新しい環境発電技術

著者 ヨーロッパ人編集者

DigiKeyのヨーロッパ担当編集者の提供


エネルギーを採取するための新しい技術は、設計者がシステムに電力を供給できる方法に挑んでいます。 携帯電話向けのマイクロ風力タービンや、ペースメーカー向けの広帯域サーマルハーベスティングは、発電の新たな方法を生み出しています。 この記事では、MEMSにおける近年の新しい環境発電技術に目を向け、発電電力を設計者がいかに利用できるかについて考察します。 この記事では、Linear Technologies、STMicroelectronics、およびEnOceanのデバイスを取り上げます。

センサおよびワイヤレスリンクの電力要件が低下する中で、環境発電は、家庭、工場現場、そして体内においてもデバイス給電を容易に行う方法として、いっそう重要になっています。 これは、企業や大学の研究者を刺激して、明らかに劇的な新しいアプローチで環境向けに発電する異なる方法に目を向けさせています。

これには、熱から発電する熱電が含まれ、その熱電分野では、エンジンや排気ガスからの廃熱を、車両の電気システム用の電力に変えるために、米国のエネルギー省などの組織がBMWおよびGMと連携しています。 NASAは、太陽電池とは異なり、光なしで動作する火星探査車の給電に熱電を使用しています。 圧電エネルギーハーベスタはまた、そのスモールフォームファクタおよび高効率により、大きな関心を集めています。 2022年に、これらの4つのタイプのエネルギーハーベスタは、産業用センシングアプリケーションでほぼ類似の市場シェアを有するであろう、と市場調査会社のIDTechExは述べています。 2024年までに、環境発電デバイスの全市場は、26億ドルに達する見込みです。

環境発電技術の市場成長の画像
 
図1:2016年までの環境発電技術の市場成長。 出典:IDTechEx、2014年2月

1つの劇的に新しいアプローチとして、携帯電話での最新の加速度計を提供する同じ技術で構築された小型風車の使用があります。 テキサス大学の研究員および電気工学教授は、携帯電話の電池充電に使用できると述べている風力エネルギーを発電するマイクロ風車を設計しました。

携帯電話に給電するためのMEMS風車の画像
 
図2:携帯電話に給電するためのMEMS風車。

Smitha Rao氏およびJ.C. Chiao教授は、最も広いポイントで約1.8mmのデバイスを設計し構築しました。 彼らは、携帯電話用にスリーブに組み込まれた数百もの風車を目にし、空中で携帯電話を振るか、または風の強い日に携帯電話を開いた窓にかざすことで生じる風は、携帯電話の電池によって収集できる電気を生成するでしょう。

マイクロロボットデバイスにおけるRao氏の研究は当初、台湾企業の関心を高めました。これは、加速度計向けに商業化されてきた同社の微細加工(MEMS)製造技術のために新しいデバイス設計やアプリケーションに関してRao氏およびChiao氏に意見を出し合ってもらうことへの関心です。

WinMEMS Technologiesというファウンドリによって最適化されてきた平面積層電気メッキ技術を使用して、複雑な3D可動機械的構造が、2次元の金属片からセルフアセンブルできるように、Rao氏の設計は、折り紙の概念を、ウェハスケール半導体デバイスレイアウトに融合しています。 金属合金が柔軟であり、Rao氏の設計が機能性のためのミニマリズムに従っているため、マイクロ風車は良好に動作します。

マイクロ風車は、Chiao氏の実験室で2013年9月にテストされ、そのテストは成功しました。 丈夫なニッケル合金およびスマート空気力学設計により、風車は、材料の破損なく、強い人工風の下で動作します。 ほとんどのMEMS設計者が抱える問題は、材料が脆すぎるということですが、ニッケル合金の使用により、その問題が回避され、デバイスが長持ちします。

Rao氏によれば、これはほんの最初のステップにすぎません。それは、バッチ処理を使用してアレイ内にマイクロ風車を作成できるためです。 1個のデバイスの製造コストは、単一のウェハで数百個または数千個のデバイスを製造するコストと同じであるため、非常に低価格のシステムの大量生産が可能です。

小さなサイズは、照明、セキュリティ、または環境センシングおよびワイヤレス通信向けにエネルギーを採取するために、数千個の風車を持つフラットパネルが作成でき、家または建物の壁に実装できることを意味します。

しかし、携帯電話の充電であっても、家での実装であっても、風車のアレイは、少量の電流を生成し、電源管理システムが処理する必要がある大きな変動を生じる可能性があります。 この変動のいくらかを平滑化するのに携帯電話の電池が使用できる一方で、充電の管理を注意深く行う必要があります。 家に給電する大きなアレイの場合、これはさらにより劇的なものとなります。

Linear Technologyが提供するLTC3108などのデバイスは、非常に低い入力電流から安定した出力を提供します。 成功のためには、風車のアレイは、電源管理デバイスの入力範囲に適合する必要があり、これには入念な最適化が必要となります。 現在利用可能な入力許容差よりもさらに低い入力許容差が必要な可能性があり、次世代の電源管理デバイス設計に影響を及ぼすでしょう。

STMicroelectronicsはまた、太陽電池または熱電発電器(TEG)のどちらかを使用して電子回路の給電および電池の充電を行うのに必要なすべての機能を統合している新しいチップで、環境発電アプリケーションを開拓しています。 これは、同社のSPV1020モノリシック4相インターリーブDC/DCブーストコンバータに基づいて構築されています。このブーストコンバータは、太陽放射の温度や量から独立して、太陽電池パネルが生成した電力を最大化するように設計されています。

パワー変換の最適化は、コンバータに接続されたPVセルでのMPPT(最大電力点追従)アルゴリズムを実行する組み込み論理によって得られます。 1個以上のコンバータは、PVパネルの接続ボックスに収められ、バイパスダイオードを置き換えることができ、最大電力点がローカルで計算されるため、システムレベルでの効率は、メインの集中型インバータでMPPが計算される従来のトポロジの効率よりも高くなります。

この能力をTEGシステムにも拡張したSPV1050は、数マイクロワットから数ミリワットまでの電力要件を持つアプリケーションをサポートし、ソーラーエネルギーまたは熱エネルギーのどちらかを使用した屋内と屋外の両方の民生用および産業用アプリケーションに同様に適しています。

1.8Vと3.3Vの両方のレギュレータは、追加のコンポーネントを必要とすることなくコンパニオンマイクロコントローラまたはワイヤレストランスミッタの直接給電に利用できます。

デバイス内では、バックブーストコンバータにより、デバイスは、180mV~8Vの広い入力電圧範囲を提供することで、TEGまたは屋内/屋外ソーラーエネルギーハーベスティングモジュールのどちらかに接続することができます。90%の平均動作効率により、低い入力電力レベルでも高速電池充電が実現する一方で、90%の最小MPPT精度は、ソーラーまたはTEG源からのエネルギー抽出を最大化します。 加えて、統合された電池充電コントローラは、非常に高精度の不足電圧および充電終了閾値を使用し、過放電を防止するために安全な制御論理を提供して電池の長寿命化を実現します。

心臓向けの圧電パワー

圧電結晶を使用する異なる技術は、心臓を動かし続けるペースメーカーの給電に使用されています。

人工内耳から埋め込み型除細動器に至るまで、電子デバイスは、人体内で多くの役割を果たすために開発されてきました。 現在では、それらのほとんどすべてが、ある種の電池に依存しており、こうした電池は最終的に消耗します。 ペースメーカーでは、これが6~10年後に起こります。 必然的に電池を交換することは、さらなる手術を必要とし、これはリスクを伴い、高くつく可能性があります。

人体の自然な動きからのエネルギーを利用する柔軟な圧電インプラントは、米国および中国の研究者によって開発されてきました。 いつか、こうしたデバイスが、さまざまな医療インプラント向けに必要な電気を供給することを、そのチームは願っています。 牛や羊でのテストにより、彼らのデバイスが、現代の心臓ペースメーカーの給電のために心臓の鼓動から十分なエネルギーをすでに採取できることが示されています。

ペースメーカー向けの圧電パワーステーションの画像
 
図3:ペースメーカー向けの圧電パワーステーション。

電力を生成可能なデバイスは、原則として永遠に動作することができます。 体内での最も明らかなエネルギー源は、心臓、肺、または横隔膜の動きなどのある種の規則的な動きです。 しかし、機械的エネルギーハーベスタの要件は厳しく、人体の自然な動きを妨害することなく、インプラントの給電に十分な電気を生成する必要があります。 これは特に、エネルギーハーベスタが心臓に取り付けられている場合に懸念点となります。それは、心臓の外に圧力を加えると、不規則な心拍につながる可能性があるためです。これはまさに、治療のために心臓ペースメーカーが通常埋め込まれている状態です。

John Rogers氏が率いるイリノイ大学のグループは、鼓動する心臓の機械的エネルギーを利用する柔軟な圧電パッチを開発しました。 このインプラントには、金および白金電極で囲まれた500nm厚のリボンのチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)から作成された膜が含まれています。 PZTは圧電性であり、これは、それが曲げられた時にそれにわたって電圧が生じることを意味します。 デバイスに統合された小型電池の充電に出力が使用され、全体は、ポリイミドレイヤのケースに入れられているため、生体適合性があります。

同研究者は、麻酔下にある羊および牛の心臓に、パッチをさまざまな方向に縫い付けることで、パッチを試しました。 それらが生成した電圧は、彼らが理論的に予測していた値とほぼ同じでした。そして、インプラントは、心臓の自然な鼓動を明らかに妨害しませんでした。

最適な方向で右心室に縫い付けられた時、デバイスは最大0.18μW/cm²を生成したことが分かりました。 最先端のペースメーカーは、最小0.3μWで動作することができ、この値は、複数の圧電レイヤを積み重ねることで同チームが達成した電力出力です。 同チームは現在、パッチをそのままにして動物を起こすための承認を倫理委員会から得ました。これにより、彼らは、デバイスが適切に動作し続け、動物に不当な影響を与えないことを確認するために、数か月または数年にわたって動物の行動をモニタすることができます。 目的は、ペースメーカーを10年以上持続させることで、これは、生体適合性における課題です。

圧電環境発電は、MidéVolture V21BLなどのデバイスを持つ産業用アプリケーションですでに使用されています。 水晶振動子は、機器の振動と共振し、センサの給電に十分な電流を生成します。 電源管理を含め、こうしたデバイスを劇的に小さくし、人体組織と適合させることは、研究者が取り組んでいる課題です。

クリックで、ワイヤレスリンクに給電

よりわずかに大きなスケールで、環境発電を専門とするドイツのEnOceanは、同社のDolphinシステムなどの2.4GHzの無線リンクに給電できる低コストの環境発電スイッチを開発しました。

EnOceanが提供するDolphin環境発電ワイヤレス開発システムの画像
 
図4:EnOceanのDolphin環境発電ワイヤレス開発システム。

一方の側は、2.4GHzのデモンストレータで、このデモンストレータは、低コストの環境発電デュアルスイッチから構成されています。このデュアルスイッチは、センサノードとの通信用の2.4GHzのRFチップと、スイッチを作動させるためのNFC(近距離無線通信)無線チップを統合します。 デモンストレータのもう一方の側は、LEDおよび制御エレクトロニクスを備えたボートです。このボートは、スイッチが押される時にオン/オフメッセージを受信します。

EnOceanのエレクトロメカニカルエネルギーコンバータを使用して、ボタンの押下は、ワイヤレス信号の生成に十分な電力に変換され、ケーブルや電池なしのデータ通信が実現します。 プロトタイプはまた、スマートフォンを使用して、レシーバとトランスミッタの機能を組み合わせます。 これにより、システム開発者やユーザーが、電池不要のコンポーネントをネットワークに組み込むための多くの新しい方法がもたらされます。

NFCチップにより、設置者または消費者は、いかなるNFC対応スマートフォンをも通してスイッチを構成することが可能になります。 スイッチは配線を必要とせず、最大3kmの範囲を有しているため、デバイスは、多くのホームオートメーションまたは産業用アプリケーションで使用することができます。 これは現在、シンプルですぐに使用可能な環境発電スイッチは、未使用ISM帯域における無線リンクに給電できることを示すための研究であるにすぎません。

EnOceanはまた、他のデバイス、サーバおよびクラウドサービスが処理できるように、すべての低電力無線プロトコルを解釈し、すべてのセンサメッセージを論理レベルからIPレベルに変換するために、ライブラリを備えたLinuxベースのミドルウェアを開発しました。 これは、これらの環境発電技術を持つ広範なRFプロトコルのサポートへの拡張の一部です。 同社は、EnOceanの自己給電型スイッチおよびセンサを使用して、ZM5202などのZ-Wave®トランシーバの制御を提供するために、MiOS Marketplace用のプラグインをリリースしました。

EnOceanが提供するZ-Wave ZM5202ワイヤレストランシーバの画像
 
図5:Z-Wave ZM5202ワイヤレストランシーバは現在、EnOceanの環境発電システムによって給電が可能です。

この新しいプラグインは、ワイヤレスビルオートメーションで確立された標準であるEnOceanと、住宅用Z-Waveワイヤレス製品間のブリッジを作成します。 これは、Z-Wave開発者が現在、物理的発電から、ソーラー発電や熱発電に及ぶEnOceanの環境発電技術を使用できることを意味します。 また、これにより、Z-Wave開発者は、現在、世界中の350社を含むEnOcean Allianceのメンバーとつながることができます。

結論

EnOceanなどの企業によって実証された電力要件の低減は、研究を新たな環境発電技術へと推進しています。 携帯電話向けに風力を生成する小型風車のアレイというアイデアは奇妙に思われるかもしれませんが、このアイデアは、主流のMEMS技術が、発電の新たな方法で使用できることを示しています。 これは、広い入力範囲を介して複数の異なる環境発電技術へのサポートを組み合わせている、STMicroelectronicsの新しいデバイスなどの電源管理チップおよびサブシステムの設計および開発に影響を及ぼすでしょう。 EnOceanが示しているように、これらの環境発電技術は現在、Sigma DesignsのZ-Waveなどの既存のワイヤレス技術にリンクされ、既存の実績ある市場に進出することができます。 超低電力システムを開発している設計者は、家庭、産業または医療アプリケーションを問わず、電池を必要とせずにデバイスに給電するためのはるかに幅広いオプションを有しています。

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