小型ドロップインモジュールを用いたBluetooth Low Energyコネクティビティの簡素化方法

著者 Bill Schweber氏

DigiKeyの北米担当編集者の提供

Bluetooth(BT)とその強化版であるBluetooth Low Energy(BLE)は、通信における主要技術となっています。テキストや音声からストリーミングビデオに至るまで、モノのインターネット(IoT)デバイスがワイヤレスで接続し、データを転送できるようにします。

しかしながら、完全なBTノードの設計、実装、認証には、ベースバンドのアナログおよびデジタル機能、ファームウェア駆動の組み込み処理、受信機の低ノイズフロントエンドアンプと送信機のパワーアンプの両方における高周波(RF)設計に関する専門知識が必要となります。

これらの機能は、効果的な電源管理によってもサポートされなければなりません。さらに、各BTノードは、性能に関する包括的な目標リストを満たすとともに、RF干渉(RFI)や電磁妨害(EMI)に関する規制要件に適合する必要があります。このような要件は、設計を複雑にし、デバイスの開発を遅らせる可能性があります。

本記事では、BLEの概要と、低消費電力IoTデバイスへの適性についての概要を説明します。続いて、Ezurioの即使用可能なBLEモジュールを紹介し、BLE対応IoTノードの開発を加速させる方法についても説明します。

BluetoothからBLEへ

Bluetoothは、ワイヤレスデータと音声転送のためのオープンな世界標準規格であり、さまざまな電子機器間の低コストで短距離のワイヤレスコネクティビティを可能にします。2.4GHzの産業用、科学用、および医療用(ISM)バンドで動作し、その用途には、音声やテキスト画像の限定距離伝送、ビデオストリーミング、スマートフォンとイヤホンのペアリング、低消費電力IoT接続などが含まれます。

Bluetooth 1.0仕様では、クラス2デバイスにおける10mの通信距離、シンプルなピアツーピアネットワーク、732.2キロビット/秒(kbit/s)が規定されました。最初の製品は2000年に登場しました。バージョン2.0(2004年)と3.0(2009年)の改良により、データ転送速度はそれぞれ3メガビット/秒と24メガビット/秒(Mbit/s)に向上しました。

しかしながら、当初のBTリンクの電力要件は、多くの対象アプリケーションにとっては高すぎました。2010年にはバージョン4.0(BLE)が採用され、それ以前のバージョンは非公式にBluetooth Classicと改称されました(図1)。BLEは、IoTデバイス向けに最適化された低帯域幅プロトコルスタックに基づく超低消費電力アイドルモードを採用することで、消費電力を約90%削減しました 。このアイドルモードにより、IoTセンサ、位置情報ビーコン、スマートホームノード、医療機器、フィットネストラッカーなどが、小型のコイン型電池で数年動作することが可能になりました。

Bluetooth Classic Bluetooth Low Energy(BLE)
周波数バンド 2.4GHz ISMバンド 2.4GHz ISMバンド
チャンネル数 79チャンネル/1MHz幅 40チャンネル/2MHz幅
消費電力 超低
データ転送速度 1Mbps~3Mbps 1Mbps
遅延 約100ms 約6ms
通信距離 30m未満 50m(オープンエリアでは150m)
トポロジ ピアツーピア(1対1) ピアツーピア(1対1)
スター(多数対1)
ブロードキャスト(1対多数)
メッシュ(多数対多数)
デバイスのペアリング 必要 不要
音声対応 可能 不可
ノード/アクティブスレーブ 7 無制限
セキュリティ 64ビット/128ビット、ユーザー定義アプリケーション層 128ビットAES、ユーザー定義アプリケーション層
スマートフォンとの互換性 スマートフォンで100%利用可能 スマートフォンで100%利用可能
使用例 オーディオストリーミングなどのストリーミングアプリケーション、ファイル転送、ヘッドセット 位置情報ビーコン、スマートホームアプリケーション、医療機器、産業用監視、フィットネストラッカー

図1:Bluetooth Classic(バージョン1.0~3.0)とBLE(バージョン4.0~6.0)の比較概要。(画像提供:MOKOSmart)

各バージョンのBTでは、設計者が通信距離、データ転送速度、消費電力のトレードオフを選択し、バランスをとることが可能です。最新のBLEバージョンは6.0(2024年)であり、低消費電力モード、拡張レンジ、ピアツーピア、スター型、ブロードキャスト型、メッシュ型のトポロジで1Mbit/s~2Mbit/sの最大データ転送速度をサポートしています。

BLEモジュールがデザインインを簡素化

BTは、短距離で低消費電力のワイヤレスリンクに適した汎用性の高い技術ですが、実際の実装には、プロセッサ、メモリ、アナログRFフロントエンド、RFパワーアンプ、アンテナなど、複数のコンポーネントと技術の融合が必要です。さらに、ソフトウェア駆動のデータリンクプロトコルとスタックがあります。これらのさまざまな要素の選択と、デザインインすることは、困難を伴う場合があります。

BLE対応デバイスの設計を簡素化するため、Ezurioは必要な要素をBL54L15 BLEモジュール(図2)に統合しました。これらのモジュールのコアには、Nordic SemiconductornRF54L15システムオンチップ(SoC)が採用されています。

BL54L15ファミリのBLEモジュールの図(クリックして拡大)図2:BL54L15ファミリのBLEモジュールは、ワイヤレス実装を成功させるために必要なすべての機能を備えた、完全かつ高度に統合されたソリューションで構成されています。(画像提供:Ezurio)

これらのモジュールの主な特長は以下の通りです。

  • 128メガヘルツ(MHz)のArm Cortex-M33と128MHzのRISC-Vコプロセッサによるデュアルコア処理
  • 1.5メガバイト(Mバイト)の不揮発性メモリ(NVM)と256キロバイト(Kバイト)のランダムアクセスメモリ(RAM)の大容量メモリを搭載
  • 強化されたセキュリティ

これらのモジュールは、BLEおよび802.15.4規格に対し、安全かつ堅牢なサポートを提供します。NordicnRFConnectソフトウェア開発キット(SDK)、Zephyrリアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)、およびEzurio Canvasソフトウェアスイートを通じて柔軟なプログラミング機能を実現します。Canvasは、MicroPythonスクリプト機能を可能にし、アプリケーション開発を簡素化および高速化します。全体構成では、nRF54L15のハードウェア機能と性能をすべて活用しています。

2種類のBL54L15モジュールは、認証済みのプリント回路基板(プリント基板)トレースアンテナを搭載した453-00001R(図3、左)と、外部アンテナ接続用のMHF4コネクタを搭載した453-00044R(図3、右)です。両モジュールとも1.7VDC~3.5VDCの電源で動作し、それぞれ14mm × 10mm × 1.6mmの小型パッケージに収められています。

Ezurioの453-00001R(左図)および453-00044R(右図)の画像図3:453-00001R(左図)は認証済みのプリント基板トレースアンテナを搭載し、453-00044R(右図)は外部アンテナ接続用のMHF4コネクタを搭載しています。(画像提供:Ezurio)

本モジュールのマルチプロトコル無線は、最大7dBmの(1dBステップで調整可能)の送信(TX)出力と、1Mbit/sのスループットにおいて-94dBmの受信(RX)感度を備えています。このハードウェアは、-40°C~+105°Cの産業用温度範囲に対応するように設計および認証されています。

これらのモジュールは、セキュアブート、セキュアファームウェアアップデート、セキュアストレージをサポートする最先端のセキュリティ機能も備えています。内蔵の改ざんセンサは物理的な攻撃を検知し、暗号アクセラレータはサイドチャネル攻撃に対して強化されています。また、BLE性能、RFI/EMIエミッションおよび感受性に関するすべての関連国際規格および規制要件を満たしています。

アンテナ接続に対応

アンテナは、BL54L15モジュールの機能にとって不可欠な受動部品です。性能、配置、パッケージサイズ、コストなどの理由から、面実装アンテナを好む設計者もいれば、プリント基板トレースアンテナを好む設計者もいます。こうした嗜好の違いから、Ezurioは2種類のBL54L15モジュールを提供しています。ただし、設計者はこれらを使用する際には注意が必要です。

たとえば、453-00001Rに内蔵されたプリント基板トレースアンテナの性能は、ホストとなるプリント基板のトポロジに敏感に影響を受けます。アンテナが適切に放射するためには、453-00001Rをホスト基板の端に配置することが極めて重要です(図4)。この禁止領域は、幅約5mm、長さ28.6mmで、453-00001Rモジュールの下には、基板誘電体(銅なし)の高さが1.57mm必要です。

プリント基板トレースアンテナ禁止領域の画像図4:453-00001Rモジュール用のプリント基板トレースアンテナ禁止領域(赤枠で囲われた部分)は、最適な性能を達成するために極めて重要です。(画像提供:Ezurio)

Ezurioは、この内蔵されたプリント基板トレースアンテナをプラスチックおよび金属の両方のエンクロージャで使用する際の重要ないくつかの提言をしています。

  • アンテナの調整を著しく損なわないためには、、金属部品との最小安全距離を上面/下面から40mm、左右から30mm以上確保してください。
  • プリント基板トレースモノポールアンテナに近接する金属部品(どの方向でも)は、アンテナの性能を低下させます。性能低下の程度は完全にシステムに依存します。設計者はホストアプリケーションを用いた試験を行う必要があります。
  • 禁止領域から20mm以内に金属が存在する場合、性能(S11、利得、放射効率)が著しく低下し始めます。
  • 筐体の高さや材質(金属かプラスチックか)、ホストプリント基板のグラウンドの影響を評価するため、製品のモックアップまたは試作品を用いて距離範囲をテストしてください。

453-00001Rの代替品として、設計者はMHF4 マイクロ同軸コネクタを搭載した453-00044R BL54L15モジュールを選択することも可能です。適切な外部アンテナオプションとして、面実装型のEMF2449A1-10MH4L(図5、左)(36 × 12 × 0.1mm)が挙げられます。これは、曲面形状やスペースに制約のあるエンクロージャ向けにフレキシブルな基板を採用しています。もう1つのアンテナオプションとして、EBL2400A1-10MH4L(図5、右)(44.45mm × 12.7mm × 0.81mm)があります。このアンテナは共振器構造にグラウンドプレーンを組み込んでおり、効率な放射のためにグラウンドプレーンが不要となっています。

Ezurio EMF2449A1-10MH4Lフレキシブル回路基板アンテナ(左図)とEBL2400A1-10MH4Lアンテナの画像図5:453-00044Rモジュール向けに利用可能なアンテナオプションには、EMF2449A1-10MH4Lフレキシブル回路基板アンテナ(左図)と一体型グランドプレーンを備えたEBL2400A1-10MH4Lアンテナ(右)があります。(画像ソース:Ezurio)

BL54L15シリーズは、BLEコネクティビティに加え、ZigbeeとNFC-Aタグにも対応しています。

評価ボードおよびソフトウェアサポート

製品開発サイクル全体を加速するために、Ezurioは2種類の評価ボードを提供しています。453-00001 R(プリント基板トレースアンテナ搭載)用の453-00001-K1(図6)と、453-00044R(面実装アンテナ搭載)用の453-00044-K1です。

Ezurio 453-00001R BLEモジュール用453-00001-K1開発ボードの画像図6:BLEモジュール453-00001R用の開発ボード453-00001-K1。(画像提供:Ezurio)

まとめ

BLEは、短距離、低消費電力接続における重要な無線規格およびプロトコルとなっています。Ezurioは、設計者に小型BLEモジュール、評価ボード、ソフトウェアを提供し、最終製品へのBLEの迅速かつ効果的な統合を実現します。

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著者について

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Bill Schweber氏

エレクトロニクスエンジニアであるBill Schweber氏はこれまで電子通信システムに関する3冊の書籍を執筆しており、また、発表した技術記事、コラム、製品機能説明の数は数百におよびます。これまで、EE Timesでは複数のトピック固有のサイトを統括するテクニカルウェブサイトマネージャとして、またEDNではエグゼクティブエディターおよびアナログエディターの業務を経験してきました。

Analog Devices, Inc.(アナログおよびミックスドシグナルICの大手ベンダー)ではマーケティングコミュニケーション(広報)を担当し、その職務を通じて、企業の製品、ストーリー、メッセージをメディアに発信する役割と、自らもそれらを受け取るという技術PR業務の両面を経験することになりました。

広報の業務に携わる以前は、高い評価を得ている同社の技術ジャーナルの編集委員を務め、また、製品マーケティングおよびアプリケーションエンジニアチームの一員でした。それ以前は、Instron Corp.において材料試験装置の制御に関するハンズオンのアナログおよび電源回路設計およびシステム統合に従事していました。

同氏はMSEE(マサチューセッツ大学)およびBSEE(コロンビア大学)を取得した登録高級技術者であり、アマチュア無線の上級クラスライセンスを持っています。同氏はまた、MOSFETの基礎、ADC選定およびLED駆動などのさまざまな技術トピックのオンラインコースを主宰しており、またそれらについての書籍を計画および執筆しています。

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