことができるPCB実装可能なソリューションを提供します。

グラフ:リンクのS21(dB)図7A:リンクのS21(dB)(画像提供:NuPhotonics)

画像:フォトダイオードのS11(dB)整合図7B:フォトダイオードのS11(dB)整合。(画像提供:NuPhotonics)

画像:レーザーのS11(dB)整合図7C:レーザーのS11(dB)整合。(画像提供:NuPhotonics)

まとめ

この記事では、DigiKeyからプロトタイピング用に容易に入手可能なNuPhotonics製品を使用することで、RFoFリンク設計がいかに簡単に行えるかをご紹介しています。ただし、RFoFリンク設計のほんの一端に触れたに過ぎません。RFoFは、無線周波数システムと光ファイバの低損失・高帯域幅・耐干渉性という利点をシームレスに統合することを可能にします。ワイヤレスネットワーク、衛星リンク、防衛アプリケーションが、より高い周波数、広い帯域幅、長い到達距離を求めている中で、RFoFはスケーラブルで将来性のあるソリューションを提供します。直線性、ノイズ性能、コスト効率性における継続的な研究の進歩は、5G、6G、先進レーダー、次世代通信システムの可能性を最大限に引き出すための重要な要素です。

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著者について

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Vincens Gjokaj, Ph.D – NuPhotonics

Vincens Gjokaj is an RF engineer who specializes in antenna design, high-speed circuits, and ultra-fast optoelectronic device design. Vincens received his Ph.D. from Michigan State University in 2020 and after a few years working in the industry he started NuPhotonics to bring optoelectronic manufacturing back into the United States. In his free time he also reviews new journal articles for the latest research and development in RF and optoelectronics.