適切なエンクロージャで電子機器の長期間のセキュリティと耐天候性を保つ

著者 Patrick Mannion

Digi-Keyの北米担当編集者 の提供

DIYまたは試作プロジェクトの設計者は、電子機器を設計する場合、適したエンクロージャを見つけるのが最後になることがよくあります。これは、一時的に屋内の机上で使用したり、壁に設置したりする場合には合理的かもしれません。しかし、長期間にわたって屋外で使用することを意図している場合、すぐに自然環境によって故障したり、悪意による干渉または単なる好奇心によって故意または意図せず損傷を与えられたりします。 

入手可能な材料で適切なエンクロージャを製作することは難しく、市販のエンクロージャは耐久性要件を満たすかもしれませんが、サイズが合わない場合があり、変造に非常に弱く、美観に欠けます。最後の2つは、住居や商用ビルの外側に設置する場合に問題になることがあります。

屋外に設置する小型電子機器のハウジングやエンクロージャには、電子機器を自然環境から効果的に密閉できるIP-68認証済みのポリカーボネート製エンクロージャのシリーズを選択するのが最善です。

この記事では、電子システムとそのエンクロージャに対する、雨、極端な温度、日光の影響について採り上げます。次に、IP-68保護の意味する内容を説明してから、物理的および美観的要件を満たすHammond Manufacturingのエンクロージャおよび関連するガスケットを紹介します。

電子機器のエンクロージャに環境からの保護機能が必要な理由

屋外で使用される電子システムは、熱、寒さ、湿気、直射日光(特に紫外(UV)線)振動、物理的変造により劣化しやすいものです。また、多くの電気ノイズおよび電磁ノイズ源からも影響を受けます。極端な温度に対しては、適切な回路設計、部品のディレーティング、ヒートシンクやファンなどの熱管理技術、および総消費電力の最小化によって対応できます。振動は、プリント基板を振動遮断器に取り付けることで解消でき、電気ノイズおよびRFノイズはフィルタ、チョーク、適切な接地技術で低減できます。

しかし、水分と湿気は特に有害です。水分がシステムに侵入すると、湿度が増して凝結し、腐食が発生して、時間の経過に伴って最終的には、半導体のパッシベーション層、はんだ接合部、物理的接続部の劣化に至ります。エンクロージャを閉じる前に入った可能性のある塵や破片などの侵入物と合わさると、有害な影響が大きくなります。水分が部品に与える様々な悪影響には、エレクトロメカニックなもの、ガルバニックなもの、アノードに関するもの、カソードに関するものがあります。すべてが電子機器の信頼性に対して、微妙な、または明瞭な害をもたらします(図1)。

電子部品に対する水分および湿度の影響を示す画像図1:水分と湿度による電子部品、基板、相互接続部への影響は、時間の経過に伴い、きわめて有害な場合があります。(画像提供: PCFixit.au)

水分の侵入による影響は、重要部品にエポキシまたはゲルを塗布するなどの手法で軽減できます。大量生産されるシステムは、20~50ミクロン、極端な場合には最大100ミクロンのコンフォーマルコーティングでプリント基板全体を覆うことができ、優れた解決法です。ただし、DIPスイッチ、可変抵抗器、電池ホルダなど、そうしたコーティングができない部品もあります。また、コンフォーマルコーティングは端部を完全には覆えずに(端部のめくれ)、配線部や接続部が腐食を受ける場合があります。

水分の最大の影響は、熱および相対湿度に依存します。水分および湿気に対する屋外装置の完全な試験指針は、ETSI EN 300 019-1-4 V2.2.1(2014-04)「環境工学(EE); 電気通信機器に対する環境条件および環境試験; パート1-4:環境条件の分類; 屋外固定使用の条件」に記載されています。

これは、ホビーイストにとって役立ち、プロフェッショナルには不可欠な試験ガイドです。機器が曝される可能性のある各種条件を、振動、地震、衝撃、太陽放射、温度に分類しています。さらに環境クラスを、水、降雨、カビの繁殖、動物による攻撃(シロアリなど)、大気中の塩分に細別しています。また、この記事に直接関係する優れた定義を与えており、湿度の重要性を強調しています。

  • 絶対湿度:空気と水蒸気の混合気内で1立方メートルの乾燥空気に対して関連づけた水蒸気の質量のグラム数
  • 天候保護のない場所:装置が天候の直接の影響から保護されない場所
  • 相対湿度:所定温度の湿った空気における水蒸気分圧の、同一温度の飽和空気における水蒸気分圧に対する比
  • 定置使用:装置を構造物または取り付け具にしっかりと取り付ける、またはある用地に永続的に設置して使用すること。

しかし設計者にとっては、常に予防が処置に勝ります。そこで、国際保護(IP)等級IP-68が登場します。

IP-68とは?

侵入保護とも呼ばれるIPコードは、EN 60529に由来し、塵および水分に関する保護等級を示す2つの数字を割り当てます(図2)。この割り当ては、塵および水分と同様、指や手などの固体物の侵入に対する保護等級も分類しています。目的は、「防水」のようにあいまいで主観的な用語と異なる明確さを提供することです。

「IP」の後の1つ目の数字は固体に関するもので、2つ目の数字は液体に関するものです。従って、「IP-68」の場合は、システムが塵に対して完全に保護されており(6)、噴流水に対して、または圧力下での浸水に対して長期間保護されている(8)ならば適合します。 

システムの保護等級を示す数字を割り当てるIPコードの表図2:IPコードは、塵(左)と水分(右)に対するシステムの保護等級を示す数字を割り当てます。(画像提供:focusondrives.com)

IP-68要件を満たす方法

IP-68適合エンクロージャを最初から設計することも可能ですが、Hammond Manufacturingのような企業が既に基礎固めをしているのに一からやり直す必要はまったくありません。同社の過酷な環境向けエンクロージャである1557シリーズは、UV安定化ポリカーボネート材料を使用した設計でIP-68要件を満たしつつ、美観にも注意が払われ、「柔らか」な曲線による「現代的」な外観で、ブラックとライトグレーの2色があります(図3)。

Hammond Manufacturingのエンクロージャである1557シリーズの画像図3:1557シリーズのエンクロージャはIP-68要件とデザインの美しさを両立しつつ、各種の取り付け方法があります。(画像提供:Hammond Manufacturing)

1557シリーズは、耐高温性UL認証済シリコーンゴム製ガスケット(モデル1557BGASKET)を使用した2部品による溝形構造の採用により、UL94-5VAという難燃性等級を受け、塵、油、水の侵入保護を実現しています。(図4)。

Hammond Manufacturingの1557BGASKETがUL認証済シリコーン製であることを示す画像図4:1557BGASKETはUL認証済シリコーンでできており、エンクロージャ1557のIP-68適合に寄与しています。(画像提供:Hammond Manufacturing)

そして蓋は、M4ステンレス鋼製機械ネジ(モデルSC576-50)で固定します(図5)。これは耐腐食性ブッシングにネジ止めするため、設計の試作段階などで組み立てと分解を繰り返すことができます。

Hammond ManufacturingのM4機械ネジ(モデルSC576-50)の画像図5:モデルSC576-50のM4機械ネジは、耐腐食性ブッシングに確実にネジ止めするため、組み立てと分解を繰り返すことが可能です。(画像提供:Hammond Manufacturing)

1557シリーズには、アプリケーションの各種ニーズを満たす様々なサイズの製品があり、設置の柔軟性をもたらす各種の取り付け方法(プリント基板を含む)に対応します。サイズは4種類の基本的な平面サイズに基づき、それぞれに2種類の高さがあります。サイズ:

  • 平面サイズ80 x 80mm、高さ45mmまたは60mm
  • 平面サイズ120 x 120mm、160 x 160mm、200 x 200mm、高さ45mmまたは70mm

取り付け方法は図に示したように(図3を再度参照)、以下の通りです。

  • 頑丈なフランジ型ウォールマウント(取り付け脚が外側)
  • フラッシュウォールマウント(キーホールスロット状取り付け脚)
  • デスクトップ/卓上(ゴム製脚付属)

各オプションには、明確に異なる利点があります。頑丈な壁取り付けモデルでは、2つまたは4つの壁取り付けタブのセットを利用します。これらのタブは、エンクロージャの背面にしっかりとねじ込まれています。タブはエンクロージャの端から突き出ているため、ユーザー所有の金具を使用してエンクロージャを壁にしっかりと取り付けることができます。これは、セキュリティが重要であり、永続的に設置する用途に最適です。

フラッシュマウントモデルでは、同じ壁取り付けタブを使用しますが、裏返しにしてエンクロージャ背面のくぼみに取り付けます。この構成では、タブがキーホールスロットとして機能するため、フラッシュマウントの外観がよりエレガントになります。この構成は、エンクロージャを一時的に壁に取り付ける用途にも最適です。

各エンクロージャには、デスクトップ/卓上モードで使用するための4つの粘着ゴム製脚が含まれています。このモードでは、壁取り付けタブを使用せず、ゴム製の脚が各コーナーに配置されます。適切な配置を確保し、薄さを維持し、足を所定の位置にしっかりと保持するために、各コーナーには足に合わせたサイズのくぼんだ領域があります。必要に応じて、追加のゴム製脚(モデル1421T6CL)を注文できます。

エンクロージャの付属品には、液密コードグリップ/ケーブルグランドおよびポール取り付けキットが含まれます。

まとめ

設計者は多くの開発作業で電子機器の設計に集中して、適切な屋外用途向けエンクロージャを選択する重要性を軽視してしまう場合があります。適切な保護がなければ、湿度、極端な温度、塵、油、その他の汚染が組み合わさり、設計の電気的および構造的完全性を損なう場合があります。

しかし、そのようなエンクロージャを設計するのは難しいものです。IP-68要件を満たした市販のエンクロージャを選択すれば、長期の屋外使用の課題に対応した設計をすばやく市場に送り出すことができます。

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著者について

Patrick Mannion

エンジニアリングから始めたPatrick Mannion氏は、25年以上にわたりエレクトロニクス業界を分析してきました。エンジニアがリスクを管理し、コストを抑え、設計を最適化するための情報に基づいた編集に重点を置いています。かつてUBM Techのエレクトロニクスグループのブランドディレクタおよび副社長だった同氏は、カスタムコンテンツサービスを提供しています。

出版者について

Digi-Keyの北米担当編集者